11月17日正午、日本将棋連盟とLPSAから、「合意書」という形の共同声明が発表された。私が楽しみにしていた重大な発表とは、これのことだったらしい。
一読したが、ずいぶん連盟に都合のいい文書になっていると思った。この文書の公表に、よく中井広恵代表が首をタテに振ったと思う。
個別に見ていってみよう。
まず「第一」の項に、「両者は友好団体であることを確認する」とあるが、バカを言ってはいけない。連盟および女流棋士会がこれまでLPSAに行ってきたことを振り返ってみてほしい。
昨年2月の倉敷イベントでは、女流棋士会とLPSAの女流棋士が参加する旨が告知されながら、その後連盟は、LPSAの参加を拒否した。
今年2月の朝日オープン解説会では、LPSAの船戸陽子女流二段の聞き手が発表されていながら、これも連盟が横やりを入れ、女流棋士会の伊藤明日香女流初段に変更した。また女流棋士会の集合写真で、移籍した船戸女流二段の画像を抹消したのも、当人に対して失礼極まりない話であった。
さらに3月、当時女流棋士会会長だった谷川治恵女流三段が、中井代表へある手紙を手渡した。これに対して米長邦雄会長は、自HPで「女流棋士同士やってちょ」と言いながら、「中井さん、返事まだぁ?」と何日も連呼した。なんというイヤミな書き方か。
また直近では、先日の女流王位戦予選で、山口恵梨子女流1級の対局が、LPSAのホームグラウンドである駒込ではなく、内幸町で指された。連盟や女流棋士会がLPSAと友好関係を結ぶ気があるなら、前例どおり、そのまま駒込で指せばよかったではないか。私には、女流棋士会のホープである女子高生棋士を、駒込の空気に染まらせたくない、という連盟の意思が働いたとしか思えないのだ。
さらに付け加えれば、昨年の5月、東京・新宿でLPSA1周年記念パーティーがあったが、連盟からは花輪はもちろん、祝電の1本も来なかった。これは私がその場にいたから、確実な話である。友好関係のカケラも見当たらなかった。
「一般のファンが知り得る情報」を書いただけで、これだけの事例がある。これらを見ただけでも、連盟がLPSAに友好関係を築く意思があるとは、私にはとても思えない。
続いて「第二」、「過去の経緯やトラブルは不幸な出来事…」とあるが、本当に不幸だったのだろうか。連盟は女流棋士会から17名(のちに1人増える)をリストラでき、残った女流棋士はタイトル戦の聞き手などの仕事が増えた。それが証拠に、女流棋士会所属の女流棋士に聞いてみるがいい。
「いま幸せですか?」
と。すると彼女らは判で押したように、こう答えるだろう。
「米長会長のありがたい協力を得て、忙しいけれど、私たちはとても幸せです」
と。
いっぽう独立したLPSAはといえば、こちらも独自の普及で、新たなファン層を開拓していった。私のような女流棋士ファンも増えた。彼女らも現状に不満はないと信じる。女流棋士がふたつに別れたのは、ビーチバレーの浅尾美和と西堀健実が発展的解散をしたのと同じで、なんの不幸もなかったのである。
「第三」、「両者どちらかが誹謗中傷等攻撃を受けた時は、スクラムを組んでこれに立ち向かい解決に協力する」とあるが、米長会長が先日の「回想録」で、中井代表と武者野勝巳七段を「特別の関係」とまで書いたのは、おふたりへの誹謗にはあたらないのだろうか。これ、船戸女流二段や中倉宏美女流二段と私が特別の関係にある、と書かれるようなものである。まあこう書かれれば私は嬉しいが、両女流二段からすれば不愉快極まりなく、烈火のごとく怒って、書き手に抗議してくるだろう。
とにかくこんな怪文を書かれて、よく中井代表や植山悦行七段が黙っていたものだと思う。
「第四」、「万が一トラブルが起きても法的手段を取ることは極力避け…」とあるが、LPSAのほうには法的手段を取ることがあっても、取られることは一切ないと断言できる。法的手段を恐れているのは連盟のほうではないのか。
「第五」、「協議会」は勝手にやってほしい。
