一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

二十たび大野教室に行く(中編)・負け続ける

2012-02-26 00:37:27 | 大野教室
彼女は紛れもない、大野教室の生徒だった。うら若き女性が、ひとりで大野教室の門を叩いたのだ。これは珍しいことである。
ちょうど午後3時になり、休憩&詰将棋タイムになった。彼女は5手詰まで解いたことがあるという。これはかなりの手練れだ。大野八一雄七段が初級者向けの詰将棋プリントを渡すと、それを真剣な表情で解いていた。
私とMinamiちゃんは、対局を続行中である。Minamiちゃんは快調に攻めていたが、ちょっと攻めが重かった。私は寸隙を衝いて反撃に転じる。
これが的確にヒットして、最後は私が幸いした。しかしMinamiちゃん、敗れたりとはいえ、序・中盤は見事な指し回しだった。このまま努力を続ければ、女流棋士も夢ではない。
私は妙齢の彼女を見るが、いまは大野七段に六枚落ちで教わっている。彼女がこの教室のレギュラーになるか否かは、大野七段の指導法にかかっている。
しばらく休んだあと、私は植山悦行七段の前に座るが、植山七段はほかの指導対局に忙しい。また彼女を窺うが、真剣な表情だ。先ほどは、父君だか旦那様だかの紹介で来たといっていたが、やっぱり人妻なんだ、と思う。
植山七段との指導対局開始。角落ちである。植山七段は飛車先の歩突きを保留し、△7四歩~△6四銀。△7五銀に私は▲6六銀右とぶつけ、△6四銀に▲5八飛。植山七段も△5二飛と対抗して、激しいことになった。私は落ち着いた将棋が好きだが、時おり激しい将棋も指す。要するに、どんな将棋も好きなのだ。
数手進んで、上手△5二飛、5四金、6三歩、6四銀、8一桂、下手▲4九金、5八飛、6六銀、7六銀、8八角。
ここで私は▲5五歩と打ったが、グイッと△4五金と出られて、おかしくなった。私は▲4八金だが上手は△5六歩。以下△5五銀と出られ、一遍に形勢を損ねた。
さらに数手後、▲6五銀めがけて、△7三桂と跳ねた手がピッタリ。この銀が動くと、△5四飛と歩を払いながら飛び出され、△2四飛~△2九飛成が受からない。私は数手指して投了した。
しかしひどい手を指したものだ。▲5五歩と打って△4五金と出られた将棋は、以前もあった。その将棋も完敗だったのに、ちっとも学習していない。
飛車が向かい合っていて、その間に駒が挟まっている場合は、その駒のあるほうが神経を遣う。本局は上手が指しにくいのに、それを▲5五歩と打って帳消しにしてしまっては下手が大損だった。
前日のフランク戦で、△6四角(打)▲3七角(打)に私が△5五歩と打ったのがマズかったように、自ら大駒の利きを止める手は、疑問手だと疑ってかかったほうがいい。
本局、▲5五歩に代わる手は、▲7四歩を推奨された。じっと歩を打ち敵桂の活用を抑える手で、いかにもプロ好みの一手。これで上手に、やってこい、と催促するわけだ。
しかし▲7四歩とは…。私の棋力では見つけられなかったと思う。プロとの指導対局は、得るものが多い。「▲5五歩は悪手」「▲7四歩とじっと打つ感覚」を、今度こそ身につけたいと思う。
4局目はHis氏と。His氏は研究熱心で、遠距離からの参加には頭が下がる。
His氏の先手で▲7六歩△3四歩▲2二角成△同銀▲4五角。His氏が時折り見せる意欲的な作戦で、昨年11月の将棋合宿でもこれを受けた。
序盤早々1歩損をするのはおもしろくないが、これを避けることはできない。漠然と駒組を進めたが、そのまま作戦負けに陥った。中盤で△6一金、6三銀、7二銀、8二飛と、高美濃囲いの中に飛車を入っているようでは、指すのがイヤになった。
しかし、△6七角にHis氏が▲8六飛と浮いたのが悪手。△7四歩と突いて、▲7五銀が死んでしまった。His氏は▲5七馬と角を取りに来たが、私は△5六角成と金を取り、▲同馬に△7五歩と銀を取る。角と金銀の二枚換えで、急に私がよくなったのでビックリした。
しかしその後、▲2四馬の王手に△3三金と立ち、▲7九馬に△8四歩と突いたのが大悪手。すかさず▲2二角と打たれ、香取りが受からない。こんな簡単な手が見えないなんて…。クサッた私は、ここで投了した。
まだ早いでしょう、とHis氏は呆れ顔だが、勝てない将棋を指しても意味がないのだ。
私の居飛車明示に、Ma君はゴキゲン中飛車。私は超速▲3七銀で迎え討つ。
激しい攻め合いになり、私▲3八飛、4五桂、5三銀、5五銀、8八角 持駒銀、Ma君△3三桂、3七と、4二角、5一金、5二飛、囲いは二枚穴熊…の局面。私が▲5三銀と打ち、Ma君が△3七歩成としたところ。
私は素直に▲同飛だが、△4五桂▲5二銀成△3七桂成▲5一成銀△同角の結果は、後手の駒をすべて捌かせてしまい、甚だおもしろくなかった。
実戦もむずかしいところがあったのだが、最後はMa君に寄せ切られた。
感想戦では、▲3七同飛のところで、▲5二銀成を指摘された。△3八と▲4二成銀△4五桂▲5一成銀△3七桂成▲6一金の結果は先手よし、とのことだった。
たしかにそうで、▲3七同飛は付き合いがよすぎた。この重大な局面で、腰を落とさず考えなかった自分が情けない。
このときだったか、W氏が、大沢さんは、食事会のほうに意識が行ってるんじゃないの? といったがこれもたしかにそうで、要するにいまの私には、将棋愛がないのだ。これでは大野教室にお邪魔してもムダなカネを落としているだけ。もっと将棋に身を入れないとダメだと思った。
(つづく)
コメント (3)
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