一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第5期マイナビ女子オープン一斉予選対局⑦・女王へ

2011-07-23 11:44:16 | 観戦記
「大沢さん、早く行かないと大抽選会が終わっちゃいますよ」
もう始まっていたのか!! 私が抽選を行っていないことを、なぜ石橋幸緒女流四段が知っているのか知らぬが、ありがたい配慮であった。
慌ててマイナビルームLに入ると、もう、あまり人が並んでいない。最後尾の客の後ろにつくが、しばらくして振り返ると、あとは2人並んでいるのみ。あぶないところだった。
飯島栄治七段、佐藤紳哉六段はいなかったが、大庭美夏女流1級と、数人のスタッフがいた。私は28枚の抽選券を出す。もちろん驚かれるが、数が多ければいいというものではない。
1等は、マイナビ女子オープン五番勝負(1~3局のいずれか)の観戦権。まだ3局出ききっておらず、当然これを狙う。ちなみに末等は100円の「割引券」で、これできょう販売の書籍を割引で買うことができる。ただ、100円の割引なら販売元の利益のほうが大きいから、末等は「はずれ」に近い。
計28個の抽選結果は、赤が19個、ほかの色が9個だったようだ。「ようだ」というのは、スタッフ氏が100円券を19枚くれたから。だがここからがすこし不可解で、それ以外にいただいた賞品は、まず「深夜A時(飯島七段、佐藤六段)」の直筆色紙。ほかに女流棋士の色紙2枚が当たったそうで、関根紀代子女流五段と久津知子女流初段のそれを頂戴した。
だがそれ以外に賞品はなし。スタッフのひとりは、女流棋士会のポストカードが3つ当たったようなことを言っていたが、実際はもらえなかった。
「深夜A時」の色紙は特別賞品らしく、玉が2個必要、と聞いたような気もするが、ふつうは玉1つにつき、1つの賞品ではないのか? それならばあと6つは何かもらって然るべきだと思うのだが、どうもよく分からない。
女流棋士ポストカードは200円で購入できるとのことだったので、100円券6枚でそれを買う。残り1300円分の券で、中田章道七段の詰将棋の本をいただいた。
…しかしどうも釈然としない。やっぱりほかに、もっと貰えるんじゃないか?
私は大抽選会のブースに引き返すとスタッフに「抗議」し、女流棋士のポストカードを、あと3セットもらったのだった。
大抽選会は今年が初の試み。スタッフにもぎごちないところがあり、今後の課題だと思った。
そのまま「本戦抽選会」に移る。本戦入り12選手の紹介と、勝利者予想クイズの抽選だ。
ところがスタッフ氏が、
「まだ続いている将棋がありますので、抽選会は遅れます」
というのでビックリした。
村田-伊藤戦は、まだやってるのか!?
午前10時から対局をナマ観戦していたのだ。ここは最後まで見届けるのがスジである。
私は慌て気味にマイナビルームAに入る。と、村田-伊藤戦の前が、黒山の人だかりになっていた。
村田の勝勢だと思ったが、決め手を欠いたようだ。「最後の1局」で印象に残る将棋といえば、第2期マイナビ一斉予選対局1回戦、中倉彰子女流初段と伊藤明日香女流1級との一戦が思い浮かぶ。
中倉女流初段の四間飛車から相穴熊となった将棋は泥仕合となり、いつ果てるとも知れない熱闘を伊藤女流1級が制したときは、ギャラリーから拍手が起こったものだった。
第1期は観戦しなかったから分からぬが、「最後の1局」に拍手を贈るという慣習は、このときから始まったと思われる。
その後伊藤女流1級は2009年に現役を引退。中倉女流初段は昨年の初戦敗退でチャレンジマッチが確定し、ふたりともきょうの一斉対局の場にはいなかった。ここに勝負の世界の非情を思う。
村田-伊藤戦は、村田の優位が動かなかったようだ。18時38分49秒、村田が最後の勝ち名乗りを挙げた。遠慮がちに起こる拍手。実に2時間46分に亘る大勝負だった。かつて塚田正夫名誉十段(実力制第二代名人)が「勝つことは偉いことだ」といったが、けだし名言だと思った。
今年も大いに満足して、マイナビルームLに向かう。有料の1,500円も、最初からおカネを取るべきだったと考えれば、妥当なところか。
廊下で中井広恵女流六段と島井咲緒里女流初段に会う。やはり勝者はいい顔をしている。軽く祝福をしておいた。
予定を1時間以上もオーバーしたが、18時58分より、本戦入り選手の紹介と、勝者予想クイズ抽選会の開始である。
総合司会は、「将棋世界」編集長のT氏。司会進行は、「深夜A時」の飯島七段と佐藤六段が務めた。
まず、本戦入りした12選手が入場する。激闘を戦え終えた選手の顔は、観客の盛大な拍手を浴び、晴れやかだ。
続いて本戦トーナメント組み合わせ抽選会。1番の里見香奈女流三冠から、順番に引いてゆく。12選手すべての抽選が終わり、ここに第5期のトーナメント表が出来上がった。
勝敗予想クイズの抽選会に入る。私は1回戦午前の部で11勝1敗だったが、あとの2回は7勝5敗と散々だった。よってチャンスは、1回だけである。
午前の部の正解者は、11問正解が最高で、15名いた(と記憶する)。しかし賞品は各回で5名だから、これでも厳しい。本戦乗り1番手の里見女流三冠から抽選用紙を引く。と、私の知った名前が次々と呼ばれていった。
どうもおもしろくない。残りのチャンスは1、2回だ。これでダメだと…というところで、ついに私の名前が呼ばれた。このとき、会場の一部で笑いが起こったそうである。よく分からない。
賞品は棋書ということで、屋敷伸之九段の「最新の矢倉▲3七銀戦法」をいただいた。私をひいてくださった長谷川優貴さんには、この場で厚く御礼を申し上げたい。
ここから改めて、12選手に抱負を聞く。
鈴木環那女流初段は、飯島七段の質問に答えているのか答えていないのか、不思議な受け答え。しかし
「上田さんと指したい」
と、穏やかな中にも強い意志を秘めた抱負だった。
中井女流六段も、
「それは私も上田さんと指したいです」
と述べた。今回のトーナメント表は、左の山にタイトル経験者が集まった。中井女流六段もそのひとりだが、今期こそは、の思いだろう。
加藤桃子奨励会2級との対戦が決まった島井、
「できれば奨励会以外の人と戦いたかったんですけど」
という意味の言葉を述べたが、ちょっと弱気。本戦も島井スマイルで頑張ってほしい。
最後は12選手に花束が贈られ、記念撮影。この12選手に上田初美女王、シードの4選手を加えた17選手の中から、第5期の女王が決まる。いまこの場から、すでに新たな戦いが始まっている。
コメント (11)
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