振り返ってみると、11日の「さわやか日記」で中倉女流二段や大庭美樹女流初段の名前を出したのも、「連盟とLPSAは友好関係である」という伏線だったということか。
また18日の同日記で「『どうぶつしょうぎ』をどんどん宣伝してくれ」と書いたのも、同様の理由なのだろうか。
浅い。米長会長、読みが甘すぎる。こんなことじゃあ、LPSAファンは騙せない。同じ18日に書いてあった「LPSAともどもインターネットでのストーカーもどきの者は、手をつないで懲らしめる…」とは、武者野七段が関与している「駒音掲示板」の投稿者へ向けてのものだろうが、私も含めて、彼らは将棋界の発展に向けて建設的な意見を議論しているのであって、ストーカー行為ではない。
そもそも、言論の自由を拘束しようと考えること自体がナンセンスだ。米長会長が駒音掲示板を疎ましく思っているのならば、なにもLPSAと手を携えなくても、武者野七段は連盟所属なのだから、それこそ第三者を交えて話し合いの場を持ち、閉鎖にでもなんでも追い込めばいいのである。弱小団体のLPSA代表より、天下の日本将棋連盟会長から直々に諫言したほうが、よほど効果的ではないか。
以上の検討によって、今回の共同声明においては、事を荒立てる愚を避けるため、中井代表がファンを慮り、断腸の思いで判をついたと推察する。
これからも連盟や女流棋士会から、LPSAへの嫌がらせは断続的に続くだろうし、私も含めた駒音掲示板への書き込みはいままでどおり続くものと確信する。
それにしても、米長会長はどうしてしまったのだろう。現役時代の会長の将棋は、情報戦が勝敗を左右する昨今の将棋とは違い、オリジナリティあふれる、素晴らしいものだった。だが引退してからは、将棋界の未来や普及など眼中になく、LPSAを排除することに生き甲斐を見出しているようにさえ思える。いままでの米長会長の言動を、歴代の日本将棋連盟会長が見たら何と思うか。私は悲しい。
以上の文章を、米長会長が「悪口」と思うなら、どうぞ抗議してください。ただしこの文章は何があっても、「回想録」のように消去はしません。
一読したが、ずいぶん連盟に都合のいい文書になっていると思った。この文書の公表に、よく中井広恵代表が首をタテに振ったと思う。
個別に見ていってみよう。
まず「第一」の項に、「両者は友好団体であることを確認する」とあるが、バカを言ってはいけない。連盟および女流棋士会がこれまでLPSAに行ってきたことを振り返ってみてほしい。
昨年2月の倉敷イベントでは、女流棋士会とLPSAの女流棋士が参加する旨が告知されながら、その後連盟は、LPSAの参加を拒否した。
今年2月の朝日オープン解説会では、LPSAの船戸陽子女流二段の聞き手が発表されていながら、これも連盟が横やりを入れ、女流棋士会の伊藤明日香女流初段に変更した。また女流棋士会の集合写真で、移籍した船戸女流二段の画像を抹消したのも、当人に対して失礼極まりない話であった。
さらに3月、当時女流棋士会会長だった谷川治恵女流三段が、中井代表へある手紙を手渡した。これに対して米長邦雄会長は、自HPで「女流棋士同士やってちょ」と言いながら、「中井さん、返事まだぁ?」と何日も連呼した。なんというイヤミな書き方か。
また直近では、先日の女流王位戦予選で、山口恵梨子女流1級の対局が、LPSAのホームグラウンドである駒込ではなく、内幸町で指された。連盟や女流棋士会がLPSAと友好関係を結ぶ気があるなら、前例どおり、そのまま駒込で指せばよかったではないか。私には、女流棋士会のホープである女子高生棋士を、駒込の空気に染まらせたくない、という連盟の意思が働いたとしか思えないのだ。
さらに付け加えれば、昨年の5月、東京・新宿でLPSA1周年記念パーティーがあったが、連盟からは花輪はもちろん、祝電の1本も来なかった。これは私がその場にいたから、確実な話である。友好関係のカケラも見当たらなかった。
