10日(金)は、すすきのの近くにあるカプセルホテルに泊まり、11日(土・祝)は午前6時10分に起きた。きのうは夢のような1日だったが、きょうから現実的な1日に戻る。きょうは道内北にある名寄まで向かい、引き返して旭川で宿泊する予定である。
まず、徒歩で札幌駅に向かう。駅に着き、札沼線(学園都市線)のホームに上がる。立ち食いそば屋があったので、反射的にかけそばをたぐった。寒空の中で食べるそばは、こよなく美味い。
7時02分発の石狩当別行きの電車に乗る。札沼線は私の好きな路線で、北海道に来たら乗ることにしている。この電車は4両編成で乗客も多いが、徐々にローカル色を出してくるのだ。
定刻を2分遅れの7時49分、石狩当別着。ここで新十津川行きに乗り換える。ディーゼルカーの1両編成である。ボックス席に1人が占領しても、席が全部塞がらない。ここからが札沼線の本領発揮である。7時51分発。
列車はスルスルと走るが、沿線の雪が半端な量ではない。列車のすぐ脇にまで、雪が積もっている。これは異常事態だ。右に国道275号が並走しているが、その道路が雪に遮られて見えない。木々にかかっている雪も、例年より多い。
石狩月形、8時23分着。ここで17分の待ち合わせである。列車の乗客は数人にまで減っているが、時刻表やカメラを表に出している手合いが多いから、鉄道マニアであることは疑いない。めいめいが列車の外に出て、車両や駅舎を撮影している。私もそうする。
しかしなんたる雪の量だ。私は毎年札沼線に乗っているから、いわば定点調査をしているようなものだが、今年の雪は、例年のそれとは全然違う。駅舎の屋根にはごってりと雪がかぶっている。
側線にある除雪車がゆるゆると動きだした。今年は除雪のしがいがあるだろう。
ひとしきり写真を撮ったあと、運転手さんに話しかける。
「今年の雪はすごいですね」
「すごいねー。列車より雪のほうが高いもんね。ほら、あの信号。もう少しで見えなくなっちゃうでしょ。私も20年この列車に乗ってるけど、こんな雪は初めてです」
もう呆れました、という顔だった。
8時40分、石狩月形発。そこからゆるゆる走って、9時28分、新十津川に着いた。最終の乗客は6人。うちひとりは地元のおばちゃんで、残りの5人は鉄道マニアだった。
新十津川は私の好きな駅のひとつだが、付近がこれまた、ものすごい積雪だ。駅舎に入ると、駅のスタンプと旅ノートが設置されていた。「札沼線ヒストリー」なる小冊子も数部置かれていて、鉄道マニアを歓迎してくれている。
駅舎を撮影したあと、名残り惜しいが、国道に出る。ここ役場前から、滝川バスターミナルまでのバスが通じているのだ。
しかし待合所のベンチ手前には雪が積もっていて、中に入れない。ふぶいているから雪よけをしたいが、ままならない。そのまま我慢して、バスが来るのを待つ。4分遅れで、バスが到着した。新十津川役場前9時54分発。
定刻を6分遅れの10時09分、滝川バスターミナル着。続いて10時30分発の深川市立病院前行きのバスに乗った。
11時21分、深川市立病院前着。着きましたよ、と運転手さんに起こされる。乗客は私ひとりであった。
深川駅に向かう。路線バスが必ずしも駅前に横付けする必要はないが、病院前から駅までは、けっこう距離がある。深川駅に着いた。
ここからJRバス・深名(しんめい)線に乗る。「深川」と「名寄」を結ぶから深名線である。1995年まで走っていたローカル線をトレースする代替線で、車内から見る雪景色は出色である。札幌→新十津川→滝川→深川→名寄は、冬の北海道で何度もおこなっている、一公流最強ルートなのである。
中型バスが駅前に横づけされ、私は最前席に座る。車内は運転席より一段高くなっていて、ここが特等席である。私は回数券を2冊買った。2,000円で2,200円分となる。ふつうに現金を払うよりトクで、知ると知らないとでは200円の差が出る。回数券の購入は、知っておくべき手筋である。この運転手さんは人の好さそうな人で、ほかの乗客にも回数券の説明をしていた。
定刻11時45分を2分遅れて、バスは発車した。
