5日のLPSA金曜サロンは、昼が中倉宏美女流二段、夜が中井広恵天河の担当だった。
人気女流棋士であるおふたりの組み合わせはゴールデンカードのひとつだ。この日の私は金曜日にもかかわらず珍しく仕事があり、サロンに入室したのが午後4時すこし前だった。しかし会員は6人しかおらず、私は我が目を疑った。
いくら平日とはいえ、中倉女流二段である。それで「6人」なのか! 私は落胆したが、思い当たるフシはあった。当日昼にLPSAホームページ「金曜サロン」の項を見たが、「3月の常駐棋士」が記されていなかったからだ。
事前に配信されたLPSAメールマガジンでは記されていたが、登録していなければ分からない。さりとて電話で問い合わせてまでサロンに行くのはどうも…という会員も多いようで、今回は閑古鳥が鳴いてしまったのだ。告知の遅れは致命傷だ。LPSAスタッフの怠慢と言わざるを得ない。
それはともかく、少人数なら、中倉女流二段にじっくりと将棋を教えていただける余得がある。私が指導対局の席につきしばらく経つと、将棋が1局終わり、これで2面指しになった。
さらにしばらく経つと、私の左で指していた会員の将棋が終わり、検討が始まった。もう指導対局中の会員は私しかいないので、私もその将棋を見る。しかしその視線は中倉女流二段に向かってしまう。ナナメ40度からの鑑賞だったが、間近で拝見してあらためて、なんて美しいひとなんだろう、と見とれてしまった。
それはまるで乳白色の彫像に見えた。ブラウンの口紅がよく似合っている。服の色に合わせたのだろうか。そういえばこの日、中倉女流二段は姉の彰子女流初段と、「Positive de Go!」の録音を行った。インターネットラジオでも、このいでたちだったのだろうか。
私との指導対局の内容は後日記すが、平日にもかかわらず、陽の明るいうちから美人女流棋士に将棋を教えていただける環境を、ありがたく思った。
さてこの日は、久し振りに大盤解説が行われた。
いろいろ候補はあったが、先日の女流名人位戦予選・中倉宏美女流二段と中村真梨花女流二段との将棋が紹介された。ご存じの方も多いと思うが、この将棋は中倉女流二段が敗退した。しかしこの日の解説を聴くと、終盤まで中倉女流二段の必勝形。しかしそこから寄せをぐずり、無念の逆転負けとなった。B級リーグ入りにつながるこの負けは痛く、さすがに中倉女流二段も、その夜は眠れなかったそうだ。しかしそのくらいの悔しさを持たなくては、勝負師ではない。中倉女流二段には、今後もマイナビ予備予選や倉敷藤花戦の対局が待っている。江戸の敵は長崎で討てばいいのだ。
「きょうは中倉先生があまりにも美しいんで、私、クラクラしました」
中倉女流二段の帰り際にそう告げると、中倉女流二段がニッコリする。その笑顔がまた魅力的だ。女流棋士ファンランキングの2位に選んだことは、間違いでなかったと思う。
そのまま、明日7日(日)に行われる天河戦第2局の話題になった。中井天河と石橋幸緒女流四段の将棋を見るためだけに対局場の鎌倉へ赴くのもどうか、という気もしたが、中倉女流二段が聞き手という話を聞いては、無視もできない。
「中倉先生が聞き手だったら、天河戦を見に行こうかな…」
と言うと、指導対局中の中井天河が
「ええっ? それって対局者の私とさっちゃん(石橋女流四段)は関係ないってことっ!?」
と苦笑まじりに言う。はい、とも言い返せなかったが、まあ今回は公開対局はないらしいので、構わない。
「では7日は、必ず鎌倉にお邪魔します!」
と中倉女流二段に断言したが、今日は幼いめいとおいが拙宅に泊まっている。明日7日も抜け出せる雰囲気ではないのだが、私は「中倉女流二段」と「めいとおい」の、どちらを選ぶのだろう。
金曜サロン恒例の食事会には、中井天河も出席された。今回はドイツ人の愛棋家も含めて、総勢11人のメンバーである。とてもひとつのグループに入らないので、2つのテーブルに分かれる。最初は中井天河が向こうのテーブルに座り、ドイツ人氏の隣りで談笑していたが、やがてこちらのテーブルに移って来た。
