最近びっくりした勝敗を挙げる。
まずは6日に行われた第36期竜王戦ランキング戦6組・藤原直哉七段VS小山怜央アマ戦である。
小山アマはこの対局までに棋士編入試験に合格し、4月からはプロ四段が約束されている。
対して藤原七段はフリークラス在籍で、両者の勢いを考えれば、小山アマが勝つ。
ところがこの対局、藤原七段が勝った。棋譜を見たが、藤原七段が快勝というわけではなく、苦しめに見えた。しかしそこを勝ち切ったのがベテランの芸だ。
前述の通り、藤原七段はフリークラスだが、降級1年目の2017年度に好成績を残し、4番連続順位戦復帰の目を作った。ところがそこから悪夢の4連敗という悪夢の経験を持つ。まったく、強いんだか弱いんだか分からぬ展開だったが、本局の藤原七段は強かった。
翌7日は、第81期順位戦C級1組・阪口悟六段VS伊藤匠五段戦が行われ、2勝7敗の阪口六段が、9勝0敗の伊藤五段に勝った。
将棋は阪口六段のゴキゲン中飛車に、伊藤五段の超速▲3七銀戦法。終始難しい戦いだったが、阪口六段がわずかにリードを得、それを保ったまま、勝ち切った。とくに、自玉が受けなしになったあと、伊藤玉を即詰みに討ち取ったは見事だった。
しかし、こんなに強い棋士がなんで降級点スレスレなのか、まったく分からぬ。
いずれにしても、こうしたことがあるから順位戦は恐ろしい。
その翌8日は、順位戦B級2組で、谷川浩司十七世名人が大橋貴洸七段に勝った。
大橋七段は藤井聡太竜王に勝ち越している(4勝2敗)数少ない棋士のひとりで、今年度もここまで30勝9敗。対して谷川十七世名人は勝ったり負けたりで、要するに大橋七段がふつうに勝つと思った。
将棋は角換わり相腰掛け銀から、例の形。ここから激しい戦いになったが、谷川十七世名人が往年の力を出したというわけだった。
61歳間近の谷川十七世名人に毎回全力投球せよとは言わんが、売り出し中の若手に勝てば、存在感を示すことができる。今期5勝5敗は物足りなかったが、来期はちょっと期待してみようか。
続いて22日は、第71期王座戦二次予選・菅井竜也八段VS杉本昌隆八段の一戦。
これも、先ごろ叡王戦挑戦を決めた菅井八段だから、ふつうに考えれば、菅井八段が勝つ。ところが千日手指し直しの末、杉本八段が勝ち切った。しかもこの将棋、菅井八段の先手中飛車に対し、杉本八段が正調居飛車・舟囲いだった。
むかしの森安秀光九段がそうだったが、振り飛車党が居飛車を指しても、うまく指しこなすのだ。まあプロだから当然といえば当然だが。
いずれにしても、いま藤井竜王の次にノッテいる棋士(菅井八段)に勝った杉本八段はお見事。ダテに藤井竜王の師匠はやってないのである。
27日に行われた第36期竜王戦ランキング戦2組準決勝・佐藤康光九段VS菅井八段戦も、佐藤九段が勝った。元竜王の佐藤九段だから番狂わせではないが、佐藤九段は53歳で、今期の順位戦でもA級から降級した。そして相手が菅井八段とくれば、菅井八段が勝つと誰もが?思う。そこを佐藤九段が勝ち切ったのが偉い。
興味深いのは佐藤九段の作戦である。ふだんは変態向かい飛車を得意としているが、振り飛車党相手にはどう指すのか。
注目の戦型は正調銀冠。激しい攻め合いにあり、佐藤陣も崩壊したが、佐藤玉は銀冠の小部屋に逃げ込み、粘る。これが功を奏し、粘着勝ちした。
これで佐藤九段は1組復帰&本戦トーナメント出場決定である。53歳の大ベテランが台風の目になってくれたら面白い。
