5月26日(土)、東京・将棋会館で、将棋ペンクラブ関東交流会があった。全国の会員が一堂に会す、年に1回の目玉企画だ。私は万障繰り合わせて、千駄ヶ谷に向かった。
開場は午前10時だが、ちょっと遅刻するのが私流。10時半に4階大広間に入った。先客は20人ほど。去年は豪雨にもかかわらず80人前後の参加があったが、今年もその数字に届きそうである。
会費の3,000円を払って、幹事の皆さんに挨拶。昨年9月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式、年末の将棋寄席には出席しなかったので、何度か飲み会をご一緒したAr氏以外は、昨年のこの席以来の再会となる。
昨年は王位戦白組リーグプレーオフ・羽生善治名人・王座と村山慈明五段(肩書はいずれも当時)の一戦が隣の特別対局室であり、お互い神経をすり減らした一日だった。今年は受付も奥にあり、いつもの風景に戻った。
会費を払って室内を見渡すと、Kun氏やミスター中飛車氏らがいた。そしてピンクのスーツの女性。あれは…?
幹事としばし談笑したあと、早速対局。
まずはS氏と。S氏のゴキゲン中飛車に私は左美濃で挑む。▲4三に馬を作り指し易くなったと思った。しかし△2三歩・3四歩・4一金・4五桂・5一飛・6一金の局面で、▲5二歩と叩いたのが疑問手。△同金左▲3四馬△4一飛▲2三馬△4二飛の結果はおもしろくなかった。
▲5二歩では▲5四歩と垂らすべき。それでも後手は△5二金左だろう。それなら相手に歩を渡さず、先手の歩が5四に垂れていた計算になる。こう指すのだった。
その終盤の一場面を記す。
先手・一公:1七歩、1九香、2一竜、3二と、5七馬、5八金、6六歩、6七銀、7六歩、7八銀、8七歩、8八玉、8九桂、9七歩、9九香 持駒:桂、歩5
後手・S氏:1一香、1三歩、3七馬、4四飛、4七成銀、4九金、6一金、6三歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二玉、8三歩、9一香、9三歩 持駒:角、金、歩2
(△4七成銀まで)
ここから▲3五馬△5八成銀▲同銀△5五馬▲6七銀右△7四桂…と進み、私が負けた。取れる飛車を取らずに▲5八同銀、取れる金を取らずに▲6七銀右は落ち着いた指し方に見えたが疑問だったようだ。▲5八同銀では▲4四馬と取るべきで、△6八成銀と寄られるのが気に食わないが、そこで攻め合って一手勝ちだったようだ。
私は連勝連敗タイプなので、初戦の負けは痛かった。
部屋には女性アマ強豪の田村真理子さんがいる。先ほどのピンクのスーツの女性である。以前から一度お手合わせしたいと思っていた。きょうは彼女と当ててください、と幹事に頼んでおく。
2戦目は某氏と。私の後手で横歩取りに進む。▲2四同飛に、私は△2三歩から△2五角。数手後、先手氏の▲2一歩成に△4七角成。▲同銀△2三飛と進んで、さてこれからどう指そうと考えていたら、先手氏は▲3三馬と銀を取ってしまった。
それは△6九飛の一手詰みである。さすがにこれは待ちます、と言ったが、先手氏は応じず、このまま終了となった。
感想戦では、いろいろな変化を検討する。実戦より、感想戦もほうが長かった。
