一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

1月18日の大野・植山教室(前編)

2015-01-26 00:52:01 | 大野・植山教室
「大野・植山教室」には午後1時28分ごろに入った。中では大野八一雄七段と植山悦行七段が指導対局の最中。手合い係のW氏、Fuj氏はいなかった。
大野七段のところが空いていたので、入る。
「大沢さん、今度ウチの支部で将棋大会に出るんだけど、どう? 2月1日なんだけど」
「ああ…いいですよ」
「ああよかった、Fujさんもよろこぶ」
いきなりの大会のお誘いで、虚を衝かれた私は二つ返事でOKしてしまったが、やや早まった。大沢は大会に出る性質なんだ、と認識されても困る。
ともあれ支部大会は団体戦らしい。他流試合は私も久しぶりの出場で、当日までにはコンディションを整えて頑張りたいと思う。

大野七段に角を落としていただき対局開始となったが、5手目まで進んだところで、植山七段のところのHonma君の将棋が終わったので、彼と入れ替わることにした。
再び駒を並べ、
「角落ちでお願いします」。
「はい…はい…」
「…。か、角落ちでお願いします」
「はい…はい…」
「……。じゃあ、平手で」
植山七段が駒を落とさないので、久しぶりに平手で指すことにする。とはいえ、駒落ちの所望を拒絶する上手なんて、この教室ぐらいだろう。
▲7六歩△8四歩▲2六歩△3二金▲7八金から、角換わりの将棋になった。これで上手が棒銀なら、前日の経験を活かして、再び右玉にするつもりだった。
本譜は△7三銀~△6四銀だったが、これでも玉が左に行きにくく、結局右玉にすることにした。
右ではE氏が飛車落ちで挑んでいる。終盤までE氏がうまく指し勝勢になったが、玉捌きを間違えて、微妙な形勢だ。上手・5六角、持駒・金銀桂、下手・7七玉、8六歩、8七銀、9六歩、9九香…の局面で、上手は△6五桂。ここでE氏が投了した。
上へ逃げるのは詰むので▲8八玉だが、以下の詰み手順が分からない。感想戦の途中で植山七段に問うと、
「△7七金▲9八玉△8九角成(!)▲同玉△8八銀▲9八玉△8七金▲同玉△7七桂成で。この詰みが見えたから行けると思った」。
△8九角成が詰将棋ばりの妙手だが、この手順を読み切って投了したE氏も強いと思った。
さてこちらの将棋。植山七段は矢倉から△2二玉と入城し、私は▲4五歩。△同歩に▲7一角から馬は作れるが、それだけの話だ。よって私は▲同桂と取り、△4四銀に▲4六歩と支えた。
一見さえない順だが、存外これがよかったらしい。
植山七段は△8六歩▲同歩△同飛。すでに▲2九飛型だから、ここで▲8七歩はあり得ない。ここは何かあるはずで、3、4分ぐらい考えたのではなかろうか。

以下の指し手。▲4一角
以下、一公の勝ち。

▲8三歩や▲8五歩を考えたが、いずれもうまくいかない。とくに▲8五歩はいかにも強引で、将棋にこういう手はない感じである。苦悶していると、▲4一角が閃いた。
まさに「閃く」という感じで、終盤ならともかく、中盤の入口でこの感覚は珍しい。
次の▲6三角成が受けにくく、ここで植山七段の戦意が喪失したようだ。以下いくばくもなく、植山七段が投了した。
感想戦。上手が△2二玉と入城したのがマズかったようだ。ただこの辺の植山七段の感想は高度で、前日のIn氏の感想戦とダブる。つまりそれだけに、拝聴するだけで勉強になった。
大野七段との対局に戻る。相居飛車となった。今回はガッチリした矢倉に組もうと思ったのだが、△6五同金につい▲6六銀とぶつけてしまった。△同金▲同金は金銀交換なので下手十分だが、その後バランスを取るため▲5八玉と上がり、結局玉の薄い将棋になってしまった。
その後銀桂交換になり下手が損をしたが、その間下手は飛車を4六に飛び出し、十分。

以下の指し手。▲2二歩△同玉▲2五桂△4五歩▲4九飛△6六銀
以下、大野七段の勝ち。

次に▲7三金などがあるので大野七段は△5二銀(引)と我慢した。
下手はここが決めどころ。それなのに私はヘンな手を指して、好局を棒に振る。
私は▲2二歩だが、これが手筋風に見えて、玉を早逃げさせた悪手。△同玉に▲2五桂だが、次の△4五歩を取れないようでは形勢が逆転した。
植山七段が通り、「(大沢さん)相変わらず(大沢さんらしい将棋を)指してますね」と苦笑するが、ここでは苦戦を自認していた。
我慢の▲4九飛に△6六銀が痛打で、上手の筋に入った。こうなっては逆転は無理である。数手進めて、投了した。
「あれ? おかしいね」
と大野七段は訝しんだが、私も同意だ。△5二銀の局面は、明らかに下手がよかったはずだ…。
感想戦ではこの周辺をいろいろやったが、一例は「▲4四歩△同銀▲4五歩△3三銀▲4四桂△2二玉▲3二金△1二玉▲1五歩」にて下手勝勢。
歩を捨てて歩を打ち飛車先を重くするなど理外だが、ここではそれが正解。位を構築して押しつぶす、という感覚になれば、この手順もうなずける。
棋士との指導対局はいつも勉強になるが、きょうも目からウロコで、またひとつ、賢くなった。
(つづく)
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