幸い、駒はすでに並べられている。振ってもらって私の先手になった。
▲2六歩△3四歩▲7六歩△4二飛。私は数手後に角道を止め、その数手後に▲6五歩と角交換を迫った。
角交換後は、駒損を承知で▲2二角の強襲をする。ここで熱戦になり午後2時を過ぎてもいけないから、短期決戦である。さらに進み、▲3二と、△2六角・△5二金の局面で、▲4二と△同金▲2二飛が角金両取り。
これで決まったと思ったが、以下△4四角▲4二飛成△3三角打で難しい。
この後は少年に△9五歩から端攻めをされ、もうイヤになって投了も考えたのだが、少年も寄せをぐずり、また形勢不明になった。
その後は私の面白い局面があったと思うのだが決めきれず、気が付けばまた敗勢になっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/1c/a36f2201eff181dcfec6d149bad3574c.png)
第1図以下の指し手。△7七角成▲6八香△7六馬▲4八金△8五馬▲6三角成△同銀▲9二金△7二玉▲5五桂△3八香▲同玉△2六桂▲2七玉△4九角▲3八香△6六香(第2図)
私の将棋でも結構ギャラリーが集まってきて、悪い気はしない。いつもよりカッコをつけて着手したりして、これは勝たねばいかんと思った。
第1図で少年が大長考し、指した手は△7七角成。▲6八香△7六馬に私は銀を持ったが、▲4九銀は楽しみがない。それで▲4八金と寄った。
△8五馬には後手陣に殺到した。数手後△7二玉に▲6三香成としたいが、△同馬が竜に当たる。それで▲5五桂と据えた。
そこで少年は△3八香と追ったが、これはやや強引だ。△4九角に▲3八香と打って、これは私が勝ちになったんじゃないかと思った。
少年は△6六香。何だこれは!?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/2c/64cb5b011da34ad7b3a738e0df161dde.png)
第2図以下の指し手。▲6六同香△3八角成(投了図)
まで、少年の勝ち。
私はヒョイと香を取ったのだが、△3八角成とされて飛び上がった。トン死である。あそか、と投了。△6六香は飛車筋を通すための犠打だったのだ。
すぐに感想戦に入り、それならA▲6三桂成か、とやったが、△同馬が王手竜取りである。それでB▲4九金かとやったが、△同馬▲6三桂成△同玉▲5二角△6四玉▲6六香△7五玉で後手勝ち。
とすると、第2図では先手の勝ちがなかったということか。
まあ感想戦で熱くなってもしょうがないので、これで切り上げる。
少年は駒を初形に並べ始めたが、私は申し訳ないが追従せず、席を立った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/15/a8e148c332420d4dd60aab3846b07dda.png)
あと15分ほどで第2局が始まる。対局者は、つるの剛士アマ三段・乃木坂46伊藤かりんアマ初段ペアと、竹俣紅女流初段・ザブングル加藤歩アマ初段ペアだ。
例によって、勝者ペア予想の整理券配布がある。私は竹俣・加藤ペアの勝利と予想し、そちらをいただく。だがこれよく考えたら、混雑に紛れて両方の整理券をもらうこともできるのだ。まあそこまでして不正する客はいまい。
午後2時ピッタリになり、MCの女性が登場した。続いて、対局の4人と戸辺誠七段が登場した。戸辺七段は「湘南江の島」のピンクのハッピを着ている。
「休憩中は、皆さん先ほどの将棋を話していたのでしょうか」
と女性MC。
つるのアマ三段は先ほどの敗戦が尾を引いているようで、まだ悔しがっている。
「いや戸辺先生にいろいろ教えられまして……。3手詰をうっかりしてたんだな……」
最後は独り言のようにつぶやいた。例の「△3八銀▲同金△同香成」の順を教えられたようだ。
対して、快勝した加藤アマ初段は元気だ。
「ボクは四間飛車しか指せないんで……。でも自信しかありません」
竹俣女流初段は午後も美しい。
「私は居飛車党ですけど、たまに振り飛車を指すこともありますので」
かりんアマ初段は、今日初めての将棋となる。
「私とつるのさんは同じ戸辺門下で振り飛車党なので、コンビネーションがいいです」
「どこ、コンビネーションいい?」
と、つるのアマ三段。
「え? 長考派だし」
「いや今日は持ち時間あるし!」
本局は特別ルールがある。すなわち、「戸辺七段からのヒント」「会場からの次の一手」である。
