(3日のつづき)
私は動揺しつつも、氷像を鑑賞する。しかし写真を撮らないと、どうもしっくりこない。なんだか、星をなくしたドロンパみたいだ。ただ、カメラがなければないで、首からぶら提げなくて済むし、撮影する面倒もない。それにカメラがあると、撮影してオワリの雰囲気があるが、肉眼でじっくり見ると、被写体が網膜に残りそうな気もするのだ。
この辺りの心理は、微妙なところであった。
湖畔会場へ行こう。ここは世界最大の雪像があり、毎年楽しみにしているのだが、第1回(1960年)から大雪像のデザインを手掛けてきた桜木稔画伯が2003年に亡くなってから、大雪像に大味なものが多くなってきた。
昔は雪像や氷像、出店もあったのに、いまはすっかり何もなくなった常盤公園を横切り、湖畔会場に着く。
今年の大雪像は「トランスフォーマー」で、相変わらず大きかったが、その造形が雪の表面に切れ込みを入れただけのもので、私は大いに失望した。
ほうぼうに立ててあるスケジュールを確認すると、夜に「光と音の映像ショー」があり、大雪像はそのときのスクリーンになると思われるが、そのためだけに雪像の微妙な凹凸、細かな飾りを排除してしまうとは、本末転倒ではないか。
これすべて、経費の削減なのだろうか。出入り口でスケジュール表をもらうが、いつものコート紙ではなく、ザラ紙だった。ここにも経費削減の跡が見て取れる。
もっとも、昨年にはなかったゲームもあって、会場左隅にある、雪で作った巨大迷路などは、大人でもチャレンジしたくなる。が、さすがにオッサンの一人旅では挑めない。一人旅は自由であるが、ときに不自由でもある。
ステージ右手前には、中・小雪像広場。ここらあたりは、さらっと鑑賞する程度になってしまった。
その奥には、ミニ鉄道が今年も敷かれていた。こうしてみると、大雪像以外は、そこそこ充実しているのだろうか。
ただ、私がひそかに楽しみにしていた、地元旭川出身の歌手・柳ジュンのコンサートが、きのう開かれていたのが残念だった。
一方、食事処は今年も賑やかだ。昨年手繰った、麺の卸し会社のかけそばも健在だが、今年は300円から400円に値上げしていたので、パスした。
私は買物公園通りに戻り、いつもの「八角寿司」に入る。ランチは、にぎり8貫にいなりずし、玉子、茶碗蒸し、小鉢、みそ汁。さらに食後のコーヒーが付いて1,000円と、お得だった。
前述のとおり、列車等で移動はできないので、私は再び湖畔会場に向かう。その近くの、毎年冷かしている古本屋に入ったが、そのたびに買おうか買うまいか迷っていたコミックが、ついになくなっていた。
私のポリシーでは妥協できない値付だったので買わなかったのだが、こんなことなら買っとくんだった、と後悔した。私の人生はこんなのばっかりである。
午後1時からは、ステージにてFM北海道の公開録音がある。その中にNatsukiのコンサートがあった。
Natsukiは札幌市で音楽教室を開いているゴスペルシンガーで、ここ数年のさっぽろ雪まつりには毎年出演している。今年は一足お先に、旭川で聴くことになった。
バックに10人ほどのコーラス隊が現れ、美しい音色を響かせる。素晴らしい!!
