付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「機動内親王 澪子様の冒険2~女皇の帝国外伝」 吉田親司

2009-07-24 | 架空戦記・仮想戦史
「私はトップにはなれない。金メダルは取れない。でも二番手には二番手の戦い方があると思う」
 駒条宮澪子様の言葉。

 フランスの大地を疾駆するランチア・アストゥーラは一路ルクセンブルクへ。しかしその行く手に立ちふさがるのはヴィシー政権下に配備された対空戦車シャールB1改。さらにローザ率いるチーム・カサノヴァがテロリストの本領を発揮して迫り来る。
 果たして内親王澪子様は銀盤の秘密を持ち帰ることができるのだろうか!?

 『機動内親王 澪子様の冒険』もこれにて完結し本編へと続くことになります。
 もう少し好き勝手やっても良かったんじゃないかと思う反面、もう十分好き勝手やってた気もしますが、このエピソードならもうちょっとぎゅっと圧縮して1巻本にして、代わりに開戦後のエピソードでもう1冊を期待しても良かったかなと思います。
 最後の最後でザルなのは、真澄やハツが悪いと思います。油断しすぎです。 

【機動内親王 澪子様の冒険2】【女皇の帝国外伝】【吉田親司】【冨沢和雄】【鷲尾直広】【オードリー】【ナコ・シスターズ】【スピットファイア】【救急車】【カプリコン1】【チューリング】
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「マリア様がみてる/ プレミアムブック」 今野緒雪・ひびき玲音

2009-07-23 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 TVアニメ版「マリア様がみてる」序盤のフィルムストーリーにキャラ設定、声優インタビュー、ひびき玲音によるアフレコ現場レポマンガ、そして蓉子と祥子が姉妹になったエピソードを語る短編「ANSWER」を収録。
 アニメ版にはあまり思い入れがないというか、好きな部分をカットされてばかりで観ていて悲しくなるだけなのです。つまりは短編1つのために買ってしまったようなものですが、その価値があって良かったです。アニメ用の建物の間取りや外観設定も読むときの参考になりました。

【マリア様がみてる】【プレミアムブック】【今野緒雪】【ひびき玲音】【マリア祭】【いちご牛乳】
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「紫色のクオリア」 うえお久光

2009-07-23 | その他SF(スコシフシギとかも)
「あたしの運命はあたしだけのもので、ガクちゃんの運命はガクちゃんだけのもの」

 深夜の書店でうえお久光の新刊『紫色のクオリア』を購入。そのまま寝てしまって朝起きたら、嫁さんが「いやあ、うえお久光はスゴイわ」と感想を教えてくれました。あんた、真夜中に何やってんだ?

 紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかりは自分以外の人間がロボットに見えるという。だから、他人からみれば美少女でも自分ではそんな風には思ってはいない。比較するべき他人と自分が違いすぎているからだ。彼女の趣味はプラモデル作り。プラモに限らずメカは好きだし修理したりするのも得意だ。
 そんな彼女の友だちガクちゃんの家に、ある日不思議な女性が訪ねてきたのだが……。

 自分以外の他人がすべて異形に見えてしまう(あるいは異形である)というのは『地を這う魚』のように吾妻ひでおの短編でよく見られるシチュエーションではあるし、萩尾望都のコミックにも自分の産んだ娘がイグアナにしか見えない母親と娘の話『イグアナの娘』があるのだけれど、それをこう料理するのか!?というか、こういう風に変形していくのね?という驚きの1冊で、もともとは「ロボットと少女」をテーマにコラボレーションした短編の1つでしたが、結果的に「世界の可能性を踏みにじる少女の物語」になりました。
 次の星雲賞、受賞とはいわないけれどノミネートもされなかったら大笑いだ。テッド・チャンとか『最果てのイマ』あたりが好きな人にはとりあえず勧めておきます。あれらほど難解ではないけれどね。

