一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第30回将棋ペンクラブ大賞贈呈式・1

2018-09-17 00:42:04 | 将棋ペンクラブ
16日放送のTBS「東大王」、超難問15問目の正解「田主丸駅」は、解答者がふたりとも間違えたが、私は見た瞬間に分かった。かつて野宿した駅だしね。

   ◇

14日(金)は、「将棋ペンクラブ大賞贈呈式」に出かけた。おカネを出してヒトの受賞を祝ったっておもしろくもなんともないが、こうでもして外出しないと、引きこもりになってしまう。
スーツに着替えて竹橋に向かう。1週間にスーツを2回も着るなんて、かなり久しぶりだ。
18時10分ごろ、竹橋に着いた。パレスサイドビルのエレヴェーターホールでは、木村晋介会長に会った。会長が私の名前を憶えているとは思えぬが、人相だけは識別してもらえたようだ。いっしょに9階へ上がった。
受付には、星野氏とKan氏がいた。自然に、先日の渡部愛女流王位のパーティーを思い出す。
支払いを済ませ、式次第をいただく。ここにナンバリングが打ってあり、後の抽選番号となるのだ。それにしても今月は、無職にあるまじき支出だ。
奥に行くと、廊下に幹事のFukさんがいた。
「今日、遅れませんでしたね。ブログ読んでますよ」
「あぁ、もう余裕で来ましたよ」
私は11日に、ある会社の面接を受けたが、その後は梨のつぶてで、今日を迎えた。私は就職することなく、予定通り?贈呈式に出席できたのである。
湯川恵子さんに挨拶をし、会場に入ると、ステージが右手に位置していた。例年はこれが奥にあり、参加者との距離があったのだが、これなら近い。
その並びには、石川陽生七段が着座していた。石川七段は昨年の技術部門優秀賞受賞者である。
しばらくして、神谷広志八段が来た。来るべく人が来た、という感じである。
将棋ブロガーのヒゲメガネ氏に挨拶される。彼は長野県在住だが、この出席のためにわざわざ上京したのだろうか。その情熱に、頭が下がる思いである。
ほかにも、年齢不詳・加賀さやかさんの姿があった。元幹事のM氏は、仙台からはるばる、である。バトルロイヤル風間氏も堂々の入場である。だんだん役者が揃っていく。
藤井猛九段、杉本昌隆七段、渡部女流王位らが入場し、そろそろ開演である。関係者以外の一般参加は、30人足らずか。私は出入口のドアの近くで、存在感を消していた。
司会はおなじみ、長田衛氏。だが、柚月裕子さんが、まだ到着していないという。
「15時30分(山形)発の山形新幹線に乗って、こちらに向かっております。よって、開始を5分遅らせてください」
さすがに推理作家で、なんだか「盤上の向日葵」を彷彿とさせる行動ではないか。
長田氏は、「8人8タイトル」の話をして、場をつなぐ。
「中村王座がもし王位を獲りますと、『オーイ中村くん』となります」
このジョーク、年配の人しか分からぬだろう。
なぞかけも出る。「将棋とかけて、検察官と解く。そのココロは、ツミを探します」。
おあとがよろしいが、もう5分経ってしまった。もう待てないので、表彰式に入った。
木村会長が壇上に上がる。賞状を取り、寸評を述べつつ、手渡すのだ。まずは、観戦記部門大賞・大川慎太郎氏。
「この増田-藤井戦は異色でして、日本中がこの結果を知ってるんですね。藤井聡太さんの29連勝、その29連勝目の対局なんですが、最後までスリリングに書きました」
続いて文芸部門大賞・杉本七段。
「『藤井聡太の学び方』は、掛けてるんですね。つまり、藤井さんがいままでどう将棋を学んできたか。そして、私たちが藤井さんから何を学ぶか。中京将棋界である、板谷進-杉本-藤井聡太の系譜にも触れられており、将棋愛が横溢している。とても胸を打ちました」
続いて技術部門大賞・藤井九段。
「これは四間飛車の定跡書かっていうと、それを越えてるんですね。段位者も級位者も読める。フジイといえばタケシなんだ、ということをアピールした1冊だったと思います」
これは大きな笑いを取った。世間ではフジイといえばソウタだが、将棋ファン全体から票を取ったらどうだろう。結構いい勝負になるのではないか。
続いて技術部門優秀賞の永瀬拓矢七段だが、本人は対局のため欠席。代理のマイナビ関係者も出席できずで、代わりに美馬和夫氏が壇上に立った。
この本は対談形式になっており、聞き手を美馬氏が務めた。言うまでもないが、美馬氏は全国区のアマ強豪で、「将棋ペン倶楽部」にも連載を持っている。とすれば共著ともいえ、むしろ最適な人選といえた。
「この本をおもしろくしたのは美馬さんじゃないかと思います。本来なら難しいはずの内容ですが、対談形式なので楽しく読めました。名著だと思います」
なるほど、それで会報誌の受賞のことばも、美馬氏との対談形式だったのだ。
特別賞は山本一成氏だが、やはり欠席。代理は、担当の横田ヒロキ氏が務めた。
「将棋のソフトがどんどん強くなりましてネ。その実力はプロも越えたといっていいでしょう。この本は、その内側を分かりやすく書いている。
将棋の進化が今後どうなっていくのか。AIは知性の固まりですね。驚いたことに、今後はAIが知性を持つと言われているんですね。そうなると、(ペンクラブ大賞選考時の)選考委員はこれから要るのか? なんて考えてしまいます」
さすがに木村会長、1スピーチにつき必ず笑いを取った。
気が付けば、場内はかなりの人になっている。この類のパーティーは、ヒトがいないとさみしくていけない。
続いて、受賞者のスピーチ。まずは大川氏である。
「このたびは大賞をいただき、感激しております。これは皆さまご存じの通り、藤井七段の29連勝目の将棋でした。私は観戦記を書く時、後に取材して、その感想を盛り込むことにしています。だけど増田さんは、負けた将棋については、何も語らないのです。藤井七段にも聞きましたが、得られるものは少なかった。それで、当日見たことを書くしかなくなったんですね。
私は3年前にも大賞をいただいたんですが、その時は『将棋世界』の掲載でした。今回は読売新聞だったのですが、このふたつの大きな違いは、新聞観戦記は、対局室に長い時間いられるんですね。そのぶん対局者を鑑賞でき、描写できたのが大きかったと思います」
続いて杉本七段。
「今回の受賞はビックリしました。私も将棋の本は15冊以上書いてるんですが、図面がない本で賞をいただけるとは、夢にも思いませんでした。
私は藤井七段の師匠ということで、知ってることは多いんですが、だからといって何を書いてもいいというものではありません――」
ここで、表がざわざわした。柚月裕子さんが到着したようである。
(つづく)
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