第5期女流王座戦の挑戦者決定戦・甲斐智美倉敷藤花VS伊藤沙恵女流初段戦が11日に行われ、伊藤女流初段が勝ち、加藤桃子女流王座への挑戦を決めた。今日はその将棋を軽く振り返ってみよう。
伊藤女流初段は2014年10月デビュー。元奨励会1級で、同年、年齢制限のため退会を余儀なくされた。とはいえ「奨励会1級」はとてつもない強さで、たとえば大野八一雄七段の弟子・M君が同じ奨励会1級なのだが、彼に角を落とされても、私は全然勝つ気がしない。
伊藤女流初段がM君と同じ棋力なら、彼女が女流棋戦でどれだけ勝ち進んでも、ちっとも不思議ではないのである。
それなのに伊藤女流初段は各棋戦で敗退してしまい、私の彼女に対する評価は偏見だったのかと、疑心暗鬼を生じたものだった。
けれど伊藤女流初段は頑張った。21連勝中の里見香奈女流名人・女流王位を準決勝で下し、ついに挑戦者決定戦に進出したのである。
甲斐倉敷藤花も元奨励会で大変な強豪だが、新顔のタイトル戦を見たい。私は伊藤女流初段を応援したのだった。
挑戦者決定戦は伊藤女流初段の後手で、相矢倉となった。後手番になった時の伊藤女流初段は、わざと角交換をさせ銀冠に組むという変質的な手を好んで指していたが、女流棋界の頂点を目指す気鋭がそんな指し方をしているようでは先が見えている。相矢倉の選択はベストだと思った。
将棋は甲斐倉敷藤花が果敢に攻めるが、76手目△3三玉が伊藤流の一手。さらに▲1四歩に△3四玉の角取りが、控室を驚かせた。玉も攻め駒の一つです、と言わんばかりの強手だ。
さらにさらに、▲7九角に△4五玉の突進。まるで木村一基(敬称略)の玉さばきを見るようではないか。しかも驚いたことに、この手は鈴木大介八段が推奨していた。
この中盤の難所で男性棋士と同じ手を指すとは、伊藤沙恵恐るべし。この瞬間、勝利の女神が伊藤女流初段にほほ笑んだと言ってもよい。
この後は甲斐倉敷藤花も伊藤玉を押し戻し難しい戦いだったのだが、流れは伊藤女流初段。以下も緩みのない指し手で、堂々と勝利したのだった。
女流棋士デビューから1年を待たずして、タイトル戦登場を決めた伊藤新女流二段はお見事。持ち時間をあまり使わず大豪を吹っ飛ばしたり、本局のような奔放な指し回しを見せたりと、彼女の将棋は面白い。
伊藤女流二段は第1期女流王座戦に出場したが、本戦トーナメントの準決勝で、加藤桃子奨励会1級に敗れた。勝った加藤奨励会1級は決勝五番勝負で清水市代六段に勝ち、初代女流王座を獲得。くっきり明暗を分けたのだった。伊藤女流二段、今回はあの時の雪辱を果たすチャンスだ。
これが奨励会員同士の決戦ならシラケたが、伊藤女流二段は「女流棋士」なので、問題ない。五番勝負は面白い戦いになるはずである。
第1局は10月22日(木)、仙台市で行われる。
伊藤女流初段は2014年10月デビュー。元奨励会1級で、同年、年齢制限のため退会を余儀なくされた。とはいえ「奨励会1級」はとてつもない強さで、たとえば大野八一雄七段の弟子・M君が同じ奨励会1級なのだが、彼に角を落とされても、私は全然勝つ気がしない。
伊藤女流初段がM君と同じ棋力なら、彼女が女流棋戦でどれだけ勝ち進んでも、ちっとも不思議ではないのである。
それなのに伊藤女流初段は各棋戦で敗退してしまい、私の彼女に対する評価は偏見だったのかと、疑心暗鬼を生じたものだった。
けれど伊藤女流初段は頑張った。21連勝中の里見香奈女流名人・女流王位を準決勝で下し、ついに挑戦者決定戦に進出したのである。
甲斐倉敷藤花も元奨励会で大変な強豪だが、新顔のタイトル戦を見たい。私は伊藤女流初段を応援したのだった。
挑戦者決定戦は伊藤女流初段の後手で、相矢倉となった。後手番になった時の伊藤女流初段は、わざと角交換をさせ銀冠に組むという変質的な手を好んで指していたが、女流棋界の頂点を目指す気鋭がそんな指し方をしているようでは先が見えている。相矢倉の選択はベストだと思った。
将棋は甲斐倉敷藤花が果敢に攻めるが、76手目△3三玉が伊藤流の一手。さらに▲1四歩に△3四玉の角取りが、控室を驚かせた。玉も攻め駒の一つです、と言わんばかりの強手だ。
さらにさらに、▲7九角に△4五玉の突進。まるで木村一基(敬称略)の玉さばきを見るようではないか。しかも驚いたことに、この手は鈴木大介八段が推奨していた。
この中盤の難所で男性棋士と同じ手を指すとは、伊藤沙恵恐るべし。この瞬間、勝利の女神が伊藤女流初段にほほ笑んだと言ってもよい。
この後は甲斐倉敷藤花も伊藤玉を押し戻し難しい戦いだったのだが、流れは伊藤女流初段。以下も緩みのない指し手で、堂々と勝利したのだった。
女流棋士デビューから1年を待たずして、タイトル戦登場を決めた伊藤新女流二段はお見事。持ち時間をあまり使わず大豪を吹っ飛ばしたり、本局のような奔放な指し回しを見せたりと、彼女の将棋は面白い。
伊藤女流二段は第1期女流王座戦に出場したが、本戦トーナメントの準決勝で、加藤桃子奨励会1級に敗れた。勝った加藤奨励会1級は決勝五番勝負で清水市代六段に勝ち、初代女流王座を獲得。くっきり明暗を分けたのだった。伊藤女流二段、今回はあの時の雪辱を果たすチャンスだ。
これが奨励会員同士の決戦ならシラケたが、伊藤女流二段は「女流棋士」なので、問題ない。五番勝負は面白い戦いになるはずである。
第1局は10月22日(木)、仙台市で行われる。