バスは山間を走る。あたりは一面の雪、雪、雪で、景色もへったくれもない。運転手さんは本部の人と、道路状況をマメに連絡し合っている。
13時02分、幌加内バスターミナルに着いた。ここで15分の待ち合わせ。ターミナル内にあるそば屋が営業していて、幌加内そばを食したいが、15分では時間がない。後ろ髪を引かれる思いで、私はバスに戻った。13時17分、幌加内発。
さて、ここからが思案のしどころである。今回の旅の目的は、各地で行われている雪まつりの雪像や氷像の鑑賞だが、それは夜間が望ましい。ライトアップされて、像が生き生きとした表情を見せるからだ。
きょうは名寄と旭川に寄るが、どちらも雪まつりをやっている。名寄は「雪質日本一フェスティバル」、旭川は「旭川冬まつり・氷彫刻世界大会」で、これらは昼よりも夜に見たいところだ。
私は頭の中で読みを入れる。この先のルオント前で13時36分に下車し、せいわ温泉ルオントと、幌加内そばを堪能。そして次の16時16分のバスで名寄方面に向かう。名寄駅前に着くのは17時59分になる。そこから名寄の雪まつりに行くと、次に乗れる旭川行き普通列車は20時11分。この旭川着が21時43分だが、旭川雪まつりのライトアップは午後9時か10時で終了している。つまり両方見るのは、時間的に無理である(…と考えていたのだが、今回旅行記を書くにあたり、いま時刻表を改めて確認すると、名寄→旭川は19時37分名寄発の特急列車があり、これを利用することで、両方の「夜」の雪まつりを鑑賞することが可能ということが分かった!!)。
とすれば、名寄の雪まつりの観光を昼のうちに済ませて、夜は旭川にするか。
しかし、せいわ温泉ルオントと幌加内そばは毎年の楽しみだし、その手前にあるJR深名線最大の遺構、第三雨竜川橋梁に挨拶するのも、毎年の恒例行事である。
バスはルオント温泉に向かっている。外は相変わらず吹雪だ。右手に第三雨竜川橋梁が見えた。懐かしい!! しかし、沿道はものすごい積雪である。ここに立ってカメラを構えて、橋がファインダーに入るのだろうか。
せいわ温泉ルオントの建物が見えてきた。降りるべきか、降りざるべきか!?
(つづく)
まず、徒歩で札幌駅に向かう。駅に着き、札沼線(学園都市線)のホームに上がる。立ち食いそば屋があったので、反射的にかけそばをたぐった。寒空の中で食べるそばは、こよなく美味い。
7時02分発の石狩当別行きの電車に乗る。札沼線は私の好きな路線で、北海道に来たら乗ることにしている。この電車は4両編成で乗客も多いが、徐々にローカル色を出してくるのだ。
定刻を2分遅れの7時49分、石狩当別着。ここで新十津川行きに乗り換える。ディーゼルカーの1両編成である。ボックス席に1人が占領しても、席が全部塞がらない。ここからが札沼線の本領発揮である。7時51分発。
列車はスルスルと走るが、沿線の雪が半端な量ではない。列車のすぐ脇にまで、雪が積もっている。これは異常事態だ。右に国道275号が並走しているが、その道路が雪に遮られて見えない。木々にかかっている雪も、例年より多い。
石狩月形、8時23分着。ここで17分の待ち合わせである。列車の乗客は数人にまで減っているが、時刻表やカメラを表に出している手合いが多いから、鉄道マニアであることは疑いない。めいめいが列車の外に出て、車両や駅舎を撮影している。私もそうする。
しかしなんたる雪の量だ。私は毎年札沼線に乗っているから、いわば定点調査をしているようなものだが、今年の雪は、例年のそれとは全然違う。駅舎の屋根にはごってりと雪がかぶっている。
側線にある除雪車がゆるゆると動きだした。今年は除雪のしがいがあるだろう。
ひとしきり写真を撮ったあと、運転手さんに話しかける。
「今年の雪はすごいですね」
「すごいねー。列車より雪のほうが高いもんね。ほら、あの信号。もう少しで見えなくなっちゃうでしょ。私も20年この列車に乗ってるけど、こんな雪は初めてです」
もう呆れました、という顔だった。
