一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

沖縄旅行延長戦・運命の一日(中編)

2011-08-25 17:48:57 | 旅行記・沖縄編
ピピピピピピピ!!
アラームのけたたましい音で目が覚めた。時刻は午前6時。ふだんならまだ夢の中である。心臓がバクバクいっている。左右の手首の血管がパッ、パッ、と活動を始めたのが分かる。なんだか息苦しい。前日の就寝は深夜2時半。明らかな寝不足だ。加えて5日間の疲労も蓄積している。
私の旅行は旅先でのんびり、というものではなく、ほぼ1日中観光だ。沖縄の日光は、浴びているだけでも疲れがたまる。食事だって、必ずしも十分に摂っていなかった。そこへもってきて、民宿まるだい・ご主人逝去と、島井咲緒里女流初段の結婚のニュースだ。これ以上ショッキングなニュースはないと思うが、もしあったときに、我が肉体にどんな変化が起こるのか、想像するだに恐ろしい。
無料の朝食を断って、ゆいレール牧志駅に向かう。またこの駅を利用するとは思わなかった。
今回は1日乗車券・600円を買う。那覇空港駅までは290円だが、きょうの展開次第では、ゆいレールを何度も利用する可能性がある。空港に行って、すぐに東京行きの空席が取れれば、差額の310円を捨てても惜しくはない。ここは先行投資の形を採った。
6時26分、牧志発。16分で那覇空港に着いた。すぐさまANAの空港カウンターに向かい、空席待ちチケットを発券してもらった。私の番号は「種別B・15」だ。15人目は、多い方なのか、少ない方なのか。
出発口ゲートBを通って、空席待ちカウンターに行く。ここで該当者の番号が呼ばれるのだ。きょうのANA東京行きは10本。この10本で私の番号が呼ばれなければ、沖縄本島に再度1泊ということになる。
いただいたチケットには、15時40分発までの飛行機の時間と、カウンターへの集合時間が記されている。番号の放送時刻は、出発の15分前だ。
まだ時間があるので、いったん搭乗口を出て、土産物売り場へ行く。用が済んだら、めんどうでも再び出発口ゲートを通り、再度空席待ちカウンターに行くのだ。
まず、宮古島モンテドールのバナナケーキを手に取る。これは以前、船戸陽子女流二段からリクエストがあったものだ。いまはそんなことはなくなったが、私が旅行に行く時は、船戸女流二段にお土産のリクエストをいただき、その商品を求めたものだった。
ときには入手困難な商品もあったが、船戸女流二段のためにそれを探すことがうれしくて、ちっとも苦にならなかった。
「シーサーしょうぎ」なるものがあったので、これも手に取る。「ルール考案・女流棋士 北尾まどか」とある。「どうぶつしょうぎ」の沖縄版といったところか。これはLPSAへのお土産とする。
親戚あての和菓子も買って、とりあえず清算。私はANAのクレジットカードを持っており、その直営店で買えば一律10%引きだ。
今回もその店で買ったつもりだったのだが、店を間違えてしまい、全然割引が利かなかった。朝が早いので、頭もボケており、こうしたウッカリが出る。
別の店に「White Tiger」を買いに行く。種類は4つで、3年、5年、7年、10年モノがある。当然10年モノがいちばん美味いのだろうが、いきなりこれを買うのは抵抗を覚える。
7年モノを買って、もし評判がよかったら、来年10年モノを買えばよい。私は7年モノを購入した。船戸女流二段のよろこぶ姿が目に浮かぶ。
1本目は8時00分発。いよいよ1回目の放送だ。
種別Bの、1から3まで呼ばれた。まあ、そうであろう。1本目で帰れるとは私も思っていない。
