きのう15日(月)は、LPSAの「マンデーレッスン」に初めてお邪魔した。我が師匠、藤田麻衣子女流1級の最後の登板だからである。
マンデー(月曜日)レッスンは3ヶ月で1単位。金曜サロンと同じく会員制で、入会金は10,000円。ゲストコースとレギュラーコースが交互に6回ずつあり、どちらかのコースを選択する。会費は15,000円。
ゲストコースは毎回違う棋士が指導対局を行い、うち2回は男性棋士が担当する。いろいろな棋士に教えてほしい、という人はこちらがよい。レギュラーコースは原則的に同じ女流棋士によるミニ講座と指導対局で、段階的に強くなりたいという人は、こちらがオススメだ。
時間は午後3時~5時、6時30分~8時30分の2回で、会員はどちらかひとつを予約する。時間の振り替えは可能だが、コースの変更はできない。
会費のいらない「ゲストコース・1回料金」もあり、4,000円。毎回通うのはむずかしい、この(女流)棋士に指導対局を受けたい、という人は、やや割高だがこちらがよい。
レギュラーコースのシステムは分からぬが、ゲストコースは、(女流)棋士との指導対局に勝つと、ツーショット写真のサービスがある。対局後にはカードに一口コメントももらえ、上達の手助けになる。
私は6時30分からのコースを予約した。6時すぎに入室すると、先客がひとりいるだけ。早く来すぎたようだ。
担当である藤田女流1級に挨拶をする。私が初めて女流棋士に指導対局を受けたのが、藤田女流1級だった。これが最後の指導対局になると思うと感傷的になるが、同時にいい将棋を指さなければ、との観念も芽生える。
まず、藤田女流1級が敬愛する詰将棋作家の詰将棋が2題渡された。解答は裏に記されてあるが、腕試しのため、頭の中で考える。5手目に詰将棋らしい手が浮かんでいて、経験則ではこの手が正着と教えているのだが、玉を逃げられたときの変化が分からず、苦しむ。
まだ時間があるので、藤田女流1級がいらっしゃる。
「きのう(14日深夜アップ・15日付)の(一公さんの)ブログが何を言ってるのかよく分からなくて、途中で読むのをやめちゃいました。一公さんもいろいろな層にアピールしなければならないから、大変ですね」
と言う。「ウルトラマンメビウス」のことをいっているのだ。しかし子供番組をバカにしてはいけない。わずか30分、正味22、3分の中に大人も唸らせる展開が詰め込まれているのだ。特撮ドラマの金字塔と信じる「ウルトラセブン」が、放映から40年経ったいまも、なぜ人気があるのか。それは脚本が十分に練られていて、大人の鑑賞に堪えうるからだ。子供は戦闘シーンを楽しみ、大人はストーリーを愉しむ。これが特撮ドラマの理想的な見方といえよう。
詰将棋でウンウン唸っているうちに、6時30分少し前になった。最終的には、対局者は10名となった。8名が藤田女流1級、あとの2名が、アシスタントの松尾香織女流初段との指導対局である。もうひとりのアシスタントは、大庭美樹女流初段であった。
藤田女流1級が登場し、冒頭に挨拶があった。しんみりした空気になってしまうのはやむを得ないが、これは藤田女流1級が決めたこと。きょうはお互い全力を尽くして将棋を指すのみだ。
当然、平手のサイン勝負でお願いし、対局開始。
☗7六歩☖8四歩。藤田女流1級は居飛車急戦が得意である。先月のファンクラブイベントでは、横歩取りの将棋を指したかった、と言っていた。そこで私は☗2六歩。ここで☖3四歩なら横歩取りコースだが、藤田女流1級は☖8五歩だったので☗2五歩と指し、以下強引ながら、ひねり飛車に持っていった。
