梅雨のこの時期は、『ゼフィルス』と呼ばれる蝶たちに出会える季節です。
梅雨の合間の晴れた日に、隣町のゼフポイントへ行ってきました。
本日とっておきの一枚は、
ブルーの翅が眩しく輝く、ジョウザンミドリシジミです♪
きれいな蝶でしょう・・・
この「ジョウザンミドリシジミ」はゼフィルスの仲間です。
久し振りなので、ここでゼフィルスについてのお勉強を少し・・・
蝶の中には、『ゼフィルス(風の精)』と呼ばれる仲間がいます。
ゼフィルスと呼ばれる蝶は、
♂の翅が金緑色~銀青色に輝くミドリシジミ類など、
日本には25種類いるのだそうですよ。
林の中で生息している「樹上性のゼフィルス」は、年に一度、
梅雨時期にだけに現れて、その美しい姿を見せてくれるという、
『限られた場所で、限られた時期の、限られた時間帯』
にしか見ることのできない、とっても魅力的な蝶たちなのです。
なんと今年は、二度もゼフポイントに行くことができました。
安曇野市の花屋さんへ園芸用の土を買いに行くという旦那さんに、
「遠回りになるけど、山越えして安曇野市まで行こうよ!」…と、6月29日に乗用車で。
東山の麓にある大町リサイクルパークに行くという旦那さんに、
「そこまで行くんだったら、東山の上まで行きたいなぁ~」…と、7月2日に軽トラで。
隣町のお山には、以前教えていただいたゼフのポイントが2ヶ所あって、
「オオミドリシジミ」の生息ポイントと、そこから車で数分移動して、
「ジョウザンミドリシジミ」の生息ポイントがあります。
ほんの限られた範囲でしか見ることができないゼフの仲間なので、
生息場所を知らなければ出会うことができないという、かなりレアな蝶たちです。
それでは、二日間で出会ったゼフィルス3種をご覧いただきましょう。
(2種は自分で撮影した写真で、1種は旦那さんが撮った写真を拝借です…)
まずは、「ジョウザンミドリシジミ」の生息ポイントにて・・・
樹上にいるゼフは、朝(夕方も)の時間帯になると低木の葉に舞い降りてきます。
コンデジ撮影なのでその時だけが撮影タイミング、それを逃せばもう撮れません。
低木に舞い降りてくる時間帯は、ほぼ決まってはいるけれど、
その日の天気や気温によって違うから、撮影タイミングが非常に難しい!
ゼフを撮りにやってくる人は、大きな望遠レンズを付けた高級カメラなので、
高い樹上周辺を舞う姿も撮影してますが、コンデジではかなり無謀なゼフ撮りです。
《6月29日、薄曇りの日の撮影》
1頭のジョウザンミドリシジミが、車道脇の低木や草の葉に舞い降りた。
なんと、目の前のフキの葉に止まった!
これが記念すべき今年の初撮り、ジョウザンミドリシジミです♪
じっとしてるから、忍び寄って接写でもう一枚いただき~♪
「ゼフのの♂って、きれいな青い翅じゃあなかったの?」
「トップ写真と違う種類でしょう!」…と、そんな声が聞こえてきそうですが、
実は、♂ゼフはカメラを向ける角度によって翅色が変化するのです・・・
では、イタドリの葉に止まった写真で、翅色の変化をご覧ください。
とりあえず舞わないうちにと、上から撮った♪
近付いて、角度を少し変えて撮ってみた♪
もうちょっとだけ、カメラ角度を変えて撮ってみた♪
ね、ちょこっとカメラを向ける角度を変えることによって、
こんなにも翅色が違うのですよ!
「ゼフは正面から撮れば、ブルーがきれいに出るんだよ…」
と、以前隣で撮影していた蝶屋さんらしき方から教えていただきました。
それはわかっているけれど・・・
この場所は車道沿いの土手で傾斜地。止まる時はいっつもお尻を向けてしまいます。
太陽の位置によって、ゼフは止まる向きを変えるのだそうだけど、
時間帯が悪かったようで、なかなかこっちを向いては止まらない!
