一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

6月21日の4時から男(1)

2020-07-13 00:05:14 | 新・大野教室
6月21日は久しぶりに大野教室に行った。前回お邪魔したのが3月21日だったから、ちょうど3ヶ月ぶりである。
午後3時35分ごろに教室の前に着くと、スタッフW氏のクルマがなかった。今日は休みだろうか。
中に入ると、W氏が出迎えてくれた。クルマはどこかに駐めてあるのかもしれない。
私はもちろんマスク着用である。中は大野八一雄七段が3面指しの最中だった。その奥で自由対局が1局あり、和室でも何局か指しているようである。「3密じゃねえか!」と私はジョークを飛ばす。もちろんこのまま指していくつもりである。
しばらくして、W氏が対局をつけてくれた。相手は中学1年生前後の少年で、私の四枚落ち。今回が3回目の来席だという。
だが駒を並べる少年の手つきが様になっていて、少なくとも初心者には見えなかった。
対局開始。私は二枚落ちの定跡は分かるが、四枚落ちになるとあやふやになる。大むかし「将棋マガジン」で、「灘蓮照九段の四枚落どんと来い!」という実戦講座があった。1年間続いたがアマ有段の読者に対して、11勝1敗だった。あの指し方がバイブルになると思われるのだが、手許にないからしょうがない。
私は大人しく指していると、少年は2筋の歩を換え、1筋の歩を切って▲1二歩と垂らした。
たぶん大野七段の教えを忠実に守っているわけで、上手としては厄介なところだ。
ただし▲1四銀△1三歩のとき少年が▲2五銀と引いたのは小ミスで、ここは▲2三銀成△同銀▲1一歩成があった。
その後少年は▲2四歩と合わせ、△同歩▲同銀△2三歩に▲1一歩成。ここはやはり▲2三同銀成がベターだと思ったが、黙って▲1一歩成でもいいのか。
そして第1図までとなって、これでも負けたと思った。

第1図以下の指し手。▲2四飛△2三歩▲2八飛△5六銀成▲1五桂△3五銀▲2三桂成△同金▲同飛成△5七桂▲3二竜△5三玉▲6五歩△6六歩▲3三竜△4九桂成▲同玉△4七成銀(第2図)

第1図から▲2三歩△同金▲1五桂の攻めが見えたが、少年は黙って▲2四飛。△2三歩▲2八飛としてから▲1五桂と来た。なるほどこちらのほうが明快だ。
私は△3五銀。もし▲2三桂成なら△2七歩~△2六歩の予定だったが、いざその局面になってみると、駒台に歩が1枚しかなく、呆れた。
しょうがないから△2三同金と取り、▲同飛成に△5七桂のお返しである。だけどこんなダサイ桂を打ちたくないのだ、本当は。
少年は決め手を探し出せないようである。▲3三竜のあたりでもう少し気の利いた手があればよかったが、意外に難しかったか。私もよく分からなかった。
私は△4九桂成から△4七成銀で、一応詰めろ。これで上手の役割は全うした。

第2図以下の指し手。▲3九銀△3八歩▲4八銀△4六銀▲4七銀△同銀成▲5八金△3九歩成▲5九玉△6七歩成▲6九銀△4九金(投了図)
まで、一公の勝ち。

第2図で▲6六角なら△4八金▲同角△同成銀▲同玉△6六角の王手竜で上手勝ち。
よって少年は▲3九銀だが、私は△3八歩。別になんでもない手だが、逆転の雰囲気は出している。以下△4七同銀成までと進んだが、上手は▲4三竜の王手でこの駒を抜かれる筋もあり、安心できない。
だけど駒落ちの時は、下手の好手を深く読んではダメである。だって、下手の勝ちになってしまうから。上手は適当に読み抜けをするのがよい。
▲5八金に△6七歩成とし、部分的には必至っぽい。そこに▲6九銀が最後のココセで、△4九金まで私が勝った。戻って、ここは▲6三金△同玉▲4三竜△5三金打▲4七竜で下手優勢だった。だがこんな手を指せたら、四枚落ちの手合いではない。

短い感想戦を行う。▲2三桂成のとき、少年は△2六歩と抑えられるのがイヤだったらしい。彼はしっかりと、自分の読みを主張する。
また第2図では▲5八金とすべきだった、とのこと。なるほどこちらのほうが持駒を増やせるからいい。ここからは私の出番で、△4六銀▲4七金△同銀成なら、▲6二銀△同玉▲4二竜△5二歩▲5一銀△6三玉▲5五桂(参考図)で、以下即詰み。

よって▲5八金なら少年の勝ちだった。
洋間の隅には、消毒液があった。いまのご時世、これは必須である。
Ok氏が来て、「大沢さん、前髪のほうも薄くなってきましたね」。
Ok氏に言われるとは心外だが、まあその通りである。「そうですよ。トコヤに行っても、前髪を切られなくなりましたよ」
まったく、年は取りたくないものである。
2局目は別の少年と。今度は振駒だという。大野教室への敬遠事項があるとすればこれで、少年が強すぎる。将棋の強弱に年齢は関係ないのが利点でもあるが、子供に負かされると、オッサンにはきついものがあるのだ。
(つづく)
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