昨日、Yahoo!のトピックスに「政府が終身雇用の見直しを検討」という趣旨の記事が取り上げられていた。
産経新聞:終身雇用など日本の”常識”見直しへ 骨太方針閣議決定
この見出しを見た時「今の日本企業のうち、終身雇用が守られている企業はどれほどあるのか?」という、疑問を持った。
ご存じの通り、日本はバブル経済崩壊を機に「リストラ」という名の、「首切り」が当たり前になってきている。
「リストラ」という名前が聞かれ始めた頃は、定年を間近にした年齢の中間管理職のような立場の人達が多かったように、記憶している。
企業内で業務内容の比較的影響が少なく、給与が高く労働組合などと関係のない人達が、対象とされていた、ということでもある。
もちろん、このような「リストラ」が社内で発表されると、「早期退職募集」ということになる為、企業の思惑通りとはならない部分もあったように思う。
逆にこの年齢層の方たちにとって、「あとわずかで勤め上げられるのに…。」という思いがあったり、逆に「リストラ敢行」により、将来有望な若手社員が、企業に見切りをつけ退職する、という場合も数多くあったからだ。
その後の「リストラ」となると、バブル期入社(=大量雇用世代)を対象としたりして、企業側が経費削減の為の積極的な「リストラ」が行われてきた。
おそらくこのような「リストラ」が当たり前になり始めた頃から、日本企業における「終身雇用」そのものは無くなっていたのではないだろうか?
それを改めて「日本の常識」としての「終身雇用」と、言われてもピンとこないし、「何を言っているのか?」という気になってしまう。
このようなことを「骨太方針」と政府が言ってしまう理由を考えると、政治家の多くが「終身雇用」という形態で職業についてきていない、ということがあるのでは?という気がしている。
と同時に、先日岸田首相が話した「働く人のリカレント教育」ということと関係しているのでは?という、気がしたのだ。
建て前として「働く人のリカレント教育(=新たな知識や技術を学ぶ)」による労働力の流動化」ということが、あるのでは?と、考えている。
確かに「新しい知識や技術、資格取得」によって、労働力の流動化はしやすくなるかもしれない。
ただ、その為には働く人達に「時間と費用・職場の理解」が必要となる。
既に大手企業では、毎年春になると「通信教育」のカタログが配布され、積極的な学び支援をしている。
興味のある人にとっては、費用の一部を企業側が負担してくれるので、学びやすい環境と言えば言えるのだが、このような制度を利用している人たちが、企業内でどれほどいるのか?という疑問がある。
それだけではなく、「勤務先が費用の一部を負担していながら、労働力の流動化と称して転職するなんて、モラルがおかしい」と、感じる方も少なからずいらっしゃるだろう。
元々、企業が進めている「通信教育」のほとんどが、現在の職務に近い内容を選ぶような勧められ方をしている。
「学びたいモノを学ぶ」為には、やはり自分で「時間とお金」を用意する必要がある、というのが感じ津なのではないだろうか?
それだけではなく「働く人の新たな学び」によって、本当に労働力の流動化」がしやすくなるのか?という点で、疑問を感じている。
上述したように、バブル経済崩壊後相次いだ「リストラの嵐」によって、ある程度「労働力の流動化」を生まなくてはいけないはずだった。
しかし現実は、そうではない。
早期退職をした後、アルバイトなどで生活を支えるような人達が増えたのだ。
しかも、家庭経済を中心となって支える人達の間でも、このようなアルバイト生活のような状況をつくり出してしまっている。
リストラになっても大丈夫な資格保有をしていれば、労働力の流動の波に乗れたのか?は、多いに疑問なところがある。
何故なら、「リストラ」を敢行する反面、「自社の企業文化にあった人財」を求める企業が、今でも多いからだ。
既に起きている「終身雇用の崩壊」という視点で「骨太方針」としての「終身雇用の見直し」をしないと、企業にとっては「リストラしやすい推し三月」となるだけで、日本経済そのものにプラスとなる影響とはならないのではないだろうか?
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