日々是マーケティング

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デビアスが一時日本撤退、が意味すること

2017-07-26 17:06:06 | ビジネス

ファッション雑誌の中でも、プロと呼ばれる人たちを対象とした雑誌・WWDに、「デビアス」が一時的に日本を撤退する、という記事があった。
Yahoo!のトピックスでも取り上げられていたので、ご覧になられた方は多いと思う。
WWD:「デビアス」が日本における店舗戦略見直しで、一時撤退

「デビアス」の名前を聞くのは、随分久しぶりのような気がする。
と言っても「デビアスって何?」と思われる方も多いかもしれない。
南アフリカに本社を置く、世界中のダイアモンドの価格を決めている、と言っても過言ではないほどの世界中のダイアモンドの取引を一手に行っている企業だ。
今では一般的になった(?)「婚約指輪は、お給料の3か月分」というコピーも、デビアスが仕掛けたものだった。
バブル華やかかりしころ、女性雑誌にはデビアス絡みの広告が毎月掲載されていた。

今回の記事の内容は、「デビアスの直営店舗の日本撤退」ということなので、日本のジュエリー市場からダイアモンドが姿を消す、というわけではない。
デビアスにとって日本の市場が魅力的でなくなった、ということなのか?という、気がしている。
実際、ここ数年高価なアンティークダイアモンドや珍しいダイアモンドをオークションで次々と落札しているのは、中国の実業家だ。
それだけ中国の一部の人たちの中には「金余り状態」と、なっているのだろう。
実質的な中国経済の実態とは、もちろん別の話だ。
中国の一部の富裕層の人たちは、日本人富裕層とは桁違いの資産を持つようになってきている、ということなのだと思う。
デビアスの「店舗の日本一時撤退」も、そのような背景があるからだろう。

しかし、だからと言って日本の経済に影響があるのか?と言えば、余り影響はないと思っている。
何故なら、ダイアモンドという商品そのものが、日常生活と関係がある物ではないからだ。
まして、日本には世界中の高級宝飾店が集まっている。
何も「デビアスの店舗でなくては、ならない」という、こだわりを持っている生活者は、ほとんどいないと思うからだ。
宝飾品を購入する人の多くは、購入するブランドやデザインの良さで購入しているだろうし、デビアスは数多くあるブランドの一つでしかない。
まして、店舗展開としては欧州の高級宝飾店よりも随分遅れて、日本に進出している。

「資産価値」ではない、ジュエリーを身に付けて楽しむ文化が、バブル経済⇒バブル経済の崩壊⇒低成長の経済という経験の中で少しずつ生まれてきたように感じており、世界中の高級宝飾店が揃い、宝飾品の質だけではなくデザインなどに対しても、厳しい判断をするようになってきたのでは?と、感じているからだ。

「世界中のダイアモンドの取引を一手に行ってる企業の店舗の撤退」という点では、残念な気がするし、日本があまり魅力的な市場で無い、と判断されたことが残念だと感じている。



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1 コメント

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科学の進歩 (ラマン分光ファン)
2021-02-02 03:18:13
2017の日立金属技報に久保田邦親博士(工学)らの「自己潤滑性特殊鋼の境界潤滑機構」に端を発しているのでは?現在、博士はダイセルに移籍しており論文公開はされたものの相当な圧力があったのではと推察します。
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