一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・藤田麻衣子女流1級⑦

2010-03-04 19:46:54 | LPSA金曜サロン
今日は冒頭から、先手の次の1手をお考えいただこう。

1月15日のLPSA金曜サロン、昼は藤田麻衣子女流1級、夜は松尾香織女流初段の担当だった。このおふたりは、私との指導対局になると異常な闘志を燃やす、愛すべき女流棋士である。むろん私にとってはありがたいことで、この日も気を引き締めて、指導対局に臨んだ。
まずは藤田女流1級との指導対局。3ヶ月ぶりである。私は前週の石橋幸緒女流四段戦に続いて、三間飛車を採用。私は居飛車も振り飛車も指すが、振り飛車は三間飛車が性に合う気がしている。
対する藤田女流1級の作戦は、☖5三銀左から☖8四銀の棒銀だった。毎回言うことだが、藤田女流1級は、持久戦より急戦のほうが棋風に合っていると思う。
以下、藤田女流1級が1歩を犠牲に飛車先の交換をしたのが上の局面である。
ここで実戦は☗4六角☖6二金☗7四歩☖8二銀と進んだ。私は☗4五歩の手を活かして☗4六角と打ったが、対して☖3三角が気になっていた。7七の飛車がいなくなれば、☖8七飛成が可能になる。
しかし藤田女流1級は☖6二金と受けてくれたので、私は☗7四歩を利かしたあと、中央に戦線を変更し、激戦が続いた。
戻って――☗4六角ではどう指すべきだったか。いきなり☗7四歩が利いたようだ。☖7四同銀なら☗6六角で飛車香両取り。以下☖7六歩☗同銀☖7五歩☗同銀☖同銀☗同角は下手指せる。また☗7四歩に☖同飛なら、☗同飛☖同銀☗7一飛☖7九飛☗8八角☖8九飛成に☗1一角成が詰めろで、これも下手が1手勝ちそう。
「☗7四歩」は、いかにも筋っぽい手である。この手が浮かばなかったのは情けなかった。
局後、金曜サロンの会員と藤田女流1級が談笑していた。その輪に入ると、この数日後に行われる女流名人位戦・予選の話だった。対戦相手は船戸陽子女流二段とのこと。そういえば、そうだった。
「一公さんはどっちを応援するの?」
会員の誰かが言う。
「それはもう…先生のほうですよ」
藤田女流1級がニコッと笑う。
「一公さんは、目の前にいる女流棋士を応援するから」
と、また会員が言う。
私もウソはつけない。個人名を言わないのがミソで、これならあとで言い訳が利く。
金曜サロンらしい、表面上はなごやかな光景だった。しかしこの時、藤田女流1級は悲壮な決意を秘めていたのだ。まさか次の1局が、藤田女流1級の公式戦最後の戦いになろうとは…そして1ヶ月後に衝撃的な告白を聞くことになろうとは、私は夢にも思わなかった。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする