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何故政府は、国内の中小企業にマスクや医療用ガウンを、依頼しなかったのだろう?

2020-05-18 21:11:01 | アラカルト

朝日新聞のWEBサイトに、「何故、政府は日本の中小企業に医療用ガウンなどの依頼をしなかったのだろう?」と、疑問に感じる記事があった。
朝日新聞:パリコレで活躍する匠の技 町工場が医療用ガウンづくり (ビデオ映像につき音声あり)

この記事では、4月に経産省からの打診があり、医療用ガウンをつくることになった、ということだが「材料費や経費などを除くとほとんど利益が無い」ということらしい。
おそらく取り上げられた町工場だけではなく、全国の縫製工場で同様に作られているはずだが、どこの縫製工場も似たような条件での依頼ではないか?と、想像することができる。

これまで安倍政権になってから、大企業に対しての様々な経済政策がされてきたが、中小零細企業に対しては冷たいほど具体的な政策がされていない。
今回の「コロナ禍」に対する経済政策でも、大企業向けの内容は大々的に発表されたが、中小企業向けとなるとその告知は、とても小さいもののように思える。

高度成長期の日本であれば、大企業の下には下請け・孫請け・曾孫請けという大きな「ものづくり工場」があった。
そのため大企業に対する経済政策が、曾孫請けまで行き届いていた。
しかし「経済のグローバル化」が言われるようになると、大企業は人件費の安い海外へと生産拠点を移すようになった。
もちろん、米国との経済摩擦などにより「現地法人」をつくることで、経済摩擦を避けるという目的もあったはずだ。

それが今回のような「グローバルな感染症」が起きてしまうと、海外へと生産拠点を移したことで工業部品が入ってこない、などの問題が起きてきた。
それは、医療用ガウンやマスクなどについても、いえることだろう。
実際、ドラッグストアーからマスクが消えた時、言われたコトが「日本国内で消費されているマスクのほとんどが、中国からの輸入」ということだった。
メーカーそのものは、日本のメーカーであっても生産そのものが、中国であったために輸入がストップしてしまうと、いきなり「モノ不足」という事態が発生してしまったのだ。

とはいうものの、この記事にあるように日本の中小企業の持っている技術には、高いものがある。
取材対象となった縫製工場は、世界のファッションのトップといわれるパリコレで発表される服を、縫製している。
プレタポルテと呼ばれる「既製服」は、コレクションで発表されれば、世界中のバイヤーがブランドに発注をする。
当然、服を発注された枚数だけ同じように高品質の縫製で納品しなくてはならない。
写真で見た「医療用ガウン」にしても、そのシルエットの美しさ(=着心地の良さ)などは、流石!という印象を持った。
それは「医療用マスク」等についても、同じだろう。

それほど「高品質」な医療用ガウンやマスクが日本国内で生産できる中小企業があるのであれば、何故「アベノマスク」には、466億円のお金をかけ、不良品が大量に出るとその検品に800万円のお金をかけているのに、海外でつくる必要があったのだろうか?
それだけの費用を、国内の中小企業に向けたほうが「コロナ禍後」の経済活動につながるのでは?と、考えるのだ。