もちろん私も両手を差し出したいところだが、あちらは今をときめくタイトルホルダー、こちらは中年無職で、階級に差がありすぎる。私は手を出せなかった。
またお土産には、渡部女流王位の記念扇子を頂戴した。
今回はイベントの内容が濃く、とても楽しめた。また渡部愛女流王位がタイトルを獲った際は、ぜひ開いてほしいと思う。
でも、参加費が最低でも1万円か……。ま、みんな喜んで出すでしょう。
◇
将棋ペンクラブの星野氏、Kan氏、それにKun氏と一緒に退出する形になり、どこかへ飲みに行こう、ということになった。だがKun氏は「帰る手に悪手なし」ということで、帰宅となった。残念だが、仕方ない。
残りの両人は、もう行く店は決まっているようで、私たちは銀座7丁目の「ライオン」に入った。
恥ずかしながら、私は銀座で飲むのは初めて。大昔、私が新卒で入った会社では、銀座で飲んだことはなく、また麹町(四ッ谷)の時は、みなで飲みに行く機会すらなかった。とにかく毎日残業で遅かったので、まっすぐ帰るしかなかったのである。もう、7時半ごろ退社すると早びけの雰囲気すらあったのだからどうしようもない。それでいて、残業代は1円も出なかった。
東京ビッグサイトなどでの企業展にクライアントが出展し、休日に業務として伺う時も、出勤扱いにはならなかった。本当に、麹町の会社はひどかった。
閑話休題。ライオンは店内が広かった。かなり歴史が古く、その知名度はかなりあるらしい。
ここは丸テーブルが規則的に並べられていて、そのひとつに案内される。とりあえずビールを頼むのは定跡として、みな中生を頼んだ。さらにボーイ氏いわく、ローストビーフが3人前残っているとのことで、強く強く勧められた。これを2人前頼んだが、いったいいくらになるのだろう。
店内はオール煉瓦造りで、味がある。博物館みたいな味もあって、入場料込と考えれば、少しはお得感も出よう。
生ビールはかなり大きめだった。本日2度目の乾杯である。かなり喉が渇いていたので、2度目でも美味かった。
ローストビーフが運ばれてきた。うん、まあこんなものだろう。
まず星野氏に促され、私は渡部女流王位の扇子を開けてみる。小ぶりで、「一寸光陰」としたためてあった。棋士の揮毫は時に意味不明のものがあるが、これは何となく意味が分かる。
将棋ペンクラブの話になった。「Sun-mi高松」でも少し話したのだが、星野氏は最近、「将棋ペン倶楽部」会報のバックナンバーを読み、とてもおもしろく感じたという。
「大沢さんも書いてよお」と言うが、私はかなり書いている。もう20本以上はいっているはずである。今年も夏号に「十五歳の将棋」を載せてもらった。
星野氏は、最近投稿が減っていることを憂慮している。私もそうだが、最近はブログで発信する手合いが増えており、必然的に投稿が減ってしまうのだ。
しかし自分の文章が活字になる緊張感は、誇らしくうれしいものがある。その辺の魅力を編集部が説いていく必要があると思う。
それより私が気になっているのは来年の将棋ペンクラブ大賞で、現在システムを変えようという動きが出ている。Kan氏いわく、その件で先日も会合があったのだが、まったく結論は出なかったという。
変更手段はいろいろあると思う。たとえば二次選考委員を増やす手。だが20本近い観戦記と数冊の文芸本を読むのもかなりの労力が要る。よって私見では、一次選考委員を増やすのがいいと思う。現在は1棋戦を1人で担当しているが、これだとどうしても読み手の好みが出てしまう。少なくとも2人で検討すれば、お互いの話し合いで、よりよい観戦記がピックアップできるのではないか。
私たちは2杯目を頼む。でも私は、ソフトドリンクにした。
「将棋会にも来てよお」と星野氏。将棋ペンクラブでは10月~4月ごろにかけて、月に1回、神保町で将棋会を開いている。渡部愛女流王位などを呼ぶ本格的なもので、私も何度か呼んでもらっている。というか、呼ばれたら参加する確率はかなり高いのだが、そもそも誘われることが自体が少ないので、参加できないのである。
これすべて、将棋ペンクラブ幹事のほとんどが私のメールアドレスを知らないからだ。私も聞かれないのに教えないので、こういう事態になる。
とかいってお誘いが増えてもそこはそれ、私が必ず参加するとは限らない。まあこんなわけだから、私は友人が増えないんだと思う。
観戦記者談義になる。「○○はいい」「○○は安定している」「○○はもう少し伸びてほしいねえ」など、ポンポン個人名が出てくる。こんな会話をするのは、将棋ペンクラブ会員(の一部)くらいだろう。
ところで私たちは奇しくも正装だが、傍からは、さしずめ新橋に勤めるサラリーマンが休日出勤をし、退社後に一杯やっている図に見えるだろう。しかしひとりは古書店主、ひとりは公務員を定年、ひとりは無職と、3人ともサラリーマンではないのだ。
その星野氏が、幹事の高齢化を憂いている。自身も高齢なので、早いところ若手にバトンタッチしたいようなのだ。
しかし私がそれに賛同すると、「じゃあ大沢君幹事をやってくれ」となるので、そこは「いやあ星野さん、まだまだお若いですよ。もっと頑張ってもらわなくちゃ」と持ち上げておくのである。
さて会計である。おカネをまとめて払うのはKan氏。レジの数字をチラッと見たら、「10,200円」だった。1人がまとめて払いあとから徴収する場合、自分が多く出して損する場合と、結果的に少なく済んで得する場合がある。
私は3,500円を出した。ここで100円のおつりをくれれば、まあ、三等分である。だが私がソフトドリンクを頼んだことなどから、Kan氏は500円を返してくれた。
