A氏は三間に飛車を振ってきた。二枚落ち定跡には、二歩突っ切りや銀多伝などがあるが、定跡に捉われず、指したい手を指すのがいいと思う。
こういう席だから私も気楽に、のびのびと指す。
中盤、△4五歩で角を仕留めた。A氏は▲7三角成と、桂と刺し違えるが、△同金▲7四歩△7二金▲6四桂の結果は、意外に上手難しい。
数手後の▲6三とに私は△同玉と強く取ったが、▲7三飛成△5四玉となって、玉が危険地帯に近づき、よくなかった。といって▲6三とに△4二玉とも逃げにくく、やはり難しい。
かように二枚落ちは、上手に厳しい手合いなのである。
終盤に進み、A氏が▲4八銀とと金を払えば勝勢だったのだが、このあたりで飲み会の時間が近づき、A氏の思考に支障が出たようだ。
本譜は別の手で攻めてこられたので、私が九死に一生を得た。最後は連続王手が出現し、A氏無念の投了。私はルールに助けられる形となった。
A氏は何ともいえない表情だったが、こういう席では、勝敗は関係ない。また指しましょう。
別のテーブルでは、湯川博士幹事が渡部愛女流初段に、チェスを教えていた。両者がこうやって交流を深めるのは、いいことだと思う。
時刻は午後4時半を過ぎ、ここから新年の飲み会である。木村晋介会長以下関東在住の幹事がすべて揃い(たぶん)、豪華なメンバーだ。その中に私がいるのが場違いな気がする。
めいめい席に着く。私の4人掛けテーブルは、向かいに新人氏、ナナメ向かいにIn氏、左にOhh氏が座った。右のテーブルには、渡部女流初段。木村会長の隣で、この配置はしょうがない。こことはテーブルが離れているので、私は渡部女流初段と、話はできない。
まずは木村会長の音頭で「乾杯三唱」となる。「かんぱい、かんぱい、かんぱーい!!」。将棋ペンクラブは相変わらず、不思議な集団だ。
私は人見知りが激しいので、専らIn氏と話す。聞くと、In氏はどこかで将棋を教えているそうで、たくさんの奨励会員、女流棋士と知り合いらしい。
と、窪田義行六段が見えた。窪田六段は将棋ペンクラブをひいきにしてくれていて、こうした席には皆勤である。私たちは窪田六段のような棋士を、敬愛するのである。
みんな、将棋の話題でかまびすしい。いつの日も将棋のネタは尽きず、私もいくつか隠し玉があるのだが、言える話と言えない話がある。
1時間ほどして、木村会長が退席となる。去り際、「韓国の歌。あーコリャコリャ。中国の歌。あーチャイナチャイナ…」など、鉄板のネタを披露して、会場を後にした。
私は、現在ひそかに研究している形があり、それをIn氏に質してみた。本当は渡部女流初段にぶつけたかったのだが、仕方ない。この研究、In氏は否定的だったが、一発勝負では使えそうだった。
ほかにも女流棋士の話題などをいろいろ話すが、私が女性の奨励会員を最大限評価しているのに対し、女流棋士の実力も相当なもの…というのがIn氏の見解だった。
今宵のメニューは飲み放題と、豊富な料理。サラダから始まり、マグロのカマ、刺身、白身の唐揚げと、けっこう出てくる。左のOhh氏はいつの間にか消えていて、後方の席でMi氏と将棋を指していた。この光景、恐ろしくデジャヴだ…。
ちょぼちょぼ席替えがあって、向かいの新人氏は、別の新人氏になった。こういう席に招かれる人と招かれない人の差は何かと思うが、明確な規定はないのだろう。それがペンクラブ流である。
新人氏のリードで、改めて自己紹介をする。新人氏は名前をItouといった。ペンクラブには昨年入会したそうで、将棋を始めて間が浅いという。しかし女流棋士との初めての指導対局が矢内理絵子女流五段だったそうで、うらやましい限りだ。
ともあれ先ほどの新人氏もそうだが、こうして若い力が加わってくれるのは、ありがたいことだ。
Mi氏とOhh氏は再び場所を移し、将棋を指していた。中野隆義夫妻が見えたのでプチ移動があり、結果、私がOhh氏のテーブルで将棋を指すことになった。
だが中盤の入口のところで、このテーブルに一般客が着くことになった。私たちは居酒屋の一角を借りていて、ここはその範囲外だったのだ。
私は元のテーブルに戻ってもいいのだが、中締めの7時半にも近くなったので、これで失礼することにした。
将棋ペンクラブにおカネはないが、将棋を愛する気持ちは人一倍ある。私は何もできないが、拙い文章を投稿したりして、少しでもお役に立てればと思う。