まずは6日に行われた第36期竜王戦ランキング戦6組・藤原直哉七段VS小山怜央アマ戦である。
小山アマはこの対局までに棋士編入試験に合格し、4月からはプロ四段が約束されている。
対して藤原七段はフリークラス在籍で、両者の勢いを考えれば、小山アマが勝つ。
ところがこの対局、藤原七段が勝った。棋譜を見たが、藤原七段が快勝というわけではなく、苦しめに見えた。しかしそこを勝ち切ったのがベテランの芸だ。
前述の通り、藤原七段はフリークラスだが、降級1年目の2017年度に好成績を残し、4番連続順位戦復帰の目を作った。ところがそこから悪夢の4連敗という悪夢の経験を持つ。まったく、強いんだか弱いんだか分からぬ展開だったが、本局の藤原七段は強かった。
翌7日は、第81期順位戦C級1組・阪口悟六段VS伊藤匠五段戦が行われ、2勝7敗の阪口六段が、9勝0敗の伊藤五段に勝った。
将棋は阪口六段のゴキゲン中飛車に、伊藤五段の超速▲3七銀戦法。終始難しい戦いだったが、阪口六段がわずかにリードを得、それを保ったまま、勝ち切った。とくに、自玉が受けなしになったあと、伊藤玉を即詰みに討ち取ったは見事だった。
しかし、こんなに強い棋士がなんで降級点スレスレなのか、まったく分からぬ。
いずれにしても、こうしたことがあるから順位戦は恐ろしい。
その翌8日は、順位戦B級2組で、谷川浩司十七世名人が大橋貴洸七段に勝った。
大橋七段は藤井聡太竜王に勝ち越している(4勝2敗)数少ない棋士のひとりで、今年度もここまで30勝9敗。対して谷川十七世名人は勝ったり負けたりで、要するに大橋七段がふつうに勝つと思った。
将棋は角換わり相腰掛け銀から、例の形。ここから激しい戦いになったが、谷川十七世名人が往年の力を出したというわけだった。
61歳間近の谷川十七世名人に毎回全力投球せよとは言わんが、売り出し中の若手に勝てば、存在感を示すことができる。今期5勝5敗は物足りなかったが、来期はちょっと期待してみようか。
続いて22日は、第71期王座戦二次予選・菅井竜也八段VS杉本昌隆八段の一戦。
これも、先ごろ叡王戦挑戦を決めた菅井八段だから、ふつうに考えれば、菅井八段が勝つ。ところが千日手指し直しの末、杉本八段が勝ち切った。しかもこの将棋、菅井八段の先手中飛車に対し、杉本八段が正調居飛車・舟囲いだった。
むかしの森安秀光九段がそうだったが、振り飛車党が居飛車を指しても、うまく指しこなすのだ。まあプロだから当然といえば当然だが。
いずれにしても、いま藤井竜王の次にノッテいる棋士(菅井八段)に勝った杉本八段はお見事。ダテに藤井竜王の師匠はやってないのである。
27日に行われた第36期竜王戦ランキング戦2組準決勝・佐藤康光九段VS菅井八段戦も、佐藤九段が勝った。元竜王の佐藤九段だから番狂わせではないが、佐藤九段は53歳で、今期の順位戦でもA級から降級した。そして相手が菅井八段とくれば、菅井八段が勝つと誰もが?思う。そこを佐藤九段が勝ち切ったのが偉い。
興味深いのは佐藤九段の作戦である。ふだんは変態向かい飛車を得意としているが、振り飛車党相手にはどう指すのか。
注目の戦型は正調銀冠。激しい攻め合いにあり、佐藤陣も崩壊したが、佐藤玉は銀冠の小部屋に逃げ込み、粘る。これが功を奏し、粘着勝ちした。
これで佐藤九段は1組復帰&本戦トーナメント出場決定である。53歳の大ベテランが台風の目になってくれたら面白い。