ロシアがウクライナに侵攻して、数日たったような気がしている。
そして日々報道される状況に、様々な思いをこの日本で持つようになってきている人たちがいる。
特に、女性は「何故、権力者になればなるほど。そしてその権力を持ち続ける期間が長ければ長いほど、このような無益なことをするのか?」という、疑問を持つ傾向があるようだ。
確かに、第二次世界大戦で戦争に駆り出され、従軍した女性たちの事を描いた本「戦争は女の顔をしていない」には、女性だからこその苦悩が描かれている。
そして皮肉なことに、この「戦争は女の顔をしていない」の著者アレクシーエヴィチは、旧ソ連邦出身のノーベル文学賞受賞者だ。
岩波書店:戦争は女の顔をしていない
ロシアというよりもプーチン氏がウクライナへ侵攻した理由については、以前エントリをさせていただいている。
乱暴だが、わかりやすく言うなら「俺の言うことが聞けないなら、殴ってやる」的な考えが、プーチン氏の中にあるということなのだ。
考えてみれば、プーチン氏がロシアの顔となってから、随分長い。
いわゆる長期政権を維持している。
その期間は約20年を超すはずだ。
そんなに長く政権を取っているのか?と、感じられる方もいらっしゃると思うのだが、実はこの20年余りロシアの政権の中心にいた人物は2人しかいない。
プーチン氏とプーチン氏の子飼い(といっては失礼かもしれないが)メドジェーベフ氏の2人だ。
プーチン氏とメドジェーベフ氏の2人が、交代を繰り返しながら大統領という座に収まっているのだ。
その意味で実質的な政治の中心にいるのは、プーチン氏一人ということになるのではないだろうか?
何故なら、後継者として互いに指名しあっているからだ。
日本のように首相が毎年のように変わることも問題だとは思うのだが、長期政権になればなるほどその権力は一人に集中しやすくなり、権力が集中した人物が強権を発動するようになる。
それは権力が集中することで、様々な特権を得られることになり、一度手にした特権を手放すことができなくなり、権力者は常に特権である自己益を失うことに疑心暗鬼となり、他者を信頼できなくなり、自分の都合の良い人たちが集まることで、政治は腐敗していく。
それは歴史を見てもわかる話だろう。
それだけではなく、プーチン氏はKGBという諜報機関出身ということもあり、より政治統制の意識が強いのでは、という指摘は過去されてきたように思う。
だからこそ、自分の意に反してNATOへの参加を表明したウクライナに対して、強権的な態度を示し、果ては武力を持ってでも自分の言うことに従わせたい、ということになるのではないだろうか?
そしてそれは、中国も似たようなところがあるようにも感じている。
ただ中国と違う点は、ロシアの人たちが「プーチンとは違う」ということを、様々な手段で発信しようとしている点だ。
勿論、政権側は言論統制を厳しくしていくだろうし、すでにそのような動きは出ているようだ。
讀賣新聞:ロシア国内でウクライナ侵攻への抗議、治安当局が1600人超拘束 プーチン政権が侵攻への反発封じ込め
このような情報が、全世界に発信されればされるほど、プーチン氏の国際的立場は弱くなっていくだろう、ということは想像することはできる。
しかし、一度手にした権力を手放すことができない権力者だからこそ、その力を見せつけようとし続けるのでは?という気がしている。
結果、プーチン氏の権力維持がウクライナやその周辺諸国の旧ソ連邦の同盟国に対しても、甚大な損失を与えるだけではなく、ロシアがはぐくんできた文化なども壊してしまっているのではないだろうか?
自分の権力を見せつけようとすればするほど、その国は荒れ果ててしまう、ということを権力者は知る必要があると思う。
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