どうしても金曜サロンと比較してしまう。金曜サロンは「サロン」というだけあって、指導対局といってもなごやかな雰囲気がある。軽口もあちこちで飛び、タバコを喫うために外出する会員も少なくない。しかしマンデーレッスンはみんな対局に集中し、私語もほとんどない。初期の金曜サロンのようだ。しかし私も、この雰囲気は嫌いではない。頭に血が上っているのが分かる。絶対に勝って、藤田女流1級から最後のサインを頂戴する。それだけを考えていた。
中盤に入ると、ぼちぼち終了する将棋が出てきた。感想戦が終わり、勝者との写真撮影が終わると、松尾女流初段や大庭女流初段が相手をしてくれる。
マンデーレッスンは1回あたり2,500円換算だ。2時間だが、勝利者賞としてツーショット写真がつき、男性棋士と指せたりできるのでまずまずの価格設定である。さらに女流棋士ともう1局指せれば、十分元が取れて、おつりがくる。
残り3~4名になった。ずうっとこちらが指しづらい状態で、戦いの火の手は2筋に移った。☗2六玉~☖2四王と、お互いの玉がお見合いをする激戦になった。しかし先に2五へ駒を打てたのはこちら。☗2五香と打ったあと、すぐ馬を取らずに☗2四銀と打ったのが、1五の地点も守った好手。そのあと藤田女流1級も見落とした好手が出て、終局となった。記念として、終了図の符号を以下に記す。
上手・藤田麻衣子女流1級:1一香、1二王、1四歩、2一桂、2二馬、2八角、3四歩、4五歩、4六桂、5三歩、5四銀、7五歩、9三桂、9四歩、9八竜 持駒:金、歩5
下手・一公:1七歩、1九香、2四銀、2五香、2六玉、2九桂、3二竜、3六歩、4八金、4九金、5六銀、5七歩、8二銀、8五歩、9六歩 持駒:金、香、歩2
(☗4一の竜で☖3二の金を取ったところで、藤田女流1級の投了)
終局後は、藤田女流1級のツーショット写真の撮影である。私は自分の姿が好きではないので、かりに女流棋士と一緒の写真を撮る機会があったとしても、敬遠する。しかしツーショットの権利を有すれば、喜んで入る。
プリントアウトされた写真を拝見すると、藤田女流1級の横に、スーツ姿のデブがいる。4年前、区の健康診断で「メタボリック症候群」と警告され、7ヶ月半で17.5㎏もダイエットしたのがウソのようだ。毎日だらけた生活を送っているからこうなる。
マンデーレッスンは金曜サロンと違い、時間に厳格だ。8時30分をもって終了する。終了間際に詰将棋の解答発表があった。プリントの裏に答えは書いてあるのだが、一応大盤で解説するのだ。私が引っ掛かったのは6手目だが、玉が逃げれば桂打ちがあって詰むのだった。ここをクリアすれば、いかにも詰将棋という7手目の捨て駒が見えていたので、あとは手なりに詰ませられたに違いない。残念。この悔しさは、22日(月・祝)の「けやきカップ・懸賞詰将棋コーナー」で晴らすしかない。
さて、残るは扇子への揮毫である。私は4本目の扇子はまだ9人しか揃っていないが、所属女流棋士の過半数に達しているので、ルール上はコンプリートである。だから一足先に5本目の扇子を購入し、藤田女流1級に、一番手にサインをいただくことにした。
ところが藤田女流1級は、扇子いっぱいに揮毫したい、と言う。それはひとりだけの揮毫、ということだ。LPSA女流棋士の直筆扇子は、中井広恵女流六段、石橋幸緒天河を除いて、10,000円が相場である。白扇は5,000円だから、毛筆と筆ペンの差はあれ、これは私がトクをする、と考えていいだろう。
もちろん私も快諾し、藤田女流1級渾身の直筆扇子ができあがった。
これで藤田女流1級との最後の指導対局は無事終了した。しかし藤田女流1級は22日の「けやきカップ」にも参戦するし、26日の金曜サロンにも挨拶に出る、という情報もある。その後もどこかでお会いしそうな気がするし、これが最後の指導対局とは思えないのだ。またいつか盤を挟める日が来ることを、楽しみに待つとしよう。
