沖縄から帰ってきて、体重が6kg落ちた。26日間で6kg…。いい減量になった。
まだ減るのか。
8月21日(日)は、川口市にある大野教室に行った。大野教室とは、日本将棋連盟棋士の大野八一雄七段が主宰する将棋教室である。
私は相変わらずショックを引きずって、将棋どころではないのだが、では将棋以外で何をやって気を紛らわせるかといえば、それもない。結局私には将棋しか、傷を癒してくれるものがないのだった。因果だ。
入口の扉を開けると、植山悦行七段が顔を出した。きょうの助っ人である。
「へっへっへっ」
私は、無理に作り笑いをする。
「なんですかそれは」
と、植山七段に不審に思われてしまった。植山七段には、19日のジョナ研での私の醜態は、耳に入っているのだろうか。
先客はWパパ氏、Akiちゃん、Hanaちゃん、W氏、Kun氏、Fuj氏、少年の計7名。のちにHon氏が来て、8名になった。オトナは全員、LPSA芝浦サロンの会員だ。LPSAはこの事態をどう思うか。
まずは大野七段との指導対局。角落ちだ。大野七段との対角落ち戦は1勝12敗。前局でやっと、白星を恵んでいただいた。
だが、この成績は角落ちのそれではない。とても手合いが違う。なかんずく、私の精神状態は最悪。とても勝てる気がしなかった。
…という状況で対局開始。全然将棋にならないと思っていたが、右脳では彼女のことを思い出しても、左脳で将棋の手を考えていたらしく、そこそこの将棋になった。
ここで久しぶりに、途中の局面の符号を記してみよう。
上手・大野七段(角落ち):1一香、1三歩、2一桂、2二銀、2三歩、3二王、3四歩、4二金、4三歩、5三銀、5四歩、6四金、6五歩、7三桂、7四飛、8五歩、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1七歩、1九香、2九桂、3五銀、3六飛、4五歩、5六歩、5八金、6七銀、6九玉、7八金、8七歩、8八角、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩4
大野七段が△3四歩と突きだしたところ。これを▲同銀では、△3三歩で局面が収まってしまう。ここは勝負どころである。私は強襲に出た。
▲2二角成△同王▲3四銀△3三歩▲2三銀成△同王▲2六飛△3二王▲2三歩
角を切って▲3四銀と出るのが強手。△3三歩には▲2三銀成と切りこみ、飛車を回って▲2三歩と垂らし、手になっている。角損の攻めだが上手は歩切れが痛く、下手が指せる。これは私の華麗な攻めが決まった。
ところがこの数手後、別の将棋が終わり、大野七段が感想戦に入ったため、手持ち無沙汰になった私が、左のW氏と例の話を始めたのがマズかった。話に夢中になってしまい、対局の緊張感が解けてしまったのだ。
再開後、私の桂打ちが次善手だった。手順に飛車交換を強要され、上手にも楽しみを与えてしまったのだ。
焦った私は冷静さを欠き、以下もズルズルと緩手を重ねる。最後はお決まりのように、下手玉が即詰みに討ち取られてしまった。
な、なんてことだ!
やはり最後は負ける運命だったのか。運命。負ける運命…。
なんだかまた落ち込んでしまうが、ここは芝浦サロンと違って、すぐに次の対局がつく。といっても次は植山七段だ。もちろん角落ち戦である。戦績は私の3勝5敗。やはり大野七段より、植山七段とのほうが戦いやすい。
将棋は相居飛車となったが、私が▲8九飛と転回したのが筋悪の構想だった。これでは玉飛接近の形になり、強い戦いができない。
私が劣勢の中、植山七段の指した△8七歩が妙手。飛車と金のどちらでも取れるが、以下上手の華麗な攻めが決まり、下手がつぶれてしまうのだ。
これはプロの底力を見せてもらった。ちなみに芝浦サロンでは、女流棋士に「いい手を喰らった」という印象はあまりない。
3局目は、またも大野七段との角落ち戦になったが、少年が手スキだったので、彼との対局に替えてもらう。このあたりは自在に行っていい。
少年が後手で、四間飛車に振ってきた。△1四歩と突いたので、それを緩手にすべく、私が山田流から仕掛ける。
…▲2一飛成△2二飛▲同竜△同角▲6六桂。と、ここまで定跡どおりに見えるが、後手には重大な欠陥があった。△5四歩が突いていなかったのだ。
△2七飛▲2一飛△2九飛成に、私の▲7四桂ハネが狙いすました一手。やむない△7四同歩に▲2二飛成△同竜▲5五角として、先手の勝ちが決まった。
ハメ手一発、という感じで、申し訳ない。しかし敗勢になってからの少年の指し手も粘り強く、将来有望と思った。
最後はAkiちゃんとである。中学生だが、このブログの数少ない女性読者だ。
いつだったかLPSA芝浦サロンメンバー一覧を書いたとき、棋力順に表したのだが、その順位に異を唱えたのが、Akiちゃん、Hanaちゃん姉妹だった。
「私の順位はもっと上だけど!」
と、パパに抗議したらしい。なかなかウルサイが、Akiちゃんには昨年の「信濃わらび合宿」で、平手で2連敗している。姉妹が怒るのも当然であった。
というわけで、Akiちゃんとの対局開始。私の後手四間飛車に、先手のAkiちゃんが▲5七銀左から、▲3七銀と上がった。
こ、これは…棒銀!? またも私の心臓の鼓動が、速くなった。