次の便は11時30分発なので、いったん空港を出る。ゆいレールに乗り、県庁北駅で下車。朝の国際通りを歩く。しかし通りは、やっと活動を始めたところだ。
牧志駅の近くまで進むと、郵便局が見えてきた。「牧志郵便局」。1日滞在が延びたので、貯金をすることができた。きょうは8月18日だから、818円の貯金だ。
再び牧志駅を越え、さらに進むと、牛丼と沖縄そばの専門店が見えてきた。6日前に入ったところだ。24時間営業なのがありがたい。ここで牛丼の朝食を摂る。
まだ時間があるので、ネットカフェで時間をつぶす。いろいろな将棋サイトを見たかったが、パソコンの画面が暗くなってきたのと、時間が押してきたので、後ろ髪を引かれつつも、店を出た。
再び空港に戻る。次は11時30分発の第2便だ。種別B・4~13まで呼ばれた。
おおっ!! これはかなり数字を稼いだ。次の飛行機は、12時45分発。これに乗って帰れる!! この東京・羽田着が15時10分。羽田空港から自宅まで1時間だから、きょうの仕事はあらかた終わってしまうが、仕方ない。
私は自宅に電話を入れた。テレホンカードの度数がまたたく間に消えていく。
私はケータイを持たない主義だが、こういうときは、通信料の心配がいらないケータイが重宝だと思う。
第3便・空席待ちの放送があった。ごちゃごちゃあったあと、やっと、という感じで、種別B・14が呼ばれた。これで第3便の空席待ちは終了。惜しい!! う~、こんなことなら、もっと早い時間に空席待ちチケットをもらっておくのだった!! ま、まあいい。これでいよいよ、次の便で帰れることが確定したのだ。
私は昼食を摂るべくゆいレールに乗り、2つ先の小禄(おろく)駅で降りた。
駅の近くにシャレたラーメン屋があったので、入る。空港の食事は高いので、摂らない。
ここはとんこつラーメンと餃子自慢の店だったので、オススメのとんこつ黒ラーメンと、餃子をオーダーする。
「お待ちの間にどうぞ」
とミニミニミニラーメンが供された。一口サイズの冷やし中華だった。こういうサービスはうれしい。
出されたラーメンは、とんこつ臭さがなく、美味。餃子はシューマイの形をしていて、それほどニンニクも利いてなく、食べやすかった。これで計590円はお値打ちだろう。本当に沖縄の食事代は、安くあがる。
女性店員もキビキビ動いて、好感の持てる店だった。
那覇空港にあるANAの売店で、液状唐辛子と、シークワーサー胡椒を買う。辛いもの好きの船戸女流二段へのお土産の追加だ。現在船戸女流二段は、「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の暫定2位に昇格している。1位の室谷由紀ちゃんにお土産を買えないので、船戸女流二段へのお土産が充実するわけだ。
いよいよ第4便、14時35分発空席待ちの発表だ。ここまで来ると、空席待ちカウンターに集まる顔ぶれが分かってきた。ちょっと歳の離れた母娘、本土に遊びに行きそうなおじい、モデルかと見紛うような美人。みな、なにかの都合でチケットを用意できなかった人ばかりだ。
モデル美人には、ちょっと惹かれる。私は長身の女性に弱い。船戸陽子、月見栞、山口恵梨子、道端ジェシカ、篠田麻里子。彼女らはみな、身長170センチはある美人である。
この便の東京着は16時55分。船戸女流二段主宰の「木曜ワインサロン」は19時00分からだから、自宅に帰るより、早めの晩飯を摂って、サロンに直接入ったほうがよい。
その場合、船戸女流二段には私の旅行スタイルを見られてしまうが、それもよい。
案内嬢がマイクを持った。「種別B――」
私だ!!
「11」
はああーーー??
なんで、11に戻るんだよっ!!