マンデー(月曜日)レッスンは3ヶ月で1単位。金曜サロンと同じく会員制で、入会金は10,000円。ゲストコースとレギュラーコースが交互に6回ずつあり、どちらかのコースを選択する。会費は15,000円。
ゲストコースは毎回違う棋士が指導対局を行い、うち2回は男性棋士が担当する。いろいろな棋士に教えてほしい、という人はこちらがよい。レギュラーコースは原則的に同じ女流棋士によるミニ講座と指導対局で、段階的に強くなりたいという人は、こちらがオススメだ。
時間は午後3時~5時、6時30分~8時30分の2回で、会員はどちらかひとつを予約する。時間の振り替えは可能だが、コースの変更はできない。
会費のいらない「ゲストコース・1回料金」もあり、4,000円。毎回通うのはむずかしい、この(女流)棋士に指導対局を受けたい、という人は、やや割高だがこちらがよい。
レギュラーコースのシステムは分からぬが、ゲストコースは、(女流)棋士との指導対局に勝つと、ツーショット写真のサービスがある。対局後にはカードに一口コメントももらえ、上達の手助けになる。
私は6時30分からのコースを予約した。6時すぎに入室すると、先客がひとりいるだけ。早く来すぎたようだ。
担当である藤田女流1級に挨拶をする。私が初めて女流棋士に指導対局を受けたのが、藤田女流1級だった。これが最後の指導対局になると思うと感傷的になるが、同時にいい将棋を指さなければ、との観念も芽生える。
まず、藤田女流1級が敬愛する詰将棋作家の詰将棋が2題渡された。解答は裏に記されてあるが、腕試しのため、頭の中で考える。5手目に詰将棋らしい手が浮かんでいて、経験則ではこの手が正着と教えているのだが、玉を逃げられたときの変化が分からず、苦しむ。
まだ時間があるので、藤田女流1級がいらっしゃる。
「きのう(14日深夜アップ・15日付)の(一公さんの)ブログが何を言ってるのかよく分からなくて、途中で読むのをやめちゃいました。一公さんもいろいろな層にアピールしなければならないから、大変ですね」
と言う。「ウルトラマンメビウス」のことをいっているのだ。しかし子供番組をバカにしてはいけない。わずか30分、正味22、3分の中に大人も唸らせる展開が詰め込まれているのだ。特撮ドラマの金字塔と信じる「ウルトラセブン」が、放映から40年経ったいまも、なぜ人気があるのか。それは脚本が十分に練られていて、大人の鑑賞に堪えうるからだ。子供は戦闘シーンを楽しみ、大人はストーリーを愉しむ。これが特撮ドラマの理想的な見方といえよう。
詰将棋でウンウン唸っているうちに、6時30分少し前になった。最終的には、対局者は10名となった。8名が藤田女流1級、あとの2名が、アシスタントの松尾香織女流初段との指導対局である。もうひとりのアシスタントは、大庭美樹女流初段であった。
藤田女流1級が登場し、冒頭に挨拶があった。しんみりした空気になってしまうのはやむを得ないが、これは藤田女流1級が決めたこと。きょうはお互い全力を尽くして将棋を指すのみだ。
当然、平手のサイン勝負でお願いし、対局開始。
☗7六歩☖8四歩。藤田女流1級は居飛車急戦が得意である。先月のファンクラブイベントでは、横歩取りの将棋を指したかった、と言っていた。そこで私は☗2六歩。ここで☖3四歩なら横歩取りコースだが、藤田女流1級は☖8五歩だったので☗2五歩と指し、以下強引ながら、ひねり飛車に持っていった。