「いやあ、今日の中井先生のコーディネートは南国風で、とてもよく似合っています」
と言うと、中井天河がニコッと笑う。
「いやホントですよ。最近の中井先生は何て言うのかなあ、こう、毒っ気が抜けたというか、清涼感のある美しさになったというか、とにかく美人だなあって思います」
サロンで中倉女流二段をベタホメしてしまったので、ここはバランスを取る発言をしなければならない。ほめる方も、いろいろ気を遣うのである。
ところで、中井天河にはお聞きしたいことがあったので、ぶつけてみた。すなわち、男女の棋力は、子供のころは同じように伸びるのに、大人になるにつれ、何故差がついてしまうのか、というブログ読者からの質問である。
その回答を以下に記す。
「男性も女性も子供のころは、将棋の強い人に、今日は詰将棋を勉強しましょうとか、今日はこの戦法を覚えましょうとか、いろいろコーチをしてくれる人がいるんです。
だけど子供はよく勉強して、強くなるのも早いから、そのコーチ役の棋力を上回るときが来ます。そうなると男性の場合は、近くの好敵手と実戦を指したり棋譜並べをしたり、詰将棋を解いたりして、さらに将棋が強くなる方法を自分なりに考えるんです。
だけど女性の場合は、それからどういうふうに将棋を勉強したらいいか分からないんです。それはもちろん、近くに同性がいないこともあります。でも最近では強い女性もいっぱい出てきて、インターネットで将棋も指せる。だからこれからはいままでとはちょっと違うようになると思います」
とのことだった。
ちなみに中倉女流二段には、「バイクの大型免許を取るのはいつか」「先日の『アメトーーク』はハーレーのテーマだったが、観ましたか」という質問を用意していたのだが、「いまは指導対局中だから、あとで訊こう」と思いつつ、またも訊くのを忘れてしまった。次に訊けるチャンスは、いつになるのだろう。
人気女流棋士であるおふたりの組み合わせはゴールデンカードのひとつだ。この日の私は金曜日にもかかわらず珍しく仕事があり、サロンに入室したのが午後4時すこし前だった。しかし会員は6人しかおらず、私は我が目を疑った。
いくら平日とはいえ、中倉女流二段である。それで「6人」なのか! 私は落胆したが、思い当たるフシはあった。当日昼にLPSAホームページ「金曜サロン」の項を見たが、「3月の常駐棋士」が記されていなかったからだ。
事前に配信されたLPSAメールマガジンでは記されていたが、登録していなければ分からない。さりとて電話で問い合わせてまでサロンに行くのはどうも…という会員も多いようで、今回は閑古鳥が鳴いてしまったのだ。告知の遅れは致命傷だ。LPSAスタッフの怠慢と言わざるを得ない。
それはともかく、少人数なら、中倉女流二段にじっくりと将棋を教えていただける余得がある。私が指導対局の席につきしばらく経つと、将棋が1局終わり、これで2面指しになった。
さらにしばらく経つと、私の左で指していた会員の将棋が終わり、検討が始まった。もう指導対局中の会員は私しかいないので、私もその将棋を見る。しかしその視線は中倉女流二段に向かってしまう。ナナメ40度からの鑑賞だったが、間近で拝見してあらためて、なんて美しいひとなんだろう、と見とれてしまった。
それはまるで乳白色の彫像に見えた。ブラウンの口紅がよく似合っている。服の色に合わせたのだろうか。そういえばこの日、中倉女流二段は姉の彰子女流初段と、「Positive de Go!」の録音を行った。インターネットラジオでも、このいでたちだったのだろうか。
私との指導対局の内容は後日記すが、平日にもかかわらず、陽の明るいうちから美人女流棋士に将棋を教えていただける環境を、ありがたく思った。
さてこの日は、久し振りに大盤解説が行われた。
