音の主は5丁目会場からだった。ミッキーマウスの大雪像の前で、自衛隊が楽器を演奏していた。毎年恒例、陸上自衛隊第11個師団音楽隊の雪まつりコンサートである。
さっぽろ雪まつりでは、雪像の鑑賞とともに、ステージイベントをどう楽しむかがカギである。自衛隊のコンサートは、私が楽しみにしているイベントのひとつであった。
しかし演奏はすぐに終了してしまった。時刻は午後2時28分。例年だと午後2時から2時半までだから、もう終わりだろうか。しかしそこはアンコールがあり、最後にもう1曲だけ、彼らの演奏を聴くことができた。
私は大いに満足して、11丁目方面に向かう。6丁目・食の広場内にある観光案内所で、パンフレットをいただく。スケジュール表を見るが、私が毎年楽しみにしている「雪まつりフィナーレ」は、8丁目会場で午後6時から行われる。
ただしそれはHTBの主催で、さっぽろ雪まつりの公式行事ではない。かつての「フィナーレ」は各会場の代表者が登場したり、新旧ミスさっぽろの交代式があったりして、雪まつりの一大イベントだったが、最近はそれもなくなってしまった。
その8丁目・雪のHTB広場は、会津鶴ヶ城が聳えていた。1月の東北旅行では、会津若松駅の近くに泊まりながら鶴ヶ城は観光しなかったが、ここでそれを補うことができた。
10丁目の大雪像は、テレビアニメ「トリコ」と「ワンピース」のコラボレーション。ワンピースは人気が高い。
11丁目は国際広場で、世界各国の代表が雪像を制作している。ここも名寄に劣らず、見応えのある作品ばかりだ。
12丁目は市民の広場。さまざまな雪像が並んでいる。出口付近に、リラックマの雪像があった。リラックマは口を「ヘ」の字にしているのが人気の秘密と思う。
そしてリラックマといえば、収集家の島井咲緒里女流二段である。島井ちゃんとリラックマは、よく見ると顔がそっくりだ。どちらも癒し系である。
大通会場は右側通行で、ここで雪像も終わりだからUターンするが、私は真っ直ぐ歩き、その先にある札幌市資料館にお邪魔する。これが本筋である。
ここの2階には、市民の手による絵画や織物が展示(販売)されている。早速2階に上がり、それらを鑑賞する。ある一室では、ゆきみどりさんの手による、フォトグラフが展示されている。みどりさんとは毎年ここで会い、雑談をするのが恒例となっている。今年も懐かしい再会を果たし、近況を語り合った。
「ほほえみ地蔵」の展示室にも入る。雪だるま風のお地蔵様が、心に残る一言を「ふふふ」とつぶやいている絵が、あっちこっちに飾られている。ポストカードは1枚150円で売られているから、これはと思うつぶやきを購入するとよい。
傍らにいらっしゃるのは、このお地蔵様の作者か。しかし声を掛けられない。逡巡していると、その人は出て行ってしまった。
記念にハガキを買うが、作者氏の名刺をいただいた。やはり先ほどの人がそうだったらしい。
資料館を出ると、先ほど見かけた、ほほえみ地蔵の生みの親である乞望(こうぼう)こと、斉藤政勝氏が佇んでいたので、思い切って挨拶する。
いままでは一部屋だったが、来年は展示室と販売室と二部屋に分ける予定だという。これは来年が楽しみだ。
ここからは復路である。前方に人だかりがある。近づいてみると、「初音ミク」だった。雪まつり前半に倒壊して新聞記事にもなったが、このたび復元されたのだ。これは極めて珍しいケースで、私も1枚、写真を撮った。
食の広場に、幌加内そば(かけそば)が売られていたので、頼む。ここで幌加内そばが食べられるとは…と楽しみにしていると、出てきたそばは、小麦粉のやたら多い、普通のそばだった。これは看板に偽りありだろう。
しかし寒空の下、温かいそばはこよなく美味く、つゆまで全部飲みほしてしまった。これではもう、文句を言えない。
その先にある北方領土署名コーナーで署名する。これも毎年の恒例行事である。
4丁目は「雪の水族館」。ここで私は大通を外れ、すすきの方面に向かう。といってもすすきの会場へは行かず、私は降雪の避難も兼ね、とあるデパートに入った。ここの5階に「まんだらけ」があるのだ。