どうしても金曜サロンと比較してしまう。金曜サロンは「サロン」というだけあって、指導対局といってもなごやかな雰囲気がある。軽口もあちこちで飛び、タバコを喫うために外出する会員も少なくない。しかしマンデーレッスンはみんな対局に集中し、私語もほとんどない。初期の金曜サロンのようだ。しかし私も、この雰囲気は嫌いではない。頭に血が上っているのが分かる。絶対に勝って、藤田女流1級から最後のサインを頂戴する。それだけを考えていた。
中盤に入ると、ぼちぼち終了する将棋が出てきた。感想戦が終わり、勝者との写真撮影が終わると、松尾女流初段や大庭女流初段が相手をしてくれる。
マンデーレッスンは1回あたり2,500円換算だ。2時間だが、勝利者賞としてツーショット写真がつき、男性棋士と指せたりできるのでまずまずの価格設定である。さらに女流棋士ともう1局指せれば、十分元が取れて、おつりがくる。
残り3~4名になった。ずうっとこちらが指しづらい状態で、戦いの火の手は2筋に移った。☗2六玉~☖2四王と、お互いの玉がお見合いをする激戦になった。しかし先に2五へ駒を打てたのはこちら。☗2五香と打ったあと、すぐ馬を取らずに☗2四銀と打ったのが、1五の地点も守った好手。そのあと藤田女流1級も見落とした好手が出て、終局となった。記念として、終了図の符号を以下に記す。
上手・藤田麻衣子女流1級:1一香、1二王、1四歩、2一桂、2二馬、2八角、3四歩、4五歩、4六桂、5三歩、5四銀、7五歩、9三桂、9四歩、9八竜 持駒:金、歩5
下手・一公:1七歩、1九香、2四銀、2五香、2六玉、2九桂、3二竜、3六歩、4八金、4九金、5六銀、5七歩、8二銀、8五歩、9六歩 持駒:金、香、歩2
(☗4一の竜で☖3二の金を取ったところで、藤田女流1級の投了)
終局後は、藤田女流1級のツーショット写真の撮影である。私は自分の姿が好きではないので、かりに女流棋士と一緒の写真を撮る機会があったとしても、敬遠する。しかしツーショットの権利を有すれば、喜んで入る。
プリントアウトされた写真を拝見すると、藤田女流1級の横に、スーツ姿のデブがいる。4年前、区の健康診断で「メタボリック症候群」と警告され、7ヶ月半で17.5㎏もダイエットしたのがウソのようだ。毎日だらけた生活を送っているからこうなる。
マンデーレッスンは金曜サロンと違い、時間に厳格だ。8時30分をもって終了する。終了間際に詰将棋の解答発表があった。プリントの裏に答えは書いてあるのだが、一応大盤で解説するのだ。私が引っ掛かったのは6手目だが、玉が逃げれば桂打ちがあって詰むのだった。ここをクリアすれば、いかにも詰将棋という7手目の捨て駒が見えていたので、あとは手なりに詰ませられたに違いない。残念。この悔しさは、22日(月・祝)の「けやきカップ・懸賞詰将棋コーナー」で晴らすしかない。
さて、残るは扇子への揮毫である。私は4本目の扇子はまだ9人しか揃っていないが、所属女流棋士の過半数に達しているので、ルール上はコンプリートである。だから一足先に5本目の扇子を購入し、藤田女流1級に、一番手にサインをいただくことにした。
ところが藤田女流1級は、扇子いっぱいに揮毫したい、と言う。それはひとりだけの揮毫、ということだ。LPSA女流棋士の直筆扇子は、中井広恵女流六段、石橋幸緒天河を除いて、10,000円が相場である。白扇は5,000円だから、毛筆と筆ペンの差はあれ、これは私がトクをする、と考えていいだろう。
もちろん私も快諾し、藤田女流1級渾身の直筆扇子ができあがった。
これで藤田女流1級との最後の指導対局は無事終了した。しかし藤田女流1級は22日の「けやきカップ」にも参戦するし、26日の金曜サロンにも挨拶に出る、という情報もある。その後もどこかでお会いしそうな気がするし、これが最後の指導対局とは思えないのだ。またいつか盤を挟める日が来ることを、楽しみに待つとしよう。