【紫色のクオリア】【うえお久光】【綱島志朗】【プラモデル】【汎用機】【ジョウント】【連続殺人事件】【平行世界】【コペンハーゲン解釈】【シュレディンガーの猫】【魔法少女】【万物の理論】
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「最後の一球」 マイクル・シャーラ

2009-07-22 | スポーツ・武道
「いちばん気にかけているもの、そこから本物の苦しみがやってくる」
 最終戦登板前のビリー・チャペルの言葉。

 ホークスのエース・ピッチャーであるビリー・チャペルは37歳。17年間ホークスで投げ続け、野球殿堂入りも確実と言われている。
 だが、シーズン最終戦直前のビリーに、彼がトレードに出されるという情報がもたらされた……。

 きちんと契約をしていなかったばかりに、チームにも恋人にも裏切られた男が挑む最後の試合の物語。
 ちょっと試合中の考え事が多い気もしますが……。

【最後の一球】【マイクル・シャーラ】【ラブ オブ ザ・ゲーム】【野球小説】【契約】【幼年期の終り】【21】【老人と海】
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「エリアル06」 笹本祐一

2009-07-22 | 巨大ロボット
「松葉杖はどこまで行っても松葉杖だ。それを持った手が杖を弄ぶことはあっても、松葉杖がそれ自体でステップしたり貧乏揺すりしたりすることはない」
 妥協しない岸田博士の言葉。

 「巨大ロボットに搭乗した3人の少女が侵略宇宙人と戦う」というテレビアニメを意図的になぞっている『ARIEL』の合本再版もやっとこさ6冊目。今回はこの作品のサイドストーリーの1つにもなっていたタイムトラブラー編がメインとなります。

 第34話「八月六日のB-29」から第37話までは、長崎に投下されたはずの原子爆弾がB-29と共に国立科学研究所SCEBAIに出現することから始まる数日間の時間管制局との戦いの顛末。天本教授が見かけ通りの奇才を発揮するエピソードでもありますね。
 第38話「女子高生の危険なアルバイト」は、侵略戦艦オルクスが地球に仕掛けてきた電子戦に好きこのんで巻き込まれる女子高生たちのお話。
 そして書き下ろしのマイナス6話「電子頭脳の騙し方教えます」は人工知能による姿勢制御をテーマとしたARIEL開発秘話。人間が身体を動かすということがいかに驚異なことであるかというSCEBAI開発陣によるトライアル&エラーの数々。

 “タイムトラブラー”ユリともしばしお別れかと思うと少し寂しく思いますが、侵略者との対決もいよいよ本格的になっていくだけに仕方がないことではあります。

【エリアル】【ARIEL】【笹本祐一】【鈴木雅久】【六道神士】【タイムトラベラー】【ラプラス】【マックスウェル】【人工知能】
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「大妖怪」 藤原審爾

2009-07-21 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 学生時分は「ファンタジー小説」なんてほとんど出回っておらず、もう児童文学でもなんでもいいよと『ドーム郡ものがたり』(東海豪雨で流れた)あたりまで手を広げて読んでいたわけですが、そんな中で手に入れたのが藤原審爾の『大妖怪』。

 天守閣での幽鬼と剣の達人との対決、九尾の妖狐率いる狐の群と武士団の攻防、中国山中での大百足と大蛇の死闘、四国での大女郎蜘蛛に封じ込められた村人たちの戦い、夜中に海から上がってくる何か……と妖怪や怪物が登場する短編6本が収められた時代小説集。


 おお、面白い! こんな作家がいたのか。他にどんなのを書いているのかと調べてみれば、幻想小説とかファンタジー小説はほとんどありません。ハードボイルド小説、仁侠小説、家庭小説、教養小説、恋愛小説、警察小説と、純文学からエンターテイメントまでなんでもあり。うーん、すごい作家すぎて手が出ないよ……。

【大妖怪】【藤原審爾】【大蛇】【妖狐】
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「鋼鉄のアナバシス~死神と呼ばれた少女」 内田弘樹

