9日(水)に指された竜王戦6組・植山悦行七段と金井恒太五段の一戦は、植山七段の勝ち。…と日本将棋連盟のホームページにあったが、本当だろうか。間違えてなければいいのだが。
(きのうのつづき)
しかし運転手に文句をいうわけにもいかないので、私は不貞腐れながら外を見る。しかしいつの間にかウトウトしたようだ。目が覚めると、前のモニターで、主人公がアジア系のちびっこの映画をやっていた。ジャッキー・チェンも出ている。私は映画に詳しくないが、これは「ベスト・キッド」ではあるまいか。
音声が聴こえないのが歯がゆいが、少年の成長物語のように見える。アクションが主だから、何となく話のスジが分かるのがありがたい。
途中、パーキングエリアで休憩となったが、私はそのままグッタリしていた。
映画はなかなか面白かったが、それが終わると、もう楽しみがない。車窓は私の左手の方角しか見えないので、いまひとつ楽しくない。と、その下方にポケットがあった。そこには車内誌とヘッドフォンがしっかり収められていた。側面に置いてあったのか! しかし気づくのが遅すぎた。鹿児島中央駅まではあと30分しかない。私はそのまま、外を眺めた。
定刻より6分早い11時51分、高速さくらじま号は鹿児島中央バスターミナルにすべりこんだ。
このターミナルは真新しかった。昨年までは仮の乗降場を利用していたが、晴れて新築ビルに移転したものだ。新築独特の、油のにおいがした。
ビルを出ると、対面に鹿児島中央駅が聳えていた。新幹線の終着駅でもある鹿児島中央は威風堂々としており、私の好きな駅である。
しかしJRを利用するわけにはいかない。それよりも、まずは昼食である。私は南に舵を取り、一番街商店街に入る。ここに私がひいきにしている中華料理店があるのだ。
2分ほど歩くと、右手にその料理店が見えてきた。カウンター数席に奥の座敷一部屋しかないこじんまりした店だ。白湯スープに力を入れていて、雑誌にも掲載されたことがあるのだが、私は初めて入ったとき、チャーハンを注文した。それがバカに美味かったので、以来この店ではチャーハン一筋なのである。
カウンターの席に座ると、おばちゃんが小皿を出した。この店は、カウンター(テーブル)にお新香が置いてあり、それが無料で食べられるのである。
私はもちろんチャーハンを頼む。昼時とあって、客が何人かいる。しかし客が食べている麺類のどんぶりが大きい。だいぶ昔、岩手県盛岡市の食堂で食べたタンメンが、400円という廉価ながらモノスゴイ量だったことを思い出した。
この店ではチャーハンばかりだから、次は麺類でも頼んでみるかなあ、と思う。
チャッチャッと炒めて出されたチャーハンは、野菜がたっぷり入り、カラフルだ。一口ほおばるが、コショウが利いていて、美味い。ああ、この味である。懐かしい。
食後に乳酸菌飲料とアメが出されて、500円。これはお値打ちというべきだろう。
駅中の総合案内所に行き、「砂の祭典会場行き」バス停を聞くが、いまの時間は直行便はなし。加世田まで行って、そこで乗り換えるしかないらしい。
鹿児島交通12時50分発の準急バスは、10分遅れて鹿児島中央駅前に到着した。けっこう並んでいる客がいたのだが、このバスに乗る乗客は少なかった。まあ、そうであろう。
終着加世田には、定刻より2分早い、14時23分に到着した。
加世田はかつて、私鉄・鹿児島交通枕崎線(と万世線)が通じており、鹿児島交通の中心駅だった。しかし昭和58年、沿線に台風が直撃し、全線休止。そして翌年3月18日、復旧の甲斐もむなしく、全線廃止となった。
現在同駅はバスターミナルとなり、構内には蒸気機関車が静態保存されている。しかし廃止から28年が経ち、蒸気機関車の痛みは激しい。
18分の待ち合わせで、砂の祭典会場行きの臨時バスに乗る。14分で吹上浜砂の祭典会場に着いた。天神を出てから7時間。きょうも雲ひとつない快晴なのに、その大半がバスの中とはもったいない。やはり夜行バスを検討すべきだったとあらためて思う。
