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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「新型コロナウイルス」を正しく「怖がる」ために、数字に強くなろう

2020-07-17 19:19:55 | アラカルト

今日も東京では「新型コロナウイルス」の感染者数が、290人を超えた。
今週に入り、感染者数の数字が増え続けている、という状況だ。
感染者数だけを見てみると、300人に迫ろうという数字は、衝撃的だし「第2波の到来か?!」と不安になるのは当然だろう。

しかし、「感染率」という点では、どうなのだろうか?
実は、東京都では「感染率」だけではなく、「新型コロナウイルス」に関する様々な情報を開示している。
東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト:都内の最新感染動向

モニタリング項目の4には、PCR検査数と感染者数から割り出した「感染者率」がグラフ化されている。
このグラフを見ると、今年のGW明けにPCR検査体制がやっと整い始めている、ということがわかる。
PCR検査体制が整うことで、感染者数も徐々に増え始めている。
その感染者数が急激に増え始めるのが、ご存じの通り7月に入ってからだ。
この時、PCR検査対象者に対して「感染率」が大きく変らなければ、「感染拡大の傾向とは言えない」ということになったはずだ。
ただし、感染者数は増加傾向にあるため、現在と同様に「生活の注意が必要」という、メッセージになる。

ところが、日本全国のデータとなると厚労省が発表するデータがとても分かりにくい。
厚労省:新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年7月17日)

厚労省の7月17日のデータから読み取れるのは、「全国の感染者率は、4.5%程度」である、ということ。
問題となっている「Go To Travelキャンペーン」等の政策については、過去・現在の推移をみながら検討すべきだと思うのだが、厚労省のデータからは、そのようなことを読み取ることができない。
残念なことに、データ分析という点では、東京都のデータのほうが分かりやすく、活動再開などの目安となる根拠が分かるデータといえるだろう。

そして参考になるのは、日経新聞がWEBサイトで公開しているデータかもしれない。
日経新聞:チャートで見る日本の感染状況

東京都ほど、まとまっているわけではないが「推移をみる」という点では、とても分かりやすい。
そして東京都と同じようにGW明け頃から、PCR検査数字が伸びていることから「全国的にPCR検査の体制が整い始めた」ということがわかる。
それだけではなく、「感染者・回復した人・死者の数」のグラフから、感染者数は増えてはいるが、感染者率は思ったほどではないのでは?という、印象が持てるグラフとなっている。
だからといって、「安心材料」となるデータではない、ということは言うまでもない。
何より、「感染者数が増加している東京」に関しては、「感染者率」も増えているのだ。
しかも、20代・30代の若い世代の増加が目立つだけではなく、「陽性者ではあるが、軽症あるいは無症状者である」という点を、注目する必要がある。
何故なら、これまで問題となっていた高齢者に比べ、20代・30代の若い世代は、行動範囲も広く活動的だからだ。
「軽症あるいは無症状であるがために、知らない間に多くの人を感染させている」ということが、これらのデータからわかる。
そのために「爆発的に感染者数が増え続けている」という、推測もできるはずだ。

「新型コロナウイルス」に限らず、多くの感染症を完全の撲滅させることは不可能だと言われている。
その中でも「新型コロナウイルス」を含む「風邪ウイルス」の種類は多く、又変化しやすいということも言われているようだ。
とすれば、「ウイルスと共存する」ことを前提に、様々なことを考えなくてはならない。
「感染者数」だけではなく、「感染者率」や「重篤患者・無症状者・軽症者、世代別」等を分析したデータを、読み解くことで「正しく怖がる」ことになるはずだ。

このようなデータの推移をみることで、「今どのような状況になっているのか?」ということを、大まかにつかむことができる。
「データをつくる」のは、コンピューターやAIが得意とするところだが、その「データから何を読み解くのか?」ということは、人の持つ「考える力」だ。
「正しく怖がるため」に、一番必要な力かもしれない。


「新型コロナ」対策、少し視点を変えてみよう

2020-07-16 19:19:14 | ビジネス

世間が「Go To  Travelキャンペーン」実施を懸念していたら、今日の東京の感染者数が過去最高になってしまった。
全国的に見ても、感染者数は過去最多になってしまった。
その数字を受けてだろうか?「Go To Travelキャンペーン」は、東京発着及び東京都民が除外されることになった。
讀賣新聞:「Go To トラベル」東京発着は補助対象外に・・・赤羽国交相