散々待って、ようやく1回だけこっちを向いて止まったぁ~♪
…ならばズームで! やっと美しいブルーが撮れましたぁ~♪
最後は他のフキで、触れるほどに近付いての接写です♪
ね、これが同一個体なんて、とても思えないでしょう!
でもこの日に現れたのは1頭だけで、目の前で舞っていたから間違いなく同一個体です。
(しつこく言わなくても、すでにイタドリで検証済みですけどね…)
次は、真っ正面からの撮影にチャレンジだ!
《7月2日、晴れた日の撮影》
前回と同じ場所で、やはりフキの葉にきてくれました。
でも晴れたこの日は、止まってもなかなか翅を開きません。
翅を閉じたままの、ジョウザンミドリシジミ♂です♪
他の葉に舞い移って、チラッとだけ翅を開いた瞬間♪
またフキの葉に止まったけど、翅は開かない♪
「ちょっとだけよ…」と、またチラリとブルーを見せるだけ♪
結局この日は、ずっとこんな状態でした。わたしはもう根負けです!
炎天下で翅を開くと、太陽光で体温が上がり過ぎるからのようなので、
この場所でのゼフ撮りは、薄日くらいがちょうどいいみたいですね。
開翅姿も閉翅姿も撮らせてもらえたのだから、
今年はこれで よし としましょう・・
ジョウザンミドリシジミは、北海道旅行で定山渓温泉に行った時から、
ず~っと会いたいと思っていた蝶でした・・・
この蝶は、日本で初めて定山渓(じょうざんけい)で発見された蝶だそうで、
ゆえにその名も、ジョウザンミドリシジミです。
宿泊した宿の館内では、シンボルマークのこの蝶があちこちで舞っていました。
(館内を本物の蝶が舞っているわけではありません、念のため…)
浴衣にまで舞っていてビックリ~! わたしの浴衣姿、
いえ、蝶が描かれている館内の様子などは《こちら》です。
次は、「オオミドリシジミ」の生息ポイントにて・・・
初日にはオオミドリシジミに出会うことができませんでしたが、
二度目の7月2日にはかなりの頭数が舞って、ブルーがチラチラ光ります。
舞う時間帯は天気や気温だけではなく、蝶の種類によっても違うのだそうですよ。
オオミドリが舞わなくなった頃から、ジョウザンが舞い始めるらしい・・・
ゼフの仲間は、その生態を知らなければなかなか出会うことができず、
出会いのタイミングが本当に難しいです!
(この時は複数頭が舞っていたので、写真は同一個体ではありませんが…)
オオミドリシジミ第1号発見~♪
こっちにも舞い降りた♪
遠くの枝でもブルーが光る♪
こちらはオオミドリシジミ♂の同一個体です。
後方からの撮影なので、ブルーはほとんど出てませんが・・・
ワン♪
ツー♪
スリー♪
オオミドリシジミのポインで、もう1種類のゼフとの出会い・・・
(ちょっと勘違いして文章を作ったものだから、一度アップした後に作成し直しました…)
ここで出会ったのは「ミズイロオナガシジミ」の、なんと 開翅姿 のお披露目!
このミズイロオナガシジミは低地性のゼフなので、我が家周辺の林道でも出会っている蝶です。
以前にこのゼフポイントでも出会っているけれど、閉翅姿しか見せてはくれず、
翅を開いたのを見たのは今回が初めてです!
しかし、残念ながらわたしはこの瞬間を撮影できなかったので、
旦那さんが撮影した写真を借りました。
こちらが、ミズイロオナガシジミです♪
そしてこちら、開翅姿です! 翅を開くとこ~んな色♪
ミズイロオナガシジミは、♂♀がほぼ同じ色なので区別が付かないけれど、
たぶんこれは♂だと思います。 違うかなぁ? やっぱりわからない!
