昨年2月14日(月)のLPSA芝浦サロンは、マンデーレッスンSの特別講師が中倉宏美女流二段、「芝浦サロン」が藤森奈津子女流四段の担当だった。
この日私は北海道から帰京し、宏美女流二段に手作りワイングラスのお土産を用意していた。
世の男性にとって2月14日は「バレンタインデー」だが、私にはまったく関係ない。情けないことに、いままでの人生で個人的にチョコレートをもらったことがない。よって、この日も淡々と指導対局が進行するものと思っていた。
ところが、午後6時前に私が入室すると、松尾香織女流初段と宏美女流二段が私に寄り添ってきて、バレンタインチョコをくれたので、びっくりした。
まあバレンタインデーだからといえばそれまでで、香織女流初段からのそれは、その前年にマッカランを贈ったときのお返しだった。また宏美女流二段にしても、私が北海道を旅行中に、小樽でワイングラスを買ったことをブログに記していたから、宏美女流二段があらかじめお返しを用意していた可能性が高かった。
つまり両者とも、バリバリの義理チョコだったのである。これは当然である。それでも私は、とてもうれしかった。今後の人生では、もういただくことはないだろうから、これは記念のチョコになった。
さて奈津子女流四段との指導対局である。私の居飛車明示に、奈津子女流四段は十八番の三間飛車。永遠のアイドルの三間飛車を教えていただく。これは光栄なことである。
私は▲3六歩から左美濃に構える。いまなら「えっ?」と疑問を感じる指し方で、▲3六歩と突いたからには▲6八銀から▲5七銀左だろう。
私は▲5七銀と上がって▲4六歩だが、これもチグハグな気がする。どうもこのあたり、私はチョコレートに浮かれていて、対局に身が入っていなかった気がする。
しかし奈津子女流四段にも小ミスが出て、ちょっとした錯覚から、1歩損をしてしまった。
「ダメだ…ダメだ…」
と自己嫌悪に陥る奈津子女流四段。しかし、それほど絶望するミスではない。
飛車交換になり、私は▲2一歩成と一足先に桂得する。そのと金を、3一~3二と活用した。ずいぶん余裕のある指し方だ。
奈津子女流四段は△8三香とミサイルをセットし、待望の△8五歩。以下の折衝で私に疑問手があったと思うのだが、そこは飛ばして、ハイライトの局面を記す。

以下の指し手。△8六香▲7七玉△7四金▲8七歩△8五桂▲8八玉△7七歩▲同桂△6七銀▲8五金△6八銀成▲7四金△7九角▲8九玉△7八成銀▲同金△9七角成▲7九歩△8八歩▲同金△同馬▲同玉△2八竜 まで、奈津子女流四段の勝ち。
私が▲7六金と歩を払うと、奈津子女流四段は△8六香。これに私が▲7七玉と逃げたのが不可解だが、取るとのちの△6七銀がイヤだったのだろう。
しかし本譜も△6七銀が入って、私が敗勢になった。
△6八成銀に、勝手にしやがれと▲7四金。奈津子女流四段は7八の銀を取ってから△9七角成。しかし奈津子女流四段は、
「アッ…またやっちゃった…」
と口走る。私は▲7九歩。奈津子女流四段は△9七角成であらかた寄り、と見ていたのだが、▲7九歩の素朴な合い駒を軽視していたらしい。
しかし私は私で、この局面は下手手負けと読んでいた。△9七角成と王手されて先手玉が寄らなかった例は、いままで見たことがないからだ。
△8八歩から△2八竜と迫られ、いまはこれまでと判断した私は、潔く投了した。
ところが、奈津子女流四段は怪訝そうである。傍らのIs氏も交えた感想戦に入ったが、ここで▲7八桂合はどうか、というのだ。
合い駒は△8七歩成~△8六金で詰み、と即断したのだが、その順は桂が利いていて無効だ。はああー?
いや、△8七歩成が利かないのなら事情が違う。私は自分に呆れて座り直す。検討したが、下手玉はやっぱり詰みがない。となると、上手王は詰めろだから受ける必要があるが、△7五角もアタリになっているので、存外忙しい。先ほど奈津子女流四段が困惑していたのは、ここまで読んだからだったのか。
私は呆然とする。ま、また私は、勝ちの局面で投了してしまったのだろうか??