ステージの左では各種出し物もある。お笑いマジックなんかもやっていて、笑えた。
私は常盤公園内の旭川市立美術館に入る。今年は「生誕110年山口正城展」と「間の世界」の2本だった。セットで570円はまずまずか。
その後買物公園通りに戻り、喫茶店に入りコーヒーを飲み、一憩すると黄昏時になってきた。
旭川といえばラーメンが有名だが、日本そばもなかなかうまい。しかし、私がひいきにする店はいつも数年後に店を畳んでしまい、今はこれといった店がない。
買物公園通りを外れたところに蕎麦屋がある。ここは昔からあったが、お品書きの値段が外からでは分からず、いままで敬遠していた。
しかし、そう法外な値段は取るまいと思い、清水の舞台から飛び降りるつもりで入ったが、ここがなかなかいい店だった。店の女将は気さくで、出されたもりそばも更級でうまかった。これで550円は大満足。いままでお邪魔しなかったことを後悔した。
またも湖畔会場に向かう。例の蕎麦屋が、かけそばを200円で売っていたので、一杯もらう。400円のそばが200円で食べられるとは、私は幸せだ。
さらにたい焼き(120円)を食べて、これで晩ご飯は終わりである。
締めは午後7時からの「光と音の映像ショー」だ。いまは激しい雪が降っているが、私はフードをかぶって凌ぐ。この歳になって初めて分かったのだが、北海道の人は、雪よけに傘を使っていない。フードをかぶるのみなのだ。確かにこのほうが周りの迷惑にならず、片手も自由になるので便利だ。
映像ショーはレーザー光線とスモーク、それに合わせた勇壮な音楽で、聴く者すべてを感動させる。
三度買物公園通りに戻り、今度はライトアップされた氷像を鑑賞する。雪像や氷像は、実は夜のほうが幻想的で、見応えがあるのだ。
以上、若干消化不良の面もあったが、今年の旭川冬まつりも、楽しめた。
今夜の宿は、「オスパーコート宮前」を予約している。楽天トラベルでの評価は、星5を付ける人もいれば星1の人もいて、得体の知れない宿だ。
私はコンビニで、「FRIDAY」の最新号を買う。私が写真週刊誌を買うのは珍しいのだが、もちろんそれなりの理由はあった。
オスパーコート宮前は、旭川駅前から東に15分ぐらい歩いたところにあった。これがなかなかおもしろいツクリで、ウイークリーマンションのようだった。
受付を済ませると別棟に移り、部屋のドアを開けると、先がダイニングキッチンになっていて、その右が6畳の和室だった。ちょっと大野教室を思わせる。
風呂は別棟の大浴場にあり、なるほどこれは評価が分かれると思った。ちなみに私は、こういう部屋は好きである。というか、冬の北海道では、屋根がある部屋で休めるだけで、ありがたい。
テレビで「ミッションインポッシブル/ゴースト・プロトコル」を堪能したあと風呂に入り、この後は今夜のお楽しみである。
私は「FRIDAY」をリュックから取り出す。この2月21日号は、ひし美ゆり子の特大ヌードポスターが付録に付いていたのだった。
(つづく)
私は動揺しつつも、氷像を鑑賞する。しかし写真を撮らないと、どうもしっくりこない。なんだか、星をなくしたドロンパみたいだ。ただ、カメラがなければないで、首からぶら提げなくて済むし、撮影する面倒もない。それにカメラがあると、撮影してオワリの雰囲気があるが、肉眼でじっくり見ると、被写体が網膜に残りそうな気もするのだ。
この辺りの心理は、微妙なところであった。
湖畔会場へ行こう。ここは世界最大の雪像があり、毎年楽しみにしているのだが、第1回(1960年)から大雪像のデザインを手掛けてきた桜木稔画伯が2003年に亡くなってから、大雪像に大味なものが多くなってきた。
昔は雪像や氷像、出店もあったのに、いまはすっかり何もなくなった常盤公園を横切り、湖畔会場に着く。
今年の大雪像は「トランスフォーマー」で、相変わらず大きかったが、その造形が雪の表面に切れ込みを入れただけのもので、私は大いに失望した。
ほうぼうに立ててあるスケジュールを確認すると、夜に「光と音の映像ショー」があり、大雪像はそのときのスクリーンになると思われるが、そのためだけに雪像の微妙な凹凸、細かな飾りを排除してしまうとは、本末転倒ではないか。
これすべて、経費の削減なのだろうか。出入り口でスケジュール表をもらうが、いつものコート紙ではなく、ザラ紙だった。ここにも経費削減の跡が見て取れる。
もっとも、昨年にはなかったゲームもあって、会場左隅にある、雪で作った巨大迷路などは、大人でもチャレンジしたくなる。が、さすがにオッサンの一人旅では挑めない。一人旅は自由であるが、ときに不自由でもある。
ステージ右手前には、中・小雪像広場。ここらあたりは、さらっと鑑賞する程度になってしまった。
その奥には、ミニ鉄道が今年も敷かれていた。こうしてみると、大雪像以外は、そこそこ充実しているのだろうか。
ただ、私がひそかに楽しみにしていた、地元旭川出身の歌手・柳ジュンのコンサートが、きのう開かれていたのが残念だった。
一方、食事処は今年も賑やかだ。昨年手繰った、麺の卸し会社のかけそばも健在だが、今年は300円から400円に値上げしていたので、パスした。
私は買物公園通りに戻り、いつもの「八角寿司」に入る。ランチは、にぎり8貫にいなりずし、玉子、茶碗蒸し、小鉢、みそ汁。さらに食後のコーヒーが付いて1,000円と、お得だった。
前述のとおり、列車等で移動はできないので、私は再び湖畔会場に向かう。その近くの、毎年冷かしている古本屋に入ったが、そのたびに買おうか買うまいか迷っていたコミックが、ついになくなっていた。
私のポリシーでは妥協できない値付だったので買わなかったのだが、こんなことなら買っとくんだった、と後悔した。私の人生はこんなのばっかりである。
午後1時からは、ステージにてFM北海道の公開録音がある。その中にNatsukiのコンサートがあった。
Natsukiは札幌市で音楽教室を開いているゴスペルシンガーで、ここ数年のさっぽろ雪まつりには毎年出演している。今年は一足お先に、旭川で聴くことになった。
バックに10人ほどのコーラス隊が現れ、美しい音色を響かせる。素晴らしい!!