おそらく、多くの方は「判断が遅い!」とか「東京だけではなく、首都圏全てを対象とすべき」という、気持ちが強いのではないだろうか?
実際、東京に通勤している首都圏のビジネスパーソンは、とても多い。
東京だけの問題ではないし、何より「補助対象外」というキャンペーンの内容だけに言及したものだ。
「東京および首都圏の再自粛要請」ではない、という点がとても気になっている方は、多いはずだ。

そんな状況でも、おそらく「移動せざる得ない」という人達は、とても多いのではないだろうか?
実際、「県を超える移動の再開」により、出張をするビジネスパーソンが増えている。
そしてそのようなビジネスパーソンが、出張先で新たな感染者を出しているのでは?という、指摘があるのも事実だろう。
「Go To Travelキャンペーン」に関係なく、来月には「お盆」がある。
例年に比べ、移動する人達は少ないだろうが、やはり「お盆休みくらい帰省したい」という、気持ちの方も多いと思う。
実は、私もその一人だ。
「高齢の独居老人の様子を見に、お盆くらいは帰省したい・・・」という気持ちはとても強い。

このような状況の中で、「マスクをして移動する」ということに、「マスク熱中症」になりかけた私としては、辛いものがある。
今市中に出回っている、「抗ウイルス除菌剤」等をフル活用しても、それは「抗ウイルス除菌剤」によって、除菌(ウイルスの場合は不活性化させるということになるだろう)により「感染しないようにする目的」のものばかりだ。
このような「抗ウイルス除菌剤」を利用することも効果的だと思うのだが、「マスク以外の方法で人に感染させない」という商品は、今のところ見かけたことが無い。
例えば、この時期多くの人が利用している「制汗剤」や、「防水スプレー」のように衣類やカバンなどに吹きかける、というアイティムだ。
100%の効果が期待できなくても、90%以上の効果が期待できれば、「移動する人」も安心できると思うのだ。

現在、「抗ウイルス除菌剤」を製造しているメーカーさん、いかがでしょうか?


大人がしっかりとした態度を示さなかったら、子どもたちにどう説明することができるのだろう?

2020-07-15 12:43:27 | アラカルト

「今月22日から始める!」と、強気の政府の「Go To Travelキャンペーン」。
ここにきて、地方自治体の首長さんから猛反対を受けている。
青森県むつ市の市長さんは「Go To Travelキャンペーンは、新型コロナウイルスを拡大させる人災である」と、語気を強めて反対をしている。
朝日新聞:むつ市長、Go To に懸念 感染拡大すれば「人災に」

むつ市長さんだけではなく、山形県知事の吉村美栄子さんや今回の豪雨で甚大な被害を受けた熊本県知事の蒲島さんなど、政府が前のめりになって、やる気満々の「Go To Travelキャンペーン」に、疑問や反対の声を上げている。
このような状況になって、政府の中からも「責任のなすりつけ合い」のような、発言が次々と出てきている。
毎日新聞:西村担当相、Go To「国土交省が適切に判断」衆議院予算委

他にも、東京都知事の小池さんが、疑問を呈すると「東京の問題」と菅官房長官が、言い放ったりしている。
News Week Japan:Go Toキャンペーン「感染防止に注意し活用を」菅官房長官 小池都知事は『東京問題』発言をめぐり批判

挙句の果てに、対象となる事業者などは「感染拡大防止を義務付ける」発言を国交相が発言をしている。
NHK NEWS WEB:Go Toキャンペーン「参加事業者に感染対策義務付け」国交相

おそらく、参加事業者は「感染拡大防止策」等は徹底して行う予定でいるはずだ。
何故なら、「クラスターが発生」した場合、参加事業者は休業以上のダメージを受けるからだ。
何より衝撃的に驚いたのは、与党である公明党の山口代表が、「(新型コロナ感染拡大に対して)過度の対応をすべきではない」と、発言をしていることだ。
Sankei Biz:「Go Toをやめるのは過度の対応」公明・山口代表が認識