入場料は、第1ステージが2日から6日までの開催で、前売りが700円。これは前もって購入しておいた。今年の砂像テーマは「砂の丘のシアター・ここはふしぎなパワースポット」。意味がよく分からぬが、さまざまなジャンルの映画の主役を砂像にしたものらしい。「キャプテン・ハーロック」「ローマの休日」「遠山の金さん」…。統一性のない砂像が続くが、いずれも力作揃いだ。
ここ、砂丘の杜金峰は、昨年だかおととしからの使用だが、昨年はなかった4階建ての展望台が出来ていた。私も登ってみるが、塔はむき出しで金網部分が多く、登っていてあまりいい気持ちがしない。
4階に着いた。360度、眺めはすばらしいが、向こう側がスケスケだ。身を乗り出しているカップルがいるが、バカじゃないかと思う。中倉宏美女流二段は高所恐怖症らしいが、私もそのようだ。あまり長居はしなくていい。私は1分いたのち、階下に下りた。
午後4時からは、メインステージでビンゴゲームである。これも毎年の恒例で、私も2枚買い(200円)、参加する。
ビンゴした客はあらためてクジを引き、そこに書かれている番号の賞品をいただく、という仕組みだ。今年は折り畳み自転車が目玉だ。
ビンゴ開始。いつもはそこそこ番号が空くのだが、今年は調子がわるい。50人以上のビンゴ者が出たが、私は最高でも3列が空いているのみだ。残りの席は5人。しかしここまで奇跡的に、自転車は当たっていない。
日射しがきついが、鹿児島まで来たのだから、それは覚悟の上である。8月の沖縄と比べれば、かわいいものだ。
「11」が出た。カードの4列目が空く。遅ればせながら、私もリーチだ。しかし5人なら、ビンゴ者が出たのではないか。
しかし、2人だけビンゴだった。残りは3人、首がつながった。さあ次だ。私の希望は「51」。イチローだ。
司会者が最後の番号を読み上げる。「ゴジュー…」
「50…??」
「ゴ!!」
残念。逆転ビンゴはならなかった。注目の自転車は、じゃんけんを勝ち抜いたビンゴ者がクジを引き、宮崎県の女性が自転車を引き当てた。
ちなみにこのビンゴは外れなし。今年の残念賞は、ミニスナック菓子だった。
砂の祭典では、夜7時45分から行われる「音と光のファンタジー」も見ごたえがある。時間が許せばそれも鑑賞したいのだが、きょうの宿は吹上浜ユースホステルで、その時間まで粘っていると、バスの便がなくなってしまう。
私は泣く泣く、砂の祭典会場を後にした。
17時54分、バスで加世田に戻る。吹上浜ユースホステルの最寄りバス停は日置で、50分ほど待ち時間がある。それを利用して、隣接の「ニシムタ」に入る。「ニシムタ」は九州を代表するスーパーマーケットで、品揃いもよく、値段も安い。
350円のからあげ丼が30%割引で売っている。2リットルの緑茶は95円。美山のコーヒーは、190ml缶が1本28円という安さだ。思わず2本取る。これら全部を購入して396円は、涙が出るような数字だった。
バスターミナルのベンチで、さみしい夕食。ひとり旅だから、しょうがない。
18時43分の伊集院行きバスに乗る。バスは大型で、乗り心地がいい。私は缶コーヒーを飲んだ。
日置バス停には、宿の主人クルマで迎えに来てくれていた。ありがたいが、いつもの人と違う。いつもこの時期になると、御歳90ウン歳のペアレントさんのお孫さん夫婦が大阪から手伝いに来ており、そのどちらかが迎えに来てくれたのだ。ちなみに奥さんの方は、「巫女さん」というハンドルネームで、当ブログにコメントを寄せてくれたこともある。
ご主人に話を聞くと、ご夫婦は体調不良で、今年は鹿児島に来なかったという。
それは残念である。あちらはともかく、こちらは積もる話がいっぱいあったのに…。
宿に着くと、客は私だけのようだった。大おばさまは、奥の部屋で就寝中とのこと。今年は何か、感じが違う。
受付を済ませ、またもやご主人に、近所の温泉センターまで送っていただく。まあ、とりあえずは風呂である。きのうはシャワーを浴び損ねたから、2日間日射しを浴びて、体中がベタベタになっている。
日置温泉はあまり温泉の感じはしないが、ちょうどいい湯加減だった。
温泉から上がって、体重計に乗る。濡れタオル込みで、94.8kg。2日前から、600グラム減った。しかしこんなもの、1回食事をすれば、すぐ元に戻ってしまうのだろう。
