一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

新・悪夢の社団戦2019(4)

2019-07-18 00:15:50 | 社団戦

大将氏はさっきからチェスクロックを手に取り眺めている。私のほうが残り時間は多いが、それに問題があるのだろうか。
私はふらふらと▲4八同銀と取ったが、失着。大将氏に△4九角と打たれて痺れた。▲6七金取りと△2七銀の両狙いで、先手は両方を受けられない。▲4八同銀では当然▲同飛だった。
そこから数手進み、△5六馬(多分3図)の王手。これには▲6七銀の予定だったが、△6八飛成▲同玉△5七金▲7八玉△6七金で負けると思った。

それで▲6七飛と合駒したのだが、上の変化で△5七金の時▲7九玉と引けることに気付いた。▲6七飛では予定通り、銀合いをするのだった。
大将氏は△8八金と捨てる。▲同玉△6七馬となったが、1枚金をもらったので、これは後手玉が詰むのではないか?
▲7四桂打△9二玉(多分4図)と進む。ここで▲9三銀から簡単に詰みそうだが、意外にうまくいかず、私は考えてしまった。

多分4図から▲9三銀△同玉▲8二銀△9二玉▲9一銀成△9三玉と進む。続く王手は▲9二金しかなく、△8四玉で私はいよいよ手段に窮した。
またも大将氏がチェスクロックを覗く。何と、時計が止まっていた。私は時間稼ぎをしていたと思われるのがイヤで、ここで投げた。大将氏は黙ってうなずいた。いやはや、まさかの敗退である。
相手がオヤジに見えて闘志がわかなかったとはいえ、これはいただけない。
なおチェスクロックは、大将氏が誤ってポーズボタンを押してしまったようだ。
感想戦もそこそこに、大将氏が練習将棋を熱望した。まあ、今日はこれで終わりだし、私も応じる。「2局目」は私が四間飛車に振った。私は気楽に指すと強い。もう、本気全開である。大将氏も早指しだったため、将棋は早く終わり、私が勝った。
まだ時間があるので、「3局目」を指す。いったい私は、何をやっているのだろう。
3局目は相矢倉。大将氏は棒銀できたが、激しい攻め合いを私が制した。
まだ他の対局も残っていたが、将棋ペンクラブは勝ち越しを決めたようだ。最終的には5勝2敗での勝利だった。まさに私は救われた感じで、もし3-4で負けていたら、私は切腹モノだった。
以上、4戦を終わって、チーム2勝2敗、個人1勝3敗。チームはともかく個人的には最悪で、まさか7部でこの成績とは、まったく頭になかった。もう、ほかの選手に会わせる顔がない。

打ち上げは、近くの「和民」に行った。参加者は三上氏、Akuさん、Yam氏、藤宮氏、山野氏、私。Kan氏は後から来るとのこと。
席に着く早々、藤宮氏が将棋盤を出そうとしたが、みなで止める。東大出身の藤宮氏、かなり将棋が好きなようだ。
では、席の配置を記しておこう。

三上 藤宮 山野
□    □
一公 Aku Yam

私の横にはAkuさんが座った。飲み会で横に女性が座るのはかなり久しぶりで、前回の記憶がない。
2時間飲み放題プランにする。全員が生ビールを頼み、乾杯。私は酒は飲まないが、最初の1杯は美味いと思う。
「将棋ペンクラブ」「7部」とはいえ、やはり出るのは悔悟の言葉である。みなが負けた将棋を振り返る。私もそうで、A級戦犯だったから言葉も出ない。しかも翌日から仕事と思うと、いっそう憂鬱になった。
Akuさんは4回戦に勝利したが、▲7六歩△3四歩▲2六歩に女性が△3二銀としたので、ありがたく▲2二角成としたという。
「待ってあげなかったの?」
「待ちませんよ」
真剣勝負なんだから……という顔をされた。
Akuさんが今回の将棋を並べたいと言うので、藤宮氏に将棋盤を出してもらった。盤は折り畳みプラスチックだが、駒は掘り駒の逸品だ。
Akuさんは早速並べ始めたが、そこは級位者なので、再生がたどたどしい。案の定、途中で分からなくなったが、おぼろげながらでも自分の記譜を憶えているとは大したものだ。Akuさんは、初段にはなるだろう。
やがてKan氏が加わり、3、4回戦の出場選手が全員そろった。……と思いきや、三上氏はこのあたりで味良く退席。
宴たけなわになり、Yam氏と藤宮氏が将棋を始めた。その対局を横目に将棋談義とは、かつてのジョナ研みたいだ。
それが終わると、いよいよ藤宮-山野戦が始まった。山野氏得意の振り飛車に、藤宮氏はエルモ囲いだ。
藤宮氏は副将を務めるだけあって優勢を築くが、▲8九桂・△8八飛の局面で、山野氏▲4九金に、藤宮氏が△4八の竜を6八に逃げたのが失着。山野氏が▲7七銀と両取りを掛け、局面が紛れてきた。
山野氏はここぞとばかり考える。最後は山野氏の捨て身の攻めが決まって、▲3四香で勝勢。そのまま押し切り、逆転勝利となった。

「社団戦の勝利よりうれしい!」と山野氏は破顔一笑だが、居酒屋で会心の将棋を指してどうするのだ。
というところで、お開きである。私は規定の料金を払ったのだが、Kan氏がお釣りの小銭をそのまま私にくれた。よく分からないが、ありがたいことである。
Kan氏いわく、7月28日の2日目は、不出場の場合のみ、連絡を乞うとのこと。さすがに元中学校教師で、選手が断りにくい方向に持って行くのがうまい。
これは私も、次回も参戦せざるを得ないようである。
(おわり)
コメント
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