一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

6月21日の4時から男(2)

2020-07-14 00:09:09 | 新・大野教室
少年の先手になり、▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩に▲7四歩!△同歩▲同飛! 石田流から▲7四同飛はある手で、鈴木大介九段や久保利明九段の実戦にもある。
これに△8八角成~△6五角なら、▲5六角と打ち返してくるのだろう。それがイヤだから△7三歩と誤ったが、▲7六飛で一本取られてしまった。
少年に学年を聞くと、小学5年とのこと。小柄なので、小学3年くらいに見えた。
以下駒組合戦になる。私は△4五歩と位を取り、△5四銀左と構えるいつもの形である。要するにタコ金戦法の銀版みたいなもので、▲6五歩の仕掛けを全力で阻止するのだ。
しかしお互い差す手がなくなってきた。△4四角~△3三桂~△2四歩はいいとして、次の△2五歩は桂ハネの味が消えるので一長一短。しかしそうも言っていられない。しかしそれでも手がなくなって、△2六歩から1歩を交換したあと、目をつぶって△4三銀と引いた。
ここで▲6五歩と仕掛けられたら私が悪かったが、少年は金を寄せたので、私は△5四歩~△5五歩を間に合わせる。次に△5四銀左とし、こうなっては負けられなくなった。
向こう側では、Og氏と1局目の少年が指している。やはり四枚落ちである。だが少年が待ったをしたようだ。指して盤面を見たあと、よりよい攻め筋が浮かぶのは、私も同じだ。
こちらの将棋に戻って、△8四金が味よい進撃である。ここで、先手に▲7五歩のない欠点が露呈してしまった。

第1図以下の指し手。▲6五歩△7五歩▲6六飛△6五歩▲同桂△6四歩▲7三歩△8二飛▲5八銀△6五歩▲6九飛△7三桂(第2図)

少年は▲6五歩から暴れてきたが、私は丁寧に応接し、△7三桂となって私の優勢である。
以下の手順もうろ覚えなのだが、ついでなので最後まで記しておく。

第2図以下の指し手。▲7九飛△6四桂▲7五角△同金▲同飛△7四歩▲7九飛△5六歩▲3七桂△2五歩▲同歩△8六歩▲同歩△同飛▲2九飛△8八飛成▲2四歩△5七歩成▲同銀△4八竜▲同銀△1七金(投了図)
まで、一公の勝ち。

近くに、見慣れぬ青年がいる。よく見るとKob君だ。ずいぶん背が伸びて、大人になった。
かつては私が大駒を落としていたが、いまは平手でも私の分が悪いだろう。こうやって、オッサンはどんどん子供に抜かれていくのだ。
△6四桂は、少年相手に震えすぎ。▲7六歩とこじ開ける手に△同桂を用意したものだが、こんなところに桂を使う手はなかった。
△5七歩成には▲同銀でも▲同金でも△5六歩の予定だったのだが、よく見るとカナケが入れば△1七に打って詰む。それで▲同銀に△4八竜とした。
どうも少年は力を出し切れなかったようだ。私が△4三銀と引いた時、▲6五歩と行くしかなかった。

1局目の少年が、平手を指したいという。
周りを見ると私しか空きがおらず、指すことにした。
少年は居玉のまま棒銀できた。四枚落ちと指し方が一緒だが、これでいいのか。私は四間飛車に振っていたが、少年は▲1五歩△同歩▲同銀。これは駒損の攻めになるが、私はそのまま指してしまう。
△1五同香▲同香△同角で少年は駒損に気付いたが、私は知らん顔である。
少年は▲1二歩と垂らしたが、待ったをした。さっきのOg戦もそうだったが、この癖はすぐに直したほうがいい。将棋大会でこれをやると、即負けである。将棋も人生も、待ったは利かないのだ。
この将棋は少年がすぐ投了し、2局目に移った。ここでも少年は原始棒銀だが、今度は私が間違えた。すなわちいったん△4四角と出た手がそれで、全然棒銀よけになっていなかった。▲2五銀に△3三角とひとつ戻る。そこで▲2四歩と合わされ後手まずいことになった。
△3二金▲2三歩成△同金(第1図)。

ここで少年は▲7六歩としたが、逸機。ここは何はともあれ▲2四歩だ。以下△2二金▲1四銀で先手優勢だった。
本譜は△2四歩▲3三角成△同桂に、▲6六角が好手。これでも先手がいいのに呆れた。
私は△6四飛と回ったが、▲2四銀△同金▲3三角成で、先手優勢……だが、本譜はそうならなかった。だが代わりの手も忘れてしまった。
脇での大野八一雄七段の指導対局では、青年が二枚落ちで勝ったようである。
「もう二枚落ちを卒業でいいと思うんだけど、あちらに厳しい人がいるからねえ」
と、大野七段が私を見る。
二枚落ちは大変な手合いで、アマがプロに勝つことは容易ではない。だが大野七段は大甘で、すぐに二枚落ちを卒業させようとする。それで私が、最終試験官をやっているところがあるのだ。
私の将棋は、部分第2図から、△7八馬▲同銀△6八金まで私が勝った。

少年は原始棒銀を指して楽しみたいのか、それとも本格的に強くなりたいのか、どっちなのだろう。後者なら、玉を囲ってからの指し手を勉強したほうがいい。
私は二枚落ちの青年と指すことになったが、直前に別の一局が終わり、私はそちらで指していた別の青年と指すことになった。
その青年は豊島将之竜王・名人に通ずる強豪の雰囲気があり、私は気を引き締める。彼に振ってもらうと、と金が5枚出て、私の先手になった。
(つづく)
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