一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第4回 中井広恵の将棋合宿(第8手)・第3回最恐戦、始まる

2012-06-03 00:39:23 | 将棋イベント
続いて植山悦行七段に角落ちで教えていただく。本局こそは…と気合を入れたが、△7三桂~△9五歩と端を攻められ、以下なすすべなく中押し負けした。
「大沢クンも強いんだけどなあ…」
と植山七段。何かが足りない、ということだろう。
His氏にペア将棋の相手を請われる。時刻は午前2時になろうとしている。好きだなあ、His氏。相手は中井広恵・大野八一雄ペア。あまり乗り気でないが、対局者のひとりに中井女流六段がいるので、指させていただくことにした。
手合いは飛車落ち。飛車落ちといえば右四飛車定跡だが、His氏が敬遠したので、R流の居飛車棒銀でいく。しかし▲2六銀に△1四歩、▲3五歩は△同歩と取ってくれず、どうもうまくいかない。4人揃って浴衣姿でペア将棋はオツなのだが、その愉しさをかみしめている余裕はない。
ごちゃごちゃやっているうちに、いつの間にか敗勢になった。納得がいかないまま、投了。
消化不良だったので、続けてもう一局お願いする。しかしHis氏との息が合わず、またも負け。
もう2時半を過ぎているが、私たちは泣きの再戦を申し込んだ。快諾してくださるふたり。しかしここまでご厚意に甘えてしまっていいのだろうか。
対局開始。今度は私も工夫する。R流の▲2六銀には△1四歩とされるので、私は先に▲1五歩と突き越した。しかしそのせいで、中央が立ち遅れてしまった。
△3三金・3五角・3六歩、▲3八飛の局面で、His氏は▲3四歩と叩く。歩切れの相手に歩を渡して、角にヒモをつけさせる手だが、私には信じられない手順だった。
私は▲3六飛と走り△3五角を釘づけにしたかった。しかしHis氏は△3五角と飛車を交換するつもりだった。そしてそのとき、△3三金を上擦らせたほうが得と見たのだ。
His氏と私はほぼ同じ棋力だが、これだけ読みに相違があっては勝てない。
以下は下手ペアに決め手があったのだが私が見落とし、最後は中井・大野ペアに玉頭から攻めこまれ、無念の投了となった。何と、3局立て続けに完敗である。
「上手は指す手が決まっているから」
と中井女流六段。考えなくていいから楽、との意だが、芝浦などでほかの女流棋士の飛車落ちを見ると、かなりヘンな手を指している。やはり中井・大野ペアの指し方が巧妙だったのだろう。
時計を見ると、3時8分である。連日の3時越えだ。皆さまお疲れさま、きょうはもう寝ましょう、とお開きになった。…はずが、His氏とR氏は、まだ将棋盤に向かい合っていた――。

翌20日(日)。楽しい時間が経つのは早い。将棋合宿最終日である。
朝7時半、大広間に向かうと、His氏とKaz氏が将棋の研究をしていたので、私は目を剥いた。
His氏、昨夜は最後まで将棋を指してたよね。それで今朝一番から将棋とは、何がどうなっているのか。His氏は今参加者の最年長。しかも茨城県からの参加である。この将棋エネルギーは、どこから来ているのだろう。
8時から朝食である。今度は中井女流六段とテーブルが分かれたが、Kaz氏が「中井さんの向かいに座らなくていいんですか?」とアシストしてくれ、私はその言葉に甘えた。半年前の合宿ではちょっと躊躇したが、最近は私も図々しくなっている。
中井女流六段の横には植山七段が座った。
「(大沢さんの行動に)警戒しとかなくちゃ…」
ウッ…。ちょっと、冗談に聞こえなかった。
朝食は美味しくいただいた。ただ、W氏と大野七段のわがまま?で、納豆が煮豆に変わっていたのは残念だった。
朝食後は、めいめいがリーグ戦の残りを指し始めた。Fuj氏は私相手に、いつぞやのLPSAペア将棋選手権で指した将棋を並べ始めた。Fuj氏のペアはMinamiちゃん。ヒトのペア将棋の棋譜を見たっておもしろくないが、山あり谷ありの戦いで、見ていておもしろかった。
リーグ戦は、W氏の数局を除いて、全員が消化したようだ。勝敗は全員が似たりよったりで、今回はとくに表彰はなし。いや白状すれば、賞品は用意していなかった。
指導対局はみんな惨憺たる結果だったが、ひとりR氏が2勝で、逃げ切った。指導対局での勝利は私たちとのそれより数倍価値が高い。リーグ戦のMVPを決めるなら、R氏ということになろう。
さてこのあとは、お待ちかねの「最恐戦」である。プロ棋士の真剣勝負を生で見られる、当合宿の目玉企画だ。些少ながら賞金もついている。1年前の第1回は中井女流六段-植山七段戦で、中井女流六段の勝ち。半年前の第2回は植山七段-大野七段戦で、植山七段が勝った。
今回は残りの1カード、中井女流六段-大野七段戦である。本局で中井女流六段が勝てば、名実ともに「最恐」となるのだ。
テーブルとイスのレイアウトを変え、対局場と解説場を設える。解説はもちろん植山七段。棋譜読み上げは過去2回同様、またも私となった。私も一般客になって大盤解説を聞きたいのだが、棋譜の読み上げは意外にむずかしく、適任は私しかいないのだ。
中井女流六段と大野七段が盤前に着席。盤駒の脇に宿特製のコーヒーが置かれ、10時3分、決戦のひぶたが切られた。
(つづく)
コメント (4)
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