一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

6月21日の4時から男(3)

2020-07-15 00:06:40 | 新・大野教室
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩から、青年は△9四歩としたあと、四間飛車に振った。令和では珍しい、角道を止める振り飛車である。
私はもちろん▲5七銀左からの急戦。最近はエルモ囲いや、▲7九銀型からの▲6八金上もあるが、私は半世紀以上前の戦法を採る。
△5四歩に、私の次の一手は当然である。

第1図以下の指し手。▲9七角△4一飛▲7九角△4三銀▲6六銀△4二飛▲2四歩△同歩▲同角△2二飛▲2五歩△4五歩▲3七桂(第2図)

私の▲9七角は、△5四歩ならばこう指したいところ。これも山田道美九段創案の手である。だが次の▲7九角は山田九段没後の手。むかし駒込サロンでこの手を指したら、手合い係の櫛田陽一六段(当時)が「この手を知っているなんてすごい」と大仰に驚いてくれたものだ。
私は▲2四歩から仕掛けたが、△2二飛に▲2五歩と収めるようではおかしい。
旧定跡から1手得してもうまくいかないのが、将棋の難しいところである。

第2図以下の指し手。△4四銀▲3三角成△同桂▲2四歩△2五歩▲同桂△2四飛▲2六歩(第3図)

青年は長考で△4四銀。まあそうであろう。私は▲3三角成とするしかないが、以下▲2六歩までとなって、これでは居飛車でかしていない。つまらない戦いにしたと思った。

第3図以下の指し手。△4六歩▲同歩△2七歩▲同飛△3八角▲2八飛△5六角成▲4七銀△7四馬▲5六歩(第4図)

青年は△4六歩。単なる突き捨てと思いノータイムで▲同歩と取ったが、△2七歩から馬を作られて参った。いかにも振り飛車らしい手で、この類が私はまったく見えないのである。
△7四馬に、気は利かないが▲5六歩と打った。

第4図以下の指し手。△6四馬▲7五角△4五歩▲6四角△同歩▲3三桂成△4六歩▲同銀△3三銀▲2五歩△2三飛▲3二角△2二飛▲5四角成(第5図)

第4図から△6四馬は意外だった。私は▲7五角と打ち、馬が消せた。
▲3三桂成は気が利かないが、銀を後退させるのも悪くはない。
私は気持ちのいい▲2五歩。これには飛車をどこに引いても馬を作れる。私は▲3二角~▲5四角成とし、ほんの少し指しやすくなったと思った。

第5図以下の指し手。△2七歩▲同飛△3八角▲2六飛△5六角成▲3五歩△3八馬▲5五馬△2三飛(第6図)

青年は2度目の△2七歩~△3八角。この筋はいつまで経っても急所なのだ。しかし今度は先手の応手も微妙に変わって、▲2六飛と浮いた。
△5六角成には▲4七歩が無難だが、▲3五歩と気取ってみた。しかし△3八馬と突っ込まれては損で、▲3五歩ではふつうに▲4七歩だった。

第6図以下の指し手。▲1五桂△1四桂▲2三桂成△2六桂▲3三成桂△4七歩▲5七銀右△4九飛▲4一飛△3五歩▲5九金寄△2九飛成▲4九歩△5一金引▲4三飛成(第7図)

第6図でためらいつつ▲1五桂と打った。ダサい手だが、ほかに手もなさそうだ。もっとも青年も△1四桂と打ち、この打ち合いは直後に銀を取れる私のほうがいい。
しかし△4七歩が嫌味な歩である。以前支部対抗戦でこの類の垂れ歩を指され、負けたことがある。
私は▲5七銀右と防戦である。△4九飛にも▲4一飛。とにかく△4八歩成を許しては負ける。
青年はもう秒読みに入っている。私はまだ時間が残っているが、30秒前後で指しているので、私だって秒読みみたいなものだ。
ここで青年の△3五歩が意味不明だったが、1歩を補充したということか。
私は▲5九金寄から▲4九歩。固くなっているのかどうか分からなかったが、舟囲いらしい戦い方だと思う。

第7図以下の指し手。△2七馬▲4二成桂△6二金左▲5二歩△3八桂成▲5一歩成△4九成桂▲同金△同馬▲6一と△同銀▲5九歩△同馬▲同金△同竜(第8図)

ここで△2七馬は意味が分からなかったが、次に△3八桂成とするということだろう。
△6二金左には▲4七竜と引く手もあったが、一手の価値がないと思い、やめた。
5筋に歩が利くうちに▲5二歩。△4九成桂の前に▲5一歩成が入り、5筋に底歩が打てるようになった。
が、▲4九同金に△同馬があるのでビックリした。ここは△同竜の一手と読み、それなら▲5九歩で優勢と読んでいたのだ。
幸い▲6一とが利いたが、△同銀に後続の指し手が分からない。▲5九歩と受けたが、ふつうに△同馬と取られ、お手伝いになってしまった。でも後手の指し手を限定できてよかったのか? よく分からない。

第8図以下の指し手。▲3七角△7九金▲7七玉△6九竜▲6四馬△8四金▲7四桂△同金▲同馬△6四歩▲同角△7二桂▲7三馬△同桂▲同角成△同金▲同竜(投了図)

第8図は▲6九金が第一感で、実際それでよかったと思う。だが私はヒネって▲3七角。△7九金には▲7七玉と立ち、意外に先手玉が寄らない。
△6九竜が何でもないので私は▲6四馬と出る。△8四金には▲7三馬を読んだが、ここで無理をしてもしょうがない。黙って▲7四桂と打った。△同金▲同馬となっては、さすがに私の勝ちである。
以下▲7三同竜まで、青年が投了した。

感想戦はお互いボソボソとしたが、青年は第4図での△6四馬を真っ先に悔やんだ。▲7五角で馬を消されてしまったからで、ここは△4五歩(参考図)だったと青年。

なるほど▲同歩なら、△同銀、△同桂、△6四馬など、いろいろ手段はあった。これがあるなら▲5六歩は疑問手だったかもしれないが、それに代わる手も分からなかった。

Ok氏は帰ってしまい、あまり指す相手がいない。さっき来た佐藤氏は、原稿書きがあると言って帰ってしまった。
残るはSさんで、この方と指すことにした。
(つづく)
コメント (2)
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