2009-07-20 | 架空戦記・仮想戦史
「アタシは見た目ほど幼女体型じゃない!」
 パウラ・ケンプフ上等兵の虚勢。

 1945年5月。ドイツはいまだ世界と戦い続けていた。
 ドイツとソ連邦の激戦が続くウクライナ地方、ブラーツクの村に駐屯する第601重戦車大隊<ブリュンヒルド>。その第三中隊に所属するアキラたちの小隊に配属されることになった車長は白地に水色横縞模様のショーツを履いた少女だった……。

 戦場を疾駆するVIII号戦車レオパルトと、それを駆る少年少女の物語。イカロス出版が新たに創刊させた美少女系ミリタリー小説レーベル「AXIS LABEL(あくしずレーベル)」、その第一弾です。
 あの「MC☆あくしず」発のレーベルだけあって、戦車戦や占領地での親衛隊の描写はかなりガチですが、その一方、軍隊における男女比率はほぼ同じで「理由あって一つ屋根の下で共同生活をおくることになった女子数名と男子1名」というお約束のハーレムも健在。まったく期待に違わぬ作品です。
 テイスト的には、第三新東京市に向かう途中で惣流・アスカ・ラングレーに出会ってしまったシンちゃんの物語……といえないことはないよね。乗り込むのがオーバーテクノロジーの固まりとはいえエヴァンゲリオンではなくレオパルト戦車で良かったね。
 ただ、ツッコミどころが2箇所。明らかに『紺碧の艦隊』なみに歴史改変された世界なので、軍隊の男女比率とかテクノロジー云々については言及しません。でも、用語としての「ロリータ・コンプレックス」はナボコフの執筆が1953年、出版が1955年なのであきらかに早すぎる言葉。「幼女趣味」で良いと思います。
 それから便所について。どう転んでも農家の汲み取り式トイレなので、T-34に吹き飛ばされたタンクと似たり寄ったりの状況だと思います。そのあたり女性乗員の感覚が現代日本人に近いので、もうちょっとタフで良いと思います……。
 まあ、どちらも重箱の隅であって、作品の評価を左右するような話じゃありませんね。

 イラストには美少女だけではなく戦車もしっかり描き込まれ、地図や戦車の三面図も充実、各章ごとにテクニカルタームの解説までついているので、ミリタリー小説の入門版としてはベストな構成です。
 ただ、やっぱりフォーゲルヴァイデ上等兵は、理由はどうあれ指揮官として無能だと思います。相手の力量を見極めた適切な指示ができない、部下を掌握できないという意味で。みんな良い子で良かったね。アナバシスというタイトルが暗示しているこの先の展開はどう考えても安泰なものではありえないので、ぜひとも一致団結して乗り切って欲しいものです。できればマスコット的なキャラクターというか、どんな状況でも明るく前向きで「みんなでがんばろー」というキャラが加わるとライトノベル的に良いかと思います。もしくはティナさんがもっと前面に出てムードメイカーになるのも良いですね。
 今は、ヘンに弱きで冷静な少年、才能はあるかも知れないけれど協調性皆無の少女が静と動で2人、ムードメイカーというにはいまいち弱気な少女1名なので、簡単に負のスパイラルに入ってしまって爽快感が出にくいのです。

【鋼鉄のアナバシス】【死神と呼ばれた少女】【内田弘樹】【藤沢孝】【AXIS LABEL】【超巨弾独ソ戦ロマン小説】【トラクター工場】【ハーレム】【サウナ】【初代総統】【パンチラ】【適格者】【未来の記憶】
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「SFイラストの世界~スタジオぬえのすべて」 

2009-07-20 | その他SF(スコシフシギとかも)
「発注側(テレビ)から言えば、<スタジオぬえ>くらい生意気で世間知らずで態度のでかいグループも珍しい」
 野田昌宏の言葉。

