きのう2012年2月22日は上野のTSUTAYAに行き、同日発売の「PJ(ピーチ・ジョン)」を買った。表紙は道端アンジェリカが前号に続いて登場。彼女と南海キャンディーズ・山里亮太のCMもオンエアされるという。放映が楽しみだ。
先ごろ終了した、第38期女流名人位戦5番勝負・里見香奈女流名人VS清水市代女流六段戦を、ほかの棋戦も交えて振り返る(以下、肩書きは省略)。
・マイナビ女子オープン準決勝
開幕は1月15日(日)だったが、この4日前の11日(水)、マイナビ女子オープン準決勝で、ふたりの激突があった。本5番勝負の前哨戦である。
この将棋、後手の里見が何と四間飛車に振った。里見といえば「ゴキゲン中飛車」が代名詞であり、清水戦の成績もよい。公式戦の重さに差異があってはいけないが、マイナビも準決勝まで来れば相当な勝負である。どうして「エース」を投入しないのか、いぶかしく思った。
本局は清水の競り勝ち。しかしこれで、5番勝負が面白くなった。
・第1局
出雲市で行われた第1局は、里見の先手。振り飛車は想定内として、どこに振るかが注目されたが、またも四間に振ったのでズッコケた。
対する清水は自然体で四枚美濃に構える。清水の振り飛車対策は、ゴキゲン中飛車には棒金、四間飛車には左美濃と、清水システムが構築されている。棒金のほうはちょっと指し手がダサイが、左美濃での指し回しは手堅く、これはいい勝負になると思った。
しかし里見、実戦不足の弊害が出たか、▲5六銀と出てから▲4六金~▲4七銀引が変調だった。この金銀が逆なら固いが、逆形ではスキが目立つ。ここから清水が指し易くなったようだ。
清水は終始リードを保ち、万全の指し回し。終盤で怪しくなったものの、逆転までには至らなかったようである。
終局図で里見の▲4六金、▲4七銀が残っていたのが、本局のすべてを物語っていた。
・第2局
1週間後の22日(日)、千葉県野田市の関根名人記念館で行われた第2局は、里見がやっとゴキゲン中飛車に構えた。
奨励会初段の里見は、励会でも相矢倉を指すなどし、意識的に芸域を拡げている。先のマイナビ女子オープンや前局でも、その意気込みは十分伝わったが、しかし勝負は勝たなければ意味がない。何も番勝負にまで不慣れな戦法を持ち込むことはないじゃないか、と外野は思ったわけである。
里見のゴキゲン中飛車に対して清水の対策が注目されたが、本局は棒金ではなく、▲4七銀から▲6八銀~▲7七銀と構えた。
このあと▲6六銀と出ると思いきや、すぐに▲6六歩としたので、ズッコケた。これが清水流なのか。しかし、私も対振り飛車で▲7七銀型に組むことがあるが、これは角が使いづらく、幸せになった試しがない。百戦錬磨の清水がどうまとめるのか注目したが、のちに▲6八銀と引いたので、またもズッコケた。
このあとどういう展開になるのか分からぬが、これは里見が勝つと思った。結果も里見の逆転勝ち。清水、次が踏ん張りどころとなった。
・マイナビ女子オープン挑戦者決定戦
第2局から11日後の2月2日(木)、清水と長谷川優貴女流初段との間で、マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦が行われた。
長谷川の先手中飛車で始まったこの将棋、虚々実々の応酬が繰り広げられたが、中盤で清水が放った△1四金、△5一桂、△2四銀の三連打が、驚愕の辛抱だった。それまでは清水がわずかに有利だと思っていたから、これでもかという防御には心底驚いた。
清水は将棋を有利に進めていながら、ときどき駒をベタベタと自陣に打って形勢を混沌とさせることがある。本局はそれが顕著に出てしまった。
この将棋はもちろん、里見も見ていたはずである。そしてどう思ったか。清水与し易し、と思ったのではないだろうか。
(つづく)
先ごろ終了した、第38期女流名人位戦5番勝負・里見香奈女流名人VS清水市代女流六段戦を、ほかの棋戦も交えて振り返る(以下、肩書きは省略)。
・マイナビ女子オープン準決勝
開幕は1月15日(日)だったが、この4日前の11日(水)、マイナビ女子オープン準決勝で、ふたりの激突があった。本5番勝負の前哨戦である。
この将棋、後手の里見が何と四間飛車に振った。里見といえば「ゴキゲン中飛車」が代名詞であり、清水戦の成績もよい。公式戦の重さに差異があってはいけないが、マイナビも準決勝まで来れば相当な勝負である。どうして「エース」を投入しないのか、いぶかしく思った。
本局は清水の競り勝ち。しかしこれで、5番勝負が面白くなった。
・第1局
出雲市で行われた第1局は、里見の先手。振り飛車は想定内として、どこに振るかが注目されたが、またも四間に振ったのでズッコケた。
対する清水は自然体で四枚美濃に構える。清水の振り飛車対策は、ゴキゲン中飛車には棒金、四間飛車には左美濃と、清水システムが構築されている。棒金のほうはちょっと指し手がダサイが、左美濃での指し回しは手堅く、これはいい勝負になると思った。
しかし里見、実戦不足の弊害が出たか、▲5六銀と出てから▲4六金~▲4七銀引が変調だった。この金銀が逆なら固いが、逆形ではスキが目立つ。ここから清水が指し易くなったようだ。
清水は終始リードを保ち、万全の指し回し。終盤で怪しくなったものの、逆転までには至らなかったようである。
終局図で里見の▲4六金、▲4七銀が残っていたのが、本局のすべてを物語っていた。
・第2局
1週間後の22日(日)、千葉県野田市の関根名人記念館で行われた第2局は、里見がやっとゴキゲン中飛車に構えた。
奨励会初段の里見は、励会でも相矢倉を指すなどし、意識的に芸域を拡げている。先のマイナビ女子オープンや前局でも、その意気込みは十分伝わったが、しかし勝負は勝たなければ意味がない。何も番勝負にまで不慣れな戦法を持ち込むことはないじゃないか、と外野は思ったわけである。
里見のゴキゲン中飛車に対して清水の対策が注目されたが、本局は棒金ではなく、▲4七銀から▲6八銀~▲7七銀と構えた。
このあと▲6六銀と出ると思いきや、すぐに▲6六歩としたので、ズッコケた。これが清水流なのか。しかし、私も対振り飛車で▲7七銀型に組むことがあるが、これは角が使いづらく、幸せになった試しがない。百戦錬磨の清水がどうまとめるのか注目したが、のちに▲6八銀と引いたので、またもズッコケた。
このあとどういう展開になるのか分からぬが、これは里見が勝つと思った。結果も里見の逆転勝ち。清水、次が踏ん張りどころとなった。
・マイナビ女子オープン挑戦者決定戦
第2局から11日後の2月2日(木)、清水と長谷川優貴女流初段との間で、マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦が行われた。
長谷川の先手中飛車で始まったこの将棋、虚々実々の応酬が繰り広げられたが、中盤で清水が放った△1四金、△5一桂、△2四銀の三連打が、驚愕の辛抱だった。それまでは清水がわずかに有利だと思っていたから、これでもかという防御には心底驚いた。
清水は将棋を有利に進めていながら、ときどき駒をベタベタと自陣に打って形勢を混沌とさせることがある。本局はそれが顕著に出てしまった。
この将棋はもちろん、里見も見ていたはずである。そしてどう思ったか。清水与し易し、と思ったのではないだろうか。
(つづく)