この空席待ちは、番号を飛ばされたら、無効となるはずだ。よく分からないが、何かの都合で、11番が後回しにされたのだろう。あとひとりなのに、何をグズグズしてるんだ。
私は焦りを覚えた。
第5便は15時40分発。この便に乗れないと、ワインサロンには間に合わない。
種別A、は呼ばれたが、Bは呼ばれなかった。みんな、ガッカリしてその場を離れていく。この種別Aというのが曲者である。私のようにふつうのANAクレジットカードを所有している人は、種別Bとなる。しかし頻繁に飛行機を利用し、然るべきカードを所有している人は、グレードアップされたクレジットカードとなり、Aとなる。
Aのメリットは数々あるが、空席待ちのとき、BやCよりも優先的に席を用意してもらえるというメリットがある。
私のように朝から待たなくても、席が空けば優先的に乗れるのだから、かなりの優遇だ。この調子でAが呼ばれ続けたら、私はきょう中に東京へ帰れない。
第6便、16時40分発。またも、Bは呼ばれなかった。一体、どうなっているのか。
第7便(臨時便)、17時10分発。前便からたった30分後なのに、これも満席。どこから人が集まってくるのか。
この飛行機は19時30分羽田着。ワインサロンは21時までだから、これに乗らないと、サロンもアウトとなる。いやサロンに間に合っても、ほとんど時間がない。そうなったら、船戸女流二段を飲みに誘っちゃおうか。何しろこちらは「White Tiger」を持っているのだ。さすがの船戸女流二段も、泡盛を目の前にチラつかせられては、首をタテに振らざるを得ないのではなかろうか。
…と、いろいろ妄想したが、種別Bは呼ばれなかった。とにかく全便満席で、空席待ちの乗客が入る隙がないのだ。こんなに沖縄を旅行している人が多かったのか、と思う。
どうせやることもないので、混雑の理由をいくつか考えてみる。

①今年は沖縄の旧盆が12日~14日で本土のそれと重なっており、ウミンチューの沖縄行きが増えた。
②JALが上場廃止したので、株主優待券を発行しているANAに、乗客が集中した。
③東日本大震災で東北旅行を予定していた人が、沖縄行きに振り替えた。
④前の週の台風で沖縄に行けなかった人が、旅程を1週間ズラした。
⑤静かな沖縄人気。

というところか。しかし沖縄の満員を分析したところで、何になろう。
第8便は18時55分発。羽田着は21時15分。これできょうのワインサロンは事実上欠席となった。
ただ、私はワインサロンの常連なので、私が連絡を入れない限り、「サロンは出席」となっている。
私はワインに詳しくないし、酒も飲めないのだが、それでも船戸女流二段主宰のサロンに出席しているのは、少しでも彼女とお近づきになり、あわよくば…という歪んだ下心があるからだ。
よって、もし船戸女流二段が結婚してしまったら、私がワインサロンに参加する意味は雲散霧消する。私は卑屈な男だ。ほかのファンはどうか知らぬが、人妻になった船戸女流二段を前にして平静でいられるなんて、私にはとてもできない。
…と、こんなバカなことを考えるのも、島井女流初段の結婚が相当尾を引いているからだろう。船戸女流二段が結婚するわけないじゃないか。
18時55分発だから、時間に余裕がある。
私は空港を出て、三度ゆいレールに乗った。皮肉だが、もう完全に、1日乗車券のモトは取った。
今度はひとつ先の赤嶺で降りる。BOOK OFFに入って時間をつぶしたあと、通りを挟んだ向かいのスーパーに入り、2リットルのスポーツドリンクを買う。137円。空港を出ると何やかやと買ってしまう。
那覇空港に戻り、またゲートをくぐる。きょう1日で、一体何回、くぐったろうか。
さて船戸女流二段に欠席の連絡を入れなければならない。しかしLPSAの電話番号が分からない。おぼろげな記憶があるのだが、自信がない。もしケータイを持っていたらLPSAの電話番号も記憶させていたに違いなく、ケータイの必要性を改めて感じた。
と、待合室の一隅に、ノートパソコンが置いてあった。10分間100円で、インターネットが使えるというものだ。
これだ! これでLPSAのサイトを検索し、電話番号を調べればよい。また、10分あれば、新着ニュースを確認することも十分可能だ。
私はショートパンツのポケットにある、小銭をまさぐった。
(つづく)
コメント (5)
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