旅先での古本屋めぐりは、私の隠れ趣味である。しかし今回は、掘り出し物はなかった。
ちなみに雪まつり会場はほかに「つどーむ会場」というのがあるが、そこは距離的に遠いのでいまだ行ったことがなく、今回も行かない。
時刻は4時40分。再び大通会場に戻り、売店で雪まつりバッジを買う。これも私の定跡である。このおカネが来年の雪像制作資金の一部となるのだ。しかし、やることは毎年同じだ。
5丁目のPRブースに入る。ヒーターを販売しているメーカーがミス・ハワイを招んでいて、彼女が5時からフラダンスを踊ることになっているのだ。
待望の5時。ミス・ハワイの踊りは優雅で、ここが北海道であることを忘れさせてくれた。
またも売店に寄って、今度は雪まつり絵ハガキを買う。16枚セットで500円。
その後もいろいろ周って、1丁目にあるテレビ塔に向かう。空はすっかり暗くなっている。展望塔に上ってもいいのだが、700円はちょっと高い。しかもいまは15分待ち。これではやはり、パスである。
もっとも横に女性がいれば、この限りではない。中井広恵女流六段や中倉宏美女流二段がいたなら、絶対に上る。口説くにはモッテコイの舞台だからである。
テレビ塔のたもとの売店に、キティちゃんのネーム入りハンカチが売られていた。Mizumo、Kokoro、Minamiと探すが、Minamiしかない。Minamiもけっこう珍しい名前だと思うのだが、それがあるのは「タッチ」の影響だろう。というわけで、Minamiちゃんだけに、ハンカチを買う。ほかのふたりには申し訳なかった。今度埋め合わせをするよ。
時刻は6時を過ぎている。8丁目に着いた。HTB広場のフィナーレは、地元民と思しき「よさこい」グループが、熱い演舞を披露していた。しかし…いささか腹が減った。食の広場で食してもいいのだが、11丁目脇にあるオレンジの看板が気になる。「吉野家」である。
また牛丼かよ…と自嘲しつつ、私は吉野家へ入り、牛鍋丼をかっ食らった。ちょっとシラタキの量が多かったが、280円は安い。
だが考えてみたら、3日連続で牛丼である。食の宝庫・北海道に来ながらこの食事とは、我ながら貧しい。
(つづく)
さっぽろ雪まつりでは、雪像の鑑賞とともに、ステージイベントをどう楽しむかがカギである。自衛隊のコンサートは、私が楽しみにしているイベントのひとつであった。
しかし演奏はすぐに終了してしまった。時刻は午後2時28分。例年だと午後2時から2時半までだから、もう終わりだろうか。しかしそこはアンコールがあり、最後にもう1曲だけ、彼らの演奏を聴くことができた。
私は大いに満足して、11丁目方面に向かう。6丁目・食の広場内にある観光案内所で、パンフレットをいただく。スケジュール表を見るが、私が毎年楽しみにしている「雪まつりフィナーレ」は、8丁目会場で午後6時から行われる。
ただしそれはHTBの主催で、さっぽろ雪まつりの公式行事ではない。かつての「フィナーレ」は各会場の代表者が登場したり、新旧ミスさっぽろの交代式があったりして、雪まつりの一大イベントだったが、最近はそれもなくなってしまった。
その8丁目・雪のHTB広場は、会津鶴ヶ城が聳えていた。1月の東北旅行では、会津若松駅の近くに泊まりながら鶴ヶ城は観光しなかったが、ここでそれを補うことができた。
10丁目の大雪像は、テレビアニメ「トリコ」と「ワンピース」のコラボレーション。ワンピースは人気が高い。
11丁目は国際広場で、世界各国の代表が雪像を制作している。ここも名寄に劣らず、見応えのある作品ばかりだ。
12丁目は市民の広場。さまざまな雪像が並んでいる。出口付近に、リラックマの雪像があった。リラックマは口を「ヘ」の字にしているのが人気の秘密と思う。
そしてリラックマといえば、収集家の島井咲緒里女流二段である。島井ちゃんとリラックマは、よく見ると顔がそっくりだ。どちらも癒し系である。
大通会場は右側通行で、ここで雪像も終わりだからUターンするが、私は真っ直ぐ歩き、その先にある札幌市資料館にお邪魔する。これが本筋である。