い、いや、厳密にいえばそれでも下手が負けだろうが、桂合いまでは指すべきだった。あまりにも不甲斐ない終盤に嫌気がさし、早々と勝負を諦めすぎた。何ということだ…。
しかし、義理チョコまで貰って、指導対局まで勝とうというのは虫がよすぎる。これでよかったのだと思う。
なお、奈津子女流四段とはこのあと、4月のジャンジャンマンデーで対局して以来、盤を挟んでいない。また教えていただきたいと思っている。
この日私は北海道から帰京し、宏美女流二段に手作りワイングラスのお土産を用意していた。
世の男性にとって2月14日は「バレンタインデー」だが、私にはまったく関係ない。情けないことに、いままでの人生で個人的にチョコレートをもらったことがない。よって、この日も淡々と指導対局が進行するものと思っていた。
ところが、午後6時前に私が入室すると、松尾香織女流初段と宏美女流二段が私に寄り添ってきて、バレンタインチョコをくれたので、びっくりした。
まあバレンタインデーだからといえばそれまでで、香織女流初段からのそれは、その前年にマッカランを贈ったときのお返しだった。また宏美女流二段にしても、私が北海道を旅行中に、小樽でワイングラスを買ったことをブログに記していたから、宏美女流二段があらかじめお返しを用意していた可能性が高かった。
つまり両者とも、バリバリの義理チョコだったのである。これは当然である。それでも私は、とてもうれしかった。今後の人生では、もういただくことはないだろうから、これは記念のチョコになった。
さて奈津子女流四段との指導対局である。私の居飛車明示に、奈津子女流四段は十八番の三間飛車。永遠のアイドルの三間飛車を教えていただく。これは光栄なことである。
私は▲3六歩から左美濃に構える。いまなら「えっ?」と疑問を感じる指し方で、▲3六歩と突いたからには▲6八銀から▲5七銀左だろう。
私は▲5七銀と上がって▲4六歩だが、これもチグハグな気がする。どうもこのあたり、私はチョコレートに浮かれていて、対局に身が入っていなかった気がする。
しかし奈津子女流四段にも小ミスが出て、ちょっとした錯覚から、1歩損をしてしまった。
「ダメだ…ダメだ…」
と自己嫌悪に陥る奈津子女流四段。しかし、それほど絶望するミスではない。
飛車交換になり、私は▲2一歩成と一足先に桂得する。そのと金を、3一~3二と活用した。ずいぶん余裕のある指し方だ。
奈津子女流四段は△8三香とミサイルをセットし、待望の△8五歩。以下の折衝で私に疑問手があったと思うのだが、そこは飛ばして、ハイライトの局面を記す。

以下の指し手。△8六香▲7七玉△7四金▲8七歩△8五桂▲8八玉△7七歩▲同桂△6七銀▲8五金△6八銀成▲7四金△7九角▲8九玉△7八成銀▲同金△9七角成▲7九歩△8八歩▲同金△同馬▲同玉△2八竜 まで、奈津子女流四段の勝ち。
私が▲7六金と歩を払うと、奈津子女流四段は△8六香。これに私が▲7七玉と逃げたのが不可解だが、取るとのちの△6七銀がイヤだったのだろう。
しかし本譜も△6七銀が入って、私が敗勢になった。
△6八成銀に、勝手にしやがれと▲7四金。奈津子女流四段は7八の銀を取ってから△9七角成。しかし奈津子女流四段は、
「アッ…またやっちゃった…」
と口走る。私は▲7九歩。奈津子女流四段は△9七角成であらかた寄り、と見ていたのだが、▲7九歩の素朴な合い駒を軽視していたらしい。
しかし私は私で、この局面は下手手負けと読んでいた。△9七角成と王手されて先手玉が寄らなかった例は、いままで見たことがないからだ。
△8八歩から△2八竜と迫られ、いまはこれまでと判断した私は、潔く投了した。
ところが、奈津子女流四段は怪訝そうである。傍らのIs氏も交えた感想戦に入ったが、ここで▲7八桂合はどうか、というのだ。
合い駒は△8七歩成~△8六金で詰み、と即断したのだが、その順は桂が利いていて無効だ。はああー?
いや、△8七歩成が利かないのなら事情が違う。私は自分に呆れて座り直す。検討したが、下手玉はやっぱり詰みがない。となると、上手王は詰めろだから受ける必要があるが、△7五角もアタリになっているので、存外忙しい。先ほど奈津子女流四段が困惑していたのは、ここまで読んだからだったのか。
私は呆然とする。ま、また私は、勝ちの局面で投了してしまったのだろうか??
い、いや、厳密にいえばそれでも下手が負けだろうが、桂合いまでは指すべきだった。あまりにも不甲斐ない終盤に嫌気がさし、早々と勝負を諦めすぎた。何ということだ…。
しかし、義理チョコまで貰って、指導対局まで勝とうというのは虫がよすぎる。これでよかったのだと思う。
なお、奈津子女流四段とはこのあと、4月のジャンジャンマンデーで対局して以来、盤を挟んでいない。また教えていただきたいと思っている。