「一般のファンが知り得る情報」を書いただけで、これだけの事例がある。これらを見ただけでも、連盟がLPSAに友好関係を築く意思があるとは、私にはとても思えない。
続いて「第二」、「過去の経緯やトラブルは不幸な出来事…」とあるが、本当に不幸だったのだろうか。連盟は女流棋士会から17名(のちに1人増える)をリストラでき、残った女流棋士はタイトル戦の聞き手などの仕事が増えた。それが証拠に、女流棋士会所属の女流棋士に聞いてみるがいい。
「いま幸せですか?」
と。すると彼女らは判で押したように、こう答えるだろう。
「米長会長のありがたい協力を得て、忙しいけれど、私たちはとても幸せです」
と。
いっぽう独立したLPSAはといえば、こちらも独自の普及で、新たなファン層を開拓していった。私のような女流棋士ファンも増えた。彼女らも現状に不満はないと信じる。女流棋士がふたつに別れたのは、ビーチバレーの浅尾美和と西堀健実が発展的解散をしたのと同じで、なんの不幸もなかったのである。
「第三」、「両者どちらかが誹謗中傷等攻撃を受けた時は、スクラムを組んでこれに立ち向かい解決に協力する」とあるが、米長会長が先日の「回想録」で、中井代表と武者野勝巳七段を「特別の関係」とまで書いたのは、おふたりへの誹謗にはあたらないのだろうか。これ、船戸女流二段や中倉宏美女流二段と私が特別の関係にある、と書かれるようなものである。まあこう書かれれば私は嬉しいが、両女流二段からすれば不愉快極まりなく、烈火のごとく怒って、書き手に抗議してくるだろう。
とにかくこんな怪文を書かれて、よく中井代表や植山悦行七段が黙っていたものだと思う。
「第四」、「万が一トラブルが起きても法的手段を取ることは極力避け…」とあるが、LPSAのほうには法的手段を取ることがあっても、取られることは一切ないと断言できる。法的手段を恐れているのは連盟のほうではないのか。
「第五」、「協議会」は勝手にやってほしい。
振り返ってみると、11日の「さわやか日記」で中倉女流二段や大庭美樹女流初段の名前を出したのも、「連盟とLPSAは友好関係である」という伏線だったということか。
また18日の同日記で「『どうぶつしょうぎ』をどんどん宣伝してくれ」と書いたのも、同様の理由なのだろうか。
浅い。米長会長、読みが甘すぎる。こんなことじゃあ、LPSAファンは騙せない。同じ18日に書いてあった「LPSAともどもインターネットでのストーカーもどきの者は、手をつないで懲らしめる…」とは、武者野七段が関与している「駒音掲示板」の投稿者へ向けてのものだろうが、私も含めて、彼らは将棋界の発展に向けて建設的な意見を議論しているのであって、ストーカー行為ではない。
そもそも、言論の自由を拘束しようと考えること自体がナンセンスだ。米長会長が駒音掲示板を疎ましく思っているのならば、なにもLPSAと手を携えなくても、武者野七段は連盟所属なのだから、それこそ第三者を交えて話し合いの場を持ち、閉鎖にでもなんでも追い込めばいいのである。弱小団体のLPSA代表より、天下の日本将棋連盟会長から直々に諫言したほうが、よほど効果的ではないか。
以上の検討によって、今回の共同声明においては、事を荒立てる愚を避けるため、中井代表がファンを慮り、断腸の思いで判をついたと推察する。
これからも連盟や女流棋士会から、LPSAへの嫌がらせは断続的に続くだろうし、私も含めた駒音掲示板への書き込みはいままでどおり続くものと確信する。
それにしても、米長会長はどうしてしまったのだろう。現役時代の会長の将棋は、情報戦が勝敗を左右する昨今の将棋とは違い、オリジナリティあふれる、素晴らしいものだった。だが引退してからは、将棋界の未来や普及など眼中になく、LPSAを排除することに生き甲斐を見出しているようにさえ思える。いままでの米長会長の言動を、歴代の日本将棋連盟会長が見たら何と思うか。私は悲しい。
以上の文章を、米長会長が「悪口」と思うなら、どうぞ抗議してください。ただしこの文章は何があっても、「回想録」のように消去はしません。