米国のトランプ大統領の暴走が止まらない。
暴走と言ってよいのか?とは思う部分もあるのだが、「自国ファースト」の考えが前回よりもパワーアップしているような印象がある。
その顕著な例が「関税」だろう。
最初は、カナダとブラジルに対して関税を25%に引き上げる、と通告した。
この時の大義は、「不法移民の流入を止めること」という、内容だったと思う。
その後は、中国への関税があり、日本に対しても、関税を25%引き上げ、という発表をしている。
そして、今日EUに対しても同様の措置を取る、と発表した。
もはや「米国の輸入相手国は全て関税を引き上げる」と、言わんばかりの関税の税率引き上げだ。
確かに、名前の挙がった国々は米国への輸入額が少なくはない。
特に、日本やEUに関して関税の引き上げの背景には「自動車産業」との関係もあるのでは?と、想像することができる。
米国の自動車産業が、大きく発展しているという話は聞かないし、EV車の製造・販売をしている「テスラ」の株価が、今週大幅に下がっている。
Bloomberg:テスラの株価時価総額、1兆ドルの大台割り込むー欧州で販売急減
急減した理由として挙げられているのが、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏の政治的な活動だと、言われている。
もちろん、昨年だったか米北東部を襲った大寒波により、テスラをはじめとするEV車が、ことごとく使い物にならなかった、ということもあるのかもしれない。
そのテコ入れのようなつもりで、マスク氏がトランプ氏に近づいたということも考えられる。
しかしその結果として、自身が最高責任者となっているテスラの企業価値を下げているのだとすれば、本末転倒だろう。
その本末転倒な事態に対して、トランプ氏に泣きついた訳ではないとは思うのだが、あまりにもタイミングが良すぎる。
トランプ氏の掲げる「自国ファースト」は、本当に米国民にとって「ファースト」となる政策なのだろうか?
余りにも「自国ファースト」を謳い過ぎて、自国民に不利益を与えることになっているのでは?という気すらしてくるのだ。
もう一つの懸念材料となっているのが,対ロシア政策だ。
ロシアのウクライナ侵攻により、ロシアとの距離を取っていた米国だが、ここにきていきなりトランプ氏がロシアとの対話を始めようとしている。
和平に向けての話であれば良いと思うのだが、あまりにも唐突な印象があり、EU諸国や米国を頼りにしてきたウクライナ側からすれば「はしごを外された感」があるのでは?
しかも、ウクライナ側を窮地に陥れると同時に、レアアースの鉱物協定を結ぶということをしている。
Reuters 解説:ゼレンスキー氏が鉱物協定署名へ、トランプ氏が欲しがるウクライナのレアアースとは何か(字幕・26日)
ウクライナ側としては、これまでのようにロシアに対抗するためには米国の支援が必要だと考えたのだろうが、トランプ氏は鉱物資源は欲しいが、ウクライナを支援したいわけではない、ということのように思える。
昨年秋の大都稜線で、トランプ氏を選んだのは米国民なので、今後4年間で米国はどのようになっていくのか傍観するしかない。
ただ、フランスの歴史家・社会学者のエマニュエル・トッドは、「トランプ氏の敗北である」と、考えているようだ。
COURRiER: 「米国の衰退は止めれはしない」エマニュエル・トッドが予言「トランプの仕事はロシアに負けた米国の敗戦処理」
同様の内容が、朝日新聞のWebサイトにもあったので、お読みになられた方もいらっしゃるかもしれない。
とすると、既に世界の経済や政治の枠組みの再編が始まっている、と考えた方が良いのかもしれない。
その時には「自国ファースト」という考えがどこまで容認されるのか?という、コトのようにも思える。
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