一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・藤田麻衣子女流1級⑥

2009-11-05 00:17:44 | LPSA金曜サロン
10月16日のLPSA金曜サロン、昼は藤田麻衣子女流1級、夜は松尾香織女流初段の担当だった。
藤田女流1級には、平手の指導対局でいきなり5連敗。そのあと連勝で返したものの、前回の指導対局ではまたも惨敗した。今回も負けるようだと、また苦手意識が鎌首をもたげてくる。サイン勝負ではないが、私はいつも以上に気を引き締めて指導対局に臨んだ。
対局開始まえ藤田女流1級が、かつて私がこのブログに書いた、20年以上も前の、ある高校生の話を持ち出した。聞いてみると、その子供さんのふたりが創った詰将棋が、来年の「LPSA・日めくり詰め将棋カレンダー」に採用された、とのことだった。
そうか、そうだよなあ。月日の経つことの早さをあらためて感じるが、そんな私はというといい歳をして独身で、平日の昼間から、駒込のサロンで無聊を慰めている。なんだかミジメになる。
しかし藤田女流1級は私の感傷におかまいなく、
「よく当時の高校生の名前を覚えてますよねぇ」
と、感心したように言った。こちらはたまたま名字が珍しかったから憶えていただけなのだが、まあこれはこれで、「一本取った」と思った。
対局開始。今回は初手▲2六歩と突いてみる。居飛車党の藤田女流1級に試してみたい戦法があったからだ。上手は△8四歩。私はこの時点で、数手後の局面が、脳裏に映し出された。
私の採った戦法は「ひねり飛車」だった。金曜サロンでは、9月の中倉彰子女流初段戦についで、2度目である。ひねり飛車は、将棋界では消えた戦法のひとつに数えられているが、昔はひねり飛車が、先手必勝の戦法といわれたものだ。
私は以前、将棋ペンクラブ関東交流会の参加賞品で、米長邦雄永世棋聖著の「MYCOM将棋文庫DX・米長の将棋4 ひねり飛車・横歩取り」を頂戴し、それからはおもに、トイレのお供として熟読していた。個室での集中的な勉強は大いに身になり、同著での先手・後手の指し方は私のアタマの中に確実に叩き込まれた。ゆえに、ある程度の自信を持って、今回も指し手を進めることができたのである。
上手は△6三銀・△7二金と構えたが、△5四銀と上がったので、ここが仕掛けのチャンスと、▲7四歩と突っかけた。以下△同歩▲6四角に△9二飛と頑張られたらまだまだ難しい戦いが続いていたと思うが、上手は強く△7三金と立ったので、私は喜んで▲同角成と切り、△同桂に▲7四飛と飛び出した。
「二枚替えなら歩ともせよ」と格言では教えているが、角と金・歩の交換でも、自陣に角の打ち場所はなく、この折衝はこちらが大きくトクをした。
上手△7二歩の頑張りに▲6四飛と廻って、この飛車成りが受けづらい。と、横で指していたW氏が、
「おっ、そういえばそちらは因縁の対決だったんですね」
と言う。W氏は私の負けを楽しみにしているのだろうが、この将棋は逃さない。以下、終始優位に指し手を進めて、終盤になった。

ここで私の放った▲2六飛が好手。上手は△4五馬と引いたが、▲2一飛成に、藤田女流1級は「あ…」とつぶやいて投了した。
いままで藤田女流1級にさんざん負け続けたのが不思議なくらいの、快勝譜だった。しかしこれはしょせん、指導対局である。私は勝たせていただいて素直に嬉しいけれども、藤田女流1級には、負けて失うものはなにもない、気楽な将棋なのだ。
いまの藤田女流1級は、とにかく公式戦に勝利することである。次の対局は女流王位戦予選の、山口恵梨子女流1級戦である。山口女流1級はかわいいし、女子高校生だし、なにより将棋が強い。しかし藤田女流1級なら、山口女流1級に、必ず勝てる。藤田女流1級の健闘を心より祈るものである。
コメント (3)
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