私は鏡を見る。と、目の前にありえない光景が映り、私は激しい衝撃を受けた。
(つづく)
(きのうのつづき)
しかし運転手に文句をいうわけにもいかないので、私は不貞腐れながら外を見る。しかしいつの間にかウトウトしたようだ。目が覚めると、前のモニターで、主人公がアジア系のちびっこの映画をやっていた。ジャッキー・チェンも出ている。私は映画に詳しくないが、これは「ベスト・キッド」ではあるまいか。
音声が聴こえないのが歯がゆいが、少年の成長物語のように見える。アクションが主だから、何となく話のスジが分かるのがありがたい。
途中、パーキングエリアで休憩となったが、私はそのままグッタリしていた。
映画はなかなか面白かったが、それが終わると、もう楽しみがない。車窓は私の左手の方角しか見えないので、いまひとつ楽しくない。と、その下方にポケットがあった。そこには車内誌とヘッドフォンがしっかり収められていた。側面に置いてあったのか! しかし気づくのが遅すぎた。鹿児島中央駅まではあと30分しかない。私はそのまま、外を眺めた。
定刻より6分早い11時51分、高速さくらじま号は鹿児島中央バスターミナルにすべりこんだ。
このターミナルは真新しかった。昨年までは仮の乗降場を利用していたが、晴れて新築ビルに移転したものだ。新築独特の、油のにおいがした。
ビルを出ると、対面に鹿児島中央駅が聳えていた。新幹線の終着駅でもある鹿児島中央は威風堂々としており、私の好きな駅である。
しかしJRを利用するわけにはいかない。それよりも、まずは昼食である。私は南に舵を取り、一番街商店街に入る。ここに私がひいきにしている中華料理店があるのだ。
2分ほど歩くと、右手にその料理店が見えてきた。カウンター数席に奥の座敷一部屋しかないこじんまりした店だ。白湯スープに力を入れていて、雑誌にも掲載されたことがあるのだが、私は初めて入ったとき、チャーハンを注文した。それがバカに美味かったので、以来この店ではチャーハン一筋なのである。
カウンターの席に座ると、おばちゃんが小皿を出した。この店は、カウンター(テーブル)にお新香が置いてあり、それが無料で食べられるのである。
私はもちろんチャーハンを頼む。昼時とあって、客が何人かいる。しかし客が食べている麺類のどんぶりが大きい。だいぶ昔、岩手県盛岡市の食堂で食べたタンメンが、400円という廉価ながらモノスゴイ量だったことを思い出した。
この店ではチャーハンばかりだから、次は麺類でも頼んでみるかなあ、と思う。
チャッチャッと炒めて出されたチャーハンは、野菜がたっぷり入り、カラフルだ。一口ほおばるが、コショウが利いていて、美味い。ああ、この味である。懐かしい。
食後に乳酸菌飲料とアメが出されて、500円。これはお値打ちというべきだろう。
駅中の総合案内所に行き、「砂の祭典会場行き」バス停を聞くが、いまの時間は直行便はなし。加世田まで行って、そこで乗り換えるしかないらしい。
鹿児島交通12時50分発の準急バスは、10分遅れて鹿児島中央駅前に到着した。けっこう並んでいる客がいたのだが、このバスに乗る乗客は少なかった。まあ、そうであろう。
終着加世田には、定刻より2分早い、14時23分に到着した。
加世田はかつて、私鉄・鹿児島交通枕崎線(と万世線)が通じており、鹿児島交通の中心駅だった。しかし昭和58年、沿線に台風が直撃し、全線休止。そして翌年3月18日、復旧の甲斐もむなしく、全線廃止となった。
現在同駅はバスターミナルとなり、構内には蒸気機関車が静態保存されている。しかし廃止から28年が経ち、蒸気機関車の痛みは激しい。
18分の待ち合わせで、砂の祭典会場行きの臨時バスに乗る。14分で吹上浜砂の祭典会場に着いた。天神を出てから7時間。きょうも雲ひとつない快晴なのに、その大半がバスの中とはもったいない。やはり夜行バスを検討すべきだったとあらためて思う。
入場料は、第1ステージが2日から6日までの開催で、前売りが700円。これは前もって購入しておいた。今年の砂像テーマは「砂の丘のシアター・ここはふしぎなパワースポット」。意味がよく分からぬが、さまざまなジャンルの映画の主役を砂像にしたものらしい。「キャプテン・ハーロック」「ローマの休日」「遠山の金さん」…。統一性のない砂像が続くが、いずれも力作揃いだ。