軽食のおにぎりを頬張る。このあと棋士のサイン色紙や扇子、著書がもれなくもらえ、酒類飲み放題の懇親会が用意されている。これで3,000円とは、将棋ペンクラブはホントに商売っ気がない。
会員は徐々に増えてきた。会報常連のS氏に挨拶をする。S氏は関西在住だが、東京まで遠征とはご苦労なことである。そのS氏、会員を脱会したそうだが、「将棋ペン倶楽部」への執筆はどうなるのだろう。
妙齢の女性の姿もある。数年前では考えられなかった光景だ。
田村さんと指せるタイミングだったのだが、私のほうに対局がついてしまった。
3局目は、非会員の某氏と。某氏の石田流に、私は玉頭位取りで挑む。しかし△7四歩▲同歩△同銀~△6四歩▲同歩△6五歩~△6四角と位を取り返され、以下惨敗した。感想戦では、△7四歩と取らずに▲5七角と上がり、素直に△7四銀形を作らせるべきではなかった、と指摘された。
私がまったく考えていなかった順で、彼は私より強い、ということだけは分かった。
時間は午後1時。LPSAの山下カズ子女流五段、多田佳子女流四段が指導対局に見えた。LPSAは翌27日に田町で「みんなハッピー!LPSA将棋パーク」があり、みなが準備で忙しい。先のおふたりは、その寸暇を割いて来てくださった。
ちなみに女流棋士会の指導対局は、今年はなし。幹事が呼ばなかったのか、女流棋士会(日本将棋連盟)が拒絶したのかは分からぬが、私は女流棋士会にはハナから期待していないので、どうということはない。
4局目はTak氏と。相居飛車になった。私は右四間飛車を目論んでいたのだが、Tak氏に先に指され、ズッコケた。
顔を上げると、将棋女子の対局が何局か見える。しかもみんないい顔をして指している。何度も書くが、考えられなかった光景である。ここまで来られたのも、将棋関係者の地道な普及の賜物といえる。
Tak氏にいいように攻め込まれ、私の敗勢。しかしそこからTak氏が寄せをグズる。最後は▲2四銀△1二玉▲5二飛△2二歩▲2三銀成(△同玉は▲2四香以下)まで、私の勝ちとなった。
Tak氏とは昨年も当たり、やはり私が必敗の将棋を拾っている。Tak氏は強いのに、自信がなさそうに指すのが玉に瑕だ。もっと自信を持って指せばいいと思う。
さて、田村さんの将棋も終わったようである。私は幹事に目配せして、感想戦が終わるのをじっと待つ。
そしてついに、私と田村さんの対局がついた。待ちに待った対局である。
(つづく)
開場は午前10時だが、ちょっと遅刻するのが私流。10時半に4階大広間に入った。先客は20人ほど。去年は豪雨にもかかわらず80人前後の参加があったが、今年もその数字に届きそうである。
会費の3,000円を払って、幹事の皆さんに挨拶。昨年9月の将棋ペンクラブ大賞贈呈式、年末の将棋寄席には出席しなかったので、何度か飲み会をご一緒したAr氏以外は、昨年のこの席以来の再会となる。
昨年は王位戦白組リーグプレーオフ・羽生善治名人・王座と村山慈明五段(肩書はいずれも当時)の一戦が隣の特別対局室であり、お互い神経をすり減らした一日だった。今年は受付も奥にあり、いつもの風景に戻った。
会費を払って室内を見渡すと、Kun氏やミスター中飛車氏らがいた。そしてピンクのスーツの女性。あれは…?
