今日も東京では「新型コロナウイルス」の感染者数が、290人を超えた。
今週に入り、感染者数の数字が増え続けている、という状況だ。
感染者数だけを見てみると、300人に迫ろうという数字は、衝撃的だし「第2波の到来か?!」と不安になるのは当然だろう。
しかし、「感染率」という点では、どうなのだろうか?
実は、東京都では「感染率」だけではなく、「新型コロナウイルス」に関する様々な情報を開示している。
東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト:都内の最新感染動向
モニタリング項目の4には、PCR検査数と感染者数から割り出した「感染者率」がグラフ化されている。
このグラフを見ると、今年のGW明けにPCR検査体制がやっと整い始めている、ということがわかる。
PCR検査体制が整うことで、感染者数も徐々に増え始めている。
その感染者数が急激に増え始めるのが、ご存じの通り7月に入ってからだ。
この時、PCR検査対象者に対して「感染率」が大きく変らなければ、「感染拡大の傾向とは言えない」ということになったはずだ。
ただし、感染者数は増加傾向にあるため、現在と同様に「生活の注意が必要」という、メッセージになる。
ところが、日本全国のデータとなると厚労省が発表するデータがとても分かりにくい。
厚労省:新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年7月17日)
厚労省の7月17日のデータから読み取れるのは、「全国の感染者率は、4.5%程度」である、ということ。
問題となっている「Go To Travelキャンペーン」等の政策については、過去・現在の推移をみながら検討すべきだと思うのだが、厚労省のデータからは、そのようなことを読み取ることができない。
残念なことに、データ分析という点では、東京都のデータのほうが分かりやすく、活動再開などの目安となる根拠が分かるデータといえるだろう。
そして参考になるのは、日経新聞がWEBサイトで公開しているデータかもしれない。
日経新聞:チャートで見る日本の感染状況
東京都ほど、まとまっているわけではないが「推移をみる」という点では、とても分かりやすい。
そして東京都と同じようにGW明け頃から、PCR検査数字が伸びていることから「全国的にPCR検査の体制が整い始めた」ということがわかる。
それだけではなく、「感染者・回復した人・死者の数」のグラフから、感染者数は増えてはいるが、感染者率は思ったほどではないのでは?という、印象が持てるグラフとなっている。
だからといって、「安心材料」となるデータではない、ということは言うまでもない。
何より、「感染者数が増加している東京」に関しては、「感染者率」も増えているのだ。
しかも、20代・30代の若い世代の増加が目立つだけではなく、「陽性者ではあるが、軽症あるいは無症状者である」という点を、注目する必要がある。
何故なら、これまで問題となっていた高齢者に比べ、20代・30代の若い世代は、行動範囲も広く活動的だからだ。
「軽症あるいは無症状であるがために、知らない間に多くの人を感染させている」ということが、これらのデータからわかる。
そのために「爆発的に感染者数が増え続けている」という、推測もできるはずだ。
「新型コロナウイルス」に限らず、多くの感染症を完全の撲滅させることは不可能だと言われている。
その中でも「新型コロナウイルス」を含む「風邪ウイルス」の種類は多く、又変化しやすいということも言われているようだ。
とすれば、「ウイルスと共存する」ことを前提に、様々なことを考えなくてはならない。
「感染者数」だけではなく、「感染者率」や「重篤患者・無症状者・軽症者、世代別」等を分析したデータを、読み解くことで「正しく怖がる」ことになるはずだ。
このようなデータの推移をみることで、「今どのような状況になっているのか?」ということを、大まかにつかむことができる。
「データをつくる」のは、コンピューターやAIが得意とするところだが、その「データから何を読み解くのか?」ということは、人の持つ「考える力」だ。
「正しく怖がるため」に、一番必要な力かもしれない。