ここ、砂丘の杜金峰は、昨年だかおととしからの使用だが、昨年はなかった4階建ての展望台が出来ていた。私も登ってみるが、塔はむき出しで金網部分が多く、登っていてあまりいい気持ちがしない。
4階に着いた。360度、眺めはすばらしいが、向こう側がスケスケだ。身を乗り出しているカップルがいるが、バカじゃないかと思う。中倉宏美女流二段は高所恐怖症らしいが、私もそのようだ。あまり長居はしなくていい。私は1分いたのち、階下に下りた。
午後4時からは、メインステージでビンゴゲームである。これも毎年の恒例で、私も2枚買い(200円)、参加する。
ビンゴした客はあらためてクジを引き、そこに書かれている番号の賞品をいただく、という仕組みだ。今年は折り畳み自転車が目玉だ。
ビンゴ開始。いつもはそこそこ番号が空くのだが、今年は調子がわるい。50人以上のビンゴ者が出たが、私は最高でも3列が空いているのみだ。残りの席は5人。しかしここまで奇跡的に、自転車は当たっていない。
日射しがきついが、鹿児島まで来たのだから、それは覚悟の上である。8月の沖縄と比べれば、かわいいものだ。
「11」が出た。カードの4列目が空く。遅ればせながら、私もリーチだ。しかし5人なら、ビンゴ者が出たのではないか。
しかし、2人だけビンゴだった。残りは3人、首がつながった。さあ次だ。私の希望は「51」。イチローだ。
司会者が最後の番号を読み上げる。「ゴジュー…」
「50…??」
「ゴ!!」
残念。逆転ビンゴはならなかった。注目の自転車は、じゃんけんを勝ち抜いたビンゴ者がクジを引き、宮崎県の女性が自転車を引き当てた。
ちなみにこのビンゴは外れなし。今年の残念賞は、ミニスナック菓子だった。
砂の祭典では、夜7時45分から行われる「音と光のファンタジー」も見ごたえがある。時間が許せばそれも鑑賞したいのだが、きょうの宿は吹上浜ユースホステルで、その時間まで粘っていると、バスの便がなくなってしまう。
私は泣く泣く、砂の祭典会場を後にした。
17時54分、バスで加世田に戻る。吹上浜ユースホステルの最寄りバス停は日置で、50分ほど待ち時間がある。それを利用して、隣接の「ニシムタ」に入る。「ニシムタ」は九州を代表するスーパーマーケットで、品揃いもよく、値段も安い。
350円のからあげ丼が30%割引で売っている。2リットルの緑茶は95円。美山のコーヒーは、190ml缶が1本28円という安さだ。思わず2本取る。これら全部を購入して396円は、涙が出るような数字だった。
バスターミナルのベンチで、さみしい夕食。ひとり旅だから、しょうがない。
18時43分の伊集院行きバスに乗る。バスは大型で、乗り心地がいい。私は缶コーヒーを飲んだ。
日置バス停には、宿の主人クルマで迎えに来てくれていた。ありがたいが、いつもの人と違う。いつもこの時期になると、御歳90ウン歳のペアレントさんのお孫さん夫婦が大阪から手伝いに来ており、そのどちらかが迎えに来てくれたのだ。ちなみに奥さんの方は、「巫女さん」というハンドルネームで、当ブログにコメントを寄せてくれたこともある。
ご主人に話を聞くと、ご夫婦は体調不良で、今年は鹿児島に来なかったという。
それは残念である。あちらはともかく、こちらは積もる話がいっぱいあったのに…。
宿に着くと、客は私だけのようだった。大おばさまは、奥の部屋で就寝中とのこと。今年は何か、感じが違う。
受付を済ませ、またもやご主人に、近所の温泉センターまで送っていただく。まあ、とりあえずは風呂である。きのうはシャワーを浴び損ねたから、2日間日射しを浴びて、体中がベタベタになっている。
日置温泉はあまり温泉の感じはしないが、ちょうどいい湯加減だった。
温泉から上がって、体重計に乗る。濡れタオル込みで、94.8kg。2日前から、600グラム減った。しかしこんなもの、1回食事をすれば、すぐ元に戻ってしまうのだろう。
私は鏡を見る。と、目の前にありえない光景が映り、私は激しい衝撃を受けた。
(つづく)