新年1月4日(日)は、埼玉県川口市にある「大野・植山教室」に行った。今年は暦の関係で新年の旅行ができなかったからだが、それにしても4日から将棋とは、おのが将棋好きを白状したも同然である。
教室には午後1時35分ごろ入った。大野八一雄七段が指導対局を行っており、早速5面指しになっていた。
新年の挨拶をすると、
「さっき指し初め式をしたんですよ」
と大野七段。指し初め式はブログでも告知されていたが、参加しそびれてしまった。教室は1時からだが、もっとも私は、その時間に入ったことは一度もない。
きょうの手合い係はFuj氏。
「きょうのNHK杯見ました?」
「うん」
「谷川先生、あそこで投了しますかねえ」
「オレもあそこで投げてたよ」
「でも○○○○ならあと50手は指しますよ」
「……」
「森下さんは、あそこで投了するのは谷川さんだけだ、って言ってましたが」
「……」
私もどう答えていいものか分からない。
奥で植山悦行七段のところが1面空いていたので、そこに入る。今年の指し初めは植山七段とである。
角を落としていただき、△6二銀に私の▲7六歩で2015年がスタートした。
数手進んで△6二飛に▲6七銀と、雁木に組む。▲7九玉△1四歩に、頃はよしと▲7五歩。△同歩は注文通りと見て、植山七段も△3五歩と反撃してきた。

以下の指し手。▲7四歩△3六歩▲7三角成△同桂▲同歩成△7六歩▲3五桂△3四銀▲4三桂成△同銀▲8八玉△7七歩成▲同金△8五桂▲7六金△3三桂
2つ隣では、Kun氏が植山七段に平手で挑んでいる。あとで分かったのだが、これ、指し初め式の将棋の続きだった。
後方では和服の男性が指している。Ok氏に見えるが髪の毛の量が多く、メガネも違うので、別人にも見える。
私は▲7四歩。こうなれば▲3五桂までは一本道だ。問題はここで△2四角が成立するかどうかだ。以下▲2四同飛△同銀▲4三桂成△同玉となるが、下手の持駒が角金銀でどうか。悪くはないが、自信はなかった。
本譜は△3四銀と我慢してくれたので、さらに金桂交換の駒得になった。
△8五桂▲7六金に二の矢がないとみて、植山七段は△3三桂と力をためた。

▲3五歩△7五歩▲同金△4四角▲8五金△同歩▲3四桂△同銀▲同歩△7五桂▲7六金△6七桂成▲同金△8四桂▲3三歩成△同金▲2五桂△7六桂▲同金△6七銀▲3三桂成△同角
△3三桂に▲8六歩と桂を取りに行く手も考えたが、のんびりしていると思った。
また▲3四歩△同銀▲3五歩△同銀▲3四歩(金)も考えたが、歩を使いすぎるので、却下。私はじっと▲3五歩と拠点を作った。
植山七段は△7五歩から△4四角。ここで慌てて▲3四銀は、△同銀▲同歩△7七銀で下手が負ける。よって▲8五金と桂を外したが、タダで取れそうな桂を金で取るようでは、難しくしたと思った。
以下は攻め合いになり、▲3三桂成△同角に次の一手は。

▲4四桂△同角▲4三銀△同玉▲2三飛成△3三桂▲3二銀 まで、一公の勝ち。
私は▲3四銀と打つつもりだったが、▲4四桂を考えると、意外にも詰み筋がある。△4四同角▲4三銀に△2二玉は▲2三飛成が用意の手で、△同玉▲3四金以下詰む。これが成立するなら、ほかの変化は簡単である。
植山七段は△4三同玉だったが、私は▲2三飛成以下即詰みに討ち取った。
注意すべきは最終▲3二銀で、ここ▲3四銀では、上手の持駒次第では詰まない。上手は最後の最後まで罠を仕掛けているのだ。
本局、新年だからか植山七段は緩めてくれている感じで、その配慮に申し訳ない気がした。
パソコンを見ていたFuj氏が、ある将棋を紹介してくれる。ネットで拾った、女流棋士と級位者の指導対局だ。興味深く見たが、どちらも疑問手のオンパレードで、全然参考にならない。Fuj氏、どうせなら名局を見せてくれないか。
「きょうのNHK杯…谷川先生、あそこで投了しますかねえ」
「オレも投げると思ったよ」
「でも○○○○ならあと50手は指しますよ」
「谷川先生は入玉の手を指すのが嫌いだから」
「森下さんは、あそこで投了するのは谷川さんだけだ、って言ってましたが」
「……」
何か、さっきも話したような気がする。
2局目はS君と。S君はこの一年でメキメキと力をつけた、目下売り出し中の小学生である。
将棋は私の石田流に、S君の穴熊。私は速攻を目論んだがうまく阻まれ、ビッグ4に組まれてしまった。
S君は△8六歩と指し掛けて△7四歩。先に△8六歩なら喜んで▲同歩で先手必勝だったのだが…。もっとも△7四歩でも、▲同歩△8六歩▲7五銀(飛車取り)△同角▲同飛△8七歩成▲8五歩と進み、ここでは先手十分と見ていた。
ところが△9四飛と寄ったのが粘りある手で、私は▲7二角としたが、ちょっと筋が違う感じ。以下、S君に巧妙に攻めを繋がれて負けた。
いやいやこの将棋を負けるとは…。私には珍しく感想戦を熱心に行ったが、△8七歩成の局面では、先手が駒得でも居飛車の穴熊が固く、先手難局との結論になった。
私としては序盤、△9五歩と突き越され、△9四飛の余地を作らせたのがマズかったことになる。穴熊相手には細心の注意が必要だと痛感した。
(つづく)
教室には午後1時35分ごろ入った。大野八一雄七段が指導対局を行っており、早速5面指しになっていた。
新年の挨拶をすると、
「さっき指し初め式をしたんですよ」
と大野七段。指し初め式はブログでも告知されていたが、参加しそびれてしまった。教室は1時からだが、もっとも私は、その時間に入ったことは一度もない。
きょうの手合い係はFuj氏。
「きょうのNHK杯見ました?」
「うん」
「谷川先生、あそこで投了しますかねえ」
「オレもあそこで投げてたよ」
「でも○○○○ならあと50手は指しますよ」
「……」
「森下さんは、あそこで投了するのは谷川さんだけだ、って言ってましたが」
「……」
私もどう答えていいものか分からない。
奥で植山悦行七段のところが1面空いていたので、そこに入る。今年の指し初めは植山七段とである。
角を落としていただき、△6二銀に私の▲7六歩で2015年がスタートした。
数手進んで△6二飛に▲6七銀と、雁木に組む。▲7九玉△1四歩に、頃はよしと▲7五歩。△同歩は注文通りと見て、植山七段も△3五歩と反撃してきた。

