10日目まで 関脇三羽ガラス23勝7敗 新入幕三羽ガラス20勝10敗
こういったマイナーな人物を主人公にした小説や映画を見ると、有名な歴史事件を別角度から、あるいは別階級目線から見られて、新しい発見がある。
主人公がマイナーだから、当然登場人物も一般の人にはわからない人が多い
だが人間関係を手繰って「ああ、これが誰誰の何何だった人なのか」という発見は面白い。
これに類する小説に「笛吹川」がある、これはこの映画にも登場する武田勝頼の忠臣、土屋兄弟が主人公の泥臭い半農半士の物語だ、当時の上級足軽がどのような暮らしや戦争に関わっていたかが見えて面白い。
この映画は衛星放送で見た、「信虎」とは、武田信玄の父親、武田信虎である
歴史上では、信玄以前に強豪の土豪が割拠する甲斐の国を、残忍なまでの武力でほぼ統一した信虎。
その後も暴虐無尽で甲斐の人々を恐れさせ、たまりかねた息子の信玄(当時は晴信)が有力家臣と謀って、信虎の娘が嫁いでいる駿河の今川家に無血クーデターで追放してしまうのだ。
晴信は莫大な生活費と礼金を今川家に送り続けていたのだろう、信虎は生きて甲斐の土を踏むことはなかった。
しかし、今川家は家康と信玄によって滅んでしまう、信虎の放浪生活が始まる。
この映画では既に70代になっているところから始まる
信長包囲網の一つ、足利義昭に与力して信虎は甲賀方面で戦っている
しかし徳川を三方原で破りながら甲斐に引き揚げてしまった信玄が死んだと聞いて、信虎は自分が武田家の采配を振るために甲斐に向かう。
信玄が息子の四郎勝頼に家督を譲らず、孫の太郎が元服するまで陣代として補佐するようにと遺言したことを聞いたからだ。
当然ながら、お家騒動の危険を感じた息子の逍遥軒などがそれを拒む、さらに勝頼が刺客を送ったことから、信州小県の娘婿根津甚八(真田十勇士)のもとに落ち着く。
その後は歴史どうり、1582年武田勝頼は息子や叔父、一族共々天目山の露と消える
それより先、勝頼が設楽原で信長、家康連合軍に惨敗した前年(1574年)に信虎は息を引き取る、82歳だった。
だが武田家が滅ぶことを予感していた信虎は、滅んだあと武田家が再興できるように手を打つ。
北斗七星の加護を生まれついて持っている信虎は呪術を身につけ、6人の縁者に呪術をかけてお家存続を託すが、すべてがかなえられなかった。
そして最後の一人を誰にするか考えた頃には、死期が迫っていた
そこで究極の方法を思いつく、自分が生まれ変わって武田家を再興させるというもの、鏡を見て自分に呪術をかける。
そして信虎は3世の後、柳澤吉保となって生まれ変わり、徳川綱吉の宰相として権力を握り、武田家の二男の血筋を探し出して幕府高家として武田家を再興させると言うストーリーである。
伏線として、信虎が高遠城に乗り込んで、勝頼や逍遥軒、さらに重臣たちの前で自分が勝頼に変わって武田家を相続する理由を述べるが、誰も同意しない
しかし、世話係の若侍が信虎の話を聞いていて理解を示した
信虎は理路整然な若侍の聡明さに感嘆して「おぬしはまことに立派な士である」と褒めるが、この若侍こそ柳澤吉保の若き日の祖父なのだ。
ある程度の歴史雑学がないと何が何だかわからない映画だと思う、だが歴史お宅にはなかなか面白い映画だった。
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