ここの2階には、市民の手による絵画や織物が展示(販売)されている。早速2階に上がり、それらを鑑賞する。ある一室では、ゆきみどりさんの手による、フォトグラフが展示されている。みどりさんとは毎年ここで会い、雑談をするのが恒例となっている。今年も懐かしい再会を果たし、近況を語り合った。
「ほほえみ地蔵」の展示室にも入る。雪だるま風のお地蔵様が、心に残る一言を「ふふふ」とつぶやいている絵が、あっちこっちに飾られている。ポストカードは1枚150円で売られているから、これはと思うつぶやきを購入するとよい。
傍らにいらっしゃるのは、このお地蔵様の作者か。しかし声を掛けられない。逡巡していると、その人は出て行ってしまった。
記念にハガキを買うが、作者氏の名刺をいただいた。やはり先ほどの人がそうだったらしい。
資料館を出ると、先ほど見かけた、ほほえみ地蔵の生みの親である乞望(こうぼう)こと、斉藤政勝氏が佇んでいたので、思い切って挨拶する。
いままでは一部屋だったが、来年は展示室と販売室と二部屋に分ける予定だという。これは来年が楽しみだ。
ここからは復路である。前方に人だかりがある。近づいてみると、「初音ミク」だった。雪まつり前半に倒壊して新聞記事にもなったが、このたび復元されたのだ。これは極めて珍しいケースで、私も1枚、写真を撮った。
食の広場に、幌加内そば(かけそば)が売られていたので、頼む。ここで幌加内そばが食べられるとは…と楽しみにしていると、出てきたそばは、小麦粉のやたら多い、普通のそばだった。これは看板に偽りありだろう。
しかし寒空の下、温かいそばはこよなく美味く、つゆまで全部飲みほしてしまった。これではもう、文句を言えない。
その先にある北方領土署名コーナーで署名する。これも毎年の恒例行事である。
4丁目は「雪の水族館」。ここで私は大通を外れ、すすきの方面に向かう。といってもすすきの会場へは行かず、私は降雪の避難も兼ね、とあるデパートに入った。ここの5階に「まんだらけ」があるのだ。
旅先での古本屋めぐりは、私の隠れ趣味である。しかし今回は、掘り出し物はなかった。
ちなみに雪まつり会場はほかに「つどーむ会場」というのがあるが、そこは距離的に遠いのでいまだ行ったことがなく、今回も行かない。
時刻は4時40分。再び大通会場に戻り、売店で雪まつりバッジを買う。これも私の定跡である。このおカネが来年の雪像制作資金の一部となるのだ。しかし、やることは毎年同じだ。
5丁目のPRブースに入る。ヒーターを販売しているメーカーがミス・ハワイを招んでいて、彼女が5時からフラダンスを踊ることになっているのだ。
待望の5時。ミス・ハワイの踊りは優雅で、ここが北海道であることを忘れさせてくれた。
またも売店に寄って、今度は雪まつり絵ハガキを買う。16枚セットで500円。
その後もいろいろ周って、1丁目にあるテレビ塔に向かう。空はすっかり暗くなっている。展望塔に上ってもいいのだが、700円はちょっと高い。しかもいまは15分待ち。これではやはり、パスである。
もっとも横に女性がいれば、この限りではない。中井広恵女流六段や中倉宏美女流二段がいたなら、絶対に上る。口説くにはモッテコイの舞台だからである。
テレビ塔のたもとの売店に、キティちゃんのネーム入りハンカチが売られていた。Mizumo、Kokoro、Minamiと探すが、Minamiしかない。Minamiもけっこう珍しい名前だと思うのだが、それがあるのは「タッチ」の影響だろう。というわけで、Minamiちゃんだけに、ハンカチを買う。ほかのふたりには申し訳なかった。今度埋め合わせをするよ。
時刻は6時を過ぎている。8丁目に着いた。HTB広場のフィナーレは、地元民と思しき「よさこい」グループが、熱い演舞を披露していた。しかし…いささか腹が減った。食の広場で食してもいいのだが、11丁目脇にあるオレンジの看板が気になる。「吉野家」である。
また牛丼かよ…と自嘲しつつ、私は吉野家へ入り、牛鍋丼をかっ食らった。ちょっとシラタキの量が多かったが、280円は安い。
だが考えてみたら、3日連続で牛丼である。食の宝庫・北海道に来ながらこの食事とは、我ながら貧しい。
(つづく)