一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・松尾香織女流初段⑨

2010-03-08 00:29:17 | LPSA金曜サロン
きのう7日(日)は、鎌倉で天河戦第2局が行われたが、どうしても家を出られず、中倉宏美女流二段を拝見できなかった。「絶対に行きます!」と中倉女流二段に断言したのに、それを破った形になった。中倉女流二段およびLPSA関係者の方々に、深くお詫び申し上げます。

1月15日のLPSA金曜サロン、夜の担当は松尾香織女流初段だった。いつも書いているが、松尾女流初段は、私の心の姉弟子である。最初に角落ちを教わったとき、松尾女流初段の大局観にうなり、勝手に弟弟子にさせていただいた。
そういえば昼担当の藤田麻衣子女流1級は心の師匠だから、この日は頭が上がらないおふたりがそろい踏みしたことになる。
指導対局は、下手☗7六歩☖3四歩☗6六歩☖3二飛☗4八銀と、先月と同じ出だし。私が居飛車を明示、松尾女流初段は石田流に組み、猛攻を受けたところも同じだった。前局は、金銀がバラバラながらも角得が物を言って、幸いすることができた。だが本局は、角と銀2枚の交換で駒損のうえ、一方的に飛車を成りこまれ、敗勢。しかしそこで松尾女流初段にも攻め急ぎの疑問手が出て、かなり形勢が縮まった。
最も形勢が接近したのが以下の局面だと思うので、符号を記す。

上手・松尾女流初段:2三歩、4六銀、5一金、5二金、6四金、6六桂、7三歩、8一桂、8二王、8三銀、8九馬、9一香、9四歩 持駒:金、香
下手・一公:1三と、1九香、2五歩、2九桂、3八馬、4一飛、4九玉、5七歩、5九銀、7六歩、8六歩、9六歩 持駒:飛、銀、桂、香、歩9

上手の松尾女流初段が、☖5一金寄と金取りを受けた局面である。以下は☗4六飛成☖4五香☗8三馬、と進行した。
この少し前、松尾女流初段が、
「どうも一公さんと指すと熱くなるのよねぇ…」
とつぶやいていたが、☗8三馬と指したときに「(その理由が)分かった!」と言い、「その(自信満々の)手つきがアタマに来るのよねぇ」と、苦笑まじりに続けた。
文章にするときつい言い方になるが、これは周りを笑わせるジョークに近い。まあ確かに「☗8三馬」は、詰みました、という手つきで指したのだが、実際は取らずもがなの銀を取ったために、竜取りに香に打たれ、焦った私が上手王を詰ませにいった、というのが真相なのだ。
詰むか詰まないかは半々の確率と思って指していたが、数手進んだところで4六竜が動けないことが致命傷であることに気づき、王手が途切れたところで投了した。
後日、自宅で研究したところでは、☗4六飛成と銀を取ったところでは、☗7一銀があったと思う。☖同王に☗8三馬。これに☖7二金なら☗8四桂☖8三金☗5一飛成☖同金☗7二飛☖6一王☗7一金で詰み。よって☗8三馬には☖7二銀と受けるだろうが、そこで☗8二飛と打ってどうか。以下☖8三銀なら☗5二飛成である。変化は多岐にわたり結論は出せなかったが、☗4六飛成と駒得に喜んでいる場合ではなかった。
局後、松尾女流初段はわずかに笑みを見せ、
「一公さんには、今年は負けないから…」
と言った。
昨年は「一生負けない」と宣言されてしまったから、トーンが落ちたように聞こえる。しかしそれは浅はかな考えである。
禁煙を決意した人が、「タバコはもう一生喫わない」と言うのと「タバコは今年1年間だけ我慢してみる」と言うのでは、後者のほうが、達成率が高いと思う。あまり高い目標を掲げると、それが負担になって、却って破綻をきたしてしまうのだ。
よって、今回の松尾女流初段の新たな宣言は極めて現実的と云ってよく、私は「このひと、本気じゃないか!?」と、あらためて松尾女流初段に畏怖の念を覚えたのだった。
コメント (8)
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