一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第27回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(3)

2015-09-21 21:53:26 | 将棋ペンクラブ
上手 △女流初段 熊倉紫野
下手 ▲一公

▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲4八銀△5四歩▲5六歩△4二銀▲2六歩△3二金▲7八金△4一玉▲6九玉△5二金▲5八金△3三銀▲7九角△7四歩▲6六歩△3一角▲3六歩△4四歩▲1六歩(第1図)

熊倉女流初段は、茨城県古河(こが)市出身。師匠は高橋道雄九段。どちらも4月23日生まれで、師匠と弟子が同じ誕生日というのは珍しい。
JR古河駅の構内には中華料理屋が入っている。東口を出た先にも中華料理屋があるが、熊倉女流初段は入ったことがあるだろうか。
▲7六歩に、△8四歩。熊倉女流初段は居飛車党だと勝手に思っていたから、この2手目は意外だった。私は▲6八銀とし、以下スラスラと相矢倉に進む。これが植山悦行七段なら、どこかで急戦調に変化してきただろう。
熊倉女流初段は左手で指す。24手目△4四歩まで懐かしい形で、かつては「矢倉24手組」と呼ばれた。
私は25手目、▲1六歩。

第1図以下の指し手。△6四角▲3七桂△4三金右▲1五歩△7三銀▲1七香△3一玉▲6七金右△7五歩▲同歩△同角▲6五歩△4二角▲6六銀△8五歩▲1八飛△2二銀▲4六角△9二飛▲7九玉△4五歩(第2図)

熊倉女流初段はナチュラルメイクか。顔色がいいふうには見えないが、悪くもない。それでもちょっと元気がないように見えたが、体調が悪ければ、今回のオファーは受けないだろう。
▲1六歩までは、「矢倉25手定跡」とも呼ばれ、ここで上手(後手)がどう指すかが序盤のヤマ場だった。熊倉女流初段は△6四角とノゾく。私はある作戦を用意していたので、▲3七桂と跳んだ。
△4三金右に、▲1五歩~▲1七香。私はスズメ刺しの作戦を採った。熊倉女流初段も矢倉の経験は豊富だろうが、対スズメ刺しのそれは経験値が少ないとフンだ。
ただ厳密には、スズメ刺しの態度を見せるのが早かったかもしれない。後の▲1八飛に△2二銀と形よく受けられてしまったからで、先に囲いをすませるのだった。
もっとも、△2二銀は壁銀である。このまま戦いが起これば、下手が有利に運ぶと思った。
熊倉女流初段はさして考えず、たんたんと指す。しかし△4五歩は、ビシッときた。ここは緩急の二択だが…。

第2図以下の指し手。▲5七角△6四歩▲同歩△同角▲6五歩△4二角(註:この辺りの指し手が、うろ覚えです)▲4六歩△同歩▲同角△4五歩▲5七角△7四歩▲4七銀△7三桂▲4六歩△6五銀(第3図)

ステージには来場者が上がり、それぞれ一言述べている。中倉彰子女流初段の声が聞こえている。今日中倉宏美代表は、別件があって欠席。代理での出席になったようだ。
しかし私は耳を傾けている場合ではない。△4五歩と突かれた局面。ここは△2四角も有力だったと思う。
戻って△4五歩には、▲7三角成と行きたいところで、Ok氏ならそう指す。だが以下△7三同桂▲7四歩△7二飛▲7三歩成△同飛の結果は、二枚換えでも歩切れで下手不利と思った。
上手に大駒を渡すと何かと面倒である。もうちょっと熊倉先生との将棋を楽しもう…と▲5七角と引いた。
数手後熊倉女流初段は△7三桂だが、ここは△6四歩と合わされるほうがイヤだった。
▲4六歩に△6五銀。ここ△6五桂なら、▲同銀△同銀▲6六歩△7四銀▲4五歩と指すつもりだった。

第3図以下の指し手。▲4五歩△6四角▲4六角△同角▲同銀△2七角▲6四角△4二歩▲6八飛△3六角成▲7三角成△6六銀▲同金△5五歩▲同銀△5七銀▲6七飛△5八馬(第4図)

私は▲4五歩と取った。これは大きな位である。以下角交換となり、角を打ちあった。
熊倉女流初段は△6四角とノゾいたが、ここは△6六銀▲同金△6五歩▲6七金引△6六銀とガリガリ来られたら、全く自信はなかった。
△4二歩に、本当は▲2八飛と寄って先手を取りたい。しかし以下△3六角成▲7三角成△6六銀▲同金△7二歩▲6四馬△6三歩▲6五馬△4六馬(参考図)まで、下手が不利になると思った。

それで、気が利かないが▲6八飛と回った。これなら同様の手順で進んだ時、△4六馬が王手にならないので、▲9二馬△同香▲6一飛△4一銀▲5二銀まで下手が勝つ。上手は壁銀が見た目以上に痛い。
とはいえ、△7二歩と一本打たれるのがイヤではあった。本譜は△5五歩。これも味わい深い手で、私は▲同銀と取ったが、▲5七銀と我慢するべきだったかもしれない。
△5七銀▲6七飛の次にどうするのだろうと見ていたら、熊倉女流初段は△5八馬。
突如飛車取りに飛び込まれ、飛び上がった。▲7七飛と逃げれば、△6六銀成▲同銀△7六金。しかし△5八馬を捨て置いても、次に飛車を取られてしまう。プロに飛車を渡したら、アマはひとたまりもない。
ここまで私は、よく指した。ここが投了の時期だと思った。

(つづく)
コメント (3)
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