他のゼフと違って、♂も翅表は濃灰一色でブルーには光らない蝶です。
(♂ゼフの中にも、茶褐色や黒褐色の地味な色合いのものもいるのですね…)
このミズイロオナガシジミは、蝶撮りはあまり慣れてない旦那さんの撮影です。
その上手持ちのコンデジは娘のお舅さんのお下がりで、骨董品級。
画像は少々難ありですが、それでもこの2枚の写真はわたしにとって、
いや、この記事にとっては貴重な写真ですから、ありがた〜く拝借しました。
26日は岐阜ナンバーの車の方と、そして2日には名古屋ナンバーの車の方と、
それぞれ遠方からのゼフ撮りの方々とお話しをさせていただいたのですが、
蝶屋でもないわたしが、ゼフポイントの近くに住んでいるなんて、
県外から来られる方々には本当に申し訳なく思ってしまいます・・・
コヒョウモンモドキとゼフの生息地までは、東の山に向かって30分、
オオルリシジミの場所へは、南に向かって30分、
ギフチョウやヒメギフチョウの生息地へは、北に向かって30分、
アサギマダラの有名な飛来地は、北に向かって20分、
クモマツマキチョウの生息地には、北に向かって30分、
クロツバメシジミやミヤマシジミの生息場所へは、わずか7、8分程。
ヒメシジミの場所へは、徒歩で数分・・・
その気になれば、毎日でも通えるそれぞれの場所ですが、
でも、車の運転ができなくなってしまった今は、
家族に頼らなければ行くことのできない「遠い場所」になってしまいました。
最後に、ゼフポイントで出会った蝶たちです・・・
毎年ここで「コヒョウモンモドキ」に出会うのも、楽しみのひとつです。
コヒョウモンモドキは、
長野県版:準絶滅危惧種
環境省版:絶滅危惧II類 だそうです。
今年も出合った、コヒョウモンモドキ♪
こちらは、イチモンジチョウです♪
今日の、お・ま・け・・・
オマケは、真っ赤な妖精『ハッチョウトンボ』の登場です。
…と言っても、1頭のワンシーンだけで、しかも証拠写真程度ですが・・・
車の中で突然「ハッチョウトンボを見に行く?」と旦那さんからのお誘いで、
ゼフ撮りの帰りに横道へ入ってもらって、車を走らせること数分。
「唐花見(からけみ)湿原」を散策してきました。
唐花見湿原はハッチョウトンボの生息地なのですが、
この湿原にハッチョウトンボを見に行くのは、なんと7年振りになります。
唐花見湿原は、標高945mにある湿原です。
緑の木立の林を抜けて…♪
湿原へと入って行きます♪
ここは、広い木道が整備されている湿原です♪
ハッチョウトンボがいそうな水溜りを探すのだけど、なかなか見つからない!
水溜りがたまにあっても、ハッチョウトンボがいな~い!
前回来た時には水溜りがあちこちにあって、トンボも結構たくさんいたのに・・・
ようやく1匹だけ見つかりました!
遠くに、赤い妖精ハッチョウトンボ♂です♪
ピントが合わないままだけど、ズームでもう一枚♪
真っ赤な色をしているのは♂だけで、♀は地味な色です・・・
ハッチョウトンボは1円玉と同じくらいの大きさで、
日本一小さなトンボです。
以前この湿原で『1円玉』との大きさ比べをした時の記事は、《こちら》です。
その記事(↑)には、今回よりはまだ少しマシなハッチョウトンボの写真があります♪
木道を歩いて行くと溜池のような場所があり、
池の上に張り出した木の枝に、「モリアオガエルの卵」がぶら下がっていました。
モリアオガエルは、長野県などでは準絶滅危惧種に指定されているのだそうです。
ここでは数ヶ所で見られましたよ。
こちら、モリアオガエルの卵です♪
この湿原で出会った蝶は2種だけでした・・・
テングチョウと…♪
そして、メスグロヒョウモンの♀です♪
今の時期、お花はほとんど咲いていなかったけれど、
たくさん生えているミヤマウメモドキが、小さな白い花を咲かせていました。
小さくてわかりづらいけど、ミヤマウメモドキの花♪
木道沿いの両側に、ずらりと並んでたくさん生えています♪
ミヤマウメモドキの群生は、本州の日本海側でしか見ることのできない貴重な植物だそうで、
この湿原は、「ミヤマウメモドキが真っ赤な実を付ける頃」が一番のおすすめだそうです。
ゼフ撮りと湿原散策、久し振りに楽しいお出かけでした・・・