幹事としばし談笑したあと、早速対局。
まずはS氏と。S氏のゴキゲン中飛車に私は左美濃で挑む。▲4三に馬を作り指し易くなったと思った。しかし△2三歩・3四歩・4一金・4五桂・5一飛・6一金の局面で、▲5二歩と叩いたのが疑問手。△同金左▲3四馬△4一飛▲2三馬△4二飛の結果はおもしろくなかった。
▲5二歩では▲5四歩と垂らすべき。それでも後手は△5二金左だろう。それなら相手に歩を渡さず、先手の歩が5四に垂れていた計算になる。こう指すのだった。
その終盤の一場面を記す。
先手・一公:1七歩、1九香、2一竜、3二と、5七馬、5八金、6六歩、6七銀、7六歩、7八銀、8七歩、8八玉、8九桂、9七歩、9九香 持駒:桂、歩5
後手・S氏:1一香、1三歩、3七馬、4四飛、4七成銀、4九金、6一金、6三歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二玉、8三歩、9一香、9三歩 持駒:角、金、歩2
(△4七成銀まで)
ここから▲3五馬△5八成銀▲同銀△5五馬▲6七銀右△7四桂…と進み、私が負けた。取れる飛車を取らずに▲5八同銀、取れる金を取らずに▲6七銀右は落ち着いた指し方に見えたが疑問だったようだ。▲5八同銀では▲4四馬と取るべきで、△6八成銀と寄られるのが気に食わないが、そこで攻め合って一手勝ちだったようだ。
私は連勝連敗タイプなので、初戦の負けは痛かった。
部屋には女性アマ強豪の田村真理子さんがいる。先ほどのピンクのスーツの女性である。以前から一度お手合わせしたいと思っていた。きょうは彼女と当ててください、と幹事に頼んでおく。
2戦目は某氏と。私の後手で横歩取りに進む。▲2四同飛に、私は△2三歩から△2五角。数手後、先手氏の▲2一歩成に△4七角成。▲同銀△2三飛と進んで、さてこれからどう指そうと考えていたら、先手氏は▲3三馬と銀を取ってしまった。
それは△6九飛の一手詰みである。さすがにこれは待ちます、と言ったが、先手氏は応じず、このまま終了となった。
感想戦では、いろいろな変化を検討する。実戦より、感想戦もほうが長かった。
軽食のおにぎりを頬張る。このあと棋士のサイン色紙や扇子、著書がもれなくもらえ、酒類飲み放題の懇親会が用意されている。これで3,000円とは、将棋ペンクラブはホントに商売っ気がない。
会員は徐々に増えてきた。会報常連のS氏に挨拶をする。S氏は関西在住だが、東京まで遠征とはご苦労なことである。そのS氏、会員を脱会したそうだが、「将棋ペン倶楽部」への執筆はどうなるのだろう。
妙齢の女性の姿もある。数年前では考えられなかった光景だ。
田村さんと指せるタイミングだったのだが、私のほうに対局がついてしまった。
3局目は、非会員の某氏と。某氏の石田流に、私は玉頭位取りで挑む。しかし△7四歩▲同歩△同銀~△6四歩▲同歩△6五歩~△6四角と位を取り返され、以下惨敗した。感想戦では、△7四歩と取らずに▲5七角と上がり、素直に△7四銀形を作らせるべきではなかった、と指摘された。
私がまったく考えていなかった順で、彼は私より強い、ということだけは分かった。
時間は午後1時。LPSAの山下カズ子女流五段、多田佳子女流四段が指導対局に見えた。LPSAは翌27日に田町で「みんなハッピー!LPSA将棋パーク」があり、みなが準備で忙しい。先のおふたりは、その寸暇を割いて来てくださった。
ちなみに女流棋士会の指導対局は、今年はなし。幹事が呼ばなかったのか、女流棋士会(日本将棋連盟)が拒絶したのかは分からぬが、私は女流棋士会にはハナから期待していないので、どうということはない。
4局目はTak氏と。相居飛車になった。私は右四間飛車を目論んでいたのだが、Tak氏に先に指され、ズッコケた。
顔を上げると、将棋女子の対局が何局か見える。しかもみんないい顔をして指している。何度も書くが、考えられなかった光景である。ここまで来られたのも、将棋関係者の地道な普及の賜物といえる。
Tak氏にいいように攻め込まれ、私の敗勢。しかしそこからTak氏が寄せをグズる。最後は▲2四銀△1二玉▲5二飛△2二歩▲2三銀成(△同玉は▲2四香以下)まで、私の勝ちとなった。
Tak氏とは昨年も当たり、やはり私が必敗の将棋を拾っている。Tak氏は強いのに、自信がなさそうに指すのが玉に瑕だ。もっと自信を持って指せばいいと思う。
さて、田村さんの将棋も終わったようである。私は幹事に目配せして、感想戦が終わるのをじっと待つ。
そしてついに、私と田村さんの対局がついた。待ちに待った対局である。
(つづく)