一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

沖縄旅行7

2012-08-23 20:14:07 | 旅行記・沖縄編
いささか気が引けるが、海パンにTシャツ姿で、宿まで戻る。当たり前だが、島内を海パン姿で歩くことは禁止である。一般の人はマネしてはいけない。
シャワーを浴びる。宿にあるコインランドリーを利用して、洗濯も済ませた。と、「稲葉六段」が、あなたとは石垣島のユースでいっしょになりませんでしたか? と言う。
ああ…そう言われればそうなのだろうか。彼は私と会った時、八洲旅館ユースホステルが閉館したことを誰よりも嘆いていた。彼も八重山フリークで、とすれば休みの時期が同じ私と、どこかで出会っていてもおかしくなかった。
彼は八重山に、ギターを持ってきていた。…あっ! そういえば3年前、八洲旅館ユースで、ギターを弾いていた宿泊客がいた! あのときはひとり旅の若者が3人で和んでいて、私の入るスキがなかった。彼はその中のひとりだったか。
夕食は7時からなので、それまでの間、散歩に出る。八重山の陽は長く、まだ空は明るい。港の近くの防波堤にすわり、ひとり佇む。何度も書くが、海が透明である。
釣りをしている人が見える。のどかな光景だ。私はスマホを出して、「お気に入り」から「檄!帝国華撃団」「フライングゲット」を聴く。1年前では考えられなかった行動である。八重山の浜辺でAKB。実に贅沢なひとときだった。
宿に戻るが、まだ時間がある。部屋では「丸山九段」が、iPadで何か書いている。ここにも文明の利器がある。私はゴロンと寝転んだ。
扇風機のスイッチを入れると、風が気持ちいい。「まるだい」は部屋と廊下との襖を取っ払っている。外からは丸見えだが、そこを「ひんぷん」が遮ってくれる。
風よけ、魔除け、目隠しとさまざまな役割を果たす「ひんぷん」は、沖縄の家屋では定番の石積みだが、「まるだい」にはかつてそれがなかった。日本テレビ系ドラマ「瑠璃の島」のロケ地として「まるだい」が使われた際、番組スタッフがレプリカとして設置したものだ。
番組は終わったが撤去する理由もなく、そのままにされている。いまではその周りに花や草木が生い茂り、本物と見紛うばかりの風合いになっている。
こうやってグデーッとしていながら、夕食を待つ。繰り返すが、最高の贅沢である。
「あっ、虹だ!」
「丸山九段」が叫ぶ。見ると、東の方角に綺麗な虹がかかっている。遠くでスコールが降ったようだ。しばらくすると、こちらにも雨が降って来た。
鳩間では初めての雨体験である。Tシャツやトランクスは軒下に干していたが、海パンとバスタオルは庭に干していた。私はバスタオルを軒下に避難させた。
ごはんですよー、の声を聞いて、私たちは食堂に向かった。献立は魚を中心としたヘルシーメニュー。テレビではものまね歌合戦をやっていた。いまは日本全国津々浦々、東京で見ている番組と同じものが観られる。すべてが便利になって、何か物足りない。
1日遊んだこともあり、きょうの夕食もことのほか美味かった。
部屋に戻って、またもゴロン。食っちゃ寝、食っちゃ寝、というやつだ。こんな生活に慣れてしまったら、帰京してもまともに仕事ができないな、と思う。ちょっとリハビリしなくちゃならないな、と思う。
もっともそこまで心配しなくても、私はあす、東京に帰る。
うつらうつらしていたら、時間が経った。お茶にしましょうか、という娘さんの声で、私たちは庭にあるベンチに集まった。時刻は午後9時。ゆんたくの時間である。
先ほどのスコールのお陰で、すっかり涼しくなった。打ち水効果というべきか、Tシャツ1枚では肌寒いくらいだ。
昼に続いて夕食も摂った作業員は、鳩間島に出張なので宿に泊まり込みだが、すでに自室に引っ込んでいる。よってゆんたくの参加者は、それ以外の全員、ということになる。私は「請福」を薄く割って、乾杯。
娘さんは椿鬼奴似の美人。宿に出入りしていたマイク真木似のナイスガイは、鬼奴さんの幼馴染で、最近まるだいで働き始めたという。「採用」の決め手は、「料理ができたから」だったらしい。
鬼奴さんは鳩間に常駐しているわけではなく、年に半分くらい訪れているらしい。これからその比率が上がっていくのだろう。
おばあは現在那覇に帰っていて、ランチバイキングを楽しんでいるらしい。大庭美樹女流初段似のヘルパーさんは、退職したとのこと。おじいが亡くなって、スタッフが一新された感じだ。
少年が鬼奴さんに、「おばさんって何歳から?」と残酷なことを問う。対して鬼奴さんの答えが振るっていた。
「60歳から」
46歳はまだまだ青年だ。私も老けこんではいられない。
やがて近所の夫婦(旅行者?)と、どこかの親戚のお孫さんふたりが合流して、にぎやかになった。
小学生計3人は「船江五段」を誘い、母屋でトランプ。大人は引き続き世間話である。初対面の人との会話の機会はなかなかないので、私もいい刺激になる。
空を見上げるが、星がほとんど見えない。これは意外だった。あるいは私の目が悪くなったのだろうか。
しばらく経って、ご夫婦は退席。トランプをしていた小学生の少年も、こちらのテーブルに戻ってきた。彼は同年代の少年と遊ぶより、大人とのゆんたくを楽しみたいようだ。ではここで、席の配置を記しておこう。

   稲葉 少年 丸山
真木
   鬼奴 一公

鬼奴さんが、玄関と廊下の蛍光灯を消す。辺りは真っ暗になり、その途端、夜空に満天の星が輝いた。
「プラネタリウムだ!!」
天然の星を見てプラネタリウムというのも変な話だが、それが実感だった。
蛍光灯が2本点いているだけで、星が見えない。これでは東京で星を見るなど、夢のまた夢だ。
星を見ればお約束、流れ星の確認である。私たちはのけぞって、それを探す。何人かは見つけたようだが、私の視界には入らない。だいたい私はこういう時、見つけられないクチである。そのときだった。
ああああっ!? あれ!! あれは、いまのは、何だ!?
(つづく)
コメント (2)
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