4日(月)は、「LPSAジャンジャンマンデー」に行った。ジャンジャンマンデーとは、「マンデーレッスンS」のスピンオフ(独立企画)で、短い持ち時間で、ジャンジャン将棋を指しまくるものである。講師の藤森奈津子女流四段(塾長)、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段も参戦し、優秀な成績を収めた部員には、副賞も出る。月に1回活動し、3ヶ月で1クール。今月から第3期が始まった。
私は第2期で最多対局賞を獲ったので、表彰式への出席も兼ねて、お邪魔した。時間は午後6時から8時半までだが、まだ部員が揃っていないので、表彰式は後回しとなる。
この時点で部員は8名。私は松尾女流初段との対局になった。今回は「芝浦サロン」が船戸女流二段の担当なので、松尾女流初段も忙しいが、部員を暇にさせてはいけない。
松尾女流初段とジャンジャンで指すのは初めてだが、松尾女流初段は2度目だという。しかし私の記憶のほうが正しい。私が松尾女流初段との対局を忘れるわけがないからだ。
振り駒で私の先手。▲7六歩△3四歩▲4八銀△5四歩▲5六歩。松尾女流初段が後手番ならゴキゲン中飛車に来るだろうとキメ打ちしての出だしである。5五の位を取られては厄介なので、▲5七銀~▲6七銀の二枚銀で対抗しようと思った。
松尾女流初段は
「毎回いろいろ工夫してきますね」
とつぶやき、中飛車に振った。
私の目論見どおりになったが、玉頭位取りに出たのはどうだったか。松尾女流初段に角を換わられ、飛車を2筋に振られてみると、駒が偏っている先手は、強く戦えなくなった。
松尾女流初段、△6九角。3六に駒を作らせては負けなので▲1八角と対抗したが、これではいかにもつらい。おまけに、△2五歩を▲同歩と取ったのが手拍子だった。
松尾女流初段、△2七歩。これを▲同角では△2五飛と走られて身動きできないので▲同飛だが、(4七から)△3六馬とされ、形勢を損ねた。
戻って▲2五同歩では、▲5八金と馬を殺すところ。△5八同馬▲同飛△2六歩なら、▲2八歩と謝っておいて先手十分だった。
本譜は飛車角を取られ、先手敗勢。▲6七金、6八金、7八銀、7九金、8八玉、9六歩、9八香 △4九竜、8六桂・持ち駒・銀、歩…の局面で、松尾女流初段が△9七歩▲同玉△9八桂成としたのが、秒読みに追われた緩手。ここは△9九銀なら、先手の投了だった。
以下も先手敗勢の局面が続くが、松尾女流初段は慌てまくる。私は自玉が固いだけで、完全な指し切り模様。もうどう指されても負けなのだが、松尾女流初段はまったく手が見えない。
(確かこのころだったと思うが)隣に船戸女流二段が来て、Wパパ氏と対局を始めた。かすかに香水の香りがして、きょうの船戸女流二段も素敵だが、見とれている余裕はない。
こちらは松尾女流初段の疑問手連発と私の好手が織り交ざり、形勢が急接近する。
▲5二銀、7五歩、7六桂、8四歩 持ち駒・銀、歩…
△3三飛、3五馬、7二王、7三歩、8一桂 持ち駒・いっぱい
の局面で、私は▲6四歩。これに松尾女流初段がどう指したか忘れたが、怖いようでも△6二歩と受けられていたら、負けだった。
本譜は▲6三歩成△同飛▲8三歩成△6二王▲6三銀成△同王▲3三飛△5三香▲6四歩△6二王▲3二飛成 まで、私の勝ち。
このあたりの松尾女流初段の狼狽ぶりは、指していて気の毒なほどだった。△5三香では、ほかの合い駒がなかったものか。本譜は飛車成で私の勝ちである。
説明が前後するが、私の▲6四歩では、▲6三歩だった。これに△6一歩なら▲8三銀△7一王▲6四桂で後手受けなしなので、▲6三歩には△同飛と取ることになり、それで本譜に合流できた。
負けた松尾女流初段は、
「大沢さん、強いですー」
と褒めてくれたが、負け将棋をこんなに粘ってしまい、松尾女流初段には申し訳ないことをした。
ただ、松尾女流初段はいかんせん秒読みに弱い。私の見立てが間違いでなければ、松尾女流初段はLPSAの中で、最も将棋のセンスがよい。それで優勢を築いても、秒読みに慌てて好局を落としては、なんにもならない。
松尾女流初段はマイナビ女子オープンの一斉予選対局で、鈴木環那女流初段と対戦する。難敵ではあるが、持てる力を100%出せば、きっと勝てる。それには秒読みの克服が肝心だ。ここはご主人のアドバイスを仰ぐのが最善だろう。
2局目は好漢・ミスター中飛車氏と。先手・中飛車氏の中飛車に、私は6筋(後手だから4筋)位取り。中盤、△7六飛と角(7七)金(5六)両取りに打ったところでは必勝を信じて疑わなかった。ところがこの将棋が、もつれる。
中飛車氏は8筋に香を2本立てる。私は△1三金と受けに回るが、こんなところに金を打つようでは流れがおかしい。しかしここでも秒に追われた中飛車氏が正着を逃し、どうにか一手勝ちを収めることができた。
感想戦ではどの変化も際どく、私が負けていても不思議ではなかった。それにしても、あんなに優勢な将棋をこれだけ追い込まれるとは…。将棋は本当に恐ろしい。