自治体の首長さんたちは、「自治体の長として、責任がある」という趣旨の発言をされているにもかかわらず、国側は誰一人として「このキャンペーン実施に当たり、責任ある対応を用意している」とは、発言をしていない。
していないどころか「新型コロナ」に関して、これまで「責任はある」という趣旨の発言はあっても「その責任は、どのような内容で、どのように対応するのか?」という、「責任の内容」については、誰一人説明していないように思うのだ。
むしろ、西村大臣が「国交省が適正に判断」とか、国交相のように「キャンペーンはやるから、後は事業者さんよろしく」という、相手に丸投げで「責任はとりません」的な無責任さを感じるのだ。

このような「責任ある立場」の人たちが、自身の仕事に対して「責任の取り方」という手本を見せることなく、「責任のなすりつけ合い」のようなことを国民、特に子どもたちに見せている、という意識はないのだろうか?
このようなことを見ている子どもたちは、「責任ある立場といっても、責任を取る必要は無いんだな」と、理解してしまうのでは?と、懸念するのだ。
何より「自己益」ばかりを優先する政治家の姿をみて、日本の将来に希望を持てなくなる子どもたちが、今よりも増えてしまうことに、不安を感じるのは私だけではないと思う。


トマ・ピケティの「21世紀の資本」と世界の富豪

2020-07-14 21:08:26 | ビジネス

Huffpostに、世界の富豪が「私たちに課税をして!」という訴えの署名をした書簡が、公開されたという記事があった。
Huffpost:富豪「私たちに課税して」新型コロナによる危機を乗り越えるため。ディズニー創業者一族などが署名

この署名に応じたのは、世界各地の富豪で構成されている組織(そのような組織があったことを初めて知った)「ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティー」の会員が、それぞれの政府に「私たちにもっと課税をするように」という、書簡に署名をした、ということのようだ。
NHKだけではなく、ブルームバーグなどが報じている、ということを考えると単なる「善意の売名(をする必要が無いほどの著名な一族だが)行為」ではないだろう。

そしてこの記事を読んだときに思い出したのが、2014年日本でもベストセラーになった、フランスの経済学者・トマ・ピケティが書いた「21世紀の資本」だった。
私は読んだことが無く、本の概要がP・コトラーの「資本主義に希望はある」の中に、トマ・ピケティの「21世紀の資本」の一部が引用されていたのだ。

ピケティの「21世紀の資本」を読まれた方(多くの方は、700ページを超えるボリュームに挫折されたのではないだろうか?)はご存じだと思うのだが、ピケティの本では新たな「資本論」を述べているわけではない。
膨大な過去の統計資料から、「資本とは何か?」等について論じている。

その膨大な統計から「富の継承」ということが、書かれているのだ。
世界の富豪と呼ばれる人たちの多くは、「自分で富を築いたわけではなく、先祖からの富みを引き継いでいる」という指摘だった。
この指摘から、コトラーは「このような富の継承者に、より多くの課税をすべきである」と、著書で述べていたのだ。
「累進課税(=所得が多い人に課税負担を重くする)」によって、国の税収を安定させるだけではなく、「富の再分配」を政府を通じて行う、という考えを提案していた(と記憶している)。
正に今回のディズニー創業家一族の提案は、コトラーが指摘した内容のことを指しているのだ。
事実、米国では第二次世界大戦中、このような「富を継承している一族」に対して、相当重い税負担を強いていたようだ。

4年ほど前に「62人の大富豪が、全世界の半分の富を持っている」と、話題になったことがあった。
この62人の中には、Microsoftのビル・ゲイツやAmazonのジェフ・ゾベス、Facebookのザッカ―バーグのように、自ら事業を立ち上げ、巨万の富を得た人物もいるが、多くは先祖から引き継いだ資産が、新たな資産を生み富豪となっているのだ。
逆に貧困層に生まれた人達は、その貧困から脱する為に努力をしても難しい、という指摘もある。
それは教育の問題であったり、人種的な差別によるものであったりする。

今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大により、重篤な状態あるいは死に至ってしまった人たちの多くは、この「貧困層」に多いという指摘が、米国ではされている。
医療費のほとんどが自費である米国では、「適切な医療を受ける」ということができない、という人達も数多く、元々「3密」状態で生活をしているので、一人感染してしまうとあっという間に拡がってしまうのだ。
「命の選別」といっては語弊があるが、経済格差によって命の選別が行われている、という現実があるということも「新型コロナウイルス」のような感染症の特徴だと、理解する必要があるだろう。

言い換えれば「新型コロナウイルス」の感染拡大の問題は、「経済の問題」でもあるのだ。
そのような社会的背景があることから、富豪たちの声明となったのだろう。
ただ美談として終わらせるのではなく、「富の継承」と同じように「貧困」もまた世代を超え続いていく、という問題は考えていく必要があるのではないだろうか?


