日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

フィランソロキャピタリストが、生まれない日本

2015-12-24 21:17:13 | 徒然

しばらく前、Facebookのザッカ―バーグが、お子さんが生まれてコトを切っ掛けに自身が持っているFacebookの株の99%を、社会的投資に使うため慈善団体をつくり、そこへ譲渡するという話題があった。
たとえ1%の株を持っていたとしても、その額は5000億という資産はザッカ―バーグの手元に残る。
ただ、保有しているFacebookの株のほとんどを、慈善団体へ譲渡するというのは想像できないコトだった。
そのため、一部からは「節税対策」などの指摘もされた。
「節税対策」という指摘に対して、ザッカ―バーグも反論をしている。
日経新聞:ザッカ―バーグ氏が反論、「寄付は節税ではない」

同様の指摘をされてコトがある人物がいる。
マイクロソフトのビル・ゲイツである。
ビル・ゲイツもまたお子さんの誕生によって、「ビル&メリンダゲイツ財団」という財団を起こしている。
その時も、今回のザッカ―バーグと同様に「節税対策のための財団つくり」とも言われた。

彼らのように、自分で起業し短期間で企業を成長させ、膨大な価値を生み出してしまった場合、このような「慈善団体」や「財団」をつくるという傾向が、米国などではある。
指摘している通り「節税対策」という部分もあると思うが、慈善団体や財団としての活動を見てみると、決して「節税対策」だけではない、という気がしている。
実際、「ビル&メリンダゲイツ財団」が関わっているのは、アフリカに対する医療支援、特に感染症予防や対策であったり、子供に対する支援であったりする。
ビル・ゲイツ自身も、すでにマイクロソフトの経営から身を引き、財団運営を中心に活動をしているという。
朝日新聞「GLOBE」:ビルゲイツ インタビュー(インタビューはPART3まであり。またPART1下にはインタビュー動画もあり)
このような「社会に対して積極的に投資する人」のコトを、フィランソロキャピタリストというらしい。

日本はどうなのか?と考えると、ビル・ゲイツやザッカ―バーグのような起業家は見当たらない。
それだけではなく、日本の文化的素地として「フィランソロキャピタル」という考えが、ないのかもしれない。
もう一つは、今の日本ではこのようなグローバルに成長させる起業家がいない、ということのほうが大きいように思う。
日本の大企業の経営トップを見ても、いわゆる「社員→社長」という経歴の方が、ほとんどだからだ。
ただ、これから先日本の起業家にも「フィランソロキャピタル」のような、活動が求められるのではないだろうか?

例えば今問題となっている「子供の貧困」。
「子供の貧困」は、今の子供たちが成人して社会に出たとき、今よりも悪い状況になっていく可能性が高いと考えられる。
貧困が貧困を生む社会になってしまうと、企業が様々な市場を創っていこうとしても市場そのものが、生まれないということになりかねない。
子どもたちの貧困をなくすというのは、企業にとってもプラス面があるはずなのだ。
ビル・ゲイツやザッカ―バークのような個人財団ではなく、企業や業界団体が「フィランソロキャピタル」のような活動をする、というほうが日本的かもしれない。

今日はクリスマスイブ。
美味しいケーキと食事、そしてプレゼント・・・すべての子供たちが笑顔で過ごせることを願っている。