 昔は乏しいこづかいから本を買うのに、このムックを参考にして買い集めていた気がします。つまり「スタジオぬえがイラストを担当している文庫を買おう」というのが1つのガイドラインでしたね。『人形つかい』のイラストとか銀河辺境シリーズのメカ図解とかすごく惹かれました。
 その後、加藤直之は独自の画集を発刊しましたし、欲しい本はたいてい買ってしまったので不要になったといえば不要になったわけですが、SFマガジンに連載していた『グランドマーク』をたとえ部分的にせよ収録しているのは、この本だけなのです(全2話のうち第1話「神への長い愚痴」収録)。『グランドマーク』は古き時代のスペオペテイストを強く残した絵物語。あるいはSFマガジンの特集用に書き下ろした宇宙船図解集。はたまた……あー、捨てられないねえ。 

【SFイラストの世界】【スタジオぬえのすべて】【朝日ソノラマ】【グランドマーク】
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「両性具有の美」 白洲正子

2009-07-19 | エッセー・人文・科学
 両性具有を1つのキーワードに、日本文化と西欧文化における美の違いについて論じた1冊。本当に、つれづれなるままに描いているので、柳田國男の了見が狭いとか南方熊楠の粘菌がどうのという話から、御小姓と女形の本質的な違いや天狗咄まで縦横無尽。

「中性と両性具有の間には微妙なニュアンスの違いがある」

 先日のテレビで海外のマンガ事情を紹介していたら、アメリカ人の少女が「これからは筋肉美のキャラクターではなくビショウネンの時代だ」と熱く語っていましたが、ビショウネンというのも日本的な言葉なのかもしれませんね。白洲正子とはまったく関係がありませんが、そういう存在を表現するのに適切な言葉が英語にはないということなのかなと思いました。白日の下に肉体をさらけ出すように男性美を追求する西欧に対し、日本は男性と女性の間を揺れ動く幽玄の危うさ……みたいなものなんでしょうか。

 プラトニック・ラヴとは男色であると指摘したのは花岡ちゃんだった気もしますが、衆道は伝統文化の継承とまで言っているしなあ……。

【両性具有の美】【白洲正子】【ヘルマフロディトス】【ふたなり】【菊の契り】【薩摩隼人】【ヤマトタケル】
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「デュラララ!!×6」 成田良悟

2009-07-19 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
『通りすがりの都市伝説です。見なかった事にしないと今晩夢の中で襲いかかります』

 アニメ化が決まったという『デュラララ!!』の6冊目で前作の続き。いや、間が空きすぎて中身を忘れていたので、いきなり静雄が逃げ回っているし帝人は追い詰められているし、訳分からないまま読み進めているうちに何となく思い出したところでおしまい。うーむ、ヤクザは怖い。怖すぎる。あんなに強くちゃいかんでしょう?
 この話をアニメ化しますか? 無謀な気がするけれど、『バッカーノ!』よりはアニメ化することによって分かりやすくなるかもしれません。確かに平和島静雄の動く姿は見たい気はします。

 臨也に嵌められた静雄を追ってヤクザが包囲網を敷き、やはり臨也に嵌められた帝人は自分自身のやってきたこと、これからやろうとすることに疑念を抱き始める。殺し屋が襲撃をしかけ、チンピラの抗争が激化し、女子高生が誘拐される。
 しかし、騒動の仕掛け人たる臨也は、すべてが混沌となり爆発寸前の街をとっとと逃げ出していた。遠く遠くへと……。

 ひとことで言ってしまえば「ダラーズの誕生から腐敗まで」「帝人が壊れるまでの物語」。続きが待たれるシリーズになっちゃいましたね……。

【デュラララ!!×6】【成田良悟】【親子】【放置車両】
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「朝湯、昼酒、ローカル線」 勝谷誠彦

2009-07-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「えっ、先生が来たっ?」
「マジい? 見つかる?」 