8時40分、石狩月形発。そこからゆるゆる走って、9時28分、新十津川に着いた。最終の乗客は6人。うちひとりは地元のおばちゃんで、残りの5人は鉄道マニアだった。
新十津川は私の好きな駅のひとつだが、付近がこれまた、ものすごい積雪だ。駅舎に入ると、駅のスタンプと旅ノートが設置されていた。「札沼線ヒストリー」なる小冊子も数部置かれていて、鉄道マニアを歓迎してくれている。
駅舎を撮影したあと、名残り惜しいが、国道に出る。ここ役場前から、滝川バスターミナルまでのバスが通じているのだ。
しかし待合所のベンチ手前には雪が積もっていて、中に入れない。ふぶいているから雪よけをしたいが、ままならない。そのまま我慢して、バスが来るのを待つ。4分遅れで、バスが到着した。新十津川役場前9時54分発。
定刻を6分遅れの10時09分、滝川バスターミナル着。続いて10時30分発の深川市立病院前行きのバスに乗った。
11時21分、深川市立病院前着。着きましたよ、と運転手さんに起こされる。乗客は私ひとりであった。
深川駅に向かう。路線バスが必ずしも駅前に横付けする必要はないが、病院前から駅までは、けっこう距離がある。深川駅に着いた。
ここからJRバス・深名(しんめい)線に乗る。「深川」と「名寄」を結ぶから深名線である。1995年まで走っていたローカル線をトレースする代替線で、車内から見る雪景色は出色である。札幌→新十津川→滝川→深川→名寄は、冬の北海道で何度もおこなっている、一公流最強ルートなのである。
中型バスが駅前に横づけされ、私は最前席に座る。車内は運転席より一段高くなっていて、ここが特等席である。私は回数券を2冊買った。2,000円で2,200円分となる。ふつうに現金を払うよりトクで、知ると知らないとでは200円の差が出る。回数券の購入は、知っておくべき手筋である。この運転手さんは人の好さそうな人で、ほかの乗客にも回数券の説明をしていた。
定刻11時45分を2分遅れて、バスは発車した。
バスは山間を走る。あたりは一面の雪、雪、雪で、景色もへったくれもない。運転手さんは本部の人と、道路状況をマメに連絡し合っている。
13時02分、幌加内バスターミナルに着いた。ここで15分の待ち合わせ。ターミナル内にあるそば屋が営業していて、幌加内そばを食したいが、15分では時間がない。後ろ髪を引かれる思いで、私はバスに戻った。13時17分、幌加内発。
さて、ここからが思案のしどころである。今回の旅の目的は、各地で行われている雪まつりの雪像や氷像の鑑賞だが、それは夜間が望ましい。ライトアップされて、像が生き生きとした表情を見せるからだ。
きょうは名寄と旭川に寄るが、どちらも雪まつりをやっている。名寄は「雪質日本一フェスティバル」、旭川は「旭川冬まつり・氷彫刻世界大会」で、これらは昼よりも夜に見たいところだ。
私は頭の中で読みを入れる。この先のルオント前で13時36分に下車し、せいわ温泉ルオントと、幌加内そばを堪能。そして次の16時16分のバスで名寄方面に向かう。名寄駅前に着くのは17時59分になる。そこから名寄の雪まつりに行くと、次に乗れる旭川行き普通列車は20時11分。この旭川着が21時43分だが、旭川雪まつりのライトアップは午後9時か10時で終了している。つまり両方見るのは、時間的に無理である(…と考えていたのだが、今回旅行記を書くにあたり、いま時刻表を改めて確認すると、名寄→旭川は19時37分名寄発の特急列車があり、これを利用することで、両方の「夜」の雪まつりを鑑賞することが可能ということが分かった!!)。
とすれば、名寄の雪まつりの観光を昼のうちに済ませて、夜は旭川にするか。
しかし、せいわ温泉ルオントと幌加内そばは毎年の楽しみだし、その手前にあるJR深名線最大の遺構、第三雨竜川橋梁に挨拶するのも、毎年の恒例行事である。
バスはルオント温泉に向かっている。外は相変わらず吹雪だ。右手に第三雨竜川橋梁が見えた。懐かしい!! しかし、沿道はものすごい積雪である。ここに立ってカメラを構えて、橋がファインダーに入るのだろうか。
せいわ温泉ルオントの建物が見えてきた。降りるべきか、降りざるべきか!?
(つづく)