いろいろ候補はあったが、先日の女流名人位戦予選・中倉宏美女流二段と中村真梨花女流二段との将棋が紹介された。ご存じの方も多いと思うが、この将棋は中倉女流二段が敗退した。しかしこの日の解説を聴くと、終盤まで中倉女流二段の必勝形。しかしそこから寄せをぐずり、無念の逆転負けとなった。B級リーグ入りにつながるこの負けは痛く、さすがに中倉女流二段も、その夜は眠れなかったそうだ。しかしそのくらいの悔しさを持たなくては、勝負師ではない。中倉女流二段には、今後もマイナビ予備予選や倉敷藤花戦の対局が待っている。江戸の敵は長崎で討てばいいのだ。
「きょうは中倉先生があまりにも美しいんで、私、クラクラしました」
中倉女流二段の帰り際にそう告げると、中倉女流二段がニッコリする。その笑顔がまた魅力的だ。女流棋士ファンランキングの2位に選んだことは、間違いでなかったと思う。
そのまま、明日7日(日)に行われる天河戦第2局の話題になった。中井天河と石橋幸緒女流四段の将棋を見るためだけに対局場の鎌倉へ赴くのもどうか、という気もしたが、中倉女流二段が聞き手という話を聞いては、無視もできない。
「中倉先生が聞き手だったら、天河戦を見に行こうかな…」
と言うと、指導対局中の中井天河が
「ええっ? それって対局者の私とさっちゃん(石橋女流四段)は関係ないってことっ!?」
と苦笑まじりに言う。はい、とも言い返せなかったが、まあ今回は公開対局はないらしいので、構わない。
「では7日は、必ず鎌倉にお邪魔します!」
と中倉女流二段に断言したが、今日は幼いめいとおいが拙宅に泊まっている。明日7日も抜け出せる雰囲気ではないのだが、私は「中倉女流二段」と「めいとおい」の、どちらを選ぶのだろう。
金曜サロン恒例の食事会には、中井天河も出席された。今回はドイツ人の愛棋家も含めて、総勢11人のメンバーである。とてもひとつのグループに入らないので、2つのテーブルに分かれる。最初は中井天河が向こうのテーブルに座り、ドイツ人氏の隣りで談笑していたが、やがてこちらのテーブルに移って来た。
「いやあ、今日の中井先生のコーディネートは南国風で、とてもよく似合っています」
と言うと、中井天河がニコッと笑う。
「いやホントですよ。最近の中井先生は何て言うのかなあ、こう、毒っ気が抜けたというか、清涼感のある美しさになったというか、とにかく美人だなあって思います」
サロンで中倉女流二段をベタホメしてしまったので、ここはバランスを取る発言をしなければならない。ほめる方も、いろいろ気を遣うのである。
ところで、中井天河にはお聞きしたいことがあったので、ぶつけてみた。すなわち、男女の棋力は、子供のころは同じように伸びるのに、大人になるにつれ、何故差がついてしまうのか、というブログ読者からの質問である。
その回答を以下に記す。
「男性も女性も子供のころは、将棋の強い人に、今日は詰将棋を勉強しましょうとか、今日はこの戦法を覚えましょうとか、いろいろコーチをしてくれる人がいるんです。
だけど子供はよく勉強して、強くなるのも早いから、そのコーチ役の棋力を上回るときが来ます。そうなると男性の場合は、近くの好敵手と実戦を指したり棋譜並べをしたり、詰将棋を解いたりして、さらに将棋が強くなる方法を自分なりに考えるんです。
だけど女性の場合は、それからどういうふうに将棋を勉強したらいいか分からないんです。それはもちろん、近くに同性がいないこともあります。でも最近では強い女性もいっぱい出てきて、インターネットで将棋も指せる。だからこれからはいままでとはちょっと違うようになると思います」
とのことだった。
ちなみに中倉女流二段には、「バイクの大型免許を取るのはいつか」「先日の『アメトーーク』はハーレーのテーマだったが、観ましたか」という質問を用意していたのだが、「いまは指導対局中だから、あとで訊こう」と思いつつ、またも訊くのを忘れてしまった。次に訊けるチャンスは、いつになるのだろう。