「ポストコロナ」の生産者と生活者の関係

2020-07-13 19:27:27 | ビジネス

朝日新聞に「ポストコロナ」のあるビジネスのカタチになるのでは?という、記事があった。
朝日新聞:「食直しで世直し」訴え、生産者と消費者をつなぐ ポケットマルシェCEO 高橋博之 

「ポケットマルシェ」というサイトに気づいたのは、実はテレビの料理番組だった(ここでもTVerのお世話になっている・苦笑)。
番組の途中で「生産者の皆さまを応援しています」というMCが入り、この「ポケットマルシェ」の検索画面が出たからだ。
後で確認をすると、この料理番組で使う食材の一部をこの「ポケットマルシェ」から、調達していたことが分かった。

興味を持って「ポケットマルシェ」のサイトを確認すると、農・漁・畜産物の生産者が個人的に登録をし、直接消費者に届ける、というシステムのようだ。
そして朝日の記事を読んで、この「ポケットマルシェ」の代表を務める高橋さんが、「東日本大震災」で大打撃を受けた東北の農・漁・畜産の支援として始めた「東北食べる通信」の仕掛けをされた方だと知り、納得ができた。

随分前に拙ブログでも紹介をさせて頂いた「東北食べる通信」は、その後様々な地域の「食べる通信」を発行することになる。
ご存じの方もいらっしゃると思うのだが、この「東北食べる通信」は、「通信」という名にたがわず冊子がメインなのだが、オマケとしてついてくるのが、地域地域の農・漁・畜産だった。
もちろん、書店で販売しているわけではなく、ネットで「食べる通信」を購入すると、冊子で特集されていたオマケが送られてくる、という仕組みだったと記憶している。

日本の農・漁・畜産は、個人経営が多く、事業の安定化の為にあるのが、「農協・漁協」といった生産者の集まりの「協同組合」だ。
その「協同組合」が、震災などで機能しなくなってしまうと、生産できるが販売先が無くなりとたんに事業が継続できなくなってしまう、ということが起きてしまう。
他にも「農業法人」のように、生産量が多くない農家が集まり「法人化」しても、同様のことが起きるはずだ。
だからこそ「東北食べる通信」は、「生産者と消費者を直接つなぐ」ということで、この問題を解決しようとしたのだ。
「東北食べる通信」の発展型が、「ポケットマルシェ」ということになる。

特定の飲食店と契約をし生産者が直接販売をする、という方法は生産者にとっても飲食店にとっても、大きなメリットがある。
一つは、飲食店が希望する農作物を少量・多品種で作ってくれるだけではなく、市場に出にくい食材を調達することができる。
それが、飲食店側にとって大きな「ブランド力」にもつながる場合も多い。
有名なところでは、山形のイタリア料理店「アル・ケッチャーノ」だろうか?

そのような形態で、生産者と飲食店などが繋がっていたのが、崩れてしまったのが今回の「新型コロナウイルス」による感染拡大ということになるだろう。
既に「東北食べる通信」で、ある程度の顧客(=個人のファン)をつかんでいたことで、「ポケットマルシェ」へとスムーズに展開ができたのだろう。
そして今回の「新型コロナウイルス」により、このような「生産者と生活者を繋ぐ」という方法が、注目されるようになったのは、拙ブログに来てくださる方ならご存じの通りだ。

おそらくこのような「生産者と生活者を繋ぐビジネス」は、今後定着していくのではないか?と、考えている。
何故なら、以前から言われている「顔が見える」ということがある。
そして生産者のファンになった生活者は、定期的にその生産品を購入するだろうし、結果生産者側にとっては安定的な経営をすることにつながるからだ。

もう一つこのような「生産者と生活者がつながる」ことによって変わっていくのは、「食品ロス」等の問題を含むSDGsなどとの関わりにも繋がっていき、生活者の意識も大きく変る切っ掛けとなるのではないだろうか?
「農協」等の「協同組合」や、卸業者が無くなるとは思わない。
ただ日々の暮らしの中で「これだけは生産者から直接買いたい!」というモノを、「物」としてではなく「物にまつわる物語」として購入する生活者が、増えていくのではないか?と考えている。


