貼られていたポスターに「お待たせしました!!」の文字があり、「アイランドホッピングキップ」なるものが売られていた。今年の4月に新発売したものだ。八重山観光フェリーの「かりゆし周遊券」に対抗したものらしいだが、よく見ると微妙に違うところがあった。
八重山観光フェリーのそれは4日間で5,000円だが、安栄観光のそれは3日間用4,500円、4日間用5,000円、5日間用6,000円と、3段階に分かれていた。
私は13日から15日までの3日間しか使わないので、それなら安栄観光の3日券のほうが安くてよい。しかも安栄観光なら、先ほど石垣空港でもらったカードを使えば、バス代の200円がキャッシュバックされるのだ。
…いや、でも肝心の船の時刻が、運航会社によってまちまちのはず。例えば鳩間行きの高速船は、安栄観光でも都合のいい時間に出ているのだろうか。
…と思って調べると、何と、両社の船は、相互利用可能になっていた。つまり八重山観光フェリーのチケットでも、安栄観光の高速船に乗れるということだ。
うああっ…!! こ、これは、安栄観光の企画切符を買った方が、700円もトクだったのだ!
久しぶりに…本当に久しぶりに、めまいがした。これは沖縄の暑さのせいではない。自分のアホさ加減に、自己嫌悪に陥ったのだ。
気を取り直して、黒島行きの高速船に乗る。13時・石垣発、13時25分・黒島着。八重山に来ると黒島は必ず訪れているが、今年は待合室が増築されていたのでビックリした。今年の5月に完成したらしい。鳩間島、竹富島と、ここのところ離島の待合室は増築ラッシュだ。よほど潤っているのだろう。
港からはレンタサイクルを利用する。以前は港の反対側にある仲本海岸まで、連絡バスが出ていたのだが、廃止になった。バスのワゴン車は維持費がかかるうえ、徴収できる金額が限られている。運転手も付けなければならないし、意外と経費がかかるのだ。
その代わりに幅を利かせているのがレンタサイクルなのだ。1時間200円からで、1日借りると1,000円。私に言わせると、やや高めの設定である。
これは、人件費が安く抑えられる、維持費がほとんどかからない、客単価が高くなる、初期投資が安いなど、いいことづくめなのだ。
私も海岸の往復は歩きたかったのだが、島内の時間がもったいないので、レンタサイクルを利用せざるを得なかった。前払いで、4時間分の料金800円を払う。早くもこれで、連絡バスの料金を上回ってしまった。
黒島ビジターセンター近くにあるプズマリ(火番盛)に行く。この小山を登ると、海岸が見渡せる。書き遅れたが、今回私はビデオカメラを携行している。この風景をビデオに収めようと構えたら、プズマリは崩落の危険があるとかで、登はん禁止になっていた。旅行に誤算はつきものだが、今回も計算違いの出来事が多い。
仲本海岸に行く。ここは簡易シャワーがあったが、のちに立派なシャワー施設に建て替えられた。それでいて使用は無料である。近くに東屋があるのもよい。こういう海岸は実にありがたい。
仲本海岸は、潮が引くとリーフ(サンゴの防波堤)が顔を出し、その上を歩くのが愉快だ。しかし海岸はこれから満ちてくるようだ。いささか興趣が殺がれるが、贅沢はいえない。
私はさっそく海に入る。ここの魚はやや獰猛で、以前足の指の爪を食いちぎられたことがある。それ以来ビーチサンダルはクロックスを使用している。
海に浮いては浜に戻る、を繰り返すが、気がついたらほとんどの海水浴客が消えていた。やはり潮が満ちていて、あまり面白味がないのだろう。
私も4時少し前に上がり、シャワーを浴びて着替える。黒島ビジターセンターに寄って、黒島の歴史のお勉強。センターを出ると、近くにある軽食喫茶「パームツリー」に向かった。
ここは本土の人の経営で、もう開店して10年以上になる。当時、黒島にはこれといった店がなく、そこにシャレた喫茶店ができたときは、砂漠でオアシスを見つけたかの如くだった。
ここ数年は店の存在が認知されて、満員で入れない年もあったが、今年は無事入れた。
ここではケーキセット(アイスコーヒーとマンゴーケーキ)を注文する。きょうは昼食を摂っていないので、これが昼食代わりである。