 駅舎の食堂で、制服の上にエプロンをして給仕してくれていた女子高生たちが一瞬にしてパニック状態に……。

 鉄道にまるっきり興味がなかった写真家・勝谷誠彦が、雑誌『旅』の連載を引き受けたばかりに鉄道マニアの担当編集者の指令のままに日本中のローカル線を乗って回った記事のまとめ。それを2002年にJTBから単行本化されたものの文庫化。

 あちらこちら飛び回らされてぶーぶー言いつつ、あっちこっちで美味い物を見つけたり、スゴイ景色に遭遇したりとなかなか愉しそうな22の旅を収録。それぞれの末尾に編集の筋鉄注釈が入り著者の言動にあれこれツッコミをいれているのに、自分が小ずるいことをしたと指摘されている回にはピタッと鉄道用語の解説だけになってしまうのが笑えます。

【朝湯、昼酒、ローカル線】【かっちゃんの(鉄)修行】【勝谷誠彦】【紀州鉄道】【養老天命反転地】
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「ベン・トー3~国産うなぎ弁当300円」 アサウラ

2009-07-18 | 食・料理
 突如、東区の狩り場に出現した2人の美少女、沢桔梗と沢桔鏡。まったくの無名ながら、彼女らのコンビネーションの前には二つ名を持つ狼たちも敵ではなかった。二人にして一体の狼、双頭の黒き獣の名を持つ双子姉妹は狩り場を西区へと移していった……。

「出る杭は打たれる。だが、打っても引っ込まない杭があったとしたら、お前ならどうする?」
「死ぬ気でぶっ叩く。力ずくで無理やり打ち込む」

 頭の悪い答だけれど、だからこそバカでも佐藤が主役なのだ(成績はそこそこ良いけどね)。

 スーパーマーケットで半額値引きの弁当を争う狼たちの物語の第3弾。今回のメインは「うなぎ弁当」。敵は……、つくづく面倒くさい姉妹ですね。
 風邪をひいてちょっと弱気な槍水仙、発酵臭漂う白粉花、なんのかのといってもけなげな著莪あやめ、ティーラ・ブラウンの対極に位置する井ノ上あせび、と今回は脇に回ってしまった感じのキャラもしっかり存在感をアピールしています。果たしてお守りは間に合ったのでしょうか? 忘れっぽいからなあ。
 しかし、今回最大のバカは、国産うなぎを炭火で焼いた弁当をいきなり300円で売るオヤジですね。

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「月の地底王国」 エドガー・ライス・バロウズ

2009-07-17 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 1914年の大戦勃発から半世紀続いた戦いも、アングロ・サクソン民族が他民族すべてを制圧する形で停戦を迎えた。地球に火星ヘリウムからのメッセージが届いたのは、その1967年の6月10日のことであった。
 そこからさらに半世紀後の2015年。人類の宇宙船が初めて火星をめざして発進するが、反乱により宇宙船は月に墜落。宇宙船<バルスーム号>の船長ジュリアン5世たちは地下世界に広がる月人の国で捕囚となってしまう……

 孤立無援の異世界で知恵と勇気と(地球人としての)体力を駆使して行く手に立ちふさがる敵を片っ端からやっつけて美姫を守っていくという、いかにもバロウズ的なヒーローの物語。親から子へと転生しつつ記憶を継承していくという主人公が2015年に体験した事件を未来の物語として1967年の世界で語る……という話が1923年に書かれたわけですね。ただ、いつも主人公の中途半端なにえきらない行動が次なる災厄のブースターになるというのも情けなく、続編はさながら「バック・ロジャース」のような展開みたいです。だから、とどめをさせといっているのに!
 肉は食わないといけないけれど家畜とか狩猟の対象になる動物がいないので、倒した敵はすべて食糧扱いというのもイヤーな設定です。

【月の地底王国】【バロウズ】【ムーン・シリーズ】【バルスーム号】【肉食】【ジョン・カーター】
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「ベン・トー2~ザンギ弁当295円」 アサウラ

2009-07-17 | 食・料理
「心を濁すな、狙いを澄ませ。今、思うべきは一つだけだ」
 戦いの場を制するのは力でも技でもなく、意志の力だと<氷結の魔女>こと槍水仙。香港あたりで実写映画化してくれないかね?