ここで表彰式の時間となった。連勝賞や最高勝率賞、最多勝利賞の表彰のあとに、私の表彰。成績が優秀ならばいいが、6勝6敗の表彰は複雑な気持ちだった。
3局目。対戦相手に、Wパパ氏の名前が呼ばれた。これは難敵と当たってしまった。しかし本局が、私の「今年一番」の将棋となる。
(つづく)
私は第2期で最多対局賞を獲ったので、表彰式への出席も兼ねて、お邪魔した。時間は午後6時から8時半までだが、まだ部員が揃っていないので、表彰式は後回しとなる。
この時点で部員は8名。私は松尾女流初段との対局になった。今回は「芝浦サロン」が船戸女流二段の担当なので、松尾女流初段も忙しいが、部員を暇にさせてはいけない。
松尾女流初段とジャンジャンで指すのは初めてだが、松尾女流初段は2度目だという。しかし私の記憶のほうが正しい。私が松尾女流初段との対局を忘れるわけがないからだ。
振り駒で私の先手。▲7六歩△3四歩▲4八銀△5四歩▲5六歩。松尾女流初段が後手番ならゴキゲン中飛車に来るだろうとキメ打ちしての出だしである。5五の位を取られては厄介なので、▲5七銀~▲6七銀の二枚銀で対抗しようと思った。
松尾女流初段は
「毎回いろいろ工夫してきますね」
とつぶやき、中飛車に振った。
私の目論見どおりになったが、玉頭位取りに出たのはどうだったか。松尾女流初段に角を換わられ、飛車を2筋に振られてみると、駒が偏っている先手は、強く戦えなくなった。
松尾女流初段、△6九角。3六に駒を作らせては負けなので▲1八角と対抗したが、これではいかにもつらい。おまけに、△2五歩を▲同歩と取ったのが手拍子だった。
松尾女流初段、△2七歩。これを▲同角では△2五飛と走られて身動きできないので▲同飛だが、(4七から)△3六馬とされ、形勢を損ねた。
戻って▲2五同歩では、▲5八金と馬を殺すところ。△5八同馬▲同飛△2六歩なら、▲2八歩と謝っておいて先手十分だった。
本譜は飛車角を取られ、先手敗勢。▲6七金、6八金、7八銀、7九金、8八玉、9六歩、9八香 △4九竜、8六桂・持ち駒・銀、歩…の局面で、松尾女流初段が△9七歩▲同玉△9八桂成としたのが、秒読みに追われた緩手。ここは△9九銀なら、先手の投了だった。
以下も先手敗勢の局面が続くが、松尾女流初段は慌てまくる。私は自玉が固いだけで、完全な指し切り模様。もうどう指されても負けなのだが、松尾女流初段はまったく手が見えない。
(確かこのころだったと思うが)隣に船戸女流二段が来て、Wパパ氏と対局を始めた。かすかに香水の香りがして、きょうの船戸女流二段も素敵だが、見とれている余裕はない。
こちらは松尾女流初段の疑問手連発と私の好手が織り交ざり、形勢が急接近する。
▲5二銀、7五歩、7六桂、8四歩 持ち駒・銀、歩…
△3三飛、3五馬、7二王、7三歩、8一桂 持ち駒・いっぱい
の局面で、私は▲6四歩。これに松尾女流初段がどう指したか忘れたが、怖いようでも△6二歩と受けられていたら、負けだった。
本譜は▲6三歩成△同飛▲8三歩成△6二王▲6三銀成△同王▲3三飛△5三香▲6四歩△6二王▲3二飛成 まで、私の勝ち。
このあたりの松尾女流初段の狼狽ぶりは、指していて気の毒なほどだった。△5三香では、ほかの合い駒がなかったものか。本譜は飛車成で私の勝ちである。
説明が前後するが、私の▲6四歩では、▲6三歩だった。これに△6一歩なら▲8三銀△7一王▲6四桂で後手受けなしなので、▲6三歩には△同飛と取ることになり、それで本譜に合流できた。
負けた松尾女流初段は、
「大沢さん、強いですー」
と褒めてくれたが、負け将棋をこんなに粘ってしまい、松尾女流初段には申し訳ないことをした。
ただ、松尾女流初段はいかんせん秒読みに弱い。私の見立てが間違いでなければ、松尾女流初段はLPSAの中で、最も将棋のセンスがよい。それで優勢を築いても、秒読みに慌てて好局を落としては、なんにもならない。
松尾女流初段はマイナビ女子オープンの一斉予選対局で、鈴木環那女流初段と対戦する。難敵ではあるが、持てる力を100%出せば、きっと勝てる。それには秒読みの克服が肝心だ。ここはご主人のアドバイスを仰ぐのが最善だろう。
2局目は好漢・ミスター中飛車氏と。先手・中飛車氏の中飛車に、私は6筋(後手だから4筋)位取り。中盤、△7六飛と角(7七)金(5六)両取りに打ったところでは必勝を信じて疑わなかった。ところがこの将棋が、もつれる。
中飛車氏は8筋に香を2本立てる。私は△1三金と受けに回るが、こんなところに金を打つようでは流れがおかしい。しかしここでも秒に追われた中飛車氏が正着を逃し、どうにか一手勝ちを収めることができた。
感想戦ではどの変化も際どく、私が負けていても不思議ではなかった。それにしても、あんなに優勢な将棋をこれだけ追い込まれるとは…。将棋は本当に恐ろしい。
ここで表彰式の時間となった。連勝賞や最高勝率賞、最多勝利賞の表彰のあとに、私の表彰。成績が優秀ならばいいが、6勝6敗の表彰は複雑な気持ちだった。
3局目。対戦相手に、Wパパ氏の名前が呼ばれた。これは難敵と当たってしまった。しかし本局が、私の「今年一番」の将棋となる。
(つづく)