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「コロナ禍」下で生まれるイノベーション

2020-05-20 20:02:57 | ビジネス

「新型コロナウイルス」感染拡大の為に、自粛指示によって次々と中止になっている「スポーツイベント」に新しい「観戦スタイル」を提案するかもしれない記事が、読売新聞のWEBサイトにあった。
それが、ヤマハが開発し先日実証実験を行った「リモート応援システム」だ。

ヤマハのプレスリリース:ご自宅でテレビやネット中継を見ながらスタジアムに声援を届ける新技術

このような実証実験がスムーズにできたのは、やはりJリーグのチームが地元にある、ということが大きいのだと思う。
ただ、この実証実験から得られるモノは、多いのではないだろうか?
何故なら、プロ、アマ問わず「無観客試合」という経験そのものが、なかったからだ。
この春無観客で行われた大相撲も、力士たちからは「見に来てくださるお客さんの声援が、大きな力になっていた」と、異口同音のように話をしていた。
それだけ、大相撲を含めスポーツには「選手を応援する歓声」が、試合を演出する大きな要素である、ということなのだと思う。

しかし、現実にはスポーツ観戦に行きたくてもいけないという人達は、たくさんいる。
リリースの中にあるように、病気やケガなどの身体的な理由の人たちもいれば、サッカーなどの代表戦のように試合会場が遠い為行きたくてもいけない、という時もある。
メジャーリーグや海外サッカーのファンにとっても、それは同じかもしれない。
身近なところでは、テレビ中継が少ないと言われる「パリーグ」のファンにとっても、嬉しいシステムかもしれない。
そのような「地理的距離」を縮めるという点においては、このような「リモート観戦システム」は、とても有効だろう。

ただ、リリースの中にある「音楽フェス」となると、ハードルが高そうだ。
それは、ステージ上のミュージシャンと一体になり、他の観客同じリアクション(?)などがあるため、「音楽フェス」に参加している実感が得られないのでは?という、気がしたのだ。
むしろ歌舞伎の「大向こう」のような声掛けなどがある舞台などには、向いているかもしれない。
アプリの内容によっては、海外のクラシックイベントを自宅で見ながら拍手をする、ということも可能なのかもしれない。
リモートで美術館の学芸員が、美術館内の作品を説明しながら、画像を見ている人からの質問に答えたりすることも、可能となるかもしれない。

もう一つ考える必要があるとすれば、それは「収益=マネタイズ」という点だろう。
youtubeなどで見られる「投げ銭」のような方法もあるだろうし、ゲームと同じように「課金」という方法もあるかもしれない。
視聴予約をする時に「観覧費」という課金の仕方もあるだろう。

そしてこのような「リモート観戦システム」は、「コロナ禍後」も社会の中でも、使われていくシステムのような気がする。
それは上述した通り「距離を縮める」システムだからだ。
「自粛」とか「3密」によって、人が集まることができなくなったことで、このようなイノベーションも生まれる。
イノベーションは「社会の問題は何だろう?」と、考えることから始まるのかもしれない。