 HP同好会に入った佐藤洋の下宿にひょっこり現れたのは、幼なじみにして同い年の従姉・著莪あやめ。エロ本をあさりまくり、一日中テレビゲームで遊びほうける金髪の美少女だったが、実は著莪こそ<湖の麗人>の二つ名を持つ狼であり、佐藤たちの西地区に東地区から使者として送り込まれた捨て駒だった……。

 閉店間際のスーパーマーケットで半額弁当を求めて戦う、誇り高き狼たちの物語の第2弾。誇りを持たぬ<帝王>の覇道に、狼たちはいかに立ち向かうのか!?

 素人だった佐藤がちゃくちゃくと頭角を現していくのは、彼が自分ではクールなナイスガイで真面目少年と思っていても、客観的には十分ヘンであり、自己中心的であり、狡く、しかも現役陸上自衛隊員である父親に引きずり回されて体力と運動神経だけなら人一倍以上だから。それでも、腐女子な白粉さんに遅れをとってしまうのが、この世界の奥の深さです。
 面白いし、きちんと1巻完結になっているので読んでいても安心。敵味方入り乱れる乱闘シーンの迫力も、苦労の末に手に入れたザンギ弁当の美味しさも、佐藤を黙々と観察している白粉の執筆した小説の腐れッぷりも手抜き無しです。

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「ベン・トー~サバの味噌煮290円」 アサウラ

2009-07-16 | 食・料理
「誰しもに負けると思われている勝負を覆す。それが……楽しいんだよ」
 <魔導士>金城優の言葉。

 『ベン・トー』というタイトルにチャールストン・ヘストン主演の『ベン・ハー』を連想し、全然違う内容に放り投げかけてしまったけれども、よく読んでみたらそれほど違うわけでもなかった……という1冊。つまり、泉昌之の『かっこいいスキヤキ』とか押井守の『立喰師列伝』に代表される、他人が見たら「どうでもいいじゃないか。そんなくだらんこと」「見窄らしい。無様」ということに命をかけて道を見出していく孤高の男女たちの物語であり、時に「騎士」と呼ばれ、時に「狼」と呼ばれる求道者たちの戦いの記録。

 高校生・佐藤洋はある夜、気がつくとスーパーマーケットの床に倒れていた。偶然近くにいた同級生の白粉花にも分からないという。ただ、佐藤が半額になった弁当に手を伸ばした瞬間、嵐のような「何か」に巻き込まれたように見えたらしい。
 親からのぎりぎりの仕送りで暮らしている佐藤にとって、安売り弁当は命の綱。白粉ともども夜のスーパーに挑む佐藤だったが、その前に現れた<氷結の魔女>は、2人を完膚なきまでに叩きのめすと「豚は去れ」と告げるのだった……。

 ある時には味方となり、次の瞬間には敵となるライバルたちとの壮絶な闘い。たかが「夜間に半額値引きのシールを貼られた弁当の争奪戦」をこれだけ熱く語れるってのはスゴイと思います。
 ただ、そのままだったら“ちょっとヘンな求道小説”に成りかねないところですが、見るもの聞くものすべてにフィルターがかかってしまう白粉さんの言動によって逆方向に放り投げられています。まあ、槍水先輩とか十分におかしいし、生徒会の白梅梅さんは完全にキの人だし、そういう意味では白粉さんは常識人な方だと思いますが、『げんしけん』の荻上さん以上に見境ありませんので、お付き合いにはかなりの覚悟がいることと思います……。
 サバの味噌煮がまたこりゃ美味しそうなんだ……。

 今月末の4巻発売までに、あと2冊追いついてしまおう……。

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