「コロナ禍」のファッションは、「温故知新」

2020-07-12 16:21:41 | ビジネス

朝日新聞のWEBサイトを見ていたら、「コロナ禍」のファッションショーのアイディアは、70年余り前にあったのか?!という、記事があった。
朝日新聞:ディオールがミニチュア版ドレスで魅了 コロナ禍のパリ・オートクチュール

パリ・オートクチュールといえば、ファッションの世界でも最高峰といわれるほど高価で豪華なものだ。
かつて、欧州の貴族の当主が亡くなると、オートクチュールのメゾン(=店舗兼デザイナーの仕事場)が1、2件潰れると言われるほどだった。
それが欧州から石油産出国の王族となり、顧客の層も随分変わったと言われている。
今では、もっと客層が変わっているかもしれない。
ただ、どんな時代でも「オートクチュールの顧客」は世界中のどこかにいて、その顧客たちはメゾンから送られてくる「コレクションの招待状」を持って、オートクチュールのショーに出かけ、気に入ったデザインのナンバーをメゾン側に伝え、数回~10数回に及ぶ仮縫い、フィッティングを店舗で行い、やっと届けられるという、パリの店舗に何度も足を運べるだけの時間とお金が必要なシステムであることには、変わりない。

しかし、世界的に感染が拡大している「新型コロナウイルス」の前では、このようなオートクチュールのショーをすることができない。
そこで考えたのが、第2次世界大戦末期から戦後しばらく行った「オートクチュールを着たミニチュア」のツアーだ。
このような「ミニチュアによる、オートクチュールツアー」というモノがあった、ということは知らなかったが、今回はミニチュアをドールハウスに入れ、顧客のいる地域をめぐるのではなく、ネットで「LE MYTHE DIOR」という短編映画を配信したのだ。
Dior Autume-Winter 2020‐2021:LE MYTHE DIOR

何とも退廃的で幻惑な映像美を感じさせる、プロモーションビデオだ。
退廃的で幻惑さを感じさせる映像ではあるが、プロモーションビデオとしての役割もしっかり果たしている。
それはミニチュアに着せたドレスを、モデルたちが実際に着て見せているからだ。
ミニチュアでは分からない「人が着て動く」ことでわかる、服の魅力もしっかり伝えているのが、約70年前の「ドールハウスでのツアー」と、大きく違うところだろう。

もう一つ「LE MYTHE DIOR」を見てわかることは、オートクチュールの制作過程がわかることだろう。
お針子さんたちが、布の端から1本1本丁寧に糸を抜き、フリンジをつくるなどの細かい作業などは、オートクチュールが既製服とは全く違う物である、ということを感じさせるには十分だろう。
まして、昨今のファストファッションと同じ「ファッション」ではない、ということを改めて知ることができる。
朝日新聞の記事中にある写真などを見ることで、「オートクチュール」とは全く縁がない(私を含む)生活者にも、その繊細で細やかな部分まで見ることができる。

それだけではなく、今回のデザインを見てクリスチャン・ディオールが戦後初めて開いた時話題となった「ニュールック」を思わせるようなウエストを絞ったデザインが見られたことだ。
「原点回帰」なのか?それともディオールが生前「これからの女性」をもう一度訴えたかったのか?は、知る由もないのだが、オートクチュールに限らず2020年-2021年の秋冬のプレタポルテでも、このような「丁寧な服作り=ファッションの在り方」を見ることができた(特に、川久保玲さんや山本耀司さんのプレタポルテでは、テーラーメイドの手法と思われる服作りがされていたように思う)。

「消費するファッションからの脱却」を、もしかしたらディオールはこの「LE MYTHE DIOR」で言いたかったのかもしれない・・・と感じている。


「どこに向いて、仕事をしているのだろう?」と、感じる政治家たち

2020-07-11 09:46:09 | 徒然

「新型コロナ対策」として、政府が打ち出し相当額の予算を使って行う予定の「Go To Travelキャンペーン」が、当初予定の8月から7月22日へと繰り上げられた。
「夏休みのスタートに合わせた」ということのようだが、今年は突然始まった春休みに始まり5月いっぱいまで「自粛の為の休校」を実施していた公立学校も多く、来年の3月までに予定されている授業内容が終了するのか?分からない為、夏休み期間を短くし、授業に充てる小中校も多いと聞く。
学校関係者としては、「夏休み返上で授業をする」ということを、考えているということだろう。
それくらい長い長い2カ月だっただろうし、すべての学校で「on-line授業」が、できたわけではないはずだ。
授業の遅れを取り戻す、という意味での夏休みの短縮という考えは、当然といえば当然だろう。

