「新型コロナウイルス」に対する国の対応が遅れた、ということを先日の専門者会議の副座長を務めている尾身さんが、図らずも告白をした、という気がした記者会見だった。
確かに当初は「帰国者」のみ対象にPCR検査を行うという、ツモリだったのだろう。
それが瞬く間に、クラスターと呼ばれる発生源が分かる集団の追跡だけでは追いつかず、今では「クラスター」そのものが不明という感染者のほうが増えてしまった、という状況にある。
「クラスター」と呼ばれる発生源集団を見つけ出し、その集団を隔離するということは、初期の初期であれば可能だったかもしれない。
だがその準備すらまともにできていなかったのでは?と今更ながらしている。
とにかく、対策が後手後手に回った結果、今のような状況を生み出してしまっている、といっても過言ではないと思う。
安倍さんに至っては、何も言うことは無い。
とにかくやることなすこと、的外れで「国民の心に響くことば」の一つも聞くことが無かった、ような気がしている。
「アベノマスク」は先週時点で4%しか配布されていない、ということだったが残り96%が、国民一人ひとりに届く日は一体いつのことになるのやら?
届いた頃には、不織布のマスクもドラッグストアーなどに並び、奪い合うように買うことも無くなっているかもしれない。
何より判明したことは、「国と国民の距離が遠い」という点だ。
遠いだけではない、安倍さんの発言も西村担当大臣の発言内容を聞いても「地方自治体に責任は丸投げするから、よろしくね~」という印象しか残らなかった。
ところが大阪の吉村知事のように、独自の判断基準を示すと、とたんに国から反発が出てしまう。
このような「政治劇」を毎日のように生活者は、見せられている。
今のような状況から「新型コロナ後」を考えると、生活者は「国に対して期待も関心も持たなくなる」のでは?という気がしてしまう。
反対に、「自分たちの街のリーダー」として信頼を集めることができる首長さんたちが、出てくる可能性が高い。
このような信頼ができる首長さんがいる自治体へと人が移ることも、出てくるかもしれない。
それは「自治体と生活者の信頼関係」というだけではなく、リモートワークやテレワークなどによって、「満員電車に揺られながら仕事に行く必要はある?」と疑問に感じた人が、信頼できる首長さんのいる自治体に移るかもしれない、ということだ。
それだけではなくリモートワークやテレワークによって、自宅でPCなどを使うことが増えたため、都市部では通信速度が極端に悪くなり、仕事の効率が上がらなかった、という方もいらっしゃったのではないだろうか?
元々人口が少なく高齢者世帯が多い地方では、通信速度がそれほど悪くなるということは無い。
実際、実家がある鳥取県・米子市に帰省し、PCをネット接続すると、名古屋にいるときよりも快適なことが多い。
確かに「求人」という点で考えれば、地方と都市部とでは差があり過ぎる。
求人だけではなく、最低賃金においても200円/時間くらいの差がある。
地方の最低賃金を引き上げられるように、都市部の生産機能を持たないリモートワークやテレワークが可能な職種に関して、積極的に地方Uターン、Iターンを行う、ということも起きてくるかもしれない。
いずれにしても、今回の「新型コロナウイルス」によって、政府の体たらくな指導力とリーダーシップを発揮する地方自治体の首長。
政府をあてにせず、市民が積極的に動くことで共助の精神があちらこちらで自然発生的に起きているなど、「新型コロナ後」の社会の芽が、出始めているような気がする。