一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流王将の太もも

2014-08-05 00:26:12 | 男性棋戦
3日(日)放送のNHK杯将棋トーナメントは、熊坂学五段VS香川愛生女流王将。1回戦の掉尾を飾る注目の一番であった。
熊坂五段は2002年四段昇段。順位戦に参加したが、いきなり2年連続で、降級点を取った。
このころ、「将棋ペン倶楽部」でアンケートがあり、私は「熊坂四段の順位戦に注目する」と書いた。しかし結果は武運つたなく、熊坂四段は3回目の降級点を取り、将棋界初?ストレートでのフリークラスへ降級となってしまった。
将棋界は、四段の力があっても四段になれない奨励会員はいるが、四段になった棋士は例外なく四段の力がある。熊坂五段ももちろん、四段の力を持った天才だった。
しかし、順位戦になると力を出せない棋士はいる。古くは瀬戸博晴七段などがそうで、現在は熊坂五段がそうだった。勝負の世界は厳しく、結果がすべてである。他棋戦で活躍しても、順位戦の成績が悪ければ、それが棋士生命に直結してしまう。
そして今年が熊坂五段のフリークラス10年目。竜王戦は5組で迎えたが、3連敗を喫し6組への降級が決定した。これで熊坂五段はほぼ間違いなく、37歳の若さで、来年3月での引退が決まってしまったのである。
そんな中でのNHK杯出場は、熊坂五段最初で最後の、晴れ舞台であった。

一方の香川女流王将は、里見香奈女流二冠からタイトルを奪取し、いま最も乗っている女流棋士だ。
以前はマッシュルームカットにメガネ姿で、ハリー・ポッターの雰囲気すらあったが、メガネを外し髪型を変えると、綺麗なお嬢さんに変身してしまった。そこで将棋ファンの、香川女流王将に対する見方が変わったのである。
現在彼女は、「将棋界のまゆゆ」と呼ばれているそうだ。確かにふたりはよく似ていて、私がもう少し注意深かったら、「似ているシリーズ」で紹介していたところなのだが、既出の事例をブログに書くわけにはいかない。これは本当にうかつだった。

というわけで、フリークラス棋士と女流タイトルホルダーの決戦とは、おもしろいことになった。
当日「将棋フォーカス」を見ていると、画面に「(外付型ハードディスクに)録画を開始しました」というメッセージが出た。私は忘れていたのだが、見逃すことのないよう、録画予約をしていたのだ。
私は安心して?トイレに入る。戻ってくると、解説の中村修九段が映り、対局室に転換された。…ウン? 香川女流王将はベージュのパンツを穿いているのか…と思いきや、それがムチムチのおみ足だったので、ビックリした。か、香川女流王将、ミ、ミ、ミニスカートじゃないか!!
香川女流王将、ぜ、全国の将棋ファンを前に、やってくれた!!
スカートが短すぎます…という中村九段の声が聞こえてくるようだが、そんなものは関係ない。視聴者の目が気になれば、パンツを穿いてくればいいだけの話。つまりこれは、香川女流王将承知の上の英断であった。
将棋は先手香川女流王将の石田流に、熊坂五段は天守閣美濃に組んだ。
現在の将棋界でこの囲いは珍しく、△1二玉型の途中と考えられている。しかも△2三玉型なら四枚美濃があるが、本局では金銀3枚の囲いだ。
香川女流王将は、腕をフワァーッと振りかぶって、ピチッ、と指す独特のフォーム。
ああ…私はバカなこととは知りながら、もう一台のテレビに付属している、ブルーレイディスクでも録画を開始した。何となく、この対局を永久保存版にしたかったからだ。
盤上は、香川女流王将が意表の▲6五歩で、思わぬところから開戦となった。
ここから香川女流王将の指し手が冴える。角、銀を捌き、師匠・中村九段の見立てだから多少を割り引いても、香川女流王将が指せる期勢に見えた。
画面は時折対局場全体を映す。いつもなら室谷由紀女流初段の美貌鑑賞を楽しみにするところだが、今回に限っては、女流王将の太ももに目がいってしまう。もうこれは、成人男性としてやむを得ない。だって、ほかにどこを見ればいいのだ。
しかしここにひとり、女流王将のスカートに面白くない?のが、棋譜読み上げの鈴木環那女流二段だった。
あんなに短いスカートを穿いて、許せないッ! と思ったかどうかは知らぬが、自分はどんなに短いスカートを穿こうが、所詮は記録机の向こう側。視聴者を楽しませることはできない。やはり将棋は勝たなくてはダメだ、と痛感したのではあるまいか。
そんな鈴木女流二段、9日のマイナビ一斉対局ではどんなファッションを見せてくれるか、楽しみである(もっとも私は、竹橋には行かないが)。
盤面に戻り、62手目、熊坂五段の放った△1二角が名手だった。古来、この筋に打つ自陣角は名角が多い。
古くは森けい二九段の、王位戦での△1二角。本NHK杯の男性棋士VS女流棋士では、1999年、第49回大会の石川陽生六段と清水市代女流五段の一戦で、石川六段が△1二角を放ち、快勝している。
そんなわけで本局、この先の指し手は分からぬが、熊坂五段が勝つような気がした。
果たして結果も、熊坂五段の勝ち。終局まで、△1二角が実によく利いていた。
だが香川女流王将は、よく戦った。終盤まで勝ちがあった気もするし、大健闘だった。感想戦での、この世の終わり、のようなうなだれ方も、一局に賭ける意気込みが伝わって、すがすがしささえあった。
そして何より、私は改めて、熊坂五段の強さに感心したのであった。
熊坂五段は、地元の仙台市では大変な人気だという。世間は誤解をしているが、棋士は引退をしても公式戦を指さなくなるだけで、将棋講師や原稿執筆、対局の立ち合いや大会の審判など、仕事はいくらでもある。熊坂五段も、たぶん大丈夫だろう。
その前に熊坂五段は、NHK杯で優勝すれば、特例で順位戦に戻れる。その可能性は蜘蛛の糸のごとくだが、最後まで諦めずに頑張ってほしいと思う。
最後になるが、香川女流王将の今後の活躍も、もちろん祈っている。私はきょうで、すっかり香川女流王将のファンになってしまったから…。
コメント (3)
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