と考えると、7月22日から夏休みに入る学校そのものは、限られているのではないだろうか?
この「Go To Travel キャンペーン」は、今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大によって、休業を余儀なくされた旅館や旅行代理店を支援するための、観光業向けのキャンペーンだ。
このキャンペーンの指揮(?)を取る、国土交通省の赤羽大臣は「業界からの強い要望があり、キャンペーンの始まりを早めた」と、言っている。
朝日新聞:「コロナばらまき」?政府のGo To前倒しに疑問の声

大打撃を受けた観光業界としては、「Go To Travelキャンペーン」は、ありがたい企画だと思う。
観光業界の後押しを、政府がしてくれるのだから。
しかし、昨日1日で「新型コロナウイルス」の感染者が、全国で400人を超えている。
東京に至っては、過去最多の感染者数となっている。
毎日新聞:全国で新たに429人感染、計2万1854人に 2カ月半ぶりに400人超え

毎日新聞の見出しにあるように、昨日の感染者は3月に一時的に小中高校に要請していた、休校要請を解除した直後、花見などでごった返した時に感染拡大したのでは?と、想像される時期に感染した人達の人数と同じくらいの数字だったと、考えられる。
とすれば、昨日の数字は「自粛要請が解除」された頃に、移動した人達から拡大した感染者数だともいえるのではないだろうか?
とすれば、「観光業界からの強い要望」として「Go To Travelキャンペーン」を実施すれば、これまで感染者を出さないようにしていた地域にも観光客が訪れ、新たな感染者を出す可能性が高い。

それだけではなく、今も続く九州を中心とした大雨による災害は、日に日に地域を拡大しながら甚大な状況になりつつある。
特に熊本は酷く、温泉地などの旅館などは、営業できる状態ではない。
「新型コロナウイルス」による感染拡大も心配だが、今回の大雨による災害もまた、多くの人に「観光する気分になれない」という、社会的雰囲気を創っているような気がするのだ。

今の政府の考えは「国民の生活・暮らし」よりも、いわゆる「業界団体」に向いているような気がする。
「Go To Travelキャンペーン」を含む「Go Toキャンペーン」は、急いで実施する必要があるのだろうか?
少なくとも、今実施するキャンペーンなのか、大いに疑問なのだ。
今のような生活者が感じている不安や心配に寄り添うことなく、業界団体の利益を後押しするというのは、政府の政策として本末転倒のような気がする。


テレビドラマも視点を変えると、ビジネスのテキストになる?!

2020-07-09 19:57:35 | 仕事のコツ

日経新聞のWEBサイトに、東大大学院の学生が起業し、AIなどの分野で注目されている「グノシー」に続けという、記事があった。
日経新聞:グノシーに続け 東大「松尾研」に集う起業家の卵 (会員有料記事)

この記事は、連載記事なので内容を把握する為には、「東大スタートアップ」を読むと良いと思うのだが、この記事のタイトルを見ながら、ある種の違和感を感じている。
その理由は、「人はAIだけでは、理解できない部分を数多く持っているのでは?」ということだ。
「新型コロナウイルス」の感染拡大の為に、撮影が中断しやっと放送が始まった、TBSの「私の家政夫ナギサさん」を見ていた時に感じた「人の心に訴える」ということの大切さだ。

見逃し配信サイトTverで見ることができるので、見逃した方は一度チェックをして欲しいのだが、放送50分頃から始まる、クライアントである開業医と主人公の女性との会話だ。
ライバル会社の製薬会社との取引が決まりかけているのを覆そうと、必死になって自社のアレルギー薬(?)のセールスポイントを説明しようとする、主人公。
それに対して、クライアントである開業医は「お薬の効果という点では、ライバル社と大きな差はない」と、言い切ってしまう。
続いて「何故、ライバル会社に決めたのか」という説明を始めるのだ。
そこで語られるのは、「B2B」ビジネスで陥りがちな問題点と、「セールスポイントとベネフィティングポイント」の違いだ。

