一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第5期マイナビ女子オープン一斉予選対局②・天使が舞い降りた

2011-07-18 00:27:06 | 観戦記
井道-石本戦。石本アマが△1六歩と端攻めに出た。井道はしっかりした手つきで▲同歩。井道は3月10日に行われた女流王座戦の設立発表会に出席したが、彼女があまりにも綺麗だったので、目を見張った覚えがある。まったく、女流棋士会は人材が豊富だ。
松尾-鈴木戦は松尾が銀冠に固めている。完全な持久戦で、これは終局が遅くなりそうだ。
古河-伊藤戦は伊藤の四間飛車に古河が穴熊に囲っていた。古河は先日の女流王座戦で、斎田晴子女流五段の振り飛車に穴熊で対抗し、快勝した。きょうの相手も難敵だが、ゲンのいい穴熊に賭ける。
相手の伊藤は、学校の制服を着用。夏服は涼しげでよい。制服は靴までがワンセットである。伊藤のそれは皮靴で、最善の組み合わせだった。ちなみに北村のそれはスニーカーで、革靴よりは劣る。また、現在高校3年の渡部は、革靴だった。
10時43分、久津が1分の秒読みに入った。将棋は秒読みが始まると、俄然緊迫感が増す。中井相手に秒読みはつらいだろうが、1分はけっこう長い。
マイナビルームAには、先ほどから大勢の男性棋士が顔を見せているが、石橋幸緒女流四段も顔を見せた。石橋女流四段は前年の同棋戦ベスト4で、今期はシードされている。予選は指さずに本戦から出場したいのは女流棋士全員の願望だろうが、エンターテイナー・石橋女流四段のこと、一斉予選対局で自分をアピールして、本戦に臨みたい気持ちもあるかもしれない。
10時46分、伊奈川も秒読みに入った。アマ相手に、先に秒読みになるのがよく分からないが、前述したように、秒読みは1分あるから心強い。
10時52分。井道、頬に手をあてて、軽いあくび。アンニュイな感じで、魅力的だ。その向こうの本田は、手をグーにして、親指と人差し指の輪の部分を口にあてている。首を傾げながら、銀を成り返った。
気がつくと、あっちこっちで秒読みが始まっている。
入口に、ハッと息をのむような美人が入ってきた。どこかで見た顔だ。その奥は…あっ!? 室谷由紀ちゃん!? たしかに、む、むむ、室谷女流初段だ。な、なな、なんという美しさであろう!! 水色のワンピースがよく似合っていて、アイドルそのものだ。
彼女のような美人が女流棋士になって、将棋界の暗いイメージが、どれだけ払拭されたことか。女流棋士会および日本将棋連盟は、室谷女流初段が将棋を生業としてくれていることに深く感謝しなければならない。
10時59分、石本アマも1分将棋に入る。しかしその直後に指してしまった。1分をムダにした形だが、そういう細かいことは気にしないのだ。
伊奈川は、脚を大きく向こうに向けて、考えている。脚の向きまで気にしてられない、ということか。
11時06分。そろそろ形勢に差がついてきた。渡辺-迎戦は渡辺、大庭-鎌村戦は鎌村優勢。
里見-本田戦は、本田の穴熊が一気に崩された。穴熊も急所を攻められると案外もろい。△2二銀の補強に、「もう終わってますよ」と言わんばかりに、▲8一竜と桂を取った。
11時12分。渡辺、自信のなさそうな手つきで、△4四桂。将棋は逆転がつきものである。これは形勢逆転か…と思っている矢先、迎アマが投了した。終わってみれば、将棋のおねえさんの貫禄勝ちだったようだ。
関根-村田戦。村田△8七歩成。ところが村田がと金を着手する前に、関根が▲6七玉を着手したように見えた。注意はされないが、厳密には2手指しで、あまりホメられない動作である。
先ほどまで圧倒的優勢だった里見が、前のめりで考えている。少しヨリが戻ったか。将棋は相手が投了するまで、ゆめゆめ気を抜いてはならぬ。
松尾-鈴木戦は形勢互角。鈴木の美脚は、あちらを向いたままだ。しかしここからでも十分堪能できる。松尾は相変わらず落ち着いた表情だ。11本の懸賞札は目に入っているだろうか。
移動しよう、と振りむくと、室谷女流初段がすぐそこにいたので、ビックリした。
天使!? 天使が、そこにいた!! パーフェクト室谷女流初段は、天使だった!! いや本当に、何という美しさか。おかしいだろう。おかしいだろう!? 彼女が女流棋士だなんて!! 室谷女流初段、本当はモデルなんじゃないのか!? 芸能人なんじゃないのか!?