アイスコーヒーを飲んで一息ついていると、モデル級の美女がふたり入ってきた。うちひとりはモデルの仁科仁美そっくり。まさか同一人物ということはあるまいが、どうしてこんな美人が、沖縄本島から430キロ離れた石垣島の、そこからさらに高速船で25分ほどいった離島に訪れたのか分からぬ。まあ、それだけ黒島が魅力的なのだろう。
このまま港へ戻ってもいいが、時刻はまだ4時半。自転車は5時半まで借りているから、ここで戻るわけにはいかない。
黒島小中学校の近くにある展望台に向かう。途中、道を間違えて砂利道に入ってしまった。ガタガタ走っていたら、後ろのタイヤが緩くなってきた。パンクしたのだろうか。マズイ…。
牧草地にクジャクが見える。たしか黒島は、クジャクが異常繁殖しているのだ。島民は、何か手を打っているのだろうか。
黒島展望台に登る。今度はビデオを回した。展望台からは、360度、牧草地が見える。ここ黒島は、人より牛のほうが多いといわれているが、さもありなん、だ。
5時すぎに自転車を返した。今回はタイヤをパンクさせたことをカミングアウトしたが、バイトのおねーちゃんは許してくれた。ありがたいことである。
港の待合室で小1時間ばかりボーッとしたあと、18時の高速船で石垣に戻った。
さて、夕食である。旧あやぱにモールの先、ゆいロードを越えた住宅街の一隅にある「パピヨン」に入った。
ここもなんてことのない軽食喫茶だが、毎年訪れている。無事にこの店に来られること。それはすなわち、1年間を大過なく過ごせたことの証なのだ。
かつ丼セット(アイスティー付き)を美味しく食べて、次は近くにある「プラゼール」へ向かう。ここもふつうの喫茶店だが、アイスコーヒーの氷にコーヒーが使われていて、氷が解けても味が損なわれない工夫がされている。私はそれに感激して、毎年訪れているのである。
女優の中原早苗に似た、「プラゼール」のママさんは健在だった。いつもどおりアイスコーヒーを頼む。
配送屋が来て、そのオニイサンに、ママさんがマンゴーを食べさせていた。
「もらいものだけど」
と言って、ママさんが私にもくれる。こぶりなマンゴーが4分の1ほど切られている。これをフルーツ店で買ったら数百円になるだろう。ママさんも私の顔を覚えていての、サービスである。
そういえば、宮古島ユースホステルのきょうの朝食でも、マンゴーが出ていた。あれも特別サービスだったのかもしれない。
ママさんと世間話を楽しみ、店を出る。引き続きA&Wに寄ろうと思ったが、きょうは宿泊地の「アイランド@Ishigaki」に向かう。なんと、八重山諸島では初のビジネスホテル宿泊である。
石垣島に来たならドミトリーの安宿に泊まればいいのだが、ここ「アイランド-」は室内にPCが備えられているので、ここに決めた。もちろん、ブログを書くためである。旅行のときぐらいブログはやめればいいのに、何の因果かと思う。
新川にある同ホテルは、ネットカフェの2階にあった。実は何度かその前を通ったことがあり、道に迷うことはなかった。
女優の小田茜にそっくりで、矢内理絵子女流四段の雰囲気も持つ女店員さんからキーを受け取り、2階に上がって、部屋を開けた。こ、これは…!!
(つづく)
八重山観光フェリーのそれは4日間で5,000円だが、安栄観光のそれは3日間用4,500円、4日間用5,000円、5日間用6,000円と、3段階に分かれていた。
私は13日から15日までの3日間しか使わないので、それなら安栄観光の3日券のほうが安くてよい。しかも安栄観光なら、先ほど石垣空港でもらったカードを使えば、バス代の200円がキャッシュバックされるのだ。
…いや、でも肝心の船の時刻が、運航会社によってまちまちのはず。例えば鳩間行きの高速船は、安栄観光でも都合のいい時間に出ているのだろうか。
…と思って調べると、何と、両社の船は、相互利用可能になっていた。つまり八重山観光フェリーのチケットでも、安栄観光の高速船に乗れるということだ。
うああっ…!! こ、これは、安栄観光の企画切符を買った方が、700円もトクだったのだ!