こういう席だから私も気楽に、のびのびと指す。
中盤、△4五歩で角を仕留めた。A氏は▲7三角成と、桂と刺し違えるが、△同金▲7四歩△7二金▲6四桂の結果は、意外に上手難しい。
数手後の▲6三とに私は△同玉と強く取ったが、▲7三飛成△5四玉となって、玉が危険地帯に近づき、よくなかった。といって▲6三とに△4二玉とも逃げにくく、やはり難しい。
かように二枚落ちは、上手に厳しい手合いなのである。
終盤に進み、A氏が▲4八銀とと金を払えば勝勢だったのだが、このあたりで飲み会の時間が近づき、A氏の思考に支障が出たようだ。
本譜は別の手で攻めてこられたので、私が九死に一生を得た。最後は連続王手が出現し、A氏無念の投了。私はルールに助けられる形となった。
A氏は何ともいえない表情だったが、こういう席では、勝敗は関係ない。また指しましょう。
別のテーブルでは、湯川博士幹事が渡部愛女流初段に、チェスを教えていた。両者がこうやって交流を深めるのは、いいことだと思う。
時刻は午後4時半を過ぎ、ここから新年の飲み会である。木村晋介会長以下関東在住の幹事がすべて揃い(たぶん)、豪華なメンバーだ。その中に私がいるのが場違いな気がする。
めいめい席に着く。私の4人掛けテーブルは、向かいに新人氏、ナナメ向かいにIn氏、左にOhh氏が座った。右のテーブルには、渡部女流初段。木村会長の隣で、この配置はしょうがない。こことはテーブルが離れているので、私は渡部女流初段と、話はできない。
まずは木村会長の音頭で「乾杯三唱」となる。「かんぱい、かんぱい、かんぱーい!!」。将棋ペンクラブは相変わらず、不思議な集団だ。
私は人見知りが激しいので、専らIn氏と話す。聞くと、In氏はどこかで将棋を教えているそうで、たくさんの奨励会員、女流棋士と知り合いらしい。
と、窪田義行六段が見えた。窪田六段は将棋ペンクラブをひいきにしてくれていて、こうした席には皆勤である。私たちは窪田六段のような棋士を、敬愛するのである。
みんな、将棋の話題でかまびすしい。いつの日も将棋のネタは尽きず、私もいくつか隠し玉があるのだが、言える話と言えない話がある。
1時間ほどして、木村会長が退席となる。去り際、「韓国の歌。あーコリャコリャ。中国の歌。あーチャイナチャイナ…」など、鉄板のネタを披露して、会場を後にした。
私は、現在ひそかに研究している形があり、それをIn氏に質してみた。本当は渡部女流初段にぶつけたかったのだが、仕方ない。この研究、In氏は否定的だったが、一発勝負では使えそうだった。
ほかにも女流棋士の話題などをいろいろ話すが、私が女性の奨励会員を最大限評価しているのに対し、女流棋士の実力も相当なもの…というのがIn氏の見解だった。
今宵のメニューは飲み放題と、豊富な料理。サラダから始まり、マグロのカマ、刺身、白身の唐揚げと、けっこう出てくる。左のOhh氏はいつの間にか消えていて、後方の席でMi氏と将棋を指していた。この光景、恐ろしくデジャヴだ…。
ちょぼちょぼ席替えがあって、向かいの新人氏は、別の新人氏になった。こういう席に招かれる人と招かれない人の差は何かと思うが、明確な規定はないのだろう。それがペンクラブ流である。
新人氏のリードで、改めて自己紹介をする。新人氏は名前をItouといった。ペンクラブには昨年入会したそうで、将棋を始めて間が浅いという。しかし女流棋士との初めての指導対局が矢内理絵子女流五段だったそうで、うらやましい限りだ。
ともあれ先ほどの新人氏もそうだが、こうして若い力が加わってくれるのは、ありがたいことだ。
Mi氏とOhh氏は再び場所を移し、将棋を指していた。中野隆義夫妻が見えたのでプチ移動があり、結果、私がOhh氏のテーブルで将棋を指すことになった。
だが中盤の入口のところで、このテーブルに一般客が着くことになった。私たちは居酒屋の一角を借りていて、ここはその範囲外だったのだ。
私は元のテーブルに戻ってもいいのだが、中締めの7時半にも近くなったので、これで失礼することにした。
将棋ペンクラブにおカネはないが、将棋を愛する気持ちは人一倍ある。私は何もできないが、拙い文章を投稿したりして、少しでもお役に立てればと思う。