ステージの左では各種出し物もある。お笑いマジックなんかもやっていて、笑えた。
私は常盤公園内の旭川市立美術館に入る。今年は「生誕110年山口正城展」と「間の世界」の2本だった。セットで570円はまずまずか。
その後買物公園通りに戻り、喫茶店に入りコーヒーを飲み、一憩すると黄昏時になってきた。
旭川といえばラーメンが有名だが、日本そばもなかなかうまい。しかし、私がひいきにする店はいつも数年後に店を畳んでしまい、今はこれといった店がない。
買物公園通りを外れたところに蕎麦屋がある。ここは昔からあったが、お品書きの値段が外からでは分からず、いままで敬遠していた。
しかし、そう法外な値段は取るまいと思い、清水の舞台から飛び降りるつもりで入ったが、ここがなかなかいい店だった。店の女将は気さくで、出されたもりそばも更級でうまかった。これで550円は大満足。いままでお邪魔しなかったことを後悔した。
またも湖畔会場に向かう。例の蕎麦屋が、かけそばを200円で売っていたので、一杯もらう。400円のそばが200円で食べられるとは、私は幸せだ。
さらにたい焼き(120円)を食べて、これで晩ご飯は終わりである。
締めは午後7時からの「光と音の映像ショー」だ。いまは激しい雪が降っているが、私はフードをかぶって凌ぐ。この歳になって初めて分かったのだが、北海道の人は、雪よけに傘を使っていない。フードをかぶるのみなのだ。確かにこのほうが周りの迷惑にならず、片手も自由になるので便利だ。
映像ショーはレーザー光線とスモーク、それに合わせた勇壮な音楽で、聴く者すべてを感動させる。
三度買物公園通りに戻り、今度はライトアップされた氷像を鑑賞する。雪像や氷像は、実は夜のほうが幻想的で、見応えがあるのだ。
以上、若干消化不良の面もあったが、今年の旭川冬まつりも、楽しめた。
今夜の宿は、「オスパーコート宮前」を予約している。楽天トラベルでの評価は、星5を付ける人もいれば星1の人もいて、得体の知れない宿だ。
私はコンビニで、「FRIDAY」の最新号を買う。私が写真週刊誌を買うのは珍しいのだが、もちろんそれなりの理由はあった。
オスパーコート宮前は、旭川駅前から東に15分ぐらい歩いたところにあった。これがなかなかおもしろいツクリで、ウイークリーマンションのようだった。
受付を済ませると別棟に移り、部屋のドアを開けると、先がダイニングキッチンになっていて、その右が6畳の和室だった。ちょっと大野教室を思わせる。
風呂は別棟の大浴場にあり、なるほどこれは評価が分かれると思った。ちなみに私は、こういう部屋は好きである。というか、冬の北海道では、屋根がある部屋で休めるだけで、ありがたい。
テレビで「ミッションインポッシブル/ゴースト・プロトコル」を堪能したあと風呂に入り、この後は今夜のお楽しみである。
私は「FRIDAY」をリュックから取り出す。この2月21日号は、ひし美ゆり子の特大ヌードポスターが付録に付いていたのだった。
(つづく)