まず「B2B」ビジネスで陥りがちな問題点、というのは「B2B」ビジネスでは、顧客となるのは「企業」だ。
だが「顧客である企業」にとっての利益だけを考えても、「顧客である企業」の利益にはなっていない、ということが間々として起きる。
大切なのは「B2B」の先にある「B2B2C」の「2C」、すなわち、「顧客である企業の先にいる生活者の利益」を、どのようにとらえるのか?ということなのだ。

もう一つ、主人公がクライアント獲得のために行っていたことは「自社のセールスポイント」を訴えることだった。
今でも日本の企業の多くが、この「セールスポイント」を強調することが、実際の顧客メリットに繋がっている、と考える傾向があるように感じることが多いのだが、大切なことは「本当の顧客メリット=ベネフィティングポイント」を探し、提案することなのだ。
この「本当の顧客メリット=ベネフィティングポイント」を探す為には、AIのような情報の分析だけでは難しいのでは?と、考えている。
何故なら「人を動かす力」は、少なからず「こころの動き」がある、と考えているからだ。

上述したグノシーのようなAIを活用することで、情報の分析は早く簡単に行うことができるようになると思う。
だが、情報の分析だけでは「(人の)こころの動き」までは、分析することは難しいように考えている。
だからこそ「AI時代に必要なこと」の一つは「人のこころの動き」に寄り添う力であり、それは人にしかできないことなのでは?と、考えるのだ。

元々このドラマは「ラブコメ」と呼ばれるカテゴリーのドラマなので、わずか1,2分しかないこの場面に気を留める視聴者はさほど多くはないかもしれない。
だが、「ラブコメ」と思い込まずに、視点を変えてみることで、テレビドラマも「ビジネスのテキスト」になるのでは?という気がしている。



今「Go Toキャンペーン」を推し進める時期なのだろうか?

2020-07-08 20:06:37 | アラカルト

先週から、東京を中心に首都圏では「新型コロナウイルス」の感染者数が、増加傾向にある。
多くは、夜の歓楽街で仕事をされている方々のようだが、感染者の多くが20代~40代とこれまでの感染者よりも若い世代であるため、一つの懸念がある。
それは「行動範囲の広さ」だ。

これまでのように、老人介護施設のような元々「集団で生活をする高齢者」が、中心であれば「単純な行動制限(家族が施設に行かない等)」で対応することができた。
しかし20代~40代ということになると、ごくごく普通にコンビニに行ったり、電車などの公共交通機関で移動したりすることができる。
「行動範囲が広い=拡散力も大きい」と、考える必要があるだろう。
実際、首都圏の感染者の内何人かは、東京に出かけて感染している、という報告もある。

そのような状況を懸念して、東京都知事の小池さんは「東京から出ない・来ない」という「移動自粛」を要請している。
しかし、国はそう考えていないようだ。
朝日新聞:都の移動自粛要請、菅官房長官は「必要ない」 また食い違い

「また食い違い」とあるのは、菅さんの前に西村経済再生担当大臣が「県間移動は、これまで通り自由」と、発言をしているからだ。
毎日新聞:小池知事と対立再燃?県間移動、西村大臣「これまで通り自由」

ただ、諸外国の感染拡大対策などを見ても、感染が拡がりつつある状況では「移動の自粛」が最優先策とされてきた。
にもかかわらず、前のめりで「これまで通り自由」と政府が言ってしまうのには、多くの人が感じている「Go Toキャンペーン」があるからだろう。

確かに「新型コロナ」で、旅行業は大打撃を受けた。
旅行代理店の最大手であるJTBは、冬のボーナス支給を見送ると、労使の間で合意をしている。
日経新聞:新型コロナJTB、冬のボーナスゼロに 社員1万3000人対象

これ以上、「人の移動が制限される」と旅行業をはじめ様々な業界にダメージを受ける、という判断での発言なのだと思う。
思うのだが、「旅行に行く・行かない」を決めるのは、生活者自身だ。
来月はお盆休みがあり、帰省や家族旅行の為に県間移動をしたい人達は、多いだろう。
実際、私もお盆休みには何とか帰省したい、と考えている。
だが、今のような状況が続くと、お盆休みは我慢して、冬休みまで待とう!という人が出てきてもおかしくはない。
政府が思っているほど、生活者の多くは「新型コロナウイルス」に対して、「どうすれば、1日も早く終息するのか?」と、考えているように感じている。

