一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

左上7番の歯の悲劇

2015-01-17 22:12:27 | プライベート
以前も書いたことがあるかもしれないが、また書く。
世の中にヤブ医者は星の数ほどいるけれど、救いようがないのは「歯医者」だ。
たとえば内科の場合、医者がヘンな薬を出しても、患者が自然治癒してしまうから、問題にはなりにくい。
これが歯医者になると、少し事情が変わってくる。
たとえば治療してもらったばかりの詰めものが取れてしまったとする。患者は当然歯医者に行くが、医者が「申し訳ありませんでした」と迷惑料をくれるかといえばそうではなく、逆に患者が「ありがとうございました」と、重ねて治療費を出すのだ。まるでアベコベである。
虫歯か否かの判断が難しいところでも、ヤブはどんどん歯を削る。歯科治療の最大の特徴は、患部が残らない、ということだ。だから極論すれば、健康な歯を虫歯と偽って、治療してしまうことも可能である。何しろ証拠が残らないのだから。
まあそこまではいかなくても、「詰め物が古くなったから」といって再治療をすることはある。そのたびに健康な歯が削られ、詰め物から金冠、入れ歯へと進行していく。この手の歯医者はかなり多いと思われる。これでは患者が毎日歯を磨いていても、意味がない。

私が小学生の時最初に訪れた歯医者Oは、駅向こうに居を構える名医だったが、私にとって「ドリル」を持つ歯医者は殺人鬼と同義語で、もうOには行くものかと思った。
次に虫歯ができた時、私は近所の歯医者Sに行った。しかしこれが、おのが人生を左右した悪手。大失敗だった。
私は学校の検診の「虫歯1本」で行ったのだが、Sは何回行っても治療を終えてくれない。
たしかに学校の検診は甘いところもあるから、見落とされた虫歯もあったかもしれないが、それにしたって多すぎる。
どうもSは、前の歯医者で治療した箇所を、全部治療し直しているようだった。
結局虫歯は、「9本」も治療された。気が付くと私の口内は、金属だらけになっていた。
2年か3年かあと、「虫歯1本」で再びその医者にいったときも、ほかにも数本治療された。
そんな中学1年だか2年のある日、家でりんごを食べていたら、左上7番の歯の詰め物が欠けた。
しかしSに行けば、その治療だけで終わらず、また何本か健康な歯を削られる。
私はそのまま放っといたが、ある日ズキズキ痛みが走り、たまらずSに行った。
すると、「なんでこうなるまで放っといたっ!!」と怒鳴られ、金冠をかぶせられた。
そもそもこの歯は小学生の時、「この歯も治療(?)しておこう」と削られたもの。そのときこのヤブがしっかり治療しなかったから、こんな事態になった。放っておいた私も悪いが、Sにだって非はあろう。
私が予備校生のとき、かぶせていた金冠がズレ、私はまたSに行った。このときも最終的に、9本治療?された。
ここに至り私はやっと、Sを見放した。このままいったら数年後に総入れ歯にされると、本気でおののいたのだ。しかし払った代償はあまりにも大きく、私はおのが決断の鈍さに呆れたのだった。

次に見つけた歯医者Iは、駅前にできたところだった。ここで私は、Sのヤブぶりを盛大にアピールした。Iの先生は聞いてくれたが、同意まではしない。それはそうで、同業者を悪く言うわけがない。
ここでは、左上7番の金冠を付け直してもらった。接着部分がズレて、痛みが生じていたからだ。Iは気乗りしないふうだったが、無理を言って治療してもらった。
ところがその2年後、ここの金冠が外れ、三たびつけ直してもらった。ただ何となく、Iもヤブっぽいことが分かった。

次に虫歯ができたとき、私は久しぶりにOに行った。回りまわって、あの恐ろしい歯医者に再び出向いたわけだ。
このとき先生は代替わりしていたが、今度の先生は、インフォームドコンセントが完璧だった。驚いたのは、こちらが虫歯と思った歯を、「(これは虫歯に見えるけれど)虫歯ではありません」と言ったことだ。患者が治療を望んでいるのに、それをしない歯医者がいるなど夢にも思わなかったからだ。
これがSだったら、よろこんで歯を削っている。Oは信用できる、と思った。
Oは歯をかぶせた後も、上下の歯型に合わせ、丁寧に調整していく。ちなみにSは、かぶせたら終わりである。いつだったか、あまりにも噛み合わせが悪いので、翌日出直したこともあった。OとS,その治療法はあまりにも違う。私は歯医者の選択を誤っていたことに、ここに至って確信した。

私が40代になって、またも左上の7番の金冠が外れた。私はOで付け直してもらったが、2013年のある日、その部分の歯茎に痛みを感じるようになった。
Oに行くと、事態は大変なことになっていた。Oの説明では、歯の根の部分に亀裂が走っており、そこから雑菌が入り化膿したらしかった。また、歯根への影響を考えると、これ以上金冠をかぶせることはできない、とのことだった。なかんずく、抜歯の話まで出てきたので、私は仰天した。
だが言われてみればたしかにそうで、ここまでこの歯は、都合4、5回付け替えられている。そのたびに健康な歯は削られ、いまや地表部分の天然の歯は、ほとんどなくなっていた。もう、この歯は限界を越えていたのだ。
しかし…と思う。この歯は、最初は虫歯だか何だか分からない、小さいものだった。それが、Sの甘い治療のせいで、以後再三の治療を重ねることになった。
私はどうにも合点が行かなかったが、その不満をOは感じ取ったか、抜歯だけは見送ってくれた。ほとんどすり減った歯の上に詰め物をしただけで収まり、そのまま放置された。
ところが今年に入って、またも左上7番の歯が痛みだした。この理由は分かっている。また歯根から雑菌が入って、炎症を起こしたのだろう。
14日(水)にOに行き、改めて抜歯宣告。17日(土)午前、再びOに行き、再び抜歯宣告された。
しかし上記の通り、私は抜歯に納得できないでいる。こんな事態になるまで、私はここの歯に悪さをしていない。最初は、ごくごく小さな虫歯だった(それすら疑わしい、と私は見ているが)。それが数々の不運で、ガタガタになってしまった。
これで抜歯じゃ、この歯がかわいそすぎる。
次回の歯医者は20日(火)。Oは、抜きたがっている。私は最後の抵抗をするつもりだが、恐らく、抗いきれないと思う。
コメント
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