Kan氏の性分は、前者のようであった。
またお土産には、渡部女流王位の記念扇子を頂戴した。
今回はイベントの内容が濃く、とても楽しめた。また渡部愛女流王位がタイトルを獲った際は、ぜひ開いてほしいと思う。
でも、参加費が最低でも1万円か……。ま、みんな喜んで出すでしょう。
◇
将棋ペンクラブの星野氏、Kan氏、それにKun氏と一緒に退出する形になり、どこかへ飲みに行こう、ということになった。だがKun氏は「帰る手に悪手なし」ということで、帰宅となった。残念だが、仕方ない。
残りの両人は、もう行く店は決まっているようで、私たちは銀座7丁目の「ライオン」に入った。
恥ずかしながら、私は銀座で飲むのは初めて。大昔、私が新卒で入った会社では、銀座で飲んだことはなく、また麹町(四ッ谷)の時は、みなで飲みに行く機会すらなかった。とにかく毎日残業で遅かったので、まっすぐ帰るしかなかったのである。もう、7時半ごろ退社すると早びけの雰囲気すらあったのだからどうしようもない。それでいて、残業代は1円も出なかった。
東京ビッグサイトなどでの企業展にクライアントが出展し、休日に業務として伺う時も、出勤扱いにはならなかった。本当に、麹町の会社はひどかった。
閑話休題。ライオンは店内が広かった。かなり歴史が古く、その知名度はかなりあるらしい。
ここは丸テーブルが規則的に並べられていて、そのひとつに案内される。とりあえずビールを頼むのは定跡として、みな中生を頼んだ。さらにボーイ氏いわく、ローストビーフが3人前残っているとのことで、強く強く勧められた。これを2人前頼んだが、いったいいくらになるのだろう。
店内はオール煉瓦造りで、味がある。博物館みたいな味もあって、入場料込と考えれば、少しはお得感も出よう。
生ビールはかなり大きめだった。本日2度目の乾杯である。かなり喉が渇いていたので、2度目でも美味かった。
ローストビーフが運ばれてきた。うん、まあこんなものだろう。
まず星野氏に促され、私は渡部女流王位の扇子を開けてみる。小ぶりで、「一寸光陰」としたためてあった。棋士の揮毫は時に意味不明のものがあるが、これは何となく意味が分かる。
将棋ペンクラブの話になった。「Sun-mi高松」でも少し話したのだが、星野氏は最近、「将棋ペン倶楽部」会報のバックナンバーを読み、とてもおもしろく感じたという。
「大沢さんも書いてよお」と言うが、私はかなり書いている。もう20本以上はいっているはずである。今年も夏号に「十五歳の将棋」を載せてもらった。
星野氏は、最近投稿が減っていることを憂慮している。私もそうだが、最近はブログで発信する手合いが増えており、必然的に投稿が減ってしまうのだ。
しかし自分の文章が活字になる緊張感は、誇らしくうれしいものがある。その辺の魅力を編集部が説いていく必要があると思う。
それより私が気になっているのは来年の将棋ペンクラブ大賞で、現在システムを変えようという動きが出ている。Kan氏いわく、その件で先日も会合があったのだが、まったく結論は出なかったという。
変更手段はいろいろあると思う。たとえば二次選考委員を増やす手。だが20本近い観戦記と数冊の文芸本を読むのもかなりの労力が要る。よって私見では、一次選考委員を増やすのがいいと思う。現在は1棋戦を1人で担当しているが、これだとどうしても読み手の好みが出てしまう。少なくとも2人で検討すれば、お互いの話し合いで、よりよい観戦記がピックアップできるのではないか。
私たちは2杯目を頼む。でも私は、ソフトドリンクにした。
「将棋会にも来てよお」と星野氏。将棋ペンクラブでは10月~4月ごろにかけて、月に1回、神保町で将棋会を開いている。渡部愛女流王位などを呼ぶ本格的なもので、私も何度か呼んでもらっている。というか、呼ばれたら参加する確率はかなり高いのだが、そもそも誘われることが自体が少ないので、参加できないのである。
これすべて、将棋ペンクラブ幹事のほとんどが私のメールアドレスを知らないからだ。私も聞かれないのに教えないので、こういう事態になる。
とかいってお誘いが増えてもそこはそれ、私が必ず参加するとは限らない。まあこんなわけだから、私は友人が増えないんだと思う。
観戦記者談義になる。「○○はいい」「○○は安定している」「○○はもう少し伸びてほしいねえ」など、ポンポン個人名が出てくる。こんな会話をするのは、将棋ペンクラブ会員(の一部)くらいだろう。
ところで私たちは奇しくも正装だが、傍からは、さしずめ新橋に勤めるサラリーマンが休日出勤をし、退社後に一杯やっている図に見えるだろう。しかしひとりは古書店主、ひとりは公務員を定年、ひとりは無職と、3人ともサラリーマンではないのだ。
その星野氏が、幹事の高齢化を憂いている。自身も高齢なので、早いところ若手にバトンタッチしたいようなのだ。
しかし私がそれに賛同すると、「じゃあ大沢君幹事をやってくれ」となるので、そこは「いやあ星野さん、まだまだお若いですよ。もっと頑張ってもらわなくちゃ」と持ち上げておくのである。
さて会計である。おカネをまとめて払うのはKan氏。レジの数字をチラッと見たら、「10,200円」だった。1人がまとめて払いあとから徴収する場合、自分が多く出して損する場合と、結果的に少なく済んで得する場合がある。
私は3,500円を出した。ここで100円のおつりをくれれば、まあ、三等分である。だが私がソフトドリンクを頼んだことなどから、Kan氏は500円を返してくれた。
Kan氏の性分は、前者のようであった。