とすれば、より生活者が安心できるように「県間移動」の基準のようなモノを政府側も考え発表したほうが、良いのではないだろうか?
既に国内外の感染拡大の要因や事例が、報告されているのだ。
それらを基に「県間移動の条件」を自治体ごとで対応できるようにすることの方が、「県間移動の自由」が確保されると思うのだ。

「これまで通り自由です」といってしまうことで、不安に感じる人は多く、「判断基準となるモノを示してくれれば、安心できる」と思っている人のほうが、多いのでは?
「東京や首都圏は、県間移動の自粛」であっても、「新規感染者が2週間以上出ていない地域間での移動は自由」といった目安となる具体的な指針だ。
「Go Toキャンペーン」に前のめりになる前に、分かりやすい指針を出すことによって「Go Toキャンペーン」による、国の政策が上手く稼働すると思うのだ。


東京都知事を決めるは、東京都民だが・・・

2020-07-06 11:19:45 | 徒然

昨日、東京都知事選があった。
結果は、現職の小池百合子さんが、圧倒的な得票数を得たようだ。
日経新聞:小池氏が都知事再選 コロナ下の選挙戦、圧勝366万票 (動画あり)

都知事選としては2位の圧勝得票数だったようだが、候補者が多数(22名立候補していたようだ)であったとしても、得票が分散することなく圧勝したことは、凄いと言える。
だが、小池さんの当確を受け、ビジネス誌のPRESIDETのオンラインには、辛辣ともいえる記事が掲載されている。
PRESIDENT on-line:いかさま王をまたも選んだ東京都民の罪・・・あまりにも残酷な僕たちの民主主義

「残酷な(僕たちの)民主主義」という表現をしているのは、おそらく「(投票率が低い)得票数」という多数決が、本当の「民主主義なのか?」という、問いかけなのだろう。
もちろん、市民や国民が知らないところでモノゴトが決まる政治が、良いわけではない。
このような政治は「独裁政治」と呼ばれ、一部の人たちに権力が集中し、市民の生活や経済の活動の自由が奪われるからだ。
その意味で「選挙制度」は、市民の考えを反映した人が政治に携わることができる唯一の方法、といってよいと思うし、市民の考えを反映した政治が行える=民主主義ということになるはずだ。

しかし、投票率が低い(今回は、前回より4.73ポイント下がり、55%だったようだ)と特定の考えの人たちが組織的に投票したり、「有名な人だから」という投票結果が、選挙結果に反映されてしまう為に「独裁政治」のような傾向を生みやすい、ということになる。
おそらく、この記事が言いたいことの一つは「本当に、東京都民が都政を考えた選挙結果なのか?」ということなのだと思う。

そして記事の内容は、小池百合子さん自身の政治手法に言及している。
「対立構造」をつくることで、「○か✖か」を問う「単純で考えない政治」をつくる政治手法だ、と指摘をしている。
記事の中では、米国のトランプ氏などの名前が挙がっているが、実は日本の政治もこのような傾向があるのでは?という気がしている。
「○か✖か」という政治を単純化することで、市民・国民の思考を停止させ「民主主義の中の独裁政治」のような構造をつくることができるからだ。
結果、世界の各地で起きている「格差社会」と「全体主義的」な社会思考が起きている。
これらは決して「自国ファースト」という考えではなく、「政治家ファースト」でしかない。

とはいうものの、東京都知事を選んだのは、東京都民だ。
東京都以外に住んでいる人たちには、関わることが無いし、文句の言いようがない。
それだけではなく、今回の都知事選で小池さんを支持したのが、女性が多かったという事実も忘れてはいけないだろう。
投票をした女性の多くは、小池さんになにかしら共感性を持ち、小池さんに期待したということだからだ。
その事実も考える必要があると思う。
もちろん、多くの女性は「対立構造」をつくることを望んでいないだろうし、その「対立構造」によって生まれる「格差社会」等は望でいないはずだ。

「投票率が低ければ低いほど、このような選挙結果を生みやすい」ということは当然だが、選挙そのものが「自分たちの未来をつくる唯一の方法」という認識がされていない、ということが大きいのではないだろうか?
「選挙に行き、自分たちの未来をつくることは、カッコいい!」という、社会的雰囲気を創ることが重要なのかもしれない。