以下の指し手。▲7四歩△3六歩▲7三角成△同桂▲同歩成△7六歩▲3五桂△3四銀▲4三桂成△同銀▲8八玉△7七歩成▲同金△8五桂▲7六金△3三桂
2つ隣では、Kun氏が植山七段に平手で挑んでいる。あとで分かったのだが、これ、指し初め式の将棋の続きだった。
後方では和服の男性が指している。Ok氏に見えるが髪の毛の量が多く、メガネも違うので、別人にも見える。
私は▲7四歩。こうなれば▲3五桂までは一本道だ。問題はここで△2四角が成立するかどうかだ。以下▲2四同飛△同銀▲4三桂成△同玉となるが、下手の持駒が角金銀でどうか。悪くはないが、自信はなかった。
本譜は△3四銀と我慢してくれたので、さらに金桂交換の駒得になった。
△8五桂▲7六金に二の矢がないとみて、植山七段は△3三桂と力をためた。

▲3五歩△7五歩▲同金△4四角▲8五金△同歩▲3四桂△同銀▲同歩△7五桂▲7六金△6七桂成▲同金△8四桂▲3三歩成△同金▲2五桂△7六桂▲同金△6七銀▲3三桂成△同角
△3三桂に▲8六歩と桂を取りに行く手も考えたが、のんびりしていると思った。
また▲3四歩△同銀▲3五歩△同銀▲3四歩(金)も考えたが、歩を使いすぎるので、却下。私はじっと▲3五歩と拠点を作った。
植山七段は△7五歩から△4四角。ここで慌てて▲3四銀は、△同銀▲同歩△7七銀で下手が負ける。よって▲8五金と桂を外したが、タダで取れそうな桂を金で取るようでは、難しくしたと思った。
以下は攻め合いになり、▲3三桂成△同角に次の一手は。

▲4四桂△同角▲4三銀△同玉▲2三飛成△3三桂▲3二銀 まで、一公の勝ち。
私は▲3四銀と打つつもりだったが、▲4四桂を考えると、意外にも詰み筋がある。△4四同角▲4三銀に△2二玉は▲2三飛成が用意の手で、△同玉▲3四金以下詰む。これが成立するなら、ほかの変化は簡単である。
植山七段は△4三同玉だったが、私は▲2三飛成以下即詰みに討ち取った。
注意すべきは最終▲3二銀で、ここ▲3四銀では、上手の持駒次第では詰まない。上手は最後の最後まで罠を仕掛けているのだ。
本局、新年だからか植山七段は緩めてくれている感じで、その配慮に申し訳ない気がした。
パソコンを見ていたFuj氏が、ある将棋を紹介してくれる。ネットで拾った、女流棋士と級位者の指導対局だ。興味深く見たが、どちらも疑問手のオンパレードで、全然参考にならない。Fuj氏、どうせなら名局を見せてくれないか。
「きょうのNHK杯…谷川先生、あそこで投了しますかねえ」
「オレも投げると思ったよ」
「でも○○○○ならあと50手は指しますよ」
「谷川先生は入玉の手を指すのが嫌いだから」
「森下さんは、あそこで投了するのは谷川さんだけだ、って言ってましたが」
「……」
何か、さっきも話したような気がする。
2局目はS君と。S君はこの一年でメキメキと力をつけた、目下売り出し中の小学生である。
将棋は私の石田流に、S君の穴熊。私は速攻を目論んだがうまく阻まれ、ビッグ4に組まれてしまった。
S君は△8六歩と指し掛けて△7四歩。先に△8六歩なら喜んで▲同歩で先手必勝だったのだが…。もっとも△7四歩でも、▲同歩△8六歩▲7五銀(飛車取り)△同角▲同飛△8七歩成▲8五歩と進み、ここでは先手十分と見ていた。
ところが△9四飛と寄ったのが粘りある手で、私は▲7二角としたが、ちょっと筋が違う感じ。以下、S君に巧妙に攻めを繋がれて負けた。
いやいやこの将棋を負けるとは…。私には珍しく感想戦を熱心に行ったが、△8七歩成の局面では、先手が駒得でも居飛車の穴熊が固く、先手難局との結論になった。
私としては序盤、△9五歩と突き越され、△9四飛の余地を作らせたのがマズかったことになる。穴熊相手には細心の注意が必要だと痛感した。
(つづく)