前者は作戦タイムで、大盤にて戸辺七段がヒントをくれる。
後者は、会場のお客様に舞台に上がってもらい、次の一手を代わりに指してもらうというもの。ちなみに昨年は、つるのアマ三段が選んだ少年がヘンな手を指し、局面が混沌としてしまったらしい。ここでの人選は大切である。
ただこれはどちらも行使できるようだ。そこでかりんアマ初段が
「つるのさんと加藤さんがいい勝負でしょ? あとは私と紅ちゃんだけど、棋力の差が大きすぎる! ほかにも何かハンデをください」
と懇願した。そこでつるの・かりんペアのみに、戸辺七段が代打で指すルールが追加された。いわゆる「ウルトラマントベ」の助けというわけで、その時間はもちろん3分。これなら戸辺七段が4手くらい指せる計算だ。
いよいよ対局である。持ち時間は5分、秒読みは30秒。記録・記譜読み上げはもちろん、小高悠太郎奨励会三段である。先手のつるの・かりんペアが舞台右側に座り、対局が始まった。
▲つるの剛士アマ三段・伊藤かりんアマ初段
△竹俣紅女流初段・加藤歩アマ初段
▲5六歩(かりん)△3四歩(加藤)▲7六歩(つるの)△4四歩(紅)▲5八飛(か)△4二飛(加)▲5五歩(つ)△5二金左(紅)▲4八玉(か)△6二玉(加)▲3八玉(つ)△3二銀(紅)▲2八玉(か)△1四歩(加)▲1六歩(つ)△4三銀(紅)▲3八銀(か)△3三角(加)▲6八銀(つ)△7二銀(紅)▲5七銀(か)(第1図)
かりんアマ初段の▲5六歩でスタート。以下、交互に指していく。かりんアマ初段が▲5八飛と指せば、加藤アマ初段は宣言通り△4二飛と振る。続いて先手は玉の整備に入るが、後手は△3三角を優先する。これが加藤流だ。
解説の戸辺七段は、「4人とも息がピッタリですね」と感心する。
それにしても、対局者4人の中に美人女流棋士と国民的アイドルがいるのだから豪華だ。私があの中に入ったら舞い上がってしまい、何も指せないだろう。
ところで、風が午前にも増して強くなっている。盤上の駒も微妙にズレるようで、対局者がこまめに修正している。
先手は早くも銀を繰り出し、攻める気満々である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/23/db28316001b010781890d29fa449e323.png)
(つづく)
▲2六歩△3四歩▲7六歩△4二飛。私は数手後に角道を止め、その数手後に▲6五歩と角交換を迫った。
角交換後は、駒損を承知で▲2二角の強襲をする。ここで熱戦になり午後2時を過ぎてもいけないから、短期決戦である。さらに進み、▲3二と、△2六角・△5二金の局面で、▲4二と△同金▲2二飛が角金両取り。
これで決まったと思ったが、以下△4四角▲4二飛成△3三角打で難しい。
この後は少年に△9五歩から端攻めをされ、もうイヤになって投了も考えたのだが、少年も寄せをぐずり、また形勢不明になった。
その後は私の面白い局面があったと思うのだが決めきれず、気が付けばまた敗勢になっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/1c/a36f2201eff181dcfec6d149bad3574c.png)
第1図以下の指し手。△7七角成▲6八香△7六馬▲4八金△8五馬▲6三角成△同銀▲9二金△7二玉▲5五桂△3八香▲同玉△2六桂▲2七玉△4九角▲3八香△6六香(第2図)
私の将棋でも結構ギャラリーが集まってきて、悪い気はしない。いつもよりカッコをつけて着手したりして、これは勝たねばいかんと思った。
第1図で少年が大長考し、指した手は△7七角成。▲6八香△7六馬に私は銀を持ったが、▲4九銀は楽しみがない。それで▲4八金と寄った。
△8五馬には後手陣に殺到した。数手後△7二玉に▲6三香成としたいが、△同馬が竜に当たる。それで▲5五桂と据えた。
そこで少年は△3八香と追ったが、これはやや強引だ。△4九角に▲3八香と打って、これは私が勝ちになったんじゃないかと思った。
少年は△6六香。何だこれは!?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/2c/64cb5b011da34ad7b3a738e0df161dde.png)
第2図以下の指し手。▲6六同香△3八角成(投了図)
まで、少年の勝ち。
私はヒョイと香を取ったのだが、△3八角成とされて飛び上がった。トン死である。あそか、と投了。△6六香は飛車筋を通すための犠打だったのだ。