(つづく)
まだ減るのか。
8月21日(日)は、川口市にある大野教室に行った。大野教室とは、日本将棋連盟棋士の大野八一雄七段が主宰する将棋教室である。
私は相変わらずショックを引きずって、将棋どころではないのだが、では将棋以外で何をやって気を紛らわせるかといえば、それもない。結局私には将棋しか、傷を癒してくれるものがないのだった。因果だ。
入口の扉を開けると、植山悦行七段が顔を出した。きょうの助っ人である。
「へっへっへっ」
私は、無理に作り笑いをする。
「なんですかそれは」
と、植山七段に不審に思われてしまった。植山七段には、19日のジョナ研での私の醜態は、耳に入っているのだろうか。
先客はWパパ氏、Akiちゃん、Hanaちゃん、W氏、Kun氏、Fuj氏、少年の計7名。のちにHon氏が来て、8名になった。オトナは全員、LPSA芝浦サロンの会員だ。LPSAはこの事態をどう思うか。
まずは大野七段との指導対局。角落ちだ。大野七段との対角落ち戦は1勝12敗。前局でやっと、白星を恵んでいただいた。
だが、この成績は角落ちのそれではない。とても手合いが違う。なかんずく、私の精神状態は最悪。とても勝てる気がしなかった。
…という状況で対局開始。全然将棋にならないと思っていたが、右脳では彼女のことを思い出しても、左脳で将棋の手を考えていたらしく、そこそこの将棋になった。
ここで久しぶりに、途中の局面の符号を記してみよう。
上手・大野七段(角落ち):1一香、1三歩、2一桂、2二銀、2三歩、3二王、3四歩、4二金、4三歩、5三銀、5四歩、6四金、6五歩、7三桂、7四飛、8五歩、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1七歩、1九香、2九桂、3五銀、3六飛、4五歩、5六歩、5八金、6七銀、6九玉、7八金、8七歩、8八角、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩4
大野七段が△3四歩と突きだしたところ。これを▲同銀では、△3三歩で局面が収まってしまう。ここは勝負どころである。私は強襲に出た。
▲2二角成△同王▲3四銀△3三歩▲2三銀成△同王▲2六飛△3二王▲2三歩
角を切って▲3四銀と出るのが強手。△3三歩には▲2三銀成と切りこみ、飛車を回って▲2三歩と垂らし、手になっている。角損の攻めだが上手は歩切れが痛く、下手が指せる。これは私の華麗な攻めが決まった。
ところがこの数手後、別の将棋が終わり、大野七段が感想戦に入ったため、手持ち無沙汰になった私が、左のW氏と例の話を始めたのがマズかった。話に夢中になってしまい、対局の緊張感が解けてしまったのだ。
再開後、私の桂打ちが次善手だった。手順に飛車交換を強要され、上手にも楽しみを与えてしまったのだ。
焦った私は冷静さを欠き、以下もズルズルと緩手を重ねる。最後はお決まりのように、下手玉が即詰みに討ち取られてしまった。
な、なんてことだ!
やはり最後は負ける運命だったのか。運命。負ける運命…。
なんだかまた落ち込んでしまうが、ここは芝浦サロンと違って、すぐに次の対局がつく。といっても次は植山七段だ。もちろん角落ち戦である。戦績は私の3勝5敗。やはり大野七段より、植山七段とのほうが戦いやすい。
将棋は相居飛車となったが、私が▲8九飛と転回したのが筋悪の構想だった。これでは玉飛接近の形になり、強い戦いができない。
私が劣勢の中、植山七段の指した△8七歩が妙手。飛車と金のどちらでも取れるが、以下上手の華麗な攻めが決まり、下手がつぶれてしまうのだ。
これはプロの底力を見せてもらった。ちなみに芝浦サロンでは、女流棋士に「いい手を喰らった」という印象はあまりない。
3局目は、またも大野七段との角落ち戦になったが、少年が手スキだったので、彼との対局に替えてもらう。このあたりは自在に行っていい。
少年が後手で、四間飛車に振ってきた。△1四歩と突いたので、それを緩手にすべく、私が山田流から仕掛ける。
…▲2一飛成△2二飛▲同竜△同角▲6六桂。と、ここまで定跡どおりに見えるが、後手には重大な欠陥があった。△5四歩が突いていなかったのだ。
△2七飛▲2一飛△2九飛成に、私の▲7四桂ハネが狙いすました一手。やむない△7四同歩に▲2二飛成△同竜▲5五角として、先手の勝ちが決まった。
ハメ手一発、という感じで、申し訳ない。しかし敗勢になってからの少年の指し手も粘り強く、将来有望と思った。
最後はAkiちゃんとである。中学生だが、このブログの数少ない女性読者だ。
いつだったかLPSA芝浦サロンメンバー一覧を書いたとき、棋力順に表したのだが、その順位に異を唱えたのが、Akiちゃん、Hanaちゃん姉妹だった。
「私の順位はもっと上だけど!」
と、パパに抗議したらしい。なかなかウルサイが、Akiちゃんには昨年の「信濃わらび合宿」で、平手で2連敗している。姉妹が怒るのも当然であった。
というわけで、Akiちゃんとの対局開始。私の後手四間飛車に、先手のAkiちゃんが▲5七銀左から、▲3七銀と上がった。
こ、これは…棒銀!? またも私の心臓の鼓動が、速くなった。
(つづく)