久しぶりに…本当に久しぶりに、めまいがした。これは沖縄の暑さのせいではない。自分のアホさ加減に、自己嫌悪に陥ったのだ。
気を取り直して、黒島行きの高速船に乗る。13時・石垣発、13時25分・黒島着。八重山に来ると黒島は必ず訪れているが、今年は待合室が増築されていたのでビックリした。今年の5月に完成したらしい。鳩間島、竹富島と、ここのところ離島の待合室は増築ラッシュだ。よほど潤っているのだろう。
港からはレンタサイクルを利用する。以前は港の反対側にある仲本海岸まで、連絡バスが出ていたのだが、廃止になった。バスのワゴン車は維持費がかかるうえ、徴収できる金額が限られている。運転手も付けなければならないし、意外と経費がかかるのだ。
その代わりに幅を利かせているのがレンタサイクルなのだ。1時間200円からで、1日借りると1,000円。私に言わせると、やや高めの設定である。
これは、人件費が安く抑えられる、維持費がほとんどかからない、客単価が高くなる、初期投資が安いなど、いいことづくめなのだ。
私も海岸の往復は歩きたかったのだが、島内の時間がもったいないので、レンタサイクルを利用せざるを得なかった。前払いで、4時間分の料金800円を払う。早くもこれで、連絡バスの料金を上回ってしまった。
黒島ビジターセンター近くにあるプズマリ(火番盛)に行く。この小山を登ると、海岸が見渡せる。書き遅れたが、今回私はビデオカメラを携行している。この風景をビデオに収めようと構えたら、プズマリは崩落の危険があるとかで、登はん禁止になっていた。旅行に誤算はつきものだが、今回も計算違いの出来事が多い。
仲本海岸に行く。ここは簡易シャワーがあったが、のちに立派なシャワー施設に建て替えられた。それでいて使用は無料である。近くに東屋があるのもよい。こういう海岸は実にありがたい。
仲本海岸は、潮が引くとリーフ(サンゴの防波堤)が顔を出し、その上を歩くのが愉快だ。しかし海岸はこれから満ちてくるようだ。いささか興趣が殺がれるが、贅沢はいえない。
私はさっそく海に入る。ここの魚はやや獰猛で、以前足の指の爪を食いちぎられたことがある。それ以来ビーチサンダルはクロックスを使用している。
海に浮いては浜に戻る、を繰り返すが、気がついたらほとんどの海水浴客が消えていた。やはり潮が満ちていて、あまり面白味がないのだろう。
私も4時少し前に上がり、シャワーを浴びて着替える。黒島ビジターセンターに寄って、黒島の歴史のお勉強。センターを出ると、近くにある軽食喫茶「パームツリー」に向かった。
ここは本土の人の経営で、もう開店して10年以上になる。当時、黒島にはこれといった店がなく、そこにシャレた喫茶店ができたときは、砂漠でオアシスを見つけたかの如くだった。
ここ数年は店の存在が認知されて、満員で入れない年もあったが、今年は無事入れた。
ここではケーキセット(アイスコーヒーとマンゴーケーキ)を注文する。きょうは昼食を摂っていないので、これが昼食代わりである。
アイスコーヒーを飲んで一息ついていると、モデル級の美女がふたり入ってきた。うちひとりはモデルの仁科仁美そっくり。まさか同一人物ということはあるまいが、どうしてこんな美人が、沖縄本島から430キロ離れた石垣島の、そこからさらに高速船で25分ほどいった離島に訪れたのか分からぬ。まあ、それだけ黒島が魅力的なのだろう。
このまま港へ戻ってもいいが、時刻はまだ4時半。自転車は5時半まで借りているから、ここで戻るわけにはいかない。
黒島小中学校の近くにある展望台に向かう。途中、道を間違えて砂利道に入ってしまった。ガタガタ走っていたら、後ろのタイヤが緩くなってきた。パンクしたのだろうか。マズイ…。
牧草地にクジャクが見える。たしか黒島は、クジャクが異常繁殖しているのだ。島民は、何か手を打っているのだろうか。
黒島展望台に登る。今度はビデオを回した。展望台からは、360度、牧草地が見える。ここ黒島は、人より牛のほうが多いといわれているが、さもありなん、だ。
5時すぎに自転車を返した。今回はタイヤをパンクさせたことをカミングアウトしたが、バイトのおねーちゃんは許してくれた。ありがたいことである。
港の待合室で小1時間ばかりボーッとしたあと、18時の高速船で石垣に戻った。
さて、夕食である。旧あやぱにモールの先、ゆいロードを越えた住宅街の一隅にある「パピヨン」に入った。
ここもなんてことのない軽食喫茶だが、毎年訪れている。無事にこの店に来られること。それはすなわち、1年間を大過なく過ごせたことの証なのだ。
かつ丼セット(アイスティー付き)を美味しく食べて、次は近くにある「プラゼール」へ向かう。ここもふつうの喫茶店だが、アイスコーヒーの氷にコーヒーが使われていて、氷が解けても味が損なわれない工夫がされている。私はそれに感激して、毎年訪れているのである。
女優の中原早苗に似た、「プラゼール」のママさんは健在だった。いつもどおりアイスコーヒーを頼む。
配送屋が来て、そのオニイサンに、ママさんがマンゴーを食べさせていた。
「もらいものだけど」
と言って、ママさんが私にもくれる。こぶりなマンゴーが4分の1ほど切られている。これをフルーツ店で買ったら数百円になるだろう。ママさんも私の顔を覚えていての、サービスである。
そういえば、宮古島ユースホステルのきょうの朝食でも、マンゴーが出ていた。あれも特別サービスだったのかもしれない。
ママさんと世間話を楽しみ、店を出る。引き続きA&Wに寄ろうと思ったが、きょうは宿泊地の「アイランド@Ishigaki」に向かう。なんと、八重山諸島では初のビジネスホテル宿泊である。
石垣島に来たならドミトリーの安宿に泊まればいいのだが、ここ「アイランド-」は室内にPCが備えられているので、ここに決めた。もちろん、ブログを書くためである。旅行のときぐらいブログはやめればいいのに、何の因果かと思う。
新川にある同ホテルは、ネットカフェの2階にあった。実は何度かその前を通ったことがあり、道に迷うことはなかった。
女優の小田茜にそっくりで、矢内理絵子女流四段の雰囲気も持つ女店員さんからキーを受け取り、2階に上がって、部屋を開けた。こ、これは…!!
(つづく)