すぐに感想戦に入り、それならA▲6三桂成か、とやったが、△同馬が王手竜取りである。それでB▲4九金かとやったが、△同馬▲6三桂成△同玉▲5二角△6四玉▲6六香△7五玉で後手勝ち。
とすると、第2図では先手の勝ちがなかったということか。
まあ感想戦で熱くなってもしょうがないので、これで切り上げる。
少年は駒を初形に並べ始めたが、私は申し訳ないが追従せず、席を立った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/15/a8e148c332420d4dd60aab3846b07dda.png)
あと15分ほどで第2局が始まる。対局者は、つるの剛士アマ三段・乃木坂46伊藤かりんアマ初段ペアと、竹俣紅女流初段・ザブングル加藤歩アマ初段ペアだ。
例によって、勝者ペア予想の整理券配布がある。私は竹俣・加藤ペアの勝利と予想し、そちらをいただく。だがこれよく考えたら、混雑に紛れて両方の整理券をもらうこともできるのだ。まあそこまでして不正する客はいまい。
午後2時ピッタリになり、MCの女性が登場した。続いて、対局の4人と戸辺誠七段が登場した。戸辺七段は「湘南江の島」のピンクのハッピを着ている。
「休憩中は、皆さん先ほどの将棋を話していたのでしょうか」
と女性MC。
つるのアマ三段は先ほどの敗戦が尾を引いているようで、まだ悔しがっている。
「いや戸辺先生にいろいろ教えられまして……。3手詰をうっかりしてたんだな……」
最後は独り言のようにつぶやいた。例の「△3八銀▲同金△同香成」の順を教えられたようだ。
対して、快勝した加藤アマ初段は元気だ。
「ボクは四間飛車しか指せないんで……。でも自信しかありません」
竹俣女流初段は午後も美しい。
「私は居飛車党ですけど、たまに振り飛車を指すこともありますので」
かりんアマ初段は、今日初めての将棋となる。
「私とつるのさんは同じ戸辺門下で振り飛車党なので、コンビネーションがいいです」
「どこ、コンビネーションいい?」
と、つるのアマ三段。
「え? 長考派だし」
「いや今日は持ち時間あるし!」
本局は特別ルールがある。すなわち、「戸辺七段からのヒント」「会場からの次の一手」である。
前者は作戦タイムで、大盤にて戸辺七段がヒントをくれる。
後者は、会場のお客様に舞台に上がってもらい、次の一手を代わりに指してもらうというもの。ちなみに昨年は、つるのアマ三段が選んだ少年がヘンな手を指し、局面が混沌としてしまったらしい。ここでの人選は大切である。
ただこれはどちらも行使できるようだ。そこでかりんアマ初段が
「つるのさんと加藤さんがいい勝負でしょ? あとは私と紅ちゃんだけど、棋力の差が大きすぎる! ほかにも何かハンデをください」
と懇願した。そこでつるの・かりんペアのみに、戸辺七段が代打で指すルールが追加された。いわゆる「ウルトラマントベ」の助けというわけで、その時間はもちろん3分。これなら戸辺七段が4手くらい指せる計算だ。
いよいよ対局である。持ち時間は5分、秒読みは30秒。記録・記譜読み上げはもちろん、小高悠太郎奨励会三段である。先手のつるの・かりんペアが舞台右側に座り、対局が始まった。
▲つるの剛士アマ三段・伊藤かりんアマ初段
△竹俣紅女流初段・加藤歩アマ初段
▲5六歩(かりん)△3四歩(加藤)▲7六歩(つるの)△4四歩(紅)▲5八飛(か)△4二飛(加)▲5五歩(つ)△5二金左(紅)▲4八玉(か)△6二玉(加)▲3八玉(つ)△3二銀(紅)▲2八玉(か)△1四歩(加)▲1六歩(つ)△4三銀(紅)▲3八銀(か)△3三角(加)▲6八銀(つ)△7二銀(紅)▲5七銀(か)(第1図)
かりんアマ初段の▲5六歩でスタート。以下、交互に指していく。かりんアマ初段が▲5八飛と指せば、加藤アマ初段は宣言通り△4二飛と振る。続いて先手は玉の整備に入るが、後手は△3三角を優先する。これが加藤流だ。
解説の戸辺七段は、「4人とも息がピッタリですね」と感心する。
それにしても、対局者4人の中に美人女流棋士と国民的アイドルがいるのだから豪華だ。私があの中に入ったら舞い上がってしまい、何も指せないだろう。
ところで、風が午前にも増して強くなっている。盤上の駒も微妙にズレるようで、対局者がこまめに修正している。
先手は早くも銀を繰り出し、攻める気満々である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/23/db28316001b010781890d29fa449e323.png)
(つづく)