なんだか、薄汚い自分がそこにいてはいけない気がして、私はそこを離れる。
どこかでケータイの音が鳴った。対局会場に入るときは、電源を切るのがマナー。毎年この手の入場者がいるが、迷惑だ。
11時22分、里見が勝った。女流三冠の里見、予選ぐらいはアッサリ通過しなければならぬ。解説会場に向かうべく席を立ったとき、里見がこちらに向かって一礼した。
井道、駒音高く▲2五馬。自玉が薄いが、石本アマの攻めをうまく余しているように見える。
11時26分、鈴木が着手した。自陣に駒が迫られている気がするが、松尾の表情は変わらない。
中井-久津戦が終わったようだ。中盤以降は中井が押していたから、中井勝ちだろう。里見同様、中井クラスは予選を突破する義務がある。
関根-村田戦も終了。これも村田の勝ちだろう。村田は関西在住で、彼女の活躍が女流棋界の活性化につながる。
中村-貞升は、意外と言っては失礼だが、貞升が健闘している。舟囲いは薄いが、▲5八金、▲6八金の二枚金は健在だ。中村の美濃囲いは壊れているが、先手陣の薄い8筋に手をつけ、イヤミイヤミと反撃している。
11時31分。古河-伊藤戦。古河は▲5八金と一枚入れた。劣勢だが、こうした頑張りが逆転を生む。
バトルロイヤル風間氏の姿が見えた。今回の有料入場者には、白いリボンが配られている。懸賞金スポンサーになると、それが緑色になるわけだが、バトル氏は白だ。しかし色そのものより、リボンを付けていること自体が信じられない。「週刊将棋」に連載マンガを持っているバトル氏、まさか1,500円を払って入場したのだろうか。
そのバトル氏、対局席前の椅子に座り、岩根の表情を見ている。マンガのネタでも考えているのだろうか。
大庭-鎌村戦はすでに終わり、駒は仕舞われ、礼が交わされていた。どちらが勝ったか分からぬが、鎌村の可能性が高い。
伊奈川-長谷川戦も終わったようだ。これは長谷川勝ちであろう。
岩根-北村戦も終わったようだ。「週刊将棋」の編集部氏が、北村アマを撮影している。北村アマ勝利なら、番狂わせであろう。
11時39分。古河、伊藤の両者がマイナビルームを出ようとしていた。あの形勢では伊藤の勝ちにしか思えぬが、将棋は結果を知るまで分からない。
井道-石本戦が終了していた。しかしこれも、どちらが勝ったか分からない。多くのスタッフが石本アマを撮っているところを見ると、石本アマ勝ちか。
11時43分。鈴木-松尾戦は、松尾投了で、鈴木勝ち。松尾、終始冷静な表情に見えたが、顔色がなかった、というべきか。
蛸島彰子女流五段に、渡部-安食戦の形勢を聞かれる。渡部優勢に見えます、と伝えておく。
中村-貞升戦。貞升はますます優位を拡大している。第2期の挑戦者決定戦に進出した中村、ここで負けるわけにはいかない。玉を早逃げし、粘る。
気分転換にルームを出ると、島井咲緒里女流初段に挨拶された。相変わらずキュートキュートだ。朝は蛸島女流五段にも目礼されたが、ただの将棋ファンに反応してくださるとはありがたいことで、将棋ファン冥利に尽きる。
ルームの表には対戦結果が映されている。岩根-北村戦は、岩根の勝ちだった。第2期の挑戦者でもある岩根、ここで姿を消すことはできない。
ルームに戻る。北尾まどか女流初段が観戦している。黒のワンピースがよく似合っている。振りむくと私と目が合い、
(結局いらしたんですか)
と、笑顔で言われた。北尾女流初段もこのブログを読んでくださっているようだ。ありがたいと思う。
11時54分、ついに中村が投了。これは貞升、殊勲の銀星というべきだろう。ファイター中村、1回戦で散る。これもトーナメント戦の厳しさである。
これで、安食-渡部戦を残すのみとなった。
12時06分、渡部は盤上没我。その指し手には力がこもっている。先ほどまでは厳しい表情だったが、いまは穏やかな顔だ。これは形勢に自信を持っている証左であろう。
多くのギャラリーが見守る中、粛々と指し手は進む。
12時19分、渡部が着手。ここで安食が静かに投了。ギャラリーから、遠慮がちに拍手が起こった。そんな渡部のうれしそうな表情! それまでの緊張感から解放された、実に